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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
4章 ≪魔法学園奮闘記!≫
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4話・A SERIOUS INFERIORITY

―――sideロイ

 俺はこんな魔法力の低い相手だが坂崎さんにいいトコを魅せるためにかなり上位の魔法を使った。

 コレは俺が独自に考え出した金属と大地の魔法。

 相手をいくつもの大きな土の手で捕まえ、さらに他のバカみたいにデカい剣でトドメをさす、という魔法だ。コレを食らったやつは確実に負ける。

 というか、この魔法を出して俺は負けたことが無い。

 だから、俺は目の前の光景がありえないと思った。

 あの、リカと呼ばれていた白髪の少女がソラに何か言っただけでヤツが言った。


 「・・・ゴメン。ボクさ、さっきので負けられなくなっちゃった」


 何を言ってるんだ?

 今のこの状況をこいつはわかっているのか?


 「この状況でどう勝つつもりだ?」


 「いや、簡単だよ。・・・全力で勝つ。≪月詠ツクヨミ≫!!」


 そういった瞬間、ヤツの雰囲気が一瞬で変わった。

 別に何も変わった様子はない。

 だが、何かが変わったのが感覚的にわかる。


 「魔法陣展開・・・≪千刃嵐センジンラン≫!!」


 三谷は突然何の詠唱もなしに魔法を発動させた。

 それは風の刃の嵐で全ての土の手を切り裂いた。

 どう控えめに見ても中級の上位魔法。それを無詠唱で発動できるなんて俺達のような学生ではありえない。


 「な!?無詠唱であれほどの魔法を!?」


 「ん~・・・事後承諾だけどいいよね」


 ヤツは俺を無視してケータイを取り出す。

 そして、どこかに電話する。二言三言話すとケータイを閉じ、またこちらを見る。


 「ゴメン。待たせたね。じゃぁ、ここからは・・・」


 ヤツの後ろに黄色と赤色の魔法陣が大量に展開される。


 「ボクの全力で君を倒す」


 「な、何でお前がそんな魔法を!?」


 「う~ん・・・ボクの属性のせいかな?」


 「『天空』にそんな特殊性質があるなんて聞いたことが無い!!」


 「残念。ボクは『天空』だけじゃないんだ。君と同じように多重属性デュアル持ち。まぁ、こういう属性だよ。・・・≪焔鳥ホムラドリ≫!≪雷燕ライエン≫!」


 そういうと魔法陣から火や雷があふれ、そこから火と雷の鳥が出現する。


 「まぁ、かる~く行け!」


 そういうと周りの鳥達が俺に殺到する。


 「くっ!?

 ―――大地よ我を守れ!

    ≪大地の盾ガイア・シールド≫!!」


 「無駄だよ」


 ヤツの言葉を聞いたかのように魔法の鳥が壁を回避して左右から挟み撃ちにする。


 「バカな!?こんな高等魔法を!?」


 俺はとっさにバックステップで後ろに思い切りジャンプ。

 すると、一瞬の後にそこに魔法の鳥が攻撃してくる。

 だが、何羽かはこっちに向かってくる。



 「何だその魔法は!?

 ―――大地の力もって彼の者を貫け!!

    ≪大地の槍アース・スピア≫!!」


 そういうと地面から無数の槍が勢いよく出てくる。

 その槍で敵の魔法を串刺しにしてついに攻撃が止まる。


 「っはぁ・・・何だその魔法?数法術式か?」


 「いや、違う違う。それは冬香の専売特許だから。・・・あ~そういえば前に古代魔法がどうのこうの言われた気がする」


 「・・・ッチ。今度はこっちから行く!!」


 「まぁ、ボクも全力でやるって言ったからね。残念だけどこの魔法でケリをつける」


 そういうと三谷は手を前にかざすと、目を閉じて集中する。

 バカめ!!

 精神集中のためとはいえそんなことをすれば一瞬で敵にやられる!

 このようにな!!


 「―――金の力を今ここに!!

     汝、鋼鉄の弾丸によって撃ち抜かれん!!

