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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
4章 ≪魔法学園奮闘記!≫
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2話・DARK MOOD

―――side空志

 ボク等はアレから事務の人に窓のない真っ白で中央になんかの机の装置が置いてあるだけの殺風景な部屋に来ていた。


 「・・・確かメン・イン・ブラックにこんな部屋があった気が?」


 「まもなく学園長がみえます。しばらくお待ちください」


 「ご丁寧にどうも~」


 この人は事務の園田椿そのだつばきさん。

 ボク等の短期留学の担当をしてくれるらしい。

 ショートカットでスーツを着たいかにもできる人って感じの女の人。

 まぁ・・・うん。そんな感じの人なんだけどね・・・。

 その時、扉がノックされた。


 「私が開けまふにゃ!?」


 盛大にすっころんだ。

 何もないところで。

 ・・・いわゆるドジっ娘ってやつ?


 「大丈夫ですか~?」


 「うぅ~・・・大丈夫です」


 「・・・鼻血が出てますよ?」


 「お~お~、さすがは椿っちゃん。ドジだね~」


 「・・・学園長」


 「が、学園長!?すみません!」


 「いいよいいよ~」


 そんなことを言いながら長い黒髪の女の人と、その半歩後ろに仏頂面の男の人が部屋に入ってきた。


 「はじめまして。私がここの学園長、サリナよ。こっちの堅物が下僕のカル」


 「違います。学園長補佐のカルネル・C・ランバートです」


 「あ、どうも。ボクは三谷空志」


 「坂崎鈴音で~す」


 「コレからよろしく。で、龍造君から聞いてる?ここの学校のこと?」


 「はい」


 「なんだっけ~?」


 「・・・すみません。こんな子で」


 ボクは龍造さんから渡された紙をスズに見せる。


 「え~っと・・・完全実力主義?ランク?どういうこと~?」


 「すみません」


 「いいのよ。ここは実力主義。学年でS~Dまでのランクがあるの。Sに行くほど成績優秀者が行くシステム。逆にDまで行くとただのヘボって言われるの」


 「言い方があるでしょ」


 あんまりな物言いにカルネル先生?が突っ込む。

 ・・・この人も龍造さんと同じベクトルの人だな。


 「でも、ほんとじゃない。ま、そのために魔法力の測定をします」


 「「魔法力の測定?」」


 おかしい。確か魔法属性を知ることができる都合のいい道具とかはこの世に存在してないはずなんだけど・・・。


 「いやいや、魔法力、魔力だよ。属性は言ってくれないとさすがにわからないし」


 「あぁ、ボク等の早とちりですか」


 「でも、どうやって測るの~?」


 「そこの机の水晶のようなものに触るだけでできます。それに触った後で数値が出てきます。ちなみに平均は5000ほどです」


 「「へ~」」


 実際にどのぐらいすごいのかよくわからないので返事が適当になってしまう。

 まぁ、やるしかないか。


 「じゃ、わたしからするよ~」


 スズが机の上の水晶に触る。すると、水晶が少し光ったかと思うと、空中に数字が表示される。

 数値は・・・・・・24886。

 なるほど、さすがはレア属性なだけあって平均の五倍もいくか。


 「「「五倍!?」」」


 「・・・なんかまずかった~?」


 「ん~・・・『リバース』だから問題ないんじゃない?」


 「「「・・・『逆』!?」」」


 「わたしの属性は『逆』だよ~。よくわかんないけどすごいらしいよ~」


 「ふふふふふ・・・龍造君も面白い子をよこしてきたね」


 「・・・この学校で教えられる人はいるんでしょうか?」


 「すみません、担当を替えてくれませんか?」


 「・・・でも、ソラ君のほうがすごいよね~。だって『つ「じゃ、ボクもいいですか?」あ、がんばって~」


 ・・・うっかりぽろっともらしかけてるじゃん。

 危ない危ない。

 ボクは水晶に触れる。

 ・・・なんか期待のまなざしで見られてる気がするけど・・・気のせいだよね。

 そして、スズと同じように光り、文字が浮かぶ。

 数値は・・・・・・1298。


