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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
4章 ≪魔法学園奮闘記!≫
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7話・TACTICS

―――sideジグ

 「はぁ、ホントにあいつらは何のつもりなんですかね。代表?」


 俺はSの代表、ジグ・フロルド。

 そして、俺に話しかけてきたのがSの副代表、グラン・スリザン。

 俺達はSでもかなり力のあるほうの人間だ。


 「・・・まぁ、所詮、身の程がわからんバカどもだと言うことだろ?」


 俺と・・・いや、S全体の認識は同じ。俺たちSがDのような雑魚に負けるわけが無い。魔法力は比べ物にならない。ただ、危険因子としてあの元S代表のロイ・ガリュークを倒した三谷空志だけだが、体育館でDの代表がこちらに宣戦布告したときに自分は出ないと言っている。つまり、残る不安要素は坂崎鈴音、『リバース』の属性もちのあの女子だけだ。


 「・・・あの、坂崎の魔法には驚いたな。」


 「ですよね~。まさか、魔法を無効化する魔法なんてのがあるとは思いませんでした。」


 ヒヒヒとグランは笑う。

 だが、こちらには他にも情報がある。


 「ですが、女子が何人かその魔法の行使には膨大な魔法力を必要とし、俺たちを遥かに上回る量を持っていても数発が限度。」


 「つまり、こちらは適当に魔法を撃ち続けて、坂崎を消耗させておけば勝手に向こうはつぶれる。まぁ、言ってしまえば俺達は坂崎さえ潰せば勝てる。」


 だから、俺達が考えた作戦はこうだ。

 俺達のクラスは40人。

 それを5チームに分けて、坂崎を見つけた、あるいはDの代表を見つけたやつは上空に魔法を放って知らせる。

 そこに俺達は集中攻撃を仕掛けて一気に叩く。

 まぁ、力押しだが、Dにはコレで十分だ。

 だが、万が一に奇襲等を仕掛けられる、いや、むしろされないことがおかしいと俺は考えている。

 力の弱いDには俺達に奇襲で混乱してるときに叩くしかない。

 まぁ、それはそれで魔力の感知に長けたヤツをちゃんと各チームに一人以上用意してるから大丈夫だ。


 「とにかく、だ。こんな茶番はさっさと終わらせよう。」


 「そして、やつ等には俺たちとの格の違いを見せてやりましょう。」


 そう、Sはただ、代表を潰すだけではない。

 二度と俺達にたてつかないように徹底的に潰す。

 目指すは圧倒的な勝利。ただ、それのみだ。



―――side空志

 「まぁ、向こうはボク等が奇襲をしようとしてると考えてるね。実際それが一番有効だし。」


 「なら、奇襲はしないのか?」


 「・・・いや、それは無理だろ?」


 「なら、奇襲で、奇策を使う!」


 「・・・・・・それ、どんなだよ?」


 「さぁ?」


 「アバウトな意見をありがとう。」


 ここは作戦本部。

 というかDの教室。

 50人ほどの生徒があーでもない、こーでもないと作戦を練ってる。


 「まぁ、準備は既に最終段階。でも、Sはやっぱ強い。」


 「確かに・・・俺達の小細工が通用しねぇかもな。」


 「・・・でも、ここまでがんばったんだよ?」


 「今更あきらめるなんてイヤよ!?」


 「アホか?ここまで来て負けるとかないから。」


 「・・・何か情報は?」


 「あぁ。ここに美未ちゃんがいたらね~。」


 「・・・・・・アタシはそれだけでこの戦いが終結しちゃいそうな気がするよ?」


 「うん。ボクもそう思う。」


 「?・・・誰だ?その美未って?そんなに強いのか?」


 「「「ある意味ではね。」」」


 「・・・お前が言うんだから相当だな。」


 うん。情報を剣に、あるいは盾にして敵をやっつけるからね。

 むしろ、ここに今いれば彼女だけで戦争は勝てると思う。

 で、ボクのケータイが震える。

 ・・・・・・こんなときに誰だ?

