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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
3章 ≪すくーる・ぱにっく!?≫
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6話・AFTER SCHOOL

―――side空志

 「・・・ん?」


 保健室の天井。そして、ボクはベッドに横になっている。

 ボクはいつの間にか寝てたらしい。


 「って、リカのせいじゃん」


 いつも思うんだけど何でボクに飛びつくんだろう?

 確か、気になる人はいるんだよね?

 ・・・ま、考えてもしょうがないか。


 「颯太さん?いますか?」


 「起きましたか?」


 颯太さんがシャッとカーテンを引いて現れる。

 今日も校医っぽく白衣を着てる。


 「また、例の薬の?」


 「まぁ、リカに何故か飛びつかれてしまって・・・」


 「・・・ちなみにソラ君は何か言ったんじゃないのかい?」


 「え?・・・特にコレと言っては・・・まぁ、ボクがホモになりかけたのでそれを回避するのにリカを使いましたが」


 「・・・それが原因だよ」


 何故かよくわからないけどボクは颯太さんに呆れられている?

 ・・・何で?

 ボクはなんとなく話を逸らす。


 「今の時間は?」


 「そうだね・・・もうすぐ午後の一コマ目が終わるかな?」


 ・・・死ねる。

 この学校は大体一日で6コマある。

 簡単に言うと一コマ一時間ぐらいの授業だ。

 で、午後ということはボクは昼ゴハン抜きで訓練のほうに行かなきゃいけない。


 「・・・今日は早退したいです」


 「優子に殺されるから僕はやめたほうがいいと思うよ」


 「ですよね~」


 どうも、ボクは死地に赴く必要があるようだ。


 「と、言いたいところだけど、実は、優子は出張に行ってて学園にいないんだ」


 え?

 じゃ、今日はどうなってんの?


 「だから、今日はみんなで訓練してると思うよ。父さん相手に」


 「よし、全力で行きます。死んでも行きます。むしろ逝かせます」


 「一気に元気になったね。でも、今日は帰宅したほうがいい。いろいろと大変だったしね」


 ・・・確かに。

 よくわからないけどシュウの友達の狐耳のボサ髪の双子の姉に何故か殺されかけて、さらにはリカに触れられて薬のせいでまた倒れたんだしね。

 てか、何でボクは倒れるんだろう?

 いろいろと薬のせいなのかリカに触れたとたん、無性にリカの近くにいたくなる。

 まぁ、ボクは魔法薬の専門家じゃないし、考えてもしょうがない。


 「じゃ、ボクはその言葉に甘えて今日は寮で寝てます」


 「わかった。お大事に」


 ボクは保健室から出て、カバンを取りに一旦教室に向かう。

 教室の前に来るとちょうど授業終了のチャイムが鳴り、ボクは普通に教室に入る。

 中には、クラスのみんなが何でお前がここに?って顔でボクを見てる。


 「三谷君どうしたの?」


 「いやさ、ちょっとしたトラブルでついさっきまで保健室で寝てた。だから、カバンを取りに来た」


 ボクに声をかけてきたのはインチョー。

 ボクがしょっちゅうトラブルに巻き込まれてるからか、それともどんなトラブルか予想ができたか深くは聞いてこなかった。


 「ハァ・・・でも、カバンはアンジェリカさんが持って行っちゃったよ?」


 「リカが?・・・じゃ、理事長室に行ってくる・・・って、メンドイしリュウにメールしとこ」


 ボクはそう言うとケータイ(やっとつい最近買った)でメール。

 ・・・よし、コレでおっけ。


 「じゃ、今日はボクは早退だから」


 「具合が悪いのか?」


 いつの間にか現れた田中。

 ミストは今日は外に出ていない。


 「いや、颯太さんが今日は大事をとって休めって」


 「保険委員なのにそんなんじゃダメだよ」


 「あれってマジだったの!?」


 ボクはてっきり冗談かと思っていたよ!

 そんなくだらない話をしてからボクは寮に帰った。


 「でも、なんだったんだ?あの双子?」


 「俺はシャンの暴走を止めようとしただけです」


 「・・・そうなんだ。まぁ、がんばれ」


 「でも、本当にすみません」


 「・・・ボクはそろそろ突っ込んだほうがいいのかな?」


 ボクの隣にはさも、当たり前のようにシュウの友達の・・・シャオ君だっけ?

