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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
4章 ≪魔法学園奮闘記!≫
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9話・NEVER GIVE UP!

―――side鈴音

 「抵抗するな!」


 「いや~。だって怖いもん!」


 どうも!鈴音です。

 いつの間にかみんなとはぐれて逃げ遅れちゃった。

 う~ん。今回はソラ君とかリュウ君達もいないんだよね~。

 ・・・・・・ぴんち?

 わたしは≪反射結界リフレクション・エリア≫で魔法で跳ね返している。

 でも、コレは魔法以外は通るんだよね~。

 今は気づかれてないけどそのうちばれちゃうだろうし・・・どうしよう?


 「いたぞ!!坂崎だ!!」


 そしてわらわらとSの人たちが来ちゃった。


 「本格的にピンチかも~。」


 「コレだけの人数を相手に勝てるのか?」


 「お~前の代表さん?こんにちは~。」


 「・・・アホか?」


 え?何で?

 わたし何か変なことしたかな~?


 「・・・ホントにこいつが『リバース』持ちの魔法使いか?」


 「むぅ。失礼な。わたしは本当に『逆』だよ~。使えるのが五個ぐらいしかないけど・・・。」


 「・・・いま、自分の手札を見せたよな?」


 「え?わたしトランプなんか持ってないよ?」


 「・・・え~っと、わたし達に自分のできることを教えちゃったよねって言うことなんだけど?」


 「あ、ご丁寧にありがとうございます~。」


 わたしは親切に教えてくれた女子生徒の子に言う。

 そうか~。うっかり教えちゃったのか~。


 「聞かなかったことにして欲しいな~。」


 「・・・疲れてきた。」


 「大丈夫?無理はよくないよ~?」


 「「「アンタのせいだよ!」」」


 え?わたし何かしたっけ?

 ・・・・・・ハッ!?まさかわたしにはそんな特殊能力が!?試してみよう!


 「・・・。」


 「・・・。」


 「・・・。」


 「・・・何をしてるんだ?」


 「わたしの特殊能力でみんなを疲れさせようと・・・。」


 「もう、掛かってるよ!」


 「お~スゴイ!?わたしにもこんな特殊能力が!?」


 「違う!いや、ある意味あってるけど違う!!」


 え~。


 「坂崎!大丈夫か!?」


 声のしたほうを見るとそこにはカザハ君たちがいた。

 その後ろからもDのみんなが来た。


 「え?みんな?・・・あ、危ないよ!?」


 「お前のほうが危ないよ!?敵に包囲されてるのに。」


 「むぅ・・・確かに。盲点だったよ~。」


 「どのあたりが盲点なんだよ!?」


 カザハ君は頭を抱えながらわたしに言う。

 頭が痛いなら無理しちゃダメだよ~。


 「まぁ、いい。やれ!!」


 「了解!!≪雲の面紗クライディ・ベール≫!」


 そういうとわたしの結界の中以外が真っ白になる。

 みんな位置どころか敵の位置でさえわからなくなっちゃったよ~?


