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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
3章 ≪すくーる・ぱにっく!?≫
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11話・EVERYONE

―――side空志

 いん・ざ・寮。

 ボクは今、寮の自室にいる。

 あの後、ボク等はスズの作ってくれたご飯を食べて、思い思いに過ごしている。

 で、一つだけボクは気になることがある。


 「何でリカがいるの?」


 ボクは勉教椅子に座って本を読みつつ言う。

 普段はベッドに寝転んで読むんだけど、リカに占拠されてる。


 「え?ソラが『お前を離さない』って、言ってくれたから?」


 「いや、ボクは一言もそんなことを言ってないよ?てか、薬の効果が続いてるんだから離れてたほうがいいでしょ」


 「・・・ふ~ん。まだ、気づいてないんだ」


 そういうとリカはボクに抱きついてきた。

 ・・・って!?


 「ちょぉぉぉぉおおおおおお!!!???早く離れて!!薬が・・・・・・効いてこない?」


 何で?

 ボクは自分に抱きついたままのリカを見る。


 「・・・やっぱり効果が続いてるときに既成事実を・・・」


 「既成事実?」


 「こっちの話!・・・まぁ、ソラにくっつけるしいっか」


 「・・・はぁ?」


 まぁ、よくわからないけど薬の効果が切れたらしい。

 てか、確実にあの日常に戻るよね・・・毎朝追いかけられる日常に。


 「・・・」


 「?・・・どうしたの?」


 「ん?なんでもないよ?」


 まぁ、リカが嬉しそうだしいいか。

 ・・・いつの間にかもう、こんな時間か。今日はいろいろあったしもう、寝ようかな?


 「リカ、もう寝るからどいて」


 「わかった。一緒に寝よ」


 ・・・。

 ボクの耳がおかしいってコトはないね。


 「どの辺がわかってるの?」


 「全部!」


 「いや!?普通は男女が一緒に寝るのはありえないよね!?」


 「・・・別に普通じゃないからいいよ」


 「開き直ったよこの子!?」


 「・・・それに、アタシは犯されそうになったんだよ?」


 「・・・」


 ボクは何も言えなかった。

 リカは不安なんだろう。でも、さすがにそれは・・・。


 「って、よく考えたらリカは人間恐怖症じゃん!」


 「・・・・・・ッチ」


 「舌打ちしたよね!?」


 「実力行使!!」


 「ちょ!?」


 そういえば今の状況はまだ、リカに抱きつかれたままの状態。

 よって、吸血鬼の力にただの人間のボクが勝てるわけが無い。

 つまり、こうなる。


 「添い寝~♡」


 「・・・リカのFCファンクラブにバレたら殺される・・・」


 「バレなきゃいいんだよ」


 無茶なこと言うねこの子。

 でも、こうなった以上リカを力づくではほどけない。

 ボクはため息をつくと、寝る準備に入る。

 まぁ、布団を被るだけだけど。


 「・・・でも、ホントに怖かったんだよ」


 「・・・」


 ボクは何も言えなくなって目の前にいるリカの頭をなでる。


 「んふふ~・・・オヤスミ」


 「はいはい。お休み~」


 ボクは投げやりに言うと目を閉じた。

 すると、すぐに睡魔が襲ってきて、ボクを眠りに誘う。






 ・・・ここはどこだろう?

 真っ暗なところだ。

 ・・・たぶんボクは精神空間かどこかにいるのかな?

 ・・・ん?

 誰か後ろにいる?

 ボクは何かの気配を感じて後ろを向く。


 「あ、みんな」


 そこにはみんながいた。

 リュウにスズ、リカ、冬香、シュウ。

 そして、ボクはみんなのほうに行く。

 すると、突然みんなが血を噴き出して倒れた。


 「・・・・・・・・・・え?」


 いきなりのことに脳がついていかない。


 ―――ナンデ?


 リカの声。


 ―――オレ達ハ仲間ダロ?


