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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
4章 ≪魔法学園奮闘記!≫
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10話・THE SERIOUS HONORS

―――side空志

 「・・・なんというチート」


 「いや、お前が言うか?」


 ボクは画面での戦闘を見てそういうけどロイに突っ込まれた。


 「でも、アレを解析してものすごく楽しいことがわかった」


 「鈴音の武器?」


 「うん。アレさ、一定以上の魔力を注ぎ込むことであの六角形の盾みたいなのを展開する。もちろん、『逆』の属性は付与されてる。今は≪相殺アンチ≫だけど≪反射リフレクション≫もできると思う」


 「・・・もはやバランスブレイカーだろ」


 「うん。それにまだある。さっきのアホな生徒がアレにぶつかったよね?」


 「あぁ?それがどうした?」


 「・・・何で鈴音が魔法以外の攻撃・・・・・・・をガードできたの?」


 「は?それってどういうことだ?」


 「本当に珍しい属性だから知らなくてもしょうがないんだけど、スズは魔法以外の攻撃をガードできない。それに魔法も魔力から発生したものなら大丈夫だけど『金』の属性みたいにどっかそこら辺から持ってきて変化させたとかは無理。簡単に言うと物質そのものはダメ。魔法から作られたならオッケ。そういうこと。・・・まぁ、簡単に言うと、スズは最強の盾の魔法を手に入れた」


 「・・・・・・おい。Sに勝ち目はないんじゃないか?」


 「・・・でも、鈴音はソラみたいに解析できないから自分の武器を使いこなせてないと思う」


 「ボクもそう思う。それに、言っちゃうけどスズの魔力はもう残り少ない。あの盾を展開するだけで精一杯だと思う。でも、それも長くはもたない」


 「・・・つまり、坂崎という最強の盾をどこで使うか、か?」


 「そだね。それに目撃者も気絶させられた。これからどうなるんだろうね~」


 被害的にはDもSも同じ。

 でも、周りを見るとDがS相手にここまでやってることに驚いてる。


 「コレで、ソラの考えどおり少しは格差がなくなるかな?」


 「まぁ、だろうね。結構五分と五分の戦いだし」


 ボクとリカはマイクに拾われないような声で言う。


 「でも、一番はDのみんなに勝って欲しいね」



―――side風葉

 「全員無事か?」


 『う~ん。気絶はしてないけど戦うのは無理な人がたくさん』


 「そうか」


 俺は風の伝達系の魔法でアスカに連絡を取っている。

 既に魔法で全員の位置は把握してるらしい。


 「今から合流しよう。お前に集まるように全員に連絡だ。動けそうにないヤツ等はそこで待機でいい」


 『りょーかい』


 アスカがどのあたりにいるのかを聞くと、俺達はすぐに走る。

 坂崎は補助系の魔法は使えないからリオネに頼んで人形で運んでもらってる。

 つか、人形速いな・・・人形についていくのが精一杯だ。


 「オレッチ特性だからな!」


 「・・・レクト殿は違法改造してないか不安です」


 「・・・そんなことはしてないよ~」


 「おい、その間は何だ?」


 「そろそろ目標地点に着きますわ」


 「みんなわたしだけ楽してゴメンね~」


 「いや、お前の属性上しょうが無いだろう」


 そして、アスカに言われたポイントに到着。

 そこには既に何人かのやつらがいた。


 「あ、だいひょー。よく生き残りましたね」


 「人を死ぬのが当たり前みたいに言うな」


 「いやぁ、でも、Sの代表サンにかなりケンカを吹っかけたバカですから」


 ・・・そういえばアレはなんだったんだ?

