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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
2章 ≪学園編≫
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21話・MOON LIGHT

―――side空志

 「・・・マジでどうしよう?」


 ボクは足元にすり寄ってくる小動物達を撫でながら言う。


 「・・・お前は何がしたかったん、だっと!」


 リュウが敵の鳥の攻撃をさばきつつ聞く。


 「いや、前、朱雀は途中で普通になったんだ。だから大丈夫かなぁ~って思ったんだけどさ。≪雷燕ライエン≫!」


 ボクは全体に攻撃しつつ、かつ、動物たちを愛でながら応える。


 「ソラ。あの時は何故か力が強かったんでしょ?何か力が強くなる条件があるんじゃない?」


 大鎌でリカは亀を切り刻もうとしている。


 「う~ん。前の条件~・・・何だろう?」


 「こう言うのは普段と違うことをとにかくあげればいいのよ、発射ショット!」


 「ですと・・・街中、夜、茜さんたちがいた、買い物の途中・・・ぐらいでしょうか?」


 「後、強いて言うなら目のコントロールが効かない」


 ・・・。

 よし、結論が出た。


 「「「「「「・・・全部関係ない」」」」」」


 「お前たち余裕だな!・・・爆!」


 魔術符がこちらに放たれ、言葉と同時に爆発する。

 でも、みんなはそれぞれのやり方でガードする。


 「・・・やはりやるしかないか・・・」


 そうつぶやいたのが聞こえた気がした。

 その言葉を聞いてか、敵の召喚獣―――いや、陰陽師だから式神か―――がボク等を囲んだ。ちょうど、正五角形になるように。


 「コレは雰囲気的にヤバイわよ!鈴音!さっさとコレを解除しなさい!」


 「―――逆の理を今ここに示せ」


 冬香が言った時にはすでに詠唱をしていたようだ。

 普段のフワフワした雰囲気からは考えられないほどの真剣な表情。

 だが、ボクは視てしまった。


 「これ、詠唱しなくてもできる!?」


 「何だと!?」


 「≪五行相成≫!」


 五属性の魔力がボク等の周りを円を描くように流れる。

 魔力が循環し、エネルギーが膨れ上がる。

 ボクは構成を視てヤバいと感じ、ボクも魔術府を四枚取り出し、ボク等を囲むように投げる。


 「≪月界ゲッカイ≫!」


 ボクの言葉で立方体の月の結界が張られたのと向こうの魔力が襲いかかってきたのは同時だった。敵の魔力は突然ボク等に牙をむき、ボク等に向かって殺到する。


 「おい、ソラ!大丈夫なのか!?」


 「核爆弾を止める方が楽かも・・・」


 正直、見た目は地味だが、ボクにかかる魔力の破壊エネルギーがハンパない。一瞬でも気を抜くと結界が壊れそうな気がする。実際、周りは破壊の際に散ったアリーナのフロアの木くずや、周りの壁等を破壊している。

 コアを潰せば終わる。けど、そんな余裕はない。


 「この魔法はまだ終わらないの!?」


 「無駄だよ。これはマナも使ってる。何時間もできると思うよ。さすがは日本の魔術。気の流れってヤツだね」


 「鈴音さん!あなたの方は!?」


 「できた!≪相殺結界アンチ・エリア≫!」


 ボクの結界の内側にスズの結界が張られる。

 それと同時にボクの結界と敵の魔法が強制的に破壊された。


 「甘い!」


 敵がボク等に突っ込んでくる。

 だが、かなり速い!

 これはシュウに匹敵する!?

 スズの魔法は魔法にしか効かない!


 「それは魔法にしか効かないんだろう!!」


 バレてる!?

 こいつ、強い!


 「私が行きます!」


 そう言うとシュウは素早く薬を飲む。

 おそらく、肉体強化の薬だろう。

 シュウの動きが格段に速くなる。


 「ふん!」


 「ハッ!」


 二人の拳が激突する。

 いや、敵は手に何らかの魔術を施している。でも、ボクはよくわからない。でも、一つだけわかる、敵の拳の威力がどんどん上がってる。


 「シュウ!そいつなんか魔法を手に使ってる!」


 「・・・五行拳ですか?」


 「よくわかったな」


 「これでも格闘専門なので!」


 激しい拳のぶつかり合い。

 ボク等はそれに見入ってしまった。


 「だから、甘い。やれ!」


 式神達がボク等に攻撃をしてくる。

 完全にボク等は不意を突かれた。


 マズい!


 みんながそう思った。

 でも、行動に移せない。


 「ソラ!リカ!お前らだけでも回避しろ!」


 無理だ。

 今回はさすがに・・・。

 いくらボクでも零距離に近い攻撃は避けられない。

 相手の朱雀が炎を巻き起こし、青龍が木を生やして攻撃、玄武が水を操り、白虎はこちらに突撃しようとし、麒麟は地面を割って攻撃しようとする。

 避けれない。

 みんなもそう思っただろう。

 この状況で助かるのは少し離れたところで戦ってるシュウだけ。

 みんなはそう思った。


 バチバチッ!

 ゴウッ!

 ボンッ!


 突然、雷と風と炎が巻き起こった。

 それによって敵が吹っ飛ばされる。


 「何が起きた!?」


 「ソラ・・・か!?」


 リュウがなんか驚いてる。

 でも、ボクは残念ながら魔法を使ってない。


 「違う!ボクじゃない!」


 「でも、雷に風に炎だ・・・よ~!?」


 「アンタ以外にあり・・・得ないわよ!!」


 ・・・なんでみんなはボクを見て驚いてるの?


 「ソラ!?その子たちは!?」


 リカがボクの腰辺りを指す。


 「え?その子達ってぇぇぇぇええええええ!?また!?」


 何というご都合主義。

 ボクが召喚した小動物が大きくなった。

 朱雀は以前のような鳳に、雷狐と風狸は全長2メートルほどもあるサイズに。


 「なんでまた急に!?」


 「・・・そうか!さっきと違うことだ!」


 「何よ?どういうこと?」


 「お前が言ったんだろ!普段と違う内容!オレ達は普段、学校の訓練場で魔法を使う」


 「それがどうしたの~?実戦はいつも外だよ~?」


 「だが、大抵昼間。つまり、太陽が出てる時だ」


 そう言えばいつの間にか暗くなってる。

 さっきまでは電気がついてたけど向こうの