 「な!?逃げる気か!?」


 「「「もちろん!!」」」


 「チキンな返答なのになんで堂々と答える!?魔法でこの霧を払え!!」


 「違う!コレは雲!!」


 「クモ?俺、あれ嫌いなんだよ」


 「字が違う!?」


 「みんな余裕だね~。」


 「坂崎!!」


 そういうとカザハ君が雲を抜けてわたしのところまで来た。


 「お~どうやってわたしの位置がわかったの?」


 「ついさっき目の前で話してたよな!?」


 「あ~。そうだったね~!」


 そして、急に雲が晴れた。

 ううん、上にいっちゃった。


 「な!?早い!?」


 「よし!全員で攻撃しろ!!」


 そして、SとDの正面衝突。

 いろいろな魔法が飛び交う。


 「俺達は逃げることを考えろ!!Sと正面からやっても勝てない!!」


 「わたくし達が何とかしますわ!」


 「マジで?・・・まぁ、いいか~。リオちゃん。がんばろうね~。」


 そういうと二人の男子と女子が前に出る。リオネちゃんとレクト君だ~。

 そして、レクト君は小さな人形さんをいくつか地面に置く。

 すると、その人形は大きくなってわたしたちと同じくらいの大きさになる。


 「人形だ!!魔法で蹴散らせ!!」


 「先ほどの量産品とは違ってこれは自分専用カスタムですわ!!」


 リオネちゃんがそういうと人形さんたちは一斉に腕から剣を出して踊りかかったり、腕を銃に変えて魔法弾を撃ったりいろんな攻撃をしてる。


 「すごい・・・。」


 「オレッチもがんばるか~。」


 レクト君のほうもいつの間にか後ろからロケットランチャーみたいなのを構えてる。


 「発射ファイア!!」


 そういうと魔法の砲弾が雨あられのように敵に降り注ぐ。

 Sのみんなは自分の防御に手一杯になる。


 「・・・隙だらけです。」


 「な!?」


 忍君がいつの間にかSの生徒さんの一人の後ろに立っていて、攻撃を仕掛けていた。


 「・・・よし、大部分は逃げた!!お前等も逃げろ!!」


 「まずは代表!!貴方がお逃げなさい!!」


 「だが!?」


 「・・・ここにSの指揮官はいません。すぐに逃げてください。」


 「うぉい!?・・・忍か・・・だが、俺の勘じゃ無理だ。」


 「・・・何故?」


 「・・・俺を囮に逃げろ。坂崎。お前もだ。」


 「え?何で?」


 「いつの間にか囲まれてる。クラスのほとんどは逃げれたが俺達は包囲されてる。」


 そういうと、カザハ君の言うとおり魔力の反応がかすかに周りからしてきた。


 「・・・ホントだ。」


 「な?・・・俺を囮にして逃げろ。俺もすぐに追う。」


 「・・・ねぇ、それって死亡フラグだよ?」


 「いや、コレは後で実は生きてたんだフラグだろ?」


 「・・・完全に囲まれました。」


 「え~マジで~?リオちゃん、どうする?」


 「・・・どういたしましょう?」


 「ここはわたしが!」


 「いや、坂崎は魔法以外はダメだ。だから、俺達の後ろにいろ。」


 ・・・いつもそうだ。

 わたしは後ろ。

 みんなに守られていないと相手の攻撃も防げない。


 「・・・でも、わたしも何か・・・。」


 「・・・無理はするな。お前は私が期をみてここから連れ出す。代表と一緒に。」


 「・・・。」


 わたしは・・・みんなの中で一番弱い。


 「よし!全員でやるぞ!!」


 「がんばるよ~。」


 ソラ君たちはそんなことないって言ってくれると思う。


 「チッ!・・・相手の魔法が強力すぎる。」


 でも、わたしはいつもみんなの後ろから見てるだけ。

 みんなを見守ることしかできないのが歯がゆい。


 「耐えろ!いつかは逃げれる隙ができる!」


 確かに、わたしはシュウ君と違って体術なんてできない。

 リカちゃんと違って力もない。

 ソラ君、リュウ君、冬香ちゃんと違って魔法を応用できない。

 何もない。


 「やばい・・・。何かいい方法は!?」


 颯太さんはわたしにこの力はみんなを魔法から守る絶対の盾の力だって言ってくれた。でも、それは魔法に対してだけの・・・・・・・・・モノ。


 「だから、わたしはこの留学に真っ先に来ようと思ったんだよ・・・。」


 強くなるために。

 ううん。守れるように・・・。

 わたしは、本当の意味での絶対の盾が・・・欲しい。

 わたしはわたしの杖、『世界樹の杖ユグドラシル』をぎゅっと握る。

 そして、変化は起きた・・・。



―――side空志

 「いやぁ・・・みんなバカだね。」