     ≪鉄の弾丸アイアン・ショット≫!!」


 先ほどの土の手に握られた剣がぐにゃりと歪み、俺の前に鉄の弾丸となって出現する。


 「撃て!!」


 そういうと弾丸は高速で三谷に飛んでいく。

 あいつは今、魔法の構築で無防備だ。

 だが、そんな希望もあっさりと打ち砕かれた。

 獣の咆哮によって。


 ちゅん!どぉぉぉぉおおおおおおん!!!


 一体の翼の生えた白いライオンの放った光線によって俺の魔法がなぎ払われた。


 「ま、魔獣だと!?」


 「いやいや、ボクの相棒パートナーだよ。名前はレオ」


 「がう」


 「ま、ありがとうね~。というわけでボクのガードをお願い。今から詠唱に入る」


 「ぐるるるるる・・・」


 その言葉通り、ライオンの魔獣は三谷の前に立って俺を威嚇する。


 「いや、魔獣じゃないよ?龍造さん曰く幻獣?とか言うのらしいよ」


 「いや、そっちのほうがありえないからな」


 ヤツが放とうとしているのはおそらくかなりの上級魔法なんだろう。だからさっきと違って詠唱を必要としている。


 「なら、こっちも最強の魔法で迎え撃つのみ!!

 ―――今ここに大地の力を!!

    金の力よ、今ここに顕現せよ!!

    二つの力、一つとなりて彼の者を滅せ。

    ≪大地より出し百の鉄手ガイア・ハンドレッド・メタルアーム≫!!」


 コレが俺の最強魔法だ!

 この魔法は金属の腕を精製し、地面のいたるところから出す。

 そして、コレの大きな特徴は自分で魔法を操作できること。

 普通はそんな複雑なものは数法術式でも使わない限り無理だが、俺はごく普通の詠唱でそれを可能にした。だが、数法術式はいちいちコードの組み換え等が必要だが、コレは自分の腕を操るがごとく操作が可能だ。


 「―――其は魔に属す法則!!

     それは黒の夜のごとき魔法。

     それは太陽の光のように全てをてらせない。

     しかし、それは夜を照らす一筋の光!!

     ≪月夜ツキヨ≫!」


 向こうも魔法が完成したようだ。

 だが、出てきたのは一振りの刀だけだった。


 「バージョン刀、銘は月閃ゲッセン


 「・・・ハッ!最強というわりにはただの武具召喚じゃないか!」


 「・・・説明は君の体に直接叩き込んで教える。そっちからどうぞ。その魔法はどうも君が操作するらしいし」


 「!?」


 何でそれを!?

 こいつは初見で見破ったのか?

 ありえない。そんなことはプロの魔導師でもできない。

 ヤバい。

 俺の本能がそう告げる。


 「ッ!?・・・やれ!!」


 そういうと鋼鉄の腕が三谷に殴りかかる。

 そこにライオンがさっきの光線を吐く。

 それで腕が一本だけ消し飛ぶ。


 「な!?」


 「レオ。いいよ。疲れたでしょ?後ろに下がって」


 「がう」


 そういうとレオと呼ばれた魔獣は後ろに下がる。


 「お前はバカか?そいつに任せときゃ勝てただろうが」


 「いや、ボクとこのお姫様の命令でさ。まぁ、ホントならここまでの魔法はめったに使わないんだよ。ストックがもったいないし」


 「はぁ?」


 「いや、まぁ、こっちの話。そっちが来ないならこっちから行くよ」


 そういうと三谷はまたも超加速で俺に近づく、俺は腕を操作して三谷に殴りかかる。

 だが、三谷はそれを刀で切り裂いた。

 どう見ても刀身が・・・一メートルほどの・・・・・・・・直径5メートルは・・・・・・・・ある腕・・・をだ。

 それだけでもありえないのに、魔法はそのまま霧散して消えてしまった。


 「な!?」


 「・・・・・・なかなかにメンドイ魔法だね。それぞれにコアがある・・・まぁ、君のトコの核を潰せばいいんだろうけどね。」


 何を言ってる!?

 何をした!?

 ワケがわからない。

 そして、動揺したのか俺は三谷の接近を許してしまった。


 「!?

 ―――大地よ、我を守れ!!