 俺はあのとき、無理だと判断して自分のところに戻ろうとしたところだった。

 だが、何故か俺の方向から俺の声であんな挑発的なことを言った。


 「それが、アレは俺じゃない」


 「え?アレはバカザハが言ったんじゃないの?」


 「・・・いい加減にバカ言うのはやめろよ。副代表」


 「でも、バカザハが言ってないなら誰が?」


 「アスカ、お前は何でそんなにノリがいい!?」


 「・・・」


 「・・・坂崎ちゃん?」


 「何故、貴女は明後日の方向を向いてらっしゃるのかしら?」


 「え?そんなことないよ~」


 俺達の目を見ずにそんなことを言う坂崎。


 「・・・なるほど。ソラがやったんだな」


 「・・・アハハ・・・・・・」


 どうやったかはわからないが・・・。そうか、あいつのせいで俺は命の危機に・・・。

 なら、意地でも勝ってあいつに正義の鉄槌を下さなくては俺の気がおさまらない。


 「よし、ソラを殺るぞ」


 「でも、その前にオレッチ達はSをぶっ飛ばさなくちゃね~」


 「・・・それで、俺は作戦を考えた。坂崎のその力はここぞって時に使う。情報どおりならそうしたほうがいい」


 「わかったよ~」


 しばらくして、Dでまだ戦えるやつらが集まる。

 俺は考えた作戦を全員に言う。



―――sideジグ

 「・・・Dの魔法でやられただと!?」


 「・・・そうとしか考えられない。しかも、坂崎ではありえない。彼女は攻撃系の魔法はほぼ皆無らしい。」


 「・・・それも向こうが流したウソの情報だという可能性は?」


 「留学してから一回目の魔法実技の訓練の授業のときにそう言ってたのを女子が確認してる」


 ・・・要するに、よほどの策士でもない限りありえないか。あるいは、最初からこんなことをしようと考えてない限り。

 それに彼女は策士のタイプでは無いと俺達は認識してる。

 むしろうっかり情報を漏らす系のやつだ。


 「・・・誰がそんな強大な魔法を?だが、普通に考えて不意をつかれた可能性は?」


 「普通に追いかけていったところを不意打ちできるか?相手は敗走中だぞ?」


 そう。相手はただ適当に魔法を放つとそのまま逃げただけ。つまりはヒット&アウェイ。そして、見た限りじゃあの時はDなやつらが全員いた。 

 たとえ、数人どこかで待機してたとして、さらにそのポイントに誘導されて待ち伏せをくらったとしてもDのやつらが放つ魔力に気づけないほどのザコじゃなかったはずだ。


 「・・・隠し玉があると考えたほうがいいか?」


 「ですね。・・・そういえば副代表は?」


 そういえばどこだ?

