3話・DUEL
―――side空志
この学校に来てから数日後。
「・・・無理、死ねる」
ボクは現実という怪物に殺されかけていた。
「三谷~生きてるか~?」
「全力で死んでます」
「元気そうで何よりだ」
「レイ先生!ボクの詠唱方式は魔法陣です!!詠唱とか真言以外でしたことが無い!!」
「・・・大丈夫かい?真言は君みたいな学生が出せる代物じゃないんだよ」
・・・そうなの!?
ボクの周りはバンバン真言使いまくってるからボクぐらいの年齢でもできるんだ~って思ってたよ!
てか、そんな哀れみの視線で見ないで!!
「それと、学園長からのお知らせだ。このままだとDに落とすってさ」
「・・・」
それだけはダメだ。
龍造さんの顔に泥を塗るわけにはいかない。
「・・・ガンバリマス」
「・・・何でそこまでAにこだわる?」
「龍造さんの顔に泥を塗るわけにはいかない。それに、ボクのせいで十五年間も眠ってたんだ」
「何を言ってるんだい?」
「独り言です」
「そうかい?・・・でも、そろそろ危ないよ?」
「危ない?・・・ボクはそんなにDに落ちる可能性が高いんですか?」
「いや、この学校には特殊なシステムがあって「三谷と言うヤツはいるか!?」・・・ついに来ちゃったか」
「どういうことですか?あ、ボクが三谷ですけど?」
そこには金髪の青年がいた。
・・・ボクのクラスの子ではないはず。
「え~っと・・・はじめまして?」
「あぁ、だが、そんなことはいい。お前、俺と決闘しろ」
「謹んで辞退させていただきます」
「・・・いや、申し込まれた時点で回避できないから」
先生が突っ込む。
「えぇ~。ボクは平和主義なんですけど~?」
「・・・コレが特殊なシステムだ。決闘をして勝つと、クラスを入れかえることができるんだ。ちなみにランクが高いほうが勝てば相手のランクが一ランク下がる」
「へぇ~」
「・・・お前、俺が決闘を申し込んだのは誰か分かてるのか?」
「・・・そういえばボクか!?」
「・・・まぁいい。とにかく、お前は俺とけ「ソラ~!!」「え?ウゲフゥ!?」・・・」
説明しよう。
てか、必要ないよね☆
「会いたかったよ~!!」
「みゃ~」
「・・・なんでリカがここに?てか、レオもかい!?」
「ソラに会いに☆」
「にゃ」
「帰りなさい」
「いや~」
「・・・おい。お前シバくぞ?」
「いや、コレは不可抗力じゃない?」
「何故だ!?お前の周りには美少女が集まる!?」
「・・・なんかゴメン」
「死んで詫びろ!!放課後だ!!先生!!いいですね?」
「・・・はぁ、許可します。では、時間は放課後、競技場にて」
先生がそういうと金髪の人は教室を出て行った。
「・・・ねぇ。あれってソラの新しい友達?」
「いや、全然違う。というか、いい加減に離れなさい」
「無理~。お腹が減って力が出ない~」
「・・・どこのア○パンマンだよ」
「・・・そろそろ授業を始めたいんだがいいか?」
「「すみません」」
「みゃ~」
昼休み。
ボクは中庭のベンチで購買で買った惣菜パンを食べている。
「で、何でリカがここに?」
「え?ソラに会いに来ただけだよ?」
「・・・レオ?」
「みゃ~」
・・・どうやらマジらしい。
はぁ、吸血鬼ってバレたら大変なことになるよ!?
「だって、そのときはソラが守ってくれるでしょ?」
「まぁ、最善の努力はするけどさ~」
ボクはいいつつパンを食べ終わったので袋を綺麗にたたんでポケットに入れる。
でも、決闘か。
メンドイな~。
「でも、そんなのソラなら一ひねりだよ」
「いやぁ~、それがさ、ここの学校、魔法陣は扱ってなくてさ。詠唱で何とかしなきゃいけないんだよね」
「ふ~ん。・・・あ、そういえば龍造さんから伝言を預かってきたよ~」
「・・・・・・それが一番重要だと思うのはボクの気のせいかな?」
「うん。気のせい」
そんな無茶なことを言いつつリカはボクに一枚の紙を見せる。
そこには短くこう書かれていた。
『お主がやりたいようにやればいい』
「はぁ、龍造さんも言ってくれるよ」
それで一番悩んでるのに・・・。
そして、ボクは立ち上がると教室に向かって歩き出す。
「あ、待って~」
リカはレオとボクの後ろについてくる。
・・・なんかいつもと変わらなくなってきてるな~。
「・・・ついに来てしまった」
「大丈夫大丈夫。ソラなら一ひねりだよ~」
「そだね~」
「・・・ボクはさ、決闘の前に闇討ちされそうな気がする」
「「何で?」」
周りがボクに殺気を向けてるんだよ。
こんな美少女二人も引き連れてお前何様だ的なオーラをかもし出してるんだよ?