    ≪大地の盾ガイア・シールド≫!!」


 地面から土が隆起し、壁を形成。

 だが、三谷はそれをも切り裂くと、そのまま俺に向かって剣をふった。


 「たかが魔法力が高いってだけで調子に乗るな!!」


 「ガァッ!?」


 何だ!?この痛みは!?

 斬られた痛みじゃない!?

 体の内側を削られるような痛みが発生する。

 そして、俺は意識を手放した。



―――side空志

 ボクは気絶したのを確認すると、刀を消した。

 ・・・少し大人気なかったかな?

 まぁ、いいでしょ。・・・・・・たぶん。


 「で、ボクの勝ちでいいですか~って、センセー?どこですか?」


 「ここだ~」


 声が遠くから聞こえてくる。

 ボクが聞こえたほうを向くと、そこには柱の陰に隠れたレイ先生。


 「いや、そんなところじゃ審判のい「ソラ~!」ぐふぁ!?」


 今回は横じゃなくて上から降ってきた。

 ・・・観客席から直で飛び降りたな。

 ボクはリカに抱きつかれたまま立ち上がる。


 「・・・こんな大勢の前で何してんの?」


 「ソラの勝利を祝福する抱擁ハグ~」


 「だ~か~ら~!!それは自分の好きな人にしなさい!!」


 「ま~ま~。やっぱりソラ君一方的だったね~。でも、真言まで使ってよかったの?」


 「・・・いいんじゃない?」


 「ソラをバカにしたからだよ~。べ~!」


 ・・・容赦ないね。

 そこで、ボクはギャラリーが騒がしいことに気づく。

 ・・・ところどころ不正だ!とかズルした!とか聞こえてくるんですけど?


 「あ~・・・先生?なんかこの試合に不満を持ってる方々が多いようですが?」


 「・・・三谷君。君は自分が何をしたのかわかってるのかい?」


 「ロイ何とかって言う人を全力でボコボコにしました」


 「・・・ハッ!?そういえばその人はランクSの主席の人だよ~。」


 ・・・え?


 「じゃぁ、この人がこの学年で一番強いの?ソラに負けたけど」


 「らしいね~」


 「・・・ボク最強?」


 「そういうことだね」


 「先生!」


 そこに見知らぬ女子生徒らしき人が現れる。

 ・・・ボクは見覚えが無いな。


 「コレは絶対に何か不正があったんです!!無効試合です!!」


 そういうと場外からもそうだそうだ~!!とか野次が飛んでくる。

 ・・・まぁ、ボクが使ったのはマイナーのマイナーだし知らない人が多いからしょうがないのかな?


