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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
3章 ≪すくーる・ぱにっく!?≫
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13話・PEACEFUL LUNCH

―――side空志

 なんやかんやで月曜日。

 いつものようにボクは昼休みになるとクラスの連中から逃げきって屋上にいた。


 「・・・フラフラする・・・・・・・・・・・・・・・」


 「・・・ごめんなさい。」


 「いくら久しぶりにソラの血を吸うからとはいえ・・・こいつ軽くミイラになってんぞ?」


 ボクは薬の効果が切れた。

 ということでリカはその分を取り返すかのごとくボクの部屋に侵入してきた。それもこの休日毎日・・・。コレ、なんてエロゲ?的展開になっていたりしたんだよ。ホントに朝起きると目の前に必ずリカがいて驚いた。

 それに血を吸われたし・・・。


 「ちなみに毎回聞くけどボク「イヤ」・・・さいですか」


 ボク以外はダメなのか聞いてみようと思ったら即断られた。

 何でボクの血しか飲まないんだろう?

 ・・・なんか理由があるのかな?


 「ちなみに何でボクの血しか飲まないの?」


 「(いろいろな意味で)おいしいから!」


 「・・・確かに(いろいろな意味で)そうだろうな」


 「何でリュウがそんなのわかるの?」


 「わたしも(いろいろな意味は)わかるわよ」


 「私もです」


 「わたしも~」


 「何で!?」


 よく思うけどなんかボクの知らないところで会話が進んでいたりするのは気のせいかな?

 まぁ、でも、一つだけ確実に言える。


 「・・・でも、なんやかんやで平和だね。幸せだ」


 「じゃ、その幸せを分けて欲しいな~」


 そういうとリカはまたボクにべたべたと引っ付いてきた。

 ・・・ハァ。

 こーゆーコトは好きな人にしなさいって言ってるのに何でわからないかな~?


 「・・・オイ、あれってお前の知り合いか?」


 「ん?誰が?」


 リュウはボクに指で示す。

 その先をたどると、インカムを装備して対物狙撃銃アンチマテリアルライフルを構えた男子生徒がいた。


 「・・・あれってさ、ボクの見間違いだよね?」


 あんなので撃たれたら口では言えないようなスプラッタな光景がここに展開されるよ?


 「おぉ~すっごくおっきい銃だね~」


 ボクのかすかな希望はスズによって根元からヘシ折られた。

 いや!まだ、アレがどこぞのファンクラブかは・・・・。


 「いたぞ!!!!!何故急にお前はいちゃつきだした!!」


 「さらば!!」


 ボクはフェンスを越えると下の適当な教室に逃げた。


 「追え!!つか、あいつは人間か!?」


 ボクは人間だ!!