 そして、ボクはディスプレイを見てみる。


 『美未ちゃんだよ~☆』


 「・・・。」


 ・・・おかしい。宇佐野さんはボクのケータイ番号を知らないはず。ましてやボクも宇佐野さんのケータイを登録した覚えはない。

 なのに何でこんなモノが表示されるの?


 「あれ?ソラ君ケータイに出なくて言いの?」


 「うん。大丈夫。」


 「でも、美未からだったら向こうであることないこと噂を流して大変なことに・・・。」


 ボクはすぐさま通話ボタンを押した。


 『やっほ~!みんなのトモダチ美未ちゃんだよ~。このまま電話に出てくれなかったら三谷っちとリカちんが付き合って・・・ふふっふ~な噂を流すところだったよ~☆』


 セーフッ!!!

 マジでやばかった!?

 まぁ、あえて『ふふっふ~』の内容は聞かないけどね!


 「・・・で、何で知ってるの?」


 『ワタシに知らない情報はない!!』


 何この情報魔!?

 断言しちゃったよ!?


 「・・・まぁ、いい。いや、よくないけど。なんか用?」


 『三谷っちの留学先で楽しいことしてるって聞いたからその情報を。』


 「なるほど。売れと?」


 『いえ~す。』


 「・・・まぁ、それぐらいならいいけど。」


 ボクはこうなったいきさつを話す。

 まぁ、ところどころカットしたけど。でも、そのカットが宇佐野さん相手に通用するのかすごく怪しい。


 『なるほど・・・うぃ~、じゃ、ありがとね!』


 「いえいえ。」


 ボクはケータイから耳を離すと電源ボタンを押して通話を終了しようとする。


 『すとーっぷ!』


 「ん?何?」


 『お礼に情報をあげるよ~。』


 「いや、別に欲しい情報とか・・・。」


 『・・・・・・そう?じゃ、貸しってコトでいいや~☆』


 「・・・ホント?」


 『マジマジ~。いいよ~。おね~さんが何でも一つだけ聞くよ~・・・情報ならだけどね~。』


 まぁ、いいか。後々役に立つかもしれない。

 そして、ボクは電話を切る。


 「・・・・・・ねぇ、兵法の基本は情報だよね?」


 ボクはなんとなくさっきの会話で気になったことを言う。


 「ん?急にどうした?」


 「いや、一人さSに詳しくてかつ、ボク等の味方になってくれそうな人がいるんだよね。」


 「・・・・・・奇遇だな。俺にも一人いる。」


 ボクとカザハは立ち上がる。


 「あれ?代表に三谷?どこに行くんだ?」


 「「ちょっと世間話に。」」


 ボクとカザハは教室を出て行く。






 「で、俺のところに来たと?」


 「うん。」


 「と、言うわけでSが打つだろう手を全て考えて教えてくれ。」


 「・・・コレはルール違反じゃないのか?」


 「いやいや、ちゃんとルールどおりだよ。準備期間は魔法訓練しかしちゃいけないなんて書いてないだろ?」


 「・・・お前、まさか最初からそれを?」


 「まぁ、俺達は既に魔法だがそれとは違うものもやってる。」


 「は?」


 「とにかく、さっさと言う!」


 「・・・別にいいけどな。まぁヤツ・・・ジグがとりそうな行動とかは・・・・・・。」


 ボク等はそれを聞く。

 まぁ、いくつかはこっちが思ったとおりのことも含まれてた。


 「おし!まぁ、こんなもんでしょ。」


 「さすがだな。」


 「まぁ、コレでも元Sだからな。」


 そういうとボクはロイの肩をバシンと叩く。


 「まぁ、コレでボク等が勝ったらなんかおごるよ。」


 「ホントか?なら、ぜひとも勝ってくれ。」


 「もちろんだ。」


 ボク等はまた、二、三言葉を交わすとロイと分かれた。