 「・・・ソラ、この人ぶちのめしていい?」


 「いや、ダメ。絶対。この人が死ぬ」


 「あ~この人もランクSだよ~。わたし見覚えがそこはかとなくあるよ~」


 「・・・でも、ランクSでも下っ端だね。属性はただの『水』だし。少し魔力が多いだけ」


 「な!?先生!!絶対におかしいです!!この人は初対面のわたしの属性を知ってます!絶対にあらかじめロイのことを調べてたんですよ!」


 今度は卑怯者~とか聞こえる。

 ・・・よく考えると確かに卑怯かもしれない。


 「でも、そういう個人情報はちゃんと秘匿している。・・・三谷君、君は本当に何者だい?」


 「ただの魔法使いです」


 「違うよ~チートだよ~」


 「ソラはアタシの・・・・・・てへ☆」


 リカはとりあえず無視しておこう。

 トリップするのはよくあることだ。


 「坂崎さん!!あなたランクSの癖にAの肩を持つの!?」


 「え~だって、ソラ君がわたしより強いのは事実だよ~?」


 「あぁ~!!先生!!わたしもこの三谷という生徒と決闘します!!」


 今度はやれやれ~とか言ってる。

 ・・・いい加減にうっとうしくなってきた。


 「ソラ、こういうのってイライラする」


 「わたしもキライ~」


 「奇遇だね。じゃぁ、次に考えてることも一緒かな?」


 「「たぶんね」」


 「おっけ。先生。こう言ってください。『文句のあるヤツはボクが全員責任を持って全力でぶちのめす』って」


 ボクはわざと大きな声で聞こえよがしに言う。

 いい加減、口だけのヤツはうっとうしいと思ってたところだし。

 そして、案の定その言葉に激昂した血の気の多い生徒さんが下に下りてくる。


 「え~わたしは~?」


 「ソラ。アタシもソラをバカにした人許せない」


 「あ~だってコレはボクに売られたケンカだし。それに、二人もこっち側に立ったらそれこそイジメでしかない」


 「・・・シバく!!」


 青筋を浮かべてランクSの女子生徒さんがキレてる。

 もっと牛乳を飲みなさい。


 「はぁ~・・・たかがランクが上だからって調子に乗るな。でも、さすがにかわいそうだからハンデをやる。さっきの魔法は使わない。『天空』だけ」


 「「「調子に乗るなぁぁぁぁああああああ!!!!!」」」


 そういうとボクに向かっていろいろな魔法が放たれる。


 「ん~コレは壮観だね~」


 「・・・何でここにいるの?」


 「逃げる暇がなかった」


 「え~。じゃ、しょうがない。来い、浮遊盤フライングボード


 そして、ボクは三人乗りすると、高速で空中に躍り出る。


 「ちょ!?ぎゃぁぁぁぁああああああ!!!???」


 「・・・先生を忘れた」


 「大丈夫だよ~。・・・・・・たぶん」


 「でも、天空でどう勝つの?」


 「こう勝つ。

 ―――それは風と雷の嵐の魔法。

    嵐の力をもって全てをなぎ倒せ。

    災厄を、穢れを流せ。

    この手に空を!!

    ≪裂空天衝破レックウテンショウハ≫!!」


 真言二回目~。

 まぁ、今回は結構間近で見たけど。

 ・・・こんなにすごい魔法だったんだね。


 「・・・死人が出てないといいな」


 「さすがに・・・・・・だうだろね~・・・・・・」


 「ソラなら大丈夫・・・・・・たぶん」


 ボクは死屍累々とした競技場を見てため息をついた。

 ・・・・・・これどうしよう?

 てか少しやりすぎた。






 ~数日後~

 「「「三谷様と呼ばせてください!!」」」


 「あ~・・・何コレ?」


 ボクの目の前には何故かたくさんの生徒がいた。


 「なんかね~三谷君は下のほうのランクのヒーローになってるっぽいよ~」


 「・・・何故に?」


 「ソラが『ランクが上だから調子に乗るな!!』っていったからじゃないの?」


 ・・・そーいえばそんなことを言った気がする。

 アレから数日が経った。

 リカは何故か帰らずに、ボク等と同じように留学生と化していた。

 あ、そういえばボクとスズは同じクラス、つまりは同じランクになった。

 ランクD。

 一番下のランクだ。ちなみにリカも。

 アレで変われるらしいけどボクは辞退。

 だって・・・ランクSを全員ぶちのめしちゃったからね。

 報復がものすごく怖い。

 そして、ボクは見事に魔法工学以外ではカスだったので下に落とされた。

 スズも『あ、わたしも行くよ~』とか言って本当に降りてきた。

 どうもランクSの空気があわなかったようだ。

 で、ボクとスズは本日付でランクDにクラスチェンジ。

 なんかすがすがしい。

 龍造さんにも一応は言ったけど、「お主らしいの」とか言って笑ってた。他のメンバーはボクにアホだバカだ言ってた。


 「でもさ、ボクはそんな風に『様』をつけられるような人間じゃないし・・・」


 「いや、君のおかげでわかったんだ。君は自分がなんて呼ばれてたのか知ってるかい?」


 一人の男子生徒がボクに尋ねる。

 緑色の髪とか初めて見た。さすがは異世界。


 「あ~・・・そういえばなんか言ってた気がする。えと・・・・・・ランクAの皮を被ったザク?」


 「・・・何そのピンポイントなボケ?」


 「そうだよ~そこはシャ○でしょ~?」


 「むしろ強くなってる!?」


 「・・・雑魚の間違いじゃない?それでその噂を流したの誰?ちょっと語り合ってくる」


 「拳を固めて行くな。絶対にフルボッコにする気でしょ?」


 「・・・まぁ、いいです。それで、自分たちはランクを理由に逃げてたことに気づいたんです」


 まじめな話になってきた?


