表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
4章 ≪魔法学園奮闘記!≫
66/170

6話・START OF RIOT

―――sideロイ

 今日は何かの話が学園長からあるらしく、全校生徒が体育館に集められた。

 なんなんだろうな。

 だが、何故か俺達の学年のDから殺気をそこはかとなく感じる。

 ・・・まさかあいつ絡みじゃねぇよな?

 俺は体育館に設置されたパイプ椅子に座りながら考える。


 「あ~・・・オホン。学園長のサリナよ。今日は新しいシステムの説明をするわ。」


 新しいシステム?

 その言葉に全校生徒が少しだけ騒がしくなる。

 だが、学園長はそれを無視して話し続ける。


 「今回は決闘のシステムのクラス版。『戦争』の説明よ。」


 戦争?

 クラス?

 ・・・何だか嫌な予感しかしない。


 「簡単に言うと、クラス対クラスで戦ってもらうわ。むしろそれだけよ。詳しい説明は今から配る紙に書いてあるわ。」


 そういうと目の前に突然、紙が現れる。

 そこには細かいルールが書かれていた。


 「じゃ、何か質問はある?」


 「ここにある特典ってなんですか?」


 あ、俺も聞こうと思ってた。

 勝ったほうには特典とかあるのに内容が書いてないんだもんな。


 「あ?それ?簡単よ。」


 そういうと何故か学園長はためる。






 「負けたほうは勝ったほうにクラス全員分の高級料理をおごるのよ。」






 「「「乗った!!」」」


 マジかよ!?

 こんなの高ランクのクラスが一斉にDを狙うぞ!?

 こんなのおいし過ぎるぞ!?

 そんなときだった。一人の人間が立ち上がった。

 全校生徒が一気に静まり返る。


 「?・・・質問かしら?」


 「いえ、少し違います。俺はランクD代表、風葉カザハ・シルファリオンです。」


 カザハ?

 どうしたんだ?


 「・・・何かしら?」


 そういう学園長を無視して、カザハは自分のところからSのほうへ行く。それもSの代表のところへだ。

 ・・・まさか!?

 俺はソラのヤツを探す。

 すると、そこにはにやけた笑みを浮かべるヤツがいた。

 ・・・こいつだ。確実にこいつが仕組んだ。


 「ランクS代表に話がある。」


 「・・・Dがなんのようだ?」


 展開が読めるだけにはらはらする。

 ・・・暴力沙汰になるなと俺は祈る。


 「俺たちDはアンタ等Sに戦争を申し込む!!」


 「・・・やっちまったな。」


 俺は天を仰いだ。



―――side風葉

 「俺たちDはアンタ等Sに戦争を申し込む!!」


 言ったはいい。

 だが、俺の内心はヤバい。

 足が震えそうだ。

 つか、睨んでる!?

 怖ぇ!!??

 コレはマジヤバい!!


 「Dごときが俺達に戦争だと?笑わせる。」


 ヤツの言葉にくすくす笑う声が追従する。

 あぁ、昔の俺もそう思っただろうさ。


 「・・・答えを聞いている。」


 「・・・お前、少し調子に乗ってるのか?」


 そういうと相手はさっきまでの小バカにした笑みを引っ込めて立ち上がる。

 ・・・死ぬ!?俺死ぬ!?

 ソラはできるだけ高圧的な態度で言えって言ったが俺は大丈夫なのか!?


 「・・・。」


 「・・・ならいい。答えてやる。お前等みたいな雑魚に構ってる暇はない。消えろ。」


 そういうと相手はさっさと座ってしまった。

 俺は帰ろうとすると、そこでおかしなことが発生した。


 「逃げるのか?エラソーなそぶりして俺達に負けるのが怖いのか?」


 「あぁ!?んだと貴様!?」


 俺の声だ。

 だが、俺は何も言ってないぞ!?

 俺がテンパってると向こうは魔法をつむぐ。

 って、ありえねぇ!?


 「ちょ!?それは!!」


 「消えろ!!」


 至近距離で魔法が放たれる。

 俺は思わず目をつぶって身を硬くする。

 つか、死を覚悟した。


 「≪相殺アンチ≫!!」


 いつまで経っても魔法の衝撃が来ない。

 俺は恐る恐る目を開けると、目の前には驚きの表情のS代表。

 ・・・何が起きた?


 「こんなところで魔法は危ないよ。」


 「わたしに掛かれば魔法はだいじょぶだよ~。」


 「・・・見苦しい。」


 俺が声のした方向を向くと、そこには体育館の舞台に腰掛けたあの三人がいた。


 「・・・坂崎さん。アンタは元はSだろ?何でこんな低俗なやつらのところに行ったんです?」


 「え~っと・・・だって、Sは息が詰まるんだもん。」


 「・・・・アンタもだ。三谷。あれほどの実力がありながら何故Sに来なかった?」


 「いや、ボクは魔法工学以外はカスの人間だし。それに、自分からランクAの皮被ったザクって呼ばれたところ行くのイヤだし。」


 「・・・何でザク?雑魚の間違いじゃなかったの?」


 「まぁとにかく、ボクが聞きたいのは一つ。・・・ランクSエリートの皆さんはDに勝てる自信が無いから逃げるの?」


 「はぁ?・・・お前も少し強いからって調子に乗るな!!」


 そういうとヤツは無詠唱で魔法を放つ。

 いくらなんでもこんな至近距離では無理だ!!