 「じゃ、準備は万端か?」


 「うん。後は・・・今から作戦開始だ。」


 ついにボク等の戦争が始まった。



―――sideジグ

 「おい!?聞いたか?」


 「?・・・何がだ?」


 そこにSの生徒が来る。

 名前は・・・忘れた。


 「俺さ、元S代表とDの代表達が密会してるのを見たんだ!」


 「・・・で?」


 「あぁ、まぁ、そのときは俺達が取りうる行動を考えていってたんだが全部はずれだ。」


 「なるほど。じゃぁ、あいつらは作戦ミスで負けか。」


 まぁ、裏でロイとあいつらがつながってたのは最近知った。だが、元Sに興味はない。あんな落ちこぼれはむしろ俺達の恥だ。


 「で、そのときに聞いたんだが、あいつらは俺たちの裏をかいて坂崎を戦闘に一気に戦争を終了させるらしい。」


 「なんだと!?それは本当か!?」


 「あぁ、俺が聞いた!間違いねぇ!!」


 それはいい。

 なら、こちらは・・・。


 「こっちが奇襲すればいい、か。」


 「そういうことですね。さすが代表!」


 ふん。

 当たり前だ。俺がDの雑魚なんかに負けるわけが無い。


 「Sの全員に作戦変更を伝えろ。奇襲で一網打尽にする。」


 「へい!」


 そういうとそいつはすぐに全員に連絡を取るためか教室を飛び出していった。

 っふ。コレであの俺に生意気を言ったDの代表に目にモノを見せてやれる。

 俺は明後日に迫った戦争。

 既に俺の脳内ではDをボコボコにして完封勝利をしている俺の未来予想図・・・いや、未来が描かれていた。


―――sideサリナ

 「・・・ついに明後日ね。」


 「はい。」


 ここは学園長室。

 いつものように私とカルの二人がこの部屋にいた。


 「・・・・・・どっちが勝つと思う?」


 「Sに決まってます。・・・・・・と言いたい所ですがね。」


 「そう?あの子は不参加よ?」


 「それでもです。」


 確かに、それは私も思う。

 あの、三谷君のことだ。何かすごいことをたくらんでるに違いない。


 「いや、劣等感の塊のDをSと戦わせようとしてる時点でそうか。」


 「ですね。Sもよくわかってないですしね。一年はとりあえず・・・・・魔法力の順で入れてるだけなんですからね。」


 「ええ。だから、コレは私にとってもいい案であるとは思った。というか、三谷君はそれをちゃんと見破ってたようだけどね。」


 こんな風にあからさまにランクを気にしてるのは一年だけだということに。


 「それに、コレは目玉になりうるわ。デメリットは経費が掛かること。でも、生徒をそれだけ入れれば問題はない。」


 「まぁ、今回はデモンストレーションです。後で変更を加えればいい。」


 でも、そうは言うけど私もそれなりに楽しみなのよね。

 SやDと言っているが、一年はそれで通じる。

 当たり前だ。魔法は高校に入らないと実戦での使用はできない。

 経験の浅い子達は力押しで勝てる。それだけだ。

 まぁ、例外で三谷君や坂崎さんのような子もいるけど。


 「さて、悪名高い『闇夜の奇術師団』はどうするのかな?」


 私は一人学園長室で微笑んでいた。



―――side風葉

 「よし!ついにこの日が来た!」


 ここは競技場。

 ここにはSとDの生徒がいた。

 両者共にピリピリした雰囲気を出している。

 だが、Sにはめんどくさそうにしてるヤツもいる。


 『レディース、エーン・・・ジェントルメ~ン!!さて、ここに第一回ランク対抗戦争が始まります!!あ、ちなみに解説はこのボク、ランクDの三谷空志です。魔法を解析できるって理由で学園長に無理矢理にさせられました。』