 「・・・元も子もないことを言うなよ。しかもお前のクラスだろ?」


 「ね~ね~ソラ。レイ先生が向こうですねてるけどいいの?」


 うん。全力で問題ないね。

 でも、ボクならあそこでスズを巻き込むレベルの範囲系のやばい魔法を放つ。

 そうすれば何人かの敵を葬り去れるからね。

 それに、スズはそれぐらいじゃ死なない。


 「だが、コレじゃ負けるぞ。」


 「そうだね。」


 「・・・ドライだな。」


 「いや、ボクは信じてるよ。Dのみんなは強い。Sも強いけどそれとは違う強さを持ってる。まぁ、要するに特殊技能ってことだけど。」


 そして、画面にはリオネさんやレクト君、忍君達の戦闘が展開される。

 カザハは指揮している。


 「カザハは魔法を練る暇が無いみたいだね。」


 「だろうな。これほどの猛攻で余裕をかましてられるのはお前ぐらいだ。」


 「ソラは最強だもんね!」


 「いや、ボクは強くないよ。そこに出てるスズのほうがよっぽど強い。でも、スズはボク等の後方支援のみでいつもボク等のために戦えてない。自分は一番弱いって悩んでるからね。」


 今も・・・。

 スズは唇をかみ締めて目の前の戦闘を見てる。

 でも、スズは自分が思ってるより強いよ。

 いつも少しでも早く詠唱を終わらせられるようにここに来てから高速詠唱クイックスペルとか詠唱破棄スペルカットの練習とかをしてたのを知ってるよ。

 そこまでしてるんだから、カミサマだってきっとなんかくれるよ。

 もし、何もくれないんならボクはカミサマを殴りに行ってくる。


 「・・・鈴音は強い。アタシも知ってる。鈴音がいるからみんなが明るいし、魔法で何かされそうになっても守ってくれる。」


 「うん。」


 「・・・お前等、ホントにすごいな。」


 「まぁね。いろいろとやってきたからね。」


 そして、それは唐突に起こった。

 画面が急に光る。

 ボクは何事かと思って画面を見ると、そこにはスズを中心に・・・。


 「いや、コレは・・・杖だ!!」


 「杖?・・・あのバカみたいに長い杖か?」


 「うん。」


 「アレは『ユグドラシル』。鈴音の武器。」


 「・・・ものすごく大仰な名前だな。世界樹でも使ってるのか?」


 「「いえす。」」


 「・・・何故かそんなに驚いてない俺はもはや異常か?」


 「説明すると、アレはボクが作ったちょっと特殊な武器なんだ。」


 「・・・おい。今、無視できない単語が聞こえたぞ?」


 「アタシもソラに作ってもらった。」


 「「ちょっと待ってくれる!?」」


 「あ、学園長にマキ先生。どうしたんですか?」


 「「なにじゃない!」」


 「・・・ソラ、この人、誰?」


 「・・・・・・鎌を仕舞ってください。こっちのマキ先生はフルネームを木下真希きのしたまき先生。魔法工学、つまりはボクが唯一かなりの好成績を残してる授業の先生だよ。」


 「アレはどう見ても魔導宝具アーティファクト級の武器よ!?それを貴方が作ったの!?」


 そういうのは作業服に安全ゴーグルという今からでも何かの作業をできそうな女の先生、つまりはマキ先生がいた。


 「まぁ、そうですね。」


 ボクはとりあえず説明を続ける。


 「はぁ、まぁ。ボクは最初にこの二丁拳銃をログ・ラギスというドワーフから貰いました。」


 ボクは自分の銃を見せる。


 「そして、コレは神金鋼オリハルコンでできてる銃です。知ってのとおり、神金鋼製の武器は所有者によっていろいろな特殊な効果がつくらしいです。そして、ボクはこの目で解析すると、この武器には自己進化の魔術構成プログラムがされていたんです。そして、ボクは武器の作り方をいろんな人に聞いて、この魔術構成を全ての武器につけました。」


 「・・・要するに、コレは坂崎君の武器の進化だと?」


 「かも知れませんね。一度だけ、ボクは自分が作った武器が持ち主に最適化されるのを見たことがあります。」


 そのときの光に似てる。

 ボクはこのことをログさんたちと進化エボルトと呼んでいる。

 どうすればリュウみたいに武器の形状までが変化するほどの急激な進化を遂げられるのか煉さんや龍造さんと話したけどわからなかった。

 でも、今はわかる気がする。


 「・・・心の底から強く思うとあんなふうに急成長するんだ。」


 そして、光が収まる。

 そこには柄の部分に複雑な紋様が描かれ、先端部分には白い宝石のような物がくっついてる杖があった。

 前回のただの棒みたいな杖とは大違いだ。

 さて、一体どうなる?