 まぁ、とにかくいた。


 「そういえば自己紹介はしてなかったね。ボクは三谷空志。でも、みんなはソラって呼んでるから君もそれでいいよ」


 「わかりました。俺のこともシャオでいいです。ソラさん」


 「・・・できれば『さん』はやめて欲しいな。なんかいや」


 「ですがシュウは『さん』ですが?」


 「まぁ、シュウは・・・しょうがないよ。アレじゃないとシュウって感じがしないし。別に年がそんなに離れてるわけでもなさそうだしね」


 「俺はちなみに15ですがシュウの一つ下です」


 「じゃ、先輩命令でボクの名前に『さん』をつけるのを禁止する」


 「・・・強情ですね」


 「いや、こうでもしないとボクはあのメンバーの中で生きていけないんだよ」


 そんな話をしてると、ボク達は寮に到着した。

 そういえばシャオ君はどうしてボクと一緒にここに来たんだろう?


 「そういえば、何でボクとここに?」


 「今日はそちらにお邪魔させてもらいます」


 「・・・なるほど」


 今、ボクの脳裏にはふざけた語尾で鬼のような強さで追いかけてくるシャオ君の姉の顔しか思い浮かべることができない。


 「いや、シャンはシュウの部屋に閉じ込めて、かつ、拘束してあるので大丈夫です」


 「いや、ボクは大丈夫だけど君のお姉さまが大丈夫じゃないと思うんだけど?」


 「いえ、シュウは薬の作成のためにモ・・・実験台を得るためにシャンを生・・・犠牲にして、今、シャンは貴方と同じ症状です」


 「うん。君とシュウはあの子に関しては外道だね」


 こいつらは敵に回すといろいろと恐ろしいね。

 全力で敵に回しちゃダメだ。

 ボクは鍵を取り出すと中に入る。


 「じゃ、入って。誰もいないけどね」


 「お邪魔します」


 この子は姉と違ってホントに礼儀正しいな。

 ボクの周りは奇人や変人、果ては人外までいるからこういう子はホントに貴重だ。

 ・・・って、そういえばこの子は獣人ビースティアンか。


 「まぁ、部屋はリュウが来てからじゃないとわからないから・・・リビングにでもいたらいいよ。出かけたくなったら。この鍵を使って」


 ボクはとりあえず、自分の鍵をシャオ君に渡す。


 「すみません」


 「いや、それぐらいいいよ。じゃ、ボクは着替えてくるから」


 ボクは自分の部屋で適当なものに着替える。

 そこで、ケータイがブルブルと震える。電話みたいだ。

 リュウかな?でも、まだ訓練中だよね?

 ボクはとりあえずケータイに出る。


 「もしもし?」


 『俺だ。さっさとこっち来い』


 「ただいま、あなたがおかけになった電話はこの世界中どこを探しても見つかりません。ピーとなった後、速やかに通話を終了しこの番号には二度とかけてこないでください」


 『お前のツケを払わせるぞ?』


 「ログさん?なんか用?」


 ログさんだった。

 今日はこれから寝ようと思ってたのに・・・。

 てか、今日はタダ働きバイトの日じゃないよね?