 『実況はアタシ!ソラの彼女のアンジェリカ・シェルスです!!』


 『いや、違うから。』


 『まぁ、この夫婦漫才は放っておこう。つか、普通は司会が先だよな?司会のレイ・アストリウムだ。』


 「「「お前かよ!?」」」


 俺達は全力で司会席に座るソラに突っ込んだ。


 『まぁ、今日はなんかメディアの人も来るらしいよ~。』


 『・・・三谷。お前のクラスの突っ込みは無視か?』


 『いやいや、レイ先生、司会してくださいよ。』


 『・・・・・・お前のほうが司会っぽいのは気のせいか?』


 『う~。じゃ、説明しちゃうよ?いい?』


 『あ、じゃリカよろしく~。』


 『お~い。俺は?』


 『まっ、説明すると魔法で戦争しようZE!みたいな?』


 『うん。おおむね合ってるけどよくわからないよね?』


 ・・・・・・こいつら司会する気あるのか?

 まぁ、いい。

 俺達は学校が支給してくれた服に腕輪。そして、武器を持って競技場の端に立っている。


 「・・・そういや、代表?」


 「ん?てか、俺のことはカザハでいいっていつも言ってるだろ?副代表?」


 「・・・杏奈あんな。わかったわ、カザハ。」


 よし。

 こいつはDの副代表。七瀬杏奈ななせあんな


 「で、何だ?」


 「え~っと・・・こんな狭いところでやるのかな~って。」


 「・・・あ~。」


 確かにここは1対1を目的に作られているところ。

 二クラスも入ればこの大人数では戦えない。


 『いい質問だね。そこは俺が説明しよう。』


 『あ、空気のレイ先生が復活した。』


 『・・・・・・まぁ、説明するよりやったほうが早い。学園長?お願いできます?』


 『準備はいいわ。・・・・・・起動。』


 そういうと俺達が光に包まれる。

 あまりのまぶしさに俺達は目を腕で覆い。光が収まるのを待つ。

 そして、光が収まると目の前には木、木、木。

 どうやら森に転移されたようだ。


 『は~い。ここで戦ってもらいます。』


 声のしたほうを向くと、そこにはパソコンウィンドウのような画面が宙に浮いている。

 よくあるスポーツなんかの観戦に使われる魔法だ。

 そこには実況席が映し出されていた。


 『まぁ、こっちでも戦争を映し出してるから。がんばってね~。』


 『ちなみにここもソラが学園長を脅して土地を購入させたらしいよ。』


 ・・・何してんだお前?


 『失礼な!?ボクは宇佐野さんに頼んで弱味を握っただけだよ。』


 いや、世間一般ではそれを脅迫というんだ。


 『まぁ、今から始まるわけだけど諸注意だよ。』


 そういうと別のウィンドウが現れ、そこには文字が並ぶ。


 『ここにも書いてある通り反則行為を見つけ次第、その選手は失格。気絶した生徒に追撃加えるのもダメ。それと、フェアにいくために戦争が始まったら声は届かないから。これは下手な発言で相手に情報が漏れないようにする配慮だからね。そこんとこよろしく。』


 そういうと文字のウィンドウが消え、今度は『3』と書かれたウィンドウと戦況と書かれたウィンドウが展開。


 『じゃ、Sの指揮官はS副代表のグラン・スリザン君。』


 そういうとグランと呼ばれている生徒の写真が腕輪に展開。

 なるほど。コレで確認できるのか。


 『Dの指揮官は代表の風葉・シルファリオン君。』


 Sのほうにも俺の顔写真が展開されているんだろう。


 『じゃ、両者がんばってください。合図をお願いします。』


 『わかったわ。じゃ、カウント・・・開始!!』


 すると、声が聞こえなくなる。

 かわりに、カウントの数字が変わる。


 「よし、全員勝つぞ!!」


 「「「お~!!!」」」


 カウントがゼロになる。

 俺達は早速作戦に移った。



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