 「あ~ソラ君。間に合わないから適当に何とかしてね~。」


 「ん。」


 そういうとソラの目がいきなり変わった。

 青味がかった銀と、とても深い黒のような蒼。

 そして、銃を引き抜いて早打ちした。

 すると、魔法がロイや『消滅の賢者クリア・セイジ』の真言を消したときのように消えた。


 「な!?何だその目は!?」


 「あれ?何で目のこと知ってんの?」


 「・・・ソラ。≪月詠ツクヨミ≫してる。」


 「いや、カラコン・・・・・・するの忘れた!?」


 「・・・バカだ。」


 よくわからんが俺は思ったままを口にする。

 それが聞こえたわけではないだろうがソラは咳払いをすると話す。


 「で、勝てないから逃げるの?」


 「・・・そんなに負けたいのならいいだろう。その戦争うけてやる!!」


 そう言い放つ。


 「それにDなんか三谷や坂崎以外はただの雑魚だ!」


 「あ、ボクでないよ。」


 「「・・・は?」」


 俺とSの代表の声が重なる。

 って、おい!?


 「俺はそんなこと聞いてねぇぞ!?」


 「いや、ボクさ。ボードの免許を取って来いって命令を龍造さんから受けちゃって出れないんだよね。」


 そうやってハッハッハと笑うソラ。


 「おい!?こっちの戦力はお前に掛かってるんだぞ!?」


 「いやいや。スズが出るから大丈夫じゃない?」


 「ほぇ?」


 ・・・すまん。俺には大丈夫に見えない。


 「ボクは裏方がんばるから!!」


 ぐっと親指を立てて言う。

 ・・・。

 そこで、俺とDの全員は立ち上がる。


 「・・・・・・じゃ、ボクは講習あるから。」


 「「「その前に地獄に逝ってこい!!!!!」」」


 「ぎゃぁぁぁぁああああああ!!??」


 俺達がソラに魔法を放ったのは決して間違いじゃない。

 そして、体育館での集会は解散となった。



―――side空志

 「・・・・・死ぬかと思った。」


 「むしろ生きてたのか?」


 「「「ッチ!!」」」


 「イジメだ!!クラスでイジメが!!」


 「で、何でこうなった?」


 ここはボク等のクラス。

 席をどけて、床に車座になって座り、みんなで話し合っている。


 「まぁ、正直言うとアレは方便。ボクが出たら真言となえたらそれで終了させる自信がある。」


 「だったら!!何で出ない!」


 「意味が無いんだよ。それじゃ。」


 ボクはこの学校では唯一真言が使える人間らしい。

 簡単に言うと、とにかくここのレベルだと外道なまでに強い。


 「だからダメなんだ。Dはボクがいたから・・・・・・・勝てたんだって認識される。」


 「「「・・・。」」」


 みんな、わかったようだ。

 そう。ボクが出た時点でDのみんなで勝ってもボクがいたからって認識されるだろう。


 「それだとSに目に物見せてやれない。」


 つまりはそういうこと。

 ボク等は勝つことが目的なんじゃない。

 この戦争に勝つのはあくまで結果であって、目的じゃない。


 「・・・でも、どうするの?わたし達じゃ・・・。」


 「いや、勝てる。」


 「・・・その自信はどこから来る?」


 「いや、ボクはさ。一時期Aにいたからわかったんだけどさ。Aは本当に魔法しか秀でてないんだよ。」


 「・・・それがどうした?普通じゃねぇか。」


 「うん。ここにとってはそうなんだろうね。でも、付け入る隙があるとすればそこだ。」


 「「「・・・?」」」


 まぁ、おいおい説明していくか。

 ボクはいろいろと説明を始めた。



―――sideランクS

 「おい。ヤツは本当に出ないらしいぞ?」


 「・・・本当だったのか・・・。」


 「あぁ、魔法の練習や作戦会議に出る程度らしい。」


 「なら、注意すべきは坂崎か?」


 「でしょうね。」


 「でも、坂崎さんが言ってたけど、坂崎さんの魔法はものすごく燃費が悪いんですって。」


 ランクSの教室ではいろいろな情報が飛び交っている。

 内容は空志と鈴音のことについてだ。

 リカは最初から数には入っていない。


 「なら、余裕だ。向こうの指揮官はカザハとか言うDの代表らしい。」


 指揮官は事前に申請し、両方のクラスにそれが誰なのか伝えられる。


 「Dで一番強かろうが私達の敵ではない。」


 「まぁ、戦争は今週の金曜か?とにかく、後二、三日でDが俺たちSに勝つのはありえない。」