 ボクはこの先の読めない戦いに目を戻した。



―――side風葉

 「坂、崎?それは?」


 「え?・・・わたしも何が何だか・・・。」


 「何だ?さっきのは?」


 !?

 そうだ!!今はそんなことより急な事態に対応できてないSから逃げる!


 「今だ!!逃げるぞ!!≪疾風の疾走ゲイル・ダッシュ≫!!」


 そして、俺は風の魔法で自身のスピードを上げて走る。

 後ろからは坂崎を抱えた忍と人形に抱きかかえられて逃げてくるリオネ、レクトがついてくる。


 「・・・代表。後ろから高速で敵が。」


 「やっぱ腐ってもSだな。・・・坂崎!お前の魔法でやつ等だけ魔法の・・・いや、意味が無い。すぐに再展開されて追いつかれる。」


 どうする?


 「いたぞ!!待て!!」


 「つきなみなセリフですけど待てといわれて待つ人はいませんわ!」


 「リオちゃんの言うとおりだね~。」


 「レクト!!近いですわ!」


 「・・・私がやりますか?」


 「いや、いくら忍でもS数人じゃ分が悪い。」


 「・・・。」


 坂崎はさっきから何かぶつぶつと言っている。

 おそらくは詠唱中なんだろう。


 「≪雷の細剣サンダー・レイピア≫!!」


 後ろから雷系の魔法が放たれる。

 ヤバい!?


 「≪相殺アンチ≫!」


 坂崎はタイミングよく魔法を消す。


 「ナイスだ!」


 「掛かった!!やれ!!」


 「≪劫火の隕石レイジング・メテオ≫!!」


 「な!?」


 風と土と火の三属性の混合魔法だと!?

 いつの間に!?

 そんなものくらったらひとたまりもないぞ!?


 「坂崎!!」


 「・・・無理です。坂崎殿は先ほど魔法を使ったので詠唱に時間がかかります。」


 だが、それでも坂崎は必死に詠唱をする。

 やられた。

 相手はわざと魔法を放ったのか。


 「・・・ここまでか・・・っ!!」


 「・・・イヤだよ。」


 「?・・・坂崎ちゃん?」


 レクトが坂崎を少し意外そうな顔で見ている。


 「負けられないよ!!わたしは何もしてない!みんなはもっとがんばってるのに・・・。」


 「そんなことはありませんわ。」


 そうだ。

 俺達は坂崎のおかげでここまでできたと思ってる。

 坂崎がいなければあんな作戦も思いつかなかった。


 「でも、わたしのチカラじゃ守れてない・・・もっと、みんなを守れるようにここに来たのに・・・!!ソラ君に全部背負わせないように・・・強くなるために!!」


 坂崎がそう言う。

 ・・・こいつらは本当に俺達とおなじ学生なのか?

 いつも子供みたいなことを言ったりしてる超ド級の天然女子と同一人物だとは思えない。


 「って、本当にまずいですわ。」


 リオネは上を向いてそういう。

 俺達は釣られてそっちを見る。

 そこにはとてつもなく大きな炎を纏った大きな岩が俺達に向かって突き進んでいた。


 「おい!?あの魔法を止めろ!!お前達も巻き添えを食うぞ!?」


 「関係ない。こっちはお前を倒せばそれで勝ちだ。」


 最悪だ!!

 こいつら手段を選ばねぇ!?