 あいつにはできるだけ前に出ないように伝えたが・・・。


 「俺はここですぜ」


 その言葉と共に木の陰からいきなりグランが出てきた。

 ・・・心臓に悪い。


 「・・・どこにいた?」


 「いや、木の上でちょいとばかし昼寝を。・・・まだで?」


 「・・・」


 俺は自然と憮然とした顔になる。

 その顔を見ると、グランはニヤニヤした薄笑いを浮かべる。


 「へぇ~。・・・俺は適当に後ろにいりゃ勝てるといわれてたんですがね?」


 「・・・」


 「まぁ、俺が出ればすぐに終わる。それでいいんで?」


 ・・・認めたくはない。

 Dのようなカスの集まりみたいな連中に遅れをとるなど・・・。

 だが、それは今のこの状況をもってそれを如実に表している。


 「・・・あぁ。こちらの最大戦力でやつらを潰す」



―――side空志

 「両方とも何か考えてるね」


 ボクは目の前に映し出されている映像を見て言う。

 そこにはDとSがそれぞれ一生懸命話し合ってる姿。


 「そうだな。SはDにかなりコケにされてるからな。ここからは本気ガチで、小細工なんか通用しないだろうな」


 「・・・Dに勝ち目はない?」


 「さぁ?ボクにはわからない」


 一つだけ言えることがあるとすれば・・・それは・・・・・・。


 「あの、二人の代表に全てがかかってるかな?」


 ボクは二つのクラスの代表を見る。

 方や、最下層ランクの代表。

 もう片方は実質、この学年最強の生徒。


 「まぁ、ボクがSならDが集まってるところに全力で魔法をぶち込む」


 「確かにシンプルだが有効だな。例え相手が銃を持っててもこっちはミサイルをぶち込めばそれで勝てるからな。それにDとSはそれぐらいの差がある」


 「でも、Dは全員がやられないようにチームを分けたりしないの?」


 「いや、ここではそれはまずい。下手に戦力を分散させれば実力でSにフルボッコにされる。だから、Sを確実にねじ伏せられるような策が無いとそんなことはしない」


 そして、それはDが一番よくわかっていることだろう。

 自分たちが弱いということを知ってるからこそ、考える。

 自分達のもてる力全てを使って。それは人形を使い、自分達の作った銃器であったり、道具であったり・・・。


 「まぁ、勝敗が決するのはかなりすぐそこまで迫ってるよ」



―――sideジグ

 「まず、やつらの厄介なところは俺たちが魔法だけなのに対して向こうはさまざまな装備を隠し持ってることだ」


 俺がそういうと全員がうなずく。

 向こうは俺達の詠唱にのみ気をつけていればいいがこっちはそうはいかない。

 向こうはこの準備期間の間にいろいろな兵装を作っていたのだろう。そうでなければあんなに大量の人形で俺達に奇襲させたところを襲うなんてできなかっただろう。

 この中には魔装系の魔法を使うヤツも一応はいるがそんなものは一人か二人だ。

 それにこちらはあの忍者みたいな男子生徒に情報操作もされていた。

 Dのヤツ等は俺達に勝つために出せる全ての力を出して勝とうとしている。逆に俺達は虫けらを潰すつもりで適当に魔法を出していただけだ。


 「・・・しゃくだが、俺達がこのまま戦えば確実に負ける」


 「は!?相手はDだぞ?」


 「俺達はそのDに遅れを取っている。俺たちが全力でやればこんな戦いは既に終わっている」


 「・・・ですが、現状は違う。と、言うことで」


 ランドがヒヒヒと笑いながら言う。


 「ここからは全員が持てる力を全て出してやれ。そういうことで?」


 「あぁ」


 「Dに本気でやれだと!?」


 「でも、実際、拮抗どころかこっちの方が負けてるかもしれない」


 「・・・何人かは正面から戦ったにも関わらず負けてるらしいし」


 「んなもんまぐれに決まってるだろ?」


 Sのやつら全員が騒ぎ出す。

 中にはDなんてザコには本気を出す必要なんてない。今までは運がよかっただけだ。でも、下手すれば負ける。など、いろんな声が聞こえる。


 「・・・アンタ等、何か間違がってねぇかい?」


 「「「・・・?」」」


 「俺達のやることはこの戦争に勝つことだ・・・・・・・・Dに勝つことじゃない・・・・・・・・・。Dに勝つのはあくまで結果だ」


 「でも・・・」


 「なら、このまま負けてDより劣っているなんてレッテルを貼られるのか?」


 「「「・・・!?」」」


 「俺たちが負けるわけ・・・!!」


 「今のこの状況がそうだ。現実を見ろ」


 「・・・」


 やっと全員が現状を認識したのか全員が黙りこくる。

 そして、俺は全体を見回すと口を開く。


 「ここからは本気で行け。コレは命令だ」


 俺は有無を言わさない口調でそう言う。

 俺たちが全員完全に舐めきって戦ったとはいえ、ここまでDがやるとは思わなかった。・・・それだけあの三谷空志と言うヤツを信頼してるのか、あるいはあいつの思いに報いろうと考えているのか・・・・・・。