 『急用だ。話はこっちでする』


 そういうとログさんは一方的に電話を切った。

 ・・・メンドイ。

 それでも、ボクはカバンの魔術符を持つと、寮のゲートに向かう。

 あ、シャオ君にも言わなくちゃ。


 「シャオ君?」


 「何ですか?」


 リビングのソファに姿勢よく座っていたシャオ君にボクは魔窟ネストに行かなきゃ行けないことを言う。

 まぁ、要するに出かけるって言っただけだけど。


 「どこに行くつもりなんですか?」


 「向こうの、魔物の都市。シュウから話くらいは聞いてない?」


 シャオ君はうなずく。


 「ですが、急に何をしに行くんですか?」


 「いやぁ、まぁ、バイトという名のタダ働きに」


 「はぁ・・・?」


 何だかよくわからないご様子で。

 まぁ、普通はそうだよね。

 ・・・よし。


 「じゃ、シャオ君もついてくる?」


 「いいんですか?」


 「特に問題ないよ」


 ボクはそう言うとシャオ君をゲートまで引きずっていく。

 そして、大きな魔法陣の描かれた部屋に着くと、ボクは中央の台座に魔力を流し込む。

 すると、景色が一瞬で魔窟の南門に。


 「じゃ、ようこそ我らが魔窟へ・・・こんなんでいいのかな?」


 「・・・それ、何ですか?」


 「いや、ここに来ると、みんな言うからさ」


 ボクはそう言うとログさんの店に向かった。






 「・・・で、今日は何?」


 「急な発注だ。期限は一週間で今回は武器の作成だ」


 「え~。メンドイ。で、数は?」


 「ちょっと待ってろ・・・コレだ」


 そういうとログさんはボクにメモを渡してくる。

 そこには武器について書かれていた。

 ・・・どうもオーダーメイドらしい。


 「・・・煉さんに回そうよ」


 煉さんはログさんの友人で、牛頭ごず。この種族は地獄で拷問かなんかをしてるやつだと思ったけど、この人は普通にとても優しい。

 そして、武器屋を営んでいて、それなりに評判はいいらしい。


 「向こうも別口で忙しい」


 「・・・二ヶ月続いての戦闘?」


 「そういうことだ。向こうは主に修理に専念している。で、ここは魔法道具店。ぶっちゃけ、俺は武器も作れるからこっちに来た」


 「うわぁ~。ログさん何でもありだね」


 「お前のようなバカ弟子に言われたくない」


 「ボクはアンタみたいなクソ師匠に弟子入りしたつもりはない。むしろ、煉さんの方がいいと思う」


 ボクとログさんの間で火花が散る。


 「・・・すみません。ソラさんはいったい何者なんですか?」


 「ごく普通の魔法使い兼学生」


 「違う、お前はただのチートだ。で、俺はデザインを考える。さっさと山岳区に行って魔法金属マナメタルとって来い。武器なんぞここではあまり作らんから、多めに採って来い」


 「へいへい。≪風門フウモン≫」


 ボクは魔法で転移。

 目の前には山岳区の採掘場。

 何故かよくわからないけど、ここでは魔法金属が腐るほどあるらしい。

 まぁ、一応どこどこのだれだれが何のためにって、採掘場近くの小屋に言いにいかなきゃいけないんだけどね。

 ボクは、カバンの魔術符から採掘用の魔法道具を取り出すと、その小屋に向かった。



―――side小狼

 「・・・すみません。あの人は何者なんですか?」


 俺は、目の前にいるログさんと呼ばれていたドワーフにたずねてみる。


 「・・・というか、お前は誰だ?」


 「俺は劉小狼ルー・シャオランです。李樹リー・シュウと縁のある人間です」


 「あの、格闘薬剤師か・・・」


 「まぁ・・・そうです」


 間違ってはいないからよしとしよう。

 だが、俺には気になっていることがある。

 あの、ソラさんにしても、シュウにしても。


 「で、ソラさんはいったい何者なんですか?」


 「俺の弟子でチート、そして大馬鹿野郎だ」


 「よくわかりません」


 「だが、コレが一番しっくり来る」


 目の前のドワーフは小さいくもがっしりとした背中で机に広げた大きな紙に向かって何かを書いている。


 「・・・ソラさんという人はすごい人なんですか?」


 「全然だ。龍造んトコの孫に言わせりゃアレはただの死亡フラグ製造機だとでも言うだろうがな」


 「では、何故シュウはここにとどまっているんですか?」


 俺が一番気になっていたのがここだ。

 シュウは、基本的にひとところにあまりとどまらない。


 「・・・どういうことだ?」


 「シュウはですね、本職は薬剤師なんです。格闘術はあくまで護身のために使えるだけです。そして、シュウは薬を貧困層の人のためにただで配って各地を回っているんです。だから、本来ならこんなところで立ち止まってる人じゃないんですよ」


 「・・・まぁ、よくわからんが、とにかく、あの薬剤師は基本的に根無し草なんだな?だが、ここに来てからここを離れないのが不思議なんだな?」


 「そうです」


 「なら、あのバカがいるからじゃねぇのか?」


 「・・・ソラさんですか?」


 「まぁ、あいつはバカだがな・・・なんかいると安心すんだよ」


 わけがわからない。

 そんな理由だけで?