 「「「低!?」」」


 「五分の一か少ないね」


 「え~?何で?だってソラ君は「『天空』だからね。スズよりは低い!!」・・・?」


 「本当に『天空』なの?龍造君からもそういう風に届いてはいるけど・・・」


 「あまりにも低すぎる」


 「虚偽の疑いですか?」


 「じゃ、どうぞ」


 ボクは手に魔力をこめる。

 すると、風が巻き起こり、さらにはパチパチと電気がほとばしる。


 「・・・確かに。でも、ならいったい?」


 「まぁ、考えてもしょうがないわ。それに龍造君のことだから、何か隠してるのよ」


 鋭いっすね。

 まさにボクは『月』を隠してます。

 何で隠さなきゃいけないのかよくわからないけど。

 まぁ、使うときは連絡しろって言ってるからたぶん使えるけど。


 「まぁ、いいわ。鈴音ちゃんはランクS。空志君はランクAに入って。龍造君補正ね。でも、実力がなければすぐにDに落とすわ」


 う~ん。それはイヤだな。

 龍造さんはボクのせいで怒られてるんだし・・・。

 まぁ、やるしかない。


 「わかりました」


 「何で!?ソラ君むぐぅ!?」


 「・・・さっきからこの子どうしたの?君のほうが強いって?」


 「いや、スズは魔法使うのにすごい時間がかかるんですよ。それでボクがその時間稼ぎをしてるからじゃないですか?」


 「そうかい?じゃ、クラスに案内するよ」


 そういうとボクとスズはカルネル先生に連れられてその部屋から出て行った。



―――sideサリナ

 「・・・おかしいわね」


 「何がです?」


 「あの男の子のほうよ。龍造君がただの人間の子を送ってくるとは思えない」


 「・・・何か分けありなのでは?」


 「・・・かもね。まぁ、わたしの予想が正しければ実力はそのうちすぐにわかるわ」



―――side空志

 「ここが君の教室だ。で、こちらが担任のレイ・アストリウム先生だ」


 「よろしく。レイだ」


 長身の男性教師がボクに挨拶をしてくれる。

 雰囲気がフレンドリーだ。


 「三谷空志です。よろしくお願いします」


 「坂崎君はこっちだ」


 「え?あ、ソラ君!また後でね~!!」


 そういうとさっさと行ってしまったカルネル先生についてスズが別の教室に行く。


 「じゃ、君のクラスはこっち」


 そういうとボクを教室に連れて行ってくれる。


 「で、数値がそんなに酷かったのかい?」


 「近年まれに見る低さじゃないですか?1000ぐらいでした」


 「それは・・・低いね。最低でも3000はあるからね」


 ・・・ボクは最低以下なんですね。

 ボクは地味にショックを受けつつ先生の後をついていく。


 「ここだよ。少し待ってくれ」


 「はい」


 そういうと先生は中に入っていく。


 「よ~し、静まれ~。短期留学生が来たぞ~」


 「レイっち!それは女子だよな!!」


 「イケメンですか!?」


 「お前等で判断しろ。入ってこ~い」


 ボクはガラッと引き戸を開けて中に入る。

 ・・・地味に全員落胆しないで欲しい。

 ボクはイケメンじゃないよ!!


 「「「うぉぉぉぉおおおおおお!!!???」」」


 ・・・スズのところか?

 そこからすごい雄たけびが聞こえる。


 「紹介して」


 「あ、三谷空志です。短い間ですけどよろしくお願いします」


 パチパチ~とまばらな拍手でボクを歓迎してくれる皆さん。

 うれしすぎて涙が出る。

 ・・・悲しいんじゃナイヨ?


 「・・・じゃぁ、席はそこだ」


 そう言って、隅のほうの席を指す。

 ボクはそこに歩いていって座る。


 「じゃ、今日もがんばれよ~」


 そういうと先生は教室を出て行った。

 ・・・でも、魔法学園か。・・・どんなことをするのかな?



 「ねぇねぇ。三谷君?」


 「うん?はい?なんでしょう?」


 ボクに話しかけてきたのは女子の子。

 名前はもちろんわかりません。


 「君ってどこの学校出身?てか、噂では向こうの世界とか言ってたけど本当?」


 「まぁ、そうだよ。学校は間学園って所」


 「間学園?・・・誰か知ってる?」


 「俺知らネ」


 「わたしも~」


 何だかいつの間にかボクの周りには人が集まっていた。

 コレが転校生の最初のイベント、質問攻めか!?