 「ランクが低いからSに何かされても文句を言えない。やられても勝てない。そう思ってたんですけど・・・」


 「ん~・・・アレ?なんかボクみたいな詠唱の知識がカスでも別のことに秀でている。それを伸ばせばSにも勝てる?」


 「いや、そこまでは言いませんけど・・・」


 「勝てるよ」


 「え?」


 「君の属性は風?」


 「え?何で?」


 「ボクの特技だよ」


 「カンニングの疑いをかけられたけどね~」


 「・・・まぁ、過ぎたことだよ。ボクも風を使うんだけどさ。風にもいろんな種類があるよね。吹き抜ける風とか渦巻く風、鋭い風、ボクがぱっと思い浮かぶのはコレだけどさ、他にもあるよね?」


 「あ、はい」


 「ここからは受け売りになるんだけどさ。負ける風を吹かせるより、勝てる風を巻き起こせばいいって」


 「勝てる、風?」


 「うん。ボクもよくわかんないけどね。まぁ、『風の戦女神ゲイル・ヴァルキュリア』の異名を持つ人に教えてもらったんだ」


 「「「・・・うそぉ!?」」」


 「だって、ソラ君の親友のお母さんだもんね~」


 「親友じゃない。悪友です」


 「でも、アタシ達の周りには微妙に有名な人がいるよね。生き字引とか」


 「・・・智也さんね『消滅の賢者クリア・セイジ』だっけ?」


 「「「・・・」」」


 クラスの方々は既に言葉を失っている。

 まぁ、しょうがないよね。


 「・・・まぁ、とにかくさ、みんなでがんばって強くなってSのやつ等にぎゃふんと言わせよう!」


 「ソラ、それ死語」


 「『ぎゃふん』なんていまどき使わないよ~」


 「うるさいなぁ~!」


 「・・・ありがとうございます。俺もがんばってSのやつらに目にモノ見せてやります!」


 「うん。でもさ、敬語とかやめてよ。ボク等は同じ年でクラスメイトだよ?」


 「・・・それもそうだ。俺はこのクラス代表の風葉カザハ・シルファリオン。カザハでいい」


 「ボクは三谷空志。みんなはソラって呼ぶ」


 「わかった。よろしく。ソラ」


 「こっちこそ。短い間だけどよろしく」


 そういうとボクとカザハは握手をする。

 そこでクラスDの生徒が歓声を上げる。


 「え?何で!?」


 「なぁ!!俺にも魔法を教えてくれ!」


 「あたしも!!」


 「俺、魔道具作るの得意なんだぜ!」


 「アンジェリカさんは格闘系がすごいのよね?どうすればわたしも強くなれる?」


 「三谷君に料理を作ってるのをよく見かけたけど坂崎さんって料理好きなの?わたしもよくするんだよ?」


 「え?ちょっと?」


 「わ~!?ま、みんな待って~!?」


 ボク等の留学生活はまだまだ始まったばかりだし・・・今日もがんばって魔法を勉強して、ランクDでSを打倒でも目指すのは楽しそうだね。

 ボクはこれからのことに思いをはせながらこのクラス一人ひとりに対応していった。



―――sideサリナ

 「はぁ、実力主義が聞いて呆れるわ。わたしが三谷君の実力を見きれてなかった」


 「まぁ、アレはイレギュラーすぎですよ。『月』の属性ですか?そんなふざけた属性があるんですね」


 「・・・胃に穴が開きそうです。担当を変わってください」


 学園長室でわたしとカルと椿っちゃんが話し合っていた。


 「でも、この成績はランクDです。実力があろうと全てにおいて優れていなければ意味がありません」


 「カタイわよ~カル。でも、龍造君も面白すぎるものをよこしてきたわね」


 わたしはハァとため息をつく。


 「・・・まだ、嵐は始まったばかりよ」


 「・・・そうですね」


 「・・・わたしには無理です」


 学園長室にはなんともいえない空気が漂っていた。



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