 「なんにせよ、ここからは俺達のターンだ」



―――side風葉

 「おそらく、向こうは確実に本気で掛かってくる」


 「ようやくですわね」


 「・・・オレッチそろそろ疲れた」


 「でも、大丈夫なの~?」


 「あぁ、俺達の目的はこの戦争に勝つことじゃない。ただ、Sの連中に俺たちだってできるっつーコトを見せるだけだからな。勝つことはそのついでに過ぎない」


 おそらく、Sは俺達に勝つことが前提だろう。

 だが、俺たちだって自分たちがザコなコトぐらいよく知ってる。

 今度からはこっちの小細工は通用しない。

 そして・・・・・・。


 「あ、だいひょー。Sが進軍を始めたよ。しかもこっちに」


 「誰かの魔力を感知されたか・・・」


 「・・・まさかわたし?」


 「いや、俺かも・・・」


 全員が自分のせいじゃないかといい始める。


 「いや、普通に考えて向こうの感知能力が優れてるんだろう?」


 「・・・さすがS。勝てる気がしない。」


 「まぁ、俺は勝ってソラのクソ野郎にパイルバンカーでもしねぇと気がすまねぇ」


 俺はあいつのせいで命の危機にさらされてる。


 「レクト。装備は?」


 「あ~・・・まぁ、ボチボチ?でも、みんな逃げるときにかなりいろんな道具使ってもう、残り少ない。でも、ダミーはまだある」


 俺達はSと少しでも互角に持ち込むために魔道具を大量に持ち込んだ。

 そして、ダミーと呼ばれるものは魔力を発散する魔道具で、コレを人形につけて魔力を持たない人形を俺達だと勘違いさせた。


 「よし。じゃ、一旦別れる。かなり危険だから少しでも危険を感じたら逃げろ。各自ダミーを持ってどっかに適当にばら撒け少なくとも混乱ぐらいはさせられる・・・といいな」


 「・・・バカザハ。最後が希望になってるけど?」


 「・・・解散!集合ポイントはアスカの独断で!!」


 俺は杏奈の呟きを無視してみんなに指示を出す。


 「ほいさ~。後で連絡するよ~。魔法じゃなくて魔道具で。誰かに気づかれると事だからね~」


 アスカは敵の方向を示す。俺達は反対の方向に走り出した。



―――sideジグ

 「・・・?・・・・・・代表、魔力があちこちにあります」


 「は?・・・・・・確かに・・・」


 ・・・おかしい。何で敵は急に分散した?

 俺達と1対1で勝負する気か?


 「いや、それは考えられませんぜ?」


 「・・・そうだな」


 Dの連中はこっちが本気になったことに気づいてるだろう。

 どういう魔道具を使ったかはわからないが向こうはこっちの動きをかなり正確に把握してる。内部にスパイがいる可能性も考えたが・・・それはないように思う。こちらの動きが割れているが何故か作戦等が割れていない。おそらくは何らかの手段で動きだけを捉えることができている。


 「・・・な!?今度は後ろ!?」


 俺たちが祈祷方向からも急に魔力が発生。

 ・・・なんだ?


 「・・・チームに分かれろ。A、Bはここで待機。C、Dはここから一番近い魔力のところに行く。ついて来い」


 そういうと俺達は魔力が一番近そうなところに行く。それはほんの数分ほどでつくような場所だった。ここなら大声を出せば待機組みにも聞こえるだろう。

 だが、そこには誰もいなかった。


 「・・・どういうことだ?」


 「代表!!これ!!」


 すると、そこで生徒の一人が缶ジュースの缶のような円筒形のものを見つける。

 何だ?


 「コレはダミーです!」


 「「「・・・?」」」


 ダミー?

 初耳だ。


 「・・・あ、そういえば魔法工学やってないと知らない」


 「で、何だそれは?」


 「簡単に言うとこの中に溜め込んだ魔力を周りに発散する魔道具です」


 「・・・そうなのか?」


 そんなもの、何に使う?


 「主に蓄魔器コンデンサーとして使われます。が、うまくすれば今回のように、ただ魔力を垂れ流すだけの装置にもなります。だから、俺達は魔力を待たないはずの人形から魔力を感じ取ってアレをDの連中と勘違いしたんですね」


 「・・・!・・・俺達は一杯食わされたのか?」


 「こっちがダミーに惑わされてる間になんかをする気でしょうね」


 ・・・確かにコレだけ魔力が発生してれば向こうの位置がわからない。

 だが、向こうはその限りでない可能性がある。


 「すぐに戻るぞ!!」


 口々に返事をするが俺はそれを無視して来た道を戻る。

 そして、急いで戻った先には雑談をして少しだけざわざわとしているSのやつらがいた。


 「?・・・代表?そんなに急いでどうしたんですか?」


 俺は先ほどのことを話す。

 すると、全員の顔色が変わる。


 「・・・何かたくらんでる?」


 「それが妥当」


 「早急に魔力感知に長けているヤツ等はDの魔力を探せ!他の手段も使えるものは使え!!」


 そういうと俺達は魔法や知覚でDの居所を探り始めた。




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