 リュウ。


 ―――痛イヨ。


 スズ。


 ―――死ニタクナイ。


 冬香。


 ―――ナンデデスカ?


 シュウ。

 ・・・みんな、何でボクを見て言うの?

 ボクは後ろを向く。

 そこには、オッドアイの目で、蛇のような瞳孔を持つ少年。


 ―――ボクだ。


 もう一人のボクは魔法をつむぐ。

 それは、緑の色の魔法陣。


 「ダメだ!!それだけは!!やめろ!」


 ボクはもう一人のボクを止めようとする。

 でも、何故かできない。

 何で!?

 いや、できない。

 いつの間にかボクはもう一人のボクになっていた。


 「≪―――≫。」


 「やめろぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」


 風が吹き荒れる。

 それがみんなに殺到する。


 「・・・嫌だ・・・うそだ・・・ボクは・・・みんなを傷つけたくないのに・・・!!!」


 声にならない悲鳴が聞こえる。

 ・・・コレはボクの声だ。


 ―――ナンデ殺シタノ?

 ―――憎イカラ?


 「違う」


 ―――怖イカラ?

 ―――壊レルカラ?


 「違う!!」


 ―――壊レル前ニ壊スタメ?


 「違うっつてんだろぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」


 「ソラ!?」


 リカが驚きの声を上げる。

 ・・・レオもリカの足元で何だか心配そうに鳴いている。


 「ッ!?ゴホ!エハァ!?・・・リカ?・・・ボクは?ここは・・・・・・ボクの部屋?」


 ボクはのどに違和感を感じ、ボクはむせ返る。

 どうも、ボクは夢を見ていたようだ。それも最悪の悪夢を。


 「リカ!怪我とかない!?大丈夫!?ボクは何もしてない!?」


 ボクはさっきのことが脳裏にフラッシュバックし、リカの肩をつかんで尋問するように聞いた。


 「ソラ!?何を言ってるの?」


 「・・・よかった」


 「どうしたの?」


 「うん・・・怖い夢を見たんだ」


 「・・・話してくれる?」


 「・・・怒らないで最後まで聞いて。コレは、前のアレのせいだと思う。今回の寮祭のアレでかな?」


 リカがハッと息を呑んだ気がした。

 そして、何故か気まずいというか知られたくなかったみたいな顔になる。


 「・・・まさか、ボクはうなされてたの?それにコレが初めてじゃない?」


 「・・・」


 リカは沈黙で肯定した。

 そうか・・・みんな知ってたんだね。

 そして、みんなはボクに要らない負担をかけないように黙っててくれたんだね・・・。


 「・・・やっぱ、ボクは弱いね。・・・心が」


 「ソラ・・・」


 「みんなに話すよ。リビングにみんなを呼んで。・・・いや、ドアで盗み聞きしてるね」


 「バレたか」


 そう言って入ってきたのはリュウ。

 その後ろにみんなも続く。


 「・・・なんで双子ちゃんもいるの?姉に関しては簀巻きだし」


 「深くは突っ込まないでください」


 ・・・わかった。


 「・・・ボクはいつからうなされてたの?」


 「アンタが倒れてから起きたその夜からよ」


 だいぶ前だね。


 「最近はあまり起こらなかったんですけどね・・・。おそらくは寮祭のことでぶり返したんだと思います」


 なるほど。やっぱりか・・・。


 「さっき、リカがなんかボクに飲ませてたような気がしたんだけど?」


 「・・・精神安定剤です」


 「なるほど。それでボクはホレ薬を・・・。自業自得だったわけだ」


 「違うよ。ソラ君は悪くないよ・・・」


 「・・・俺達は出ていったほうが?」


 「いや、聞いてもらおう。君らもボク等の仲間だしね」


 ボクは、自分の口であの陰陽師かぶれの魔法使いとのコトを話した。