 「・・・させない。ううん。そんなことさせたくない!!」


 坂崎がそう叫ぶが無情にも戦術系の大規模魔法は俺達に容赦なく迫る。

 そして、俺は衝撃に備えて体を硬くする。


 「きゃぁぁぁぁああああああ!!??」


 「リオネ!」


 「代表!!坂崎殿!!」


 リオネとレクトの声が聞こえる。

 そして、俺の上に誰かが乗る感触と誰かが隣にいる気配。

 バカヤロウ!何で忍が庇う!


 「「「「「・・・。」」」」」


 ・・・いつまで経っても何も起きない。


 「おい。忍。重い。」


 「重いよ~。」


 「す、すみません。」


 「リオちゃん!?大丈夫!?」


 「はい・・・って、レクト!?怪我してますわ!?」


 「ん?・・・コレぐらい大丈夫。」


 「・・・・・・何故だ?」


 俺は全員が無事なのを確かめる。

 だが、それはSの連中も同じだ。

 疑問の声を上げたSの生徒を俺達は見る。


 「・・・何故、Dのゴミがあの魔法を消せたんだ・・・・・・・・?」


 「は?何を言って・・・。」


 「何故だ!?アレは対軍団用の上級の上位戦術魔法だ!!そんな魔法を消すなどそこの坂崎の『逆』か『消滅』以外にありえない!!!お前等は坂崎以外の人間を隠しているのか!?」


 「だから何を・・・。」


 「・・・まぁ、いい。そいつもまとめて消し飛ばす!!」


 そういうと目の前の男子生徒は近くにいたやつ等に目配せをする。


 「「「―――風よ!!切り裂け!!

      ≪風神の三迅ストーミオ・レイド≫!!」


 「風の混合魔法!?」


 誰も反応ができない。

 それはそうだろう。ワケのわからないことが連続して起こってる。その急な展開に全員がついていけなかった。






 「ダメ!!」






 だが、敵の魔法はまたもや消えた。

 目の前に突然出現した無数の透明な六角形の盾によって。


 「何だ!?坂崎か!?」


 「あ、れ?え?わかんない。・・・・・・あ!?」


 坂崎はそう答えるが突然ハッとした顔になって声を出す。


 「何だ?心当たりがあるのか!?」


 「・・・武器の、進化?」


 「はぁ?何ですのそれは?」


 「いや、そこでオレッチを見ても・・・武器の進化って何?」


 「コレは、ソラ君が作った特別な武器なの。貰ったときにこの武器は進化するって・・・リュウ君のときもこんな風に急に武器の形状が変わったの。それで、能力みたいなのもついてた。」


 「・・・要するに、コレは坂崎殿の武器の進化後の能力?」


 「・・・たぶん?」


 「チッ・・・なら、坂崎の魔法は物理攻撃には何の耐性もないはずだ!!」


 「な!?」


 「何でそれを!?」


 「俺が坂崎を倒せば主席の座につけるからな!!」


 そういうと腰の練習用の剣を構ええると俺達・・・いや、坂崎に盾を無視して突っ込む。


 ガン!


 「だぁ!?」


 「「「「「「「・・・。」」」」」」」


 こっちに突っ込んできたアホな男子生徒以外のヤツが無言で盾にぶつかったこいつを見る。

 心なしか視線が冷たいのは気のせいだ。

 ・・・・・・たぶん。


 「おい。お前等のこの野心まみれのアホは何をしてるんだ?」


 俺はとりあえずこいつと一緒にいたSの生徒に聞いてみる。


 「・・・私はわかりません。」


 「俺も同じく。」


 「・・・そうですの。」


 「じゃ、オレッチ達はもう行くよ~。」


 「・・・失礼。」


 「じゃぁ、そこのアホを頼む。」


 「バイバ~イ。」


 そして、俺達はそこを去ろうとする。


 「「って、ちょっと待て!!」」


 「チッ!さりげなく逃げようとしたんだがな!」


 すぐに臨戦体系をとる。

 向こうは二人。こっちは五人のアウトナンバーだ。よっぽどのことがなけりゃ勝て・・・。


 「「―――風と火よ、彼の者を焼き払え!!