 「それは暗い闇の中でも照らしてくれる小さな光かもな。まるであいつの属性みたいなな・・・」


 「わからないです」


 「ああ、俺もわからん」


 その時、一瞬だけ風が巻き起こる。


 「ただいま~」


 「おう、採れたか?」


 「うん。ボクを誰だと思ってるの?」


 そう言いつつソラさんは魔術符から金属をドバドバ出している。

 ・・・というか、あんな魔術符ははじめてみた。俺も欲しい。


 「ただのバカだ。・・・おい!コレ傷ついてるぞ!?何回傷をつけるなと言えば・・・」


 「ボクは一ヶ月前にはじめたばっかの素人だよ!?しかも採掘はつい最近だ!そんな器用なことがたった数回でできるわけが無い!でも、選定は完璧でしょ!?」


 「確かにコレはどれも一級品だが、お前だからこんなのは楽勝だろ!まぁ、いい。今回は武器だが俺が作る。魔法はお前がしろ。いいな?」


 「へいへい。どういう魔法をしろと?」


 そこからは俺にはよくわからない言葉で話を続けていく。

 でも、ソラさんを見てもやっぱりわからない。

 ・・・何でシュウは?


 「あ、そういえばログさん。最近さ、新しいカバンの魔術符を考えた」


 「作れ」


 「早!?説明すらしてない!」


 「魔術符に関してはお前はすでに俺が教えることはない。好きにしろ」


 「教えられてすらいないけどね」


 そういうとソラさんは先ほどの魔術符から何の魔法も魔力付与エンチャントされていない魔術符を取り出す。

 それを机に置くと、何も書かれていない魔法陣を展開する。


 「構築開始プログラミング


 そういうと魔法陣が光り、そこに文字や記号がどんどん書かれていく。

 それが魔法陣いっぱいに広がると、光が収まる。


 「魔術導入インストール


 そういうと今度は魔法陣が端からほどけていって糸のようになる。その糸は魔術符に吸い込まれていく。全ての魔法陣が魔術符に取り込まれると、魔術符には先ほどの魔法陣が描かれていた。


 「できたよ~」


 「で、今回は何だ?」


 「名づけてポケットの魔術符」


 そういうとソラさんはそばにあった紙を適当に手に取る。


 「起動。登録コード『紙』」


 そう言うと、魔法陣が輝きだす。そこに手に持った紙を放り投げる。


 「コレで準備おっけ」


 「前と変わらんぞ?」


 「全然違うよ。来い『紙』!」


 そう言いながら手を前に向けると、そこに突然魔法陣が出現しすぐに消える、その代わりにそこから先ほどの紙が現れる。


 「戻れ『紙』」


 そう言うと今度は紙が光ったかと思うと、ふっと消えてしまった。

 ・・・すごい。ここの魔道具の技術は群を抜いている。


 「すごいですね。こんなものは見た事がありません。それ以前にカバンの魔術符も初めて見ました」


 俺は正直な感想を言う。


 「だろうね。コレはボクが初めて成功させたんだよね?」


 「そうだな。それで今回はそれの改良か・・・欠点はなんだ?」


 え?それってどういう?