 それを双子は静かに聞いてくれた。


 「・・・まぁ、そんなことがあったんだ」


 「でも、それはしょうがないですぅ。暴走は・・・それに、ソラさんはリカさんの為にそうなってしまったんですぅ」


 「・・・かもね。でも、傷つけたことには変わりが無い。もちろん、みんなに言われたことはよくわかる、と自分では思ってるつもりだよ」


 わかってはいるつもりだ。

 でも、心のどこかでボクはまだ、気にしている。

 だから、夜にうなされてたりするんだろう。


 「なんか、ホントにゴメン」


 「でも、今回は暴走しなかったよ~」


 「あぁ、下手すると前より酷いことになってたかも知れないあの状況で魔法を暴走させなかったんだ。お前は確実に成長してる。その魔法を少しずつだがモノにしてんだよ」


 「ソラさん、貴方はもっと肩を抜いて気楽にすればいいんです」


 「でも・・・」


 「ウザい。じゃぁ聞くけど、アンタはわたし達をボコボコにしたかったワケ?」


 「そんなこと!!」


 「なら大丈夫よ。なんか文句ある?」


 でも、ボクは・・・。


 「ソラ、アタシ達も強くなるから。だから、一人で抱え込まないで。・・・約束したでしょ?」


 「・・・・・・うん」




 『世界中が敵に回っても、ボクは君を守るよ』


 『絶対にソラを一人にしない。少なくともアタシがそばにいる』




 約束ヤクソクというよりも誓約に近い、僕とリカが交わした絶対の約束チカイ

 その言葉がボクの頭の中でリピートされる。


 「・・・そうだね、ボク等はまだ子供で、しかも世界を敵に回しかけてるんだもんね。・・・みんなで強くなろう。大切なものを守れるくらいに・・・」


 「当たり前だ、バカ」


 「よ~し、わたしも明日から訓練がんばろう!」


 「明日は休みよ」


 「・・・そうだった!」


 「私もですね。世界一の薬剤師を目指しますよ」


 「・・・レオ、ゴメンね。こんなバカな相棒でさ・・・」


 「にゃ~」


 レオはボクに身を摺り寄せる。

 ・・・こいつは優しいから、ボクがうなされている時に何もできない自分にいらだってたんだろう。それで、自分から離れていったんだと思う。

 ボクは久しぶりにレオを優しく両手で抱く。

 ボクの相棒パートナーは世界でお前だけだよ。


 「じゃ~・・・アタシもソラと強くなろうかな!」


 「・・・そこでボクに抱きつく理由がわからない。てか、レオは逃げたね」


 「・・・みゃ?」


 「はぁ、お前等ホントに飽きねぇな」


 「シュウ~、わたしにこう、ぎゅ~っとしてくれたら嬉しいですぅ/////」


 「何ですか?自分から極めて欲しいというお願いですか?貴方はいつから変態に?」


 「にぎゃぁぁぁぁああああああですぅ!!??ホ、ホントに極めなぁぁぁぁああああああですぅ!!??」


 「・・・俺はシャンが姉だと認めたくなくなってきた。」


 「こうも毎日見てるとわたしも彼氏が欲しくなってくるわ~」


 「だね~。わたしも一度でいいからモテてみたいな~」


 「いや、それ以上モテる必要はない」


 「はぇ?・・・まさか!?リュウ君はわたしを!?」


 「お前みたいな貧乳はキョーミねぇ」


 「・・・明日のリュウ君のゴハン抜き」


 「スマン。貧乳はステータスだと思う」


 「一週間だね~」


 「何故だ!?」


 「リュウ、お前はアホか?」


 「・・・ソラはおっきい方がいいの?」


 「リカサン、あなたは突然何を言い出すのでしょう!?」


 そして、深夜にもかかわらずカオスな空気を作ってドンチャン騒ぎをするボク等は何だか憑き物が落ちたような顔で笑いあっていた。



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