 「そういや、お前の属性と魔法力は?」


 「あ、ボクは『天空』の属性だよ」


 「お?結構すげーの持ってんじゃん」


 いや、ボクが隠してるもう一つのほうがすごいよ。


 「魔力は1000ぐらいだったかな?」


 「「「・・・」」」


 「あれ?ボクなんかまずいこと言った?」


 「お~い。お前等いつまで経ってる気だ?席につけ~」


 その言葉にみんなはぞろぞろと自分の席につく。

 でも、何だかこっちをチラチラ見てる。

 ・・・てか、雰囲気がさっきと違う。これは・・・敵意?


 「まずは詠唱の基本からだ」


 ・・・ごめんなさい。ボクは魔法陣しか知らないっす。



―――side鈴音

 「カレシは!?」


 「家どこ!?」


 「前の学校は!?」


 「付き合ってください!!」


 「スズたんって呼んでいい!?はぁはぁ」


 「え?ちょっと!?何?」


 す、すごい。

 コレが転校恒例行事の質問攻めか~。すごいね~。


 「属性は!?」


 「え?『リバース』だよ!?」


 「「「・・・なにそれ?」」」


 「え~っと・・・魔法を消す魔法?」


 「「「???」」」


 あ、どうしよう!?

 みんなわかってないみたいだよ~。

 ・・・そういえば魔法力で先生達が驚いてたからそれを言えばいいのかな?


 「魔法力っていうのが20000とかだった!!」


 「「「・・・」」」


 え?ダメだった!?

 どうすればいいの!?

 むぅ~何でソラ君はSじゃないの~。

 確実にここの先生が束になっても・・・それは無理かも知れないけどとにかく何とかしてくれたよ~・・・。


 「「「マジで!?」」」


 「ひぅ!?ゴ、ゴメンなさい!?」


 「すっげぇ!?そんな数値生徒会長ぐらいしかいねぇよ!?」


 「属性がよくわからないけど次の魔法実技でわかるしね」


 ん?んん?

 よくわからないけど助かった?


 「これからよろしくね」


 「あ、うん」


 わたしの出だしは順調だったよ~。



―――side空志

 「・・・いっそ殺してくれ」


 「ソラ君、大丈夫?」


 「無理だよ。ボクは魔法陣専門なんだよ?てか、それを正直に言っても『は?何だそれ?』みたいな感じでスルーされた。もう、ボクが楽しみなのはちょっと癪だけど魔道工学ぐらいしかないよ」


 「・・・お疲れ様~」


 ボクはスズと一緒に中庭で昼食中。

 いつの間に作ったのかスズはいつもの通り弁当を持ってきてた。しかもボクの分も。

 いやぁ~スズ、サマサマだよ。

 でも、気になることが一つだけある。


 「・・・ねぇ、何だか視線が怖いよ」


 「気づいてた?というか、それは主にボクに向かってる。・・・何でだろう?」


 さっきから視線がヤバい。

 ・・・みんな目からビームでも出そうとしてるのかな?


 「おい。お前」


 声の方向を向くと、そこにはボクの知らない男子生徒がいた。


 「?・・・ボクですか?」


 「そうだ。何故、AがSと一緒にいる?」


 「「???」」


 ボクとスズは意味がわからなくて首をかしげる。

 ・・・そういえばランクによってここの制服のローブの紋章の色が違うとか言ってたっけ?

 確か・・・Sが白。Aが青。Bが黄。Cが赤。Dが黒、だったかな?

 で、ボク等の目の前の人は白。つまりはSか。

 でも、何でダメなんだ?


 「・・・お前等、留学生か?」


 「あ、はい。そうです」


 「・・・なら、今回は許してやる。Aの落ちこぼれがSに話しかけるな」


 「むぅ~ソラ君は落ち「わかりました。今後気をつけます。」ちょっと!?ソラ君!?」


 ボクはスズの言葉をさえぎると、そういった。

 そして、ボクの言葉に満足したのか去っていった。


 「ねぇ!?何であんなこと言ったの~!?」


 「・・・さっきのではっきりした。たぶん、ここはランクですごい格差があるんだ。下のランクに行けば行くほどさげすまれて、上に行けばちやほやされる」


 「え?・・・じゃぁ・・・」


 「・・・寮以外では話さないほうがいいね。ボク等のためにも」


 「・・・うん」


 「まぁ、次の授業をがんばろう」


 ボクは明るい声えを出して、スズと分かれた。

 次は・・・なんだっけ?

 まぁ、とにかくがんばろう。


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