 そう、魔法ならDの魔法力は平均2000ほど。それに対してS9000~10000。

 ということは、希少属性であればあるほど魔力は多くなる。

 『月』は唯一の例外。むしろ外部魔力マナを操作できるということで魔力は限りなく無限に近い。その代わり使いすぎると倒れてしまうが。

 要するに、Sに所属する人間はかなり強力な属性持ちが多い。

 ごく普通の属性しか持たないDは彼らからしてみれば本当にただの雑魚でしかない。

 彼らは今後の内容を決めると、早々に散ってしまった。



―――side空志

 「オイ。お前も何考えてるんだ?」


 現在は昼休み。

 ボク等はいつものメンバーで昼食中だ。


 「ん?・・・ただの下克上だけど?」


 「・・・・・・聞いた俺がバカだった。」


 「まぁまぁ~そんなことよりご飯食べよ~。」


 「・・・・・・ソラ。血。」


 ボクはリカの手を引っつかむとみんなの死角になりそうな茂みに突撃する。

 そして、リカには小声でお説教。


 「リカ!みんなの前で血とか言っちゃダメ!!」


 「でも~お腹すいた~。」


 まぁ、確かにこのごろはリカに吸血させてないしね・・・。

 しょうがないかな?


 「わかったよ。・・・手早く済ませて。」


 「やった~!ソラ~愛してるよ~。」


 そういうとリカはボクに抱きつくと首筋に噛み付く。

 痛みは特にない。

 ただ、血が吸われてるな~って感じがするだけ。

 でも、リュウのメールにはリカの吸血は相当痛いのか?

 とか来てたけど・・・・・・何でだろう?


 「ソラ君~?」


 「あ、ごめん。リカがお腹減ったって言ってさ。ただ今吸血中。」


 「やっぱりか~。ロイ君とカザハ君には適当に言っておいたよ~。」


 お?スズにしてはなんか気が利いてる。

 いつもは天然を発揮して何かすばらしいことをやるのに。


 「リカちゃんがソラ君とちゅーしたくなったからって言っといたよ~。」


 「ゴメン。どこが適当なのか、そして、ごまかせてない気がするのは気のせい?」


 「え?でも、昼間から大胆だなって二人とも言ってたよ~。」


 「確実に誤解だ!!いや、ある意味間違ってないかも知れないけどね!?」


 まぁ、見ようによってはリカがボクの首筋にキスしてるように見えるだろう。

 ・・・・・・今は、さっさと終わらせて向こうに戻らないと。

 ボクはリカに適当に切り上げようと言おうとしたときだった。


 「おい。ソラとアンジェリカさんはいつ戻って来るんだ?」


 「そんなに熱いキスでもしてんのか?」


 冗談交じりに二人がこっちに来てしまった。


 「「「・・・。」」」


 「・・・邪魔して悪かったな。」


 「スマン。まさか本当だとは思わんかった。」


 そういうと二人は来た道を戻る。


 「違う!!いや、違わないかもしれないけど誤解だ!!!」


 「ぷは~、ご馳走様~・・・って、ソラ?どうしたの?」


 血を一生懸命吸ってた吸血鬼の少女はまったく気づいてなかった。






 「ねぇねぇ!!ソラ!!アタシ達恋人みたいだってさ!!」


 「・・・どこに喜ぶ要素が?てか、誰だ!!こんな噂を流したやつは!!」


 「まぁ~間学園でも似たようなの流れてたから特に問題はないよ~。」


 「そうだぞ。ちなみにアレは俺がぽろっと漏らした。」


 「カザハ!!殺す!!≪紫電シデン≫!!」


 カザハはそれを読んでいたのかひょいと避ける。

 ・・・無駄に勘のいいやつめ。


 「で、本当にいいのか?」


 「もちろん。それに、ボクの力は一通り説明したでしょ?ボクだからこそ大丈夫なんだよ。」


 ここは競技場。

 魔法の練習のために許可を貰って午後の時間を丸々貸してもらった。

 そして、ボクの目の前にはDの方々。

 全員、アリアさんさくの魔法抵抗がついてる服を着ている。

 まぁ、ボクも着てるけど。

 まぁ、今からやろうとしてることは簡単。ボクがみんなの魔法の実験台、および魔法の観察をしてアドバイス。それだけ。

 コアを視て魔法を破壊できるボクだからこそできる荒技。裏技とも言う。

 まぁ、ボクもちょこっと気になることもあるし。


 「わかった。じゃぁ、まずは俺だ。・・・行くぞ!!」


 「いいよ。」


 ボクは魔法陣を。

 そして、カザハは詠唱を始めてボク等はSに勝つために魔法の練習を始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