ホントに生きた心地がしない。
「・・・ハァ」
ボクはため息をつく。
そして、競技場に着く。
「じゃ、ボクはこっちだから。二人は応援しててね~」
「いいよ~」
「じゃ、ソラ。がんばってね~」
そういうと二人はボクとわかれてアリーナ席に向かっていった。
・・・さて、ボクはアリーナに向かいますか。
数分ほど歩くと、競技場に出た。
・・・地味にギャラリーがすごいんですけど?
まぁ、ボクは既にいた金髪の人の近くに行く。
「よく逃げなかったな」
「え?そういうのはできないんじゃ?」
「いや、ここはこういうセリフを言う場面かなと・・・」
・・・なかなかにお茶目な人だった。
「はぁ・・・すみません。ルールとかよくわからないんですけど?」
「ルールは簡単だ。俺達は魔法で戦う。武器も可だ。どちらかが降参するか、気絶するまで続ける。ランクは勝ったほうと入れ替え、あるいは負けたほうを降格させることができる」
「どうも。じゃ、ボクは武器を。『ナハト』、『ナイト』」
そういうとボクの手に銃が現れ、腰にはホルスターが取り付けられる。
「私物か?」
「はい」
「・・・ブルジョワが」
「違うよ!?ボクはとある腹黒魔道具馬鹿の人に脅されてタダ働きしてるんだよ!?これの料金で!」
「黙れ!俺も武器を使う!!」
そう言うと背中に挿した両手剣を手にする。
・・・学校のヤツだね。
「じゃ、決闘を始めます。所属と名前を」
審判役のレイ先生が言う。
「ランクS、ロイ・ガリューク」
ランクSの人だったんだ。
「ランクA三谷空志。よろしくお願いします」
「では、はじめ!!」
その言葉と同時にボクは一気に間合いを詰め、ボクは銃を撃つ。
相手・・・ロイはそれに難なく対応。
「―――大地よ、我を守れ!!
≪大地の盾≫」
まさかあの至近距離で防ぐとは・・・。
拘束で移動からの強襲しかないかな?
「―――其は風に属す法則。
風よボクの力となれ。
それは猛り狂う迅き風の如く。
≪風の舞≫」
風でボクのスピードが上がる。
ボクは縦横無尽に駆け巡り、隙があれば銃を撃つ。
「俺はそんな攻撃ではやられんぞ?
―――我、大地に眠る力を呼び覚ます。
土は金へと変貌し、新たな力を与えん」
何だ?この魔法?
初めて見るタイプだ。
今、ボクは≪月詠≫を発動してない。
龍造さんとの約束だからね。
「―――大地と金よ彼の者にその力を
汝の剣をもって知らしめたまえ!!
≪大地の剣の断罪≫!!!」
そういうとロイは剣を地面に突き刺す。
すると、ボクの立っていた地面が隆起し、いくつもの手がボクを捕まえる。
「しまった!?」
「・・・俺の勝ちだ。坂崎さんやあの白髪の少女の前でお前の惨めな姿をさらしてやろう」
その言葉と同時に地面から生えた手がいつの間にかマジもんの剣をボクに向けている。
「おい!?アンタ最初からそれが目的だろ!?」
「なんとでも言え!!俺はいいところを見せて坂崎さんにかっこいいところを魅せる!!まぁ、降参するならそれでいいが」
・・・まぁ、動機はどうあれマジでピンチ。
ここから詠唱しても間に合わない。
・・・終わりか?
「ソラ君!!がんばれ~!!」
「ソラ~!!前に何でも言うこと一つだけ聞くって言ったよね~!!」
・・・ありすぎて覚えてないよ。
まぁ、たぶんそうだろうね。
てか、何でやたらと二人の声がよく聞こえるんだろう?
「だから、このお願いを聞いて!!ソラの全力で勝って!!」
「・・・ゴメン。ボクさ、さっきので負けられなくなっちゃった」
「この状況でどう勝つつもりだ?」
「いや、簡単だよ。・・・全力で勝つ。≪月詠≫!!」
ボクの目がマナを捕らえる。
うん。やっぱこうじゃなきゃね。
「魔法陣展開・・・≪千刃嵐≫!!」
ボクは魔法陣を展開すると、魔法を発動。
すぐさま魔法陣から刃を持つ嵐がボクの拘束していた土の手を切り刻む。
「な!?無詠唱であれほどの魔法を!?」
「ん~・・・事後承諾だけどいいよね」
ボクはとりあえず相手を無視してケータイを取り出す。
そして、アドレス帳から龍造さんを選ぶ。
すると、すぐにつながった。
『なんじゃ?ソラか?』
「あ、龍造さん。ゴメン。リカに頼まれてさ・・・全力で魔法を使わないといけないんだ」
『そうか。わかった。まぁ、適度にボコしときなさい』
「うん。ありがとう」
ボクは電話を切る。
「ゴメン。待たせたね。じゃぁ、ここからは・・・」
ボクは後ろに黄色と赤色の魔法陣を大量に展開する。
「ボクの全力で君を倒す」
―――sideサリナ
「・・・龍造君はナメてるのかな?」
わたしは競技場にいた。
もちろん。決闘を見るためだ。
留学生の三谷君の相手はランクSのロイ・ガリューク。
彼は大地と金属の属性の多重属性持ち。
さらにはガリューク家は名門の魔法使いだ。さらには剣にも長けている。
ここらでは最強の家門だ。
しかも、彼は神童とまで言われる人物。
あんな至近距離の弾丸なんて普通なら防げない。
でも、彼はそれをやってのけた。
「・・・でも、三谷君もそれなりに場慣れしてるか?」
じゃなきゃ銃の癖に相手に突撃なんてできないし戦法をああも変えて戦うなんて早々できない。
でも、相手の魔法で三谷君はすぐに捕まえられた。
・・・確か、アレはロイ君の使う中でもかなりの上位に入る魔法。
「勝負ありか・・・」
まぁ、がんばったほうだ。
でも、ランクは下げられるだろうけど。
わたしはそこを立ち去ろうとした。
そのときだった。声が聞こえたのは。
「だから、このお願いを聞いて!!ソラの全力で勝って!!」
お願い?全力?