 そして、またまた逃走劇を開始した。



―――side樹

 「あ~!?ソラ!!」


 そういうとリカさんは屋上から人間離れした動きで逃げ出したソラさんを追うために屋上を飛び出していきました。

 それに続くように他の男子生徒の皆さんも屋上から姿を消し、さっきまで騒々しかった屋上は一気に静かになります。


 「いつも大変ね」


 「薬の効果が切れたと思ったらコレだもんね~」


 「まぁ、それがフラグゲッターの異名を持つあいつだからな」


 「もはやアレは一種の才能ですね」


 そんな話をしていると屋上の扉が開く音が聞こえました。

 私はソラさんかと思いそちらのほうを向きます。


 「すみません。遅くなりました」


 「ゴハンですぅ~」


 「別にいいよ~。はい。コレが二人の分だよ~」


 「どうも」


 「で、中等部はどうだ?」


 そういえば説明してませんでしたが、今日からシャオ達が帰るまでは中等部で勉強を受けてもらうことになったようです。


 「はい。楽しませてもらってます。俺達は六月いっぱいまではここにいるつもりなんですけど・・・」


 「ジジイも別にいいっつってんだから大丈夫だ」


 「わたしも楽しかったですぅ。それと、男子の子に何だか放課後に体育館裏に来るように言われたですぅ。・・・決闘ですぅ?」


 いえ、おそらくそれは違うと思います。

 シャンはやることなすことハチャメチャですが、それなりに整った顔立ちですからね。

 ちなみにシャオはどちらかというと中性的ですね。


 「・・・俺は・・・・・・大勢の女子に襲われかけた」


 「どこですぅ!?シャオを殺ろうとしたのは!?」


 「・・・」


 何故か聞かないほうがいいような気がします。

 まぁ、何はともあれ馴染んでるようでよかったです。


 「そういえば、シュウ君。何でソラ君には薬が中途半端にしか効かなかったの?」


 「おい。それは確証がねぇって前に言ってただろ?」


 「でも、わたしも気になるわ」


 ・・・そう言えば私はそういう風に説明したのでしたっけ?


 「あ、すみません。実は確証は既に得ています」


 「「「「「・・・え?」」」」」


 「いえ、シャン。コレをそれにかけるとおいしいですよ」


 「え?急にどうしたですぅ?」


 そういうとシャンは私が渡したものを自分の昼食に少しだけふりかけます。


 「どうです?」


 「もぐもぐ・・・おいしいですぅ。」


 「それはよかったです。実はですね、あのホレ薬は刷り込みを行った人に恋愛感情を持っていると効かないんですよ。それに、シャンに渡したものは実はコレです」


 そういうと私は薄い赤い色の水溶液を皆さんに見せます。


 「「「「「・・・え~!?」」」」」」


 「ちゃんと本物です。何なら解呪薬もあるので誰か試します?」


 そういうと皆さんは一斉に首を横に振ります。


 「まぁ、シャンは皆さん知っての通り私にベタ惚れです」


 「・・・恥ずかしいですぅ/////」


 「既に周知の事実を恥ずかしがっても俺は意味が無いと思う」


 「シャオはいちいちうるさいですぅ!!」


 「そこで、私はこのことから考えると、答えは一つしかありません」


 「・・・ソラ君もリカちゃんのことが好き?」


 「いや、だが一部とは言え確実に効いていた」


 「要するに、こういうこと?ソラはリカに対して恋愛感情に近いけどそこまでは行かないものを抱いていた?」


 「それしか考えられませんね」


 「・・・自分の気持ちにまで気づかんとは」


 「ホントにどこまで鈍感なんだか・・・」


 「鈍感を競うコンテストがあれば確実に優勝できるね~」


 「リカさんがかわいそうですぅ・・・」


 「・・・俺はソラさんをフォローできないです」


 そこで、またもや扉の開く音。


 「死ぬかと思った」


 「・・・アタシとソラの幸せな一時を邪魔して・・・」


 「なにそれ?・・・まぁ、リカが言ってくれたおかげで何とかなったんだけどさ」


 そこに噂の二人がやってきました。


 「ま、そういうわけで面白そうなのでコレは二人には秘密です」


 「・・・それであの時は適当に誤魔化したな?」


 「はい」


 「ん?双子ちゃん達も来たの?」


 「はいですぅ。ソラさんは死んでください」


 「何で!?ボクなんかした?」


 「・・・俺は何も言えないです」


 「ソラ君さいてー」


 「アンタは一回ぐらい死ななきゃダメね」


 「むしろさっきのテロ集団に殺されてこい」


 「シュウ!何でボクはみんなに罵倒されなきゃいけないの!?」


 ・・・自業自得といいますか・・・ねぇ?

 まぁ、かわいそうなんで少しぐらいはヒントをあげましょうか?


 「ホレ薬はどういう薬なんでしょうか?それがわかれば皆さんの言葉の意味もわかります」


 「・・・?」


 「リカちゃん。がんばってね」


 「むしろこんなヤツは見限ったほうがいいと思うわ」


 「わたしもリカさんを応援するですぅ!!」


 「え?ちょっと!?みんなどうしたの?」


 「まぁ、いろいろあったんだよ。オレも何かあれば・・・特にソラをシバいて欲しかったら手伝うぞ?」


 「だから何で!?」


 六月ですが晴れた空の屋上に私達のにぎやかな声が響き渡ります。

 平和ですね。

 私はここで精一杯皆さんの仲間でいます。

 師匠、またいつかそちらに行きます。

 そんなことを考えながら私はいつものこのにぎやかな光景を見ていました。



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