 「うん。前よりもいろんな機能をつけたから容量キャパがカバンと比べると小さい。でも、それぐらいかな?それに、コレはカードよりも腕輪とかにしたほうがいいかも・・・」


 「そうか。なら、今度作っといてやる」


 「どうも~」


 「って!?ちょっと!それはどういうことですか!?」


 「ん?いや、カバンの方はただ空間を「じゃなくて!!あなたがコレを最初に作ったんですか!?」うん?まぁ、そうだけど?」


 ・・・おかしい。

 確か、魔道具職人はそれこそ魔法と製作スキルを極める必要があるため、こういう作品を作るには何年もの月日が必要なはず。

 そして、ソラさんはさっきの話からすると、つい最近ログさんに弟子入りした。


 「違うよ。無理やり強引に強制的に脅されていやいや弟子にされたんだ」


 細かいことは言いとして・・・。

 さっきまではログさんが作ったカバンの魔術符をソラさんが作っているのかと思っていた。それを改良して今回ポケットの魔術符ができたんだと思っていた。


 「・・・ソラさんは何の魔物ですか?」


 「ボクは全力で人間だ!!」


 「・・・」


 「本当だ。こいつは人間かどうか疑いたくなることが一分間に60回ほどあるが種族は人間だ」


 「ちょ!?一秒間に一回ボクは人間かどうか疑われていたの!?」


 「・・・ありえない。ソラさんは十六ですよね?魔法はおろか、魔道具職人のスキルまで覚えられるようには思えない」


 「しょうがない。だからこいつはチートなんだよ。それに一つ言うとこいつはわけありで魔法を覚えたのは・・・四月の半ばだな」


 ・・・もはや何に驚けばいいのかわからない。


 「ボクの属性は『月』って言うのはシュウから聞いた?」


 「・・・まぁ、一応」


 よくわからなかったのですが・・・。


 「それのせいでボクは最初からレベルMAXになってるんだよ。それに最大の特徴は、この目」


 そうだ・・・何で気づかなかったんだろう?

 この人の目は普通のものとは一線を画している。

 蒼っぽい銀に限りなく深い蒼のオッドアイ。

 ・・・シュウがここにいる理由はこの人、いや、この人の持つ力か?


 「ま、ボクは魔力が『視える』ってこと。もちろん、君の魔力も視えてる。属性は『火』って所かな?」


 「なるほど。こいつは狐の獣人族ビースティアンだな?つまりは狐火きつねびか?」


 「な、何で?」


 「コレがボクの力。・・・でも、この力でボクは一回だけみんなを傷つけたことがあるんだ」


 ソラさんは急に自分の罪を告白して、苦しそうな表情になる。

 ・・・何があったんだ?


 「いい加減にしろ。アレは事故だ」


 「・・・でも、ボクがもっとこの力を「後悔は後でいつでもできる。だからお前はバカなんだ。お前の仲間を頼れ。今回のことは強いて言うなら一人で何とかしようとしたお前の責任だ。それを次に活かせ、ソラ」・・・」


 何があったんだろう?

 だが、コレは俺のような部外者が聞いていい話じゃないと思い、俺は何も聞かなかった。

 この空間をなんともいえない雰囲気が支配する。


 「ソラ~!!」


 「げぶぅ!?」


 「・・・またか」


 ・・・一瞬で吹き飛んだ。

 状況としてはソラさんに白髪の少女がタックルして、ソラさんは押し倒されている。

 でも、ログさんの反応をみるといつものことらしい。


 「何で帰ったの!?」


 「いや、颯太さんに今日は帰ってもいいって言われたから・・・」


 「一緒に帰れないよ!」


 「いや、ほぼというか今日以外は常に一緒だよね。それに君には一応好きな人がいるとボクは聞いてるし、こんなことをするのはどうか・・・って、リカサン?その拳は?」


 「ソ・ラ・の・・・バカァァァァアアアアアア!!!」


 「ぎゃぁぁぁぁああああああ!!!??」


 ビンタされただけのはずなのにソラさんは窓を突き破って外に吹っ飛ばされた。

 ・・・この人がシュウの言ってたリカさんとやらか。やたらと怪力な魔物の少女。


 「・・・ソラさんにコレを言ったほうがいいのでしょうか?」


 リカさんのソラさんに対する気持ちとか。


 「いや、面白いからやめろ」


 ・・・そうですか。

 表のほうはがやがやとうるさいが、そこから「またか」とか「さすがだな」とか「この野郎いつか殺す」とか聞こえる。おそらく、日常的な光景なんだろう。


 「まぁ、あいつがここに残るのがそんなに不思議なら本人に聞け。あいつはちゃんと教えると思うぞ?」


 やはり、詰まるところ、それが一番いい手段なんだろう。

 俺は自分のやったことに気づいてリカさんがソラさんのところに走っていくのを見ながらそう思った。



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