何のこと?それにソラって・・・三谷君のこと?
そのときだった。急に競技場の魔力が膨れ上がった。
「何コレ!?」
わたしは慌てて競技場を見る。
そこには、ついさっきまでロイ君の魔法で拘束されていたはずの三谷君が立っていた。
「何で?」
周りを見てみても生徒はざわざわして、何が起こったのかよくわかってないらしい。
そして、三谷君はケータイを取り出す。
少しだけ話すと、すぐにポケットに仕舞う。
そして、彼の後ろに膨大な数の魔法陣が展開された。
「な!?あの子の魔法力であんなことができるはずが!?それに・・・数法術式?」
急にわたしのケータイが震える。
こんなときに!!
「誰!?こんなときに!!」
『わしじゃ。そろそろ説明がいるかと思っての』
「・・・龍造君?」
『いかにもそうじゃが?』
「なにあれ?」
『アレが三谷空志、ソラの本気じゃ』
「・・・何で?あの子の魔法力がどれだけか知ってるの?」
『ちゃんとソラから聞いたぞ?1000ぐらいじゃったか?』
「なら、アレはありえないことぐらいわかるでしょ!?」
『いや、ソラの魔法はそんな数値は関係ないからの』
「関係ない?」
すると、そこで急に猛獣の咆哮が聞こえた。
何事かと思って競技場を見ると、そこには一匹の白い翼を持つ獅子がいた。
「魔獣!?」
『あ、大丈夫じゃ。それはレオと言ってな、ソラの相棒じゃ。それにレオはむしろ幻獣の類じゃぞ?』
「何でそんな物が!?」
『ソラじゃからな。まぁ、さきの話の続きじゃが・・・ソラの属性は知っとるか?』
「『天空』でしょ?あの子自身がそう言ってたわ。」
『すまんな。諸事情であの子にはウソをついてもらったのじゃ。お主が信用できる者以外に話さんのなら教える』
「・・・龍造君、わたしを誰だと思ってるの?」
『そうじゃな。生徒を売る人間じゃないからの、お主は。・・・あの子の属性は『月』。マナを見ることができ、また、操作もできる。相手の魔法属性すらあの子にかかればすぐにバレる』
「そんなふざけた魔法属性が・・・」
そこで、また魔力が膨れ上がる。
いったい何が起こってるの!?
競技場をまたも見る。
そこには、魔法陣を展開した三谷君。
でも、さっきとは確実に違うレベルの魔法・・・。
「まさか、真言?」
『お?するのか?なら、その目を開いてよく見といたほうがいいぞ。今から見るのは一生に一度どころか前世を十回やり直しても見れるか怪しいものじゃぞ?』
そんなことを言われたからじゃないけどわたしはその魔法を凝視した。
少しだけ蒼みがかった銀色の魔法陣に文字や記号が描かれていく。
そして、それをロイ君は邪魔しようとするが、白いライオンに守られているために攻撃が通らない。
そして、ついに魔法が完成した。
その魔法陣を中心に魔力の大嵐が発生する。
三谷君はその魔法陣に手を突っ込むと、一気に引き抜く。
そこには波刃の綺麗な日本刀があった。
三谷君が何かを言ったのかライオンは後ろに下がる。
そして、ロイ君はチャンスとばかりに魔法を連発する。
だが、三谷君はそれをどうやったのか超加速することで回避。
一気に相手との間合いを詰める。
ロイ君は土の盾でガードするが、三谷君が日本刀を一閃して盾を切り裂く。
そのままロイ君に日本刀で斬る。
わたしはあっと思ったが時は遅い。
既に刀はロイ君を斬った。だが、不思議なことに血は一滴も流れていない。
「具、具現化!?」
『そうじゃ。どうじゃ?信じる気になったかの?』
「・・・イヤでも信じるしかないでしょ」
『そうか。よかったわい。それじゃぁ、ソラのことはくれぐれも秘密でな』
そういうとケータイの通話が終了する。
「・・・っふ。まったく、本当に面白い子を送ってきたわね」