     ≪炎の大嵐フレア・ストーム≫!!」」


 炎を纏った巨大な竜巻が迫ってくる。


 「無理だ!!勝てねぇ!?」


 「う~ん。・・・わかった!!こうだ!!」


 坂崎が杖を一振り。

 すると、盾が移動して俺達の前に来る。

 盾に当たったところから魔法は消え、魔法を防ぎきった。


 「な!?坂崎さんの魔法は詠唱が長い上に魔力消費がハンパないはずじゃ!?」


 「みんな!魔法を使って!わたしがその間はみんなを守る!」


 坂崎が俺達に向かって放たれる魔法を盾でガードする。


 「へっ。坂崎ちゃんカッコイイ~。」


 「コレでは坂崎さんにだけおいしいところを持っていかれてしまいますわ。レクト!」


 そういうと二人は人形を展開。


 「・・・では。」


 そういうと忍は消える。

 ・・・・・・いや、マジで。


 「後ろ!」


 ガキィ!


 金属のぶつかる音。

 忍の快刀と男子生徒の長剣が交差する。


 「・・・やはり何回もすればバレますね。」


 「いや。俺はわからなかった!!」


 「貴女の相手はわたくしですわ!」


 「オレッチもな~。」


 「ひ、卑怯よ!正々堂々と1対1で・・・。」


 「「とう!!」」


 「ちょ!?

 ―――風よ守れ!

   ≪風の鎧ウィンド・メイル≫!!」


 「甘いですわ!!レクトの人形を舐めないでくださるかしら?」


 「わ~い。リオちゃんが褒めてくれた~。」


 「貴方も戦いなさい!!」


 「え~。」


 だが、二人はなかなかのコンビネーションで敵を攻撃。

 リオネは人形に搭載された装備で攻撃。レクトは相手が隙を見せるその瞬間に自分の武器・・・。


 「って、対物狙撃銃アンチマテリアルスナイパーかよ!?」


 「魔法弾のね。」


 どこに持ってた!?

 そんな馬鹿デカいのをポケットに入れられるわけが無い!!


 「ってぇー!!」


 「死ぬ!?わたし死ぬ!?」


 「ははははは!!もっと踊りなさい!!殺戮の踊りを!!」


 もはやコレではどっちがさっきまでやられかけていたのかよくわからない。

 つか、完全に俺達のイジメだ。


 「まぁ、やめる気はないがな!!≪木の葉を纏う竜巻ウィンディ・リーフ・スラサー≫!!」


 「上級の中位魔法!?」


 コレが俺の属性。『風』と木の派生系属性『葉』だ。

 俺の親も安易な名前をつける。下位属性とはいえ多重属性デュアル持ちだからってな。

 風が巻き起こり、数本の竜巻が発生。それは周りの木の葉を巻き込み、さらには巻き込んだ葉までもが刃のような鋭さを魔法によって付与される。

 それを敵に放つ。だが、Sはそんなぐらいで仕留められるほど雑魚じゃないことは自分もよくわかってる。

 案の定、敵は高速移動系の魔法で逃げようとする。


 「「≪風の舞フェザー・ステップ≫!!」」


 「・・・≪加速する世界アクセル・ワールド≫。」


 忍はここで敵の二人に向かって一定範囲内を高速移動をさせる魔法をかける。

 ここで属性『速』について説明しよう。

 コレは簡単に言うと補助に分類される魔法で、『速』の属性が無いヤツでも訓練しだいで使える。だが、ここで注意が必要だ。『速』の魔法はあくまで対象のスピードを上げるだけだ。

 別に動体視力が上がったり身体強化がされたりするわけじゃない。

 だから、その魔法を使ったまま激突なんかすればもちろん大怪我をする。

 つまり、こういうことだ。


 「なぁ!?が!?」


 「きゃ、っ!?」


 二人は急なスピードの変化についていけずに周りに生えている木の一本にそれぞれ激突して意識を失う。


 「・・・俺達の勝ちだ。」



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