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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
3章 ≪すくーる・ぱにっく!?≫
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5話・MARMOT

―――side樹

 「・・・で、急遽ここに集合と。そういうわけか、シュウ?」


 「本当にすみません」


 「まぁ、おぬしはそんなに迷惑をかけるようなやつではないしの。それに今回ばかりは仕方が無い」


 皆さんにご迷惑をおかけしました・・・。

 ここは理事長室です。

 今回だけは授業どころではないので全員サボりました。

 優子さんはどこでしょう?


 「まぁ、シュウ君のせいじゃないよ~」


 「そうだ、コレはうちのバカ姉のせいだ」


 「コレを解くですぅ!」


 縄でぐるぐる巻きにされた私の友人が叫びます。


 「ダメです。解けばソラさんを襲うでしょう?」


 「もちろんですぅ!!」


 「何でボクが襲われてるの?」


 「・・・貴方、死ぬ?」


 「リカ、とりあえず落ち着きなさい。この子がビビってるわ」


 「ビ、ビビってなんかいないですぅ!」


 はぁ・・・。

 疲れました。


 「とりあえず紹介します。私と同じ格闘術を学んだ双子の弟の劉小狼ルー・シャオラン、そして姉の桜香シャンホウです」


 「何で姉の私が最後なんですぅ!?」


 「シャンがバカだからだ」


 「シャオ!弟の癖に生意気ですぅ!」


 「シャン!いい加減にしてください!それで、貴方は何をどう誤解したんですか?」


 「してないですぅ!だってシュウの手紙に書いてあったですぅ!」


 ソラさんに襲い掛かるようなことを?

 ・・・別に書いてませんが?


 「・・・ちなみに?」


 「そのソラとか言うやつをベタ褒めしてたですぅ!」


 「・・・おい、お前、なんて書いたんだ?」


 「褒めるというよりソラさんはチートですと書いてただけです」


 「要するにソラの力の説明が一番大変だからそれを説明したらこの子が怒ったの?」


 「貴方にシュウは渡しませんですぅ!」


 ・・・何だかこの子はダメな方向にいろいろと考えがいってる気がしますね。


 「・・・この子はシュウにベタ惚れなの?てか、ソラはシュウをとったりしないと思う」


 「な!?べ、別にそんなんじゃないですぅ!!」


 「まぁ、否定はできませんね」


 「・・・ボクは初めてツンデレを見たよ」


 「こんな姉ですまない」


 「「「「「君も大変だね」」」」」


 「とにかく!ソラさんとやら!シュウとイチャイチャしないですぅ!!」


 「「してない(です)から」」


 「ウソですぅぅぅぅうううううう!!!!!」


 この子は・・・奥の手です。


 「シャン、私の言葉が信用できませんか?」


 「・・・信じるですぅ」


 「はぁ・・・。とにかく、何を勘違いしたんですか?」


 かなり怖いですがここは聞いてみましょう。


 「シュウと~、ソラって人が~、好きあって「≪紫電シデン≫!」はにゃぁあですぅ!?」


 「・・・シュウ、ボクはこの子にボクの性癖を汚された気がする」


 「私もです」


 「ソラ・・・そっちの趣味だったの?」


 「違う!ボクはリカみたいな美少女が好きだ!!」


 「ススススススススススススス、スキ!?・・・はぁ」


 バタ。


 「ちょ!?リカ!?って、ボクは触れない!誰か!って、シュウ!出番!」


 「・・・いえ、コレはシャンの得意分野です。シャン。私は女性が好きです。少なくともアブノーマルな趣味はありません。というわけでコレは貴方の誤解です」


 「・・・ゴメンですぅ」


 「では、縄を解きます。こちらの方を治療してください」


 「わかったですぅ」


 そういうとシャンはリカさんの近くに座る。

 そして、目を閉じると精神を集中する。


 「・・・ん?魔法なのか、な?」


 「ソラさん?いつの間に発動させたんですか?」


 そこにはオッドアイのソラさん。

 ≪月詠ツクヨミ≫が発動されてますね。


 「いや、このごろ魔法を感知すると勝手に起動するんだよね」


 「・・・アンタはまたチート化したのね」


 「ねぇねぇ、シュウ君。シャンちゃんは何をしてるの?」


 「彼女は気功士モンクといわれまして、『気』というのを操作。ま、言ってしまえば魔力なんですが、それを他人に分け与えて治療することができるんです」


 「え?魔力って人にあげれないの~?」


 「坂崎、お前の生命力を相手に渡すんだぞ?そんなことは普通できない。だが、それが可能なのがこいつの魔法系統。相手の魔力と同調シンクロして魔力を流し込んで自然治癒を高めるというものだ」


 「でも、颯太さんのは~?それによくわかんない」


 「≪月詠ツクヨミ≫使えばわかるんだけど、アレはあくまで外傷のみ。こっちは内側。つまりは疲労とかだね」


 「一応親父はコレと似たようなことができるがどういう仕組みかはわからん。それに親父曰く、本職には負けるらしい」


 「外の怪我か疲れの違い~?」


 「そういうことです」


 「俺には適正がなくてできませんでした。というか、格闘術もできて、薬剤師や治癒ヒールができる人が少なすぎるんです」


 「ですが、彼女は自分の気を操作することで自分の身体能力も上げてます。」


 「・・・だからシュウみたいなことができたんだね」


 「終わったですぅ」


 「・・・う~ん・・・ソラ!さっきのホント!?」


 「起きて早速それ!?って、触ったら!?」


 リカさんは思わずソラさんに詰め寄って手を握ってしまいました。

 そして、ソラさんの顔が真っ赤に。


 「り、リカ・・・離れて・・・って、ムリ」


 「きゃっ♡」


 そういうとソラさんはまるでリカさんを押し倒すようにして倒れます。そしてリカさんはここぞとばかりにぎゅっと抱きつく。

 ・・・熱々ですね。


 「・・・この二人は恋人同士ですぅ?」


 「いえ、付き合ってはないんですが・・・いや、限りなくそれに近いですね。まぁ、今は訳あってソラさんはホレ薬を飲んでしまって・・・ですが症状が悪化してきましたね」


 「このソラとやらはトラブルメーカーなんですか?」


 「むしろ巻き込まれ体質よ」


 「・・・しゅ、しゅう、コレ、ムリ。昨日、ガマン、限界」


 そういうとまたソラさんは気絶してしまいました。

 ・・・さっきの話から推測すると、どうもリカさんが触れたとたんに理性がいろいろと大変なことになるそうですね。


 「・・・っち」


 「女の子が舌打ちしちゃダメだよ~」


 「おい、お前のせいでソラが倒れたぞ?」


 「いっそのこと押し倒してその先もしてくれれば規制事実が・・・」


 黒いですね。


 「シュウ!私にもその薬くださいですぅ!」


 「ダメです」


 「何でですぅ!?」


 絶対に私に使おうとしてますよね?


 「アレは偶然できてしまったものです。解呪薬を作るのに必要ですので余分などありません」


 まぁ、うそですけど。

 泣いてますが無視します。

 どうせウソ泣きですし。


 「ですが、何故気絶するんでしょう?」


 「どういうことだ?」


 「いえ・・・さっきの話から推測すると、ソラさんは昨日も理性を保ったままでしたが、昨日からもいろいろと戦っていたようですね・・・薬の効果と」


 「なんと言うか変じゃないか?ソラの解析が正しけりゃ魔法薬は飲むとそいつの魔力と同調して抵抗なんかできないはずだ。つか自分の魔力を抵抗する意味が無い」


 そうです。だから、ソラさんが抵抗したのはおかしいんです。

 ・・・確かめるべきでしょうか?


 「・・・実験しましょう。ほんの少しだけ薬を投与します。ちょうどいい被験体がいますから」


 「それ誰~?」


 「シャンに決まってるじゃないですか」


 「え?私はいいですぅ!」


 ダッ!


 甘いですね。

 ここにいるのはチートな方々ですよ。

 それに既にアイコンタクトは済ませてあります。


 「≪鎖の闇輪舞チェイン・ダークネスロンド≫」


 「うにゃぁですぅ!?」


 「ありがとうございます」


 「・・・シュウ、アンタなんでこの子にはそんなに鬼畜なの?」


 「迷惑の塊トラブルそのものだからです。せい!」


 「ガボ!?」


 とりあえず、私はシャンの目を手で覆い隠します。

 おそらく、コレは最初に見た人に恋愛感情を抱くはずです。

 ・・・この人ですね。


 「ん?どうしたんじゃ?」


 「先日の恨みです!!」


 私はシャンの顔を龍造さんに向けます。

 そして、シャンは龍造さんを凝視。


 「・・・」


 「・・・シュウ。何をしたのじゃ?」


 「いえ、少し薬の実験台に・・・」


 「きゃぁぁああああ!!そこのおじ様!愛してますぅ!!」


 「ぐぅお!?鎖が外れる!?」


 なるほど、本来はこうなるはずだったんですか・・・。

 なら、考えられる可能性はなんでしょう?

 ・・・まぁ、今はなんともいえません。


 「ぬぉぉぉぉおおおおおお!?発動じゃ!!」


 龍造さんは得意の結界魔法でさらにリュウさんの拘束魔法とともにシャンの自由を奪います。


 「シュウ!何をするんじゃ!?」


 「日ごろの恨みに決まってるだろ、アホジジイ」


 ・・・とりあえず、コレで解呪薬の実験台モルモットの用意もできました。

 やはり、一刻も早く薬を完成させる必要がありますね。

 まぁ、リカさんならむしろこうなったほうが喜ぶ気がしないでもないですが・・・。


 「シュウ、アンタ今、ものすごく黒いことを考えてない?」


 「いえ、ただ運よく実験台が用意できたと思ってるだけですよ」


 「ねぇねぇ、シャオ君はお姉さんが実験台にされてもいいの~?」


 「俺はいいです。特に問題はありません」


 「・・・お前等何気に鬼畜だな」


 「「だってシャンですから(だからな)」」


 まぁ、とにかくです。コレでいろいろと実験ができます。

 ですが、わからないことがまた出てきました。


 「なぜ、ソラさんは中途半端にしか効いてないんでしょう?」


 「こいつがチートだからじゃね?」


 「・・・今回はそういうことにしておきましょう」


 「アンタ、それでも医療に関わる人間?」


 「でも、それ以外に説明がつかないよね~」


 「・・・考えてもしょうがないですね。シャン。貴方はソラさんのほうもお願いします」


 「えぇ~やだぁ~ですぅ。というか無理ですぅ。おじ様ぁ~」


 ・・・そういえば拘束されたままでしたね。薬がいろいろと効いてますし。


 「さっさとしろ。バカ姉」


 「バカって言うなですぅ!バカって言ったほうがバカなんですぅ、このバカ!」


 「ソラはアタシが看病するの、バカ!!」


 「・・・不毛ね」


 「この方たちは放っておきましょう・・・それに、シャンの拘束を解くと大変なことになるので、この状態で私の部屋に転移してくれませんか?今日はシャオも寮に泊めます。大丈夫ですか?」


 「俺達は問題ない。だが、いいのか?」


 「大丈夫じゃ!というわけですぐに送るのじゃ!」


 龍造さんは結界に入ったままシャンをおそらく私の部屋に転移。

 何度見ても思うんですが、結界でどんな魔法をしてるんでしょう?


 「すみません。ありがとうございます」


 「では、リカさん。ソラさんを頼みます。私達は授業に戻りましょう。」


 「わかった!!・・・フフフフフ」


 ・・・ソラさんがいろんな意味で危ない気がします。

 ですが、ここで別の人が運ぶとなると確実に惨劇につながります。

 しょうがないです。

 ・・・それに、リカさんはちゃんとわかっているんでしょうか?


 「おい、まだ午前中で授業中だ。さっさと教室に戻って授業を受けるぞ」


 「は~い」


 「わかりました」


 「アタシはソラを保健室に連れてく。それでついでに・・・」


 「・・・いや、ダメだからな?つか、オレもついていく」


 「え~わたしはサボりたいんだけど?」


 「・・・優子さんかの?冬香ちゃんはお前と拳で語り合いたいそうじゃが?」


 龍造さんはケータイを取り出すと優子さんに地獄への片道切符の手配をしていますね。


 「授業に行くわよ!」


 そう言うと冬香さんは誰よりも早く理事長室を飛び出していきました。


 「シュウ。俺はどうする?」


 「龍造さん。シャオはどうします?」


 「・・・おぬしのクラスでも見学させればよいじゃろう」


 「いや、さすがにそこまでは・・・姉が迷惑をかけたのに・・・」


 「大丈夫ですよ。ここにはそれ以上に迷惑をかける魔王がいますから」


 「酷いいわれようじゃな」


 龍造さんはそう言いつつ私のクラスの担任にここの内線電話で連絡を取ろうとしています。

 私はそういう魔王様を無視して、シャオを自分のクラスに連れて行きました。


 「ホントにいいのか?」


 「大丈夫です。ここは魔王が支配する学園ですよ?」


 「・・・どのあたりが大丈夫なんだ?」


 まぁ、わからないのも仕方がありません。

 そのうち、嫌でもわかります。

 クラスで転入生よろしく質問攻めにあってしまうのは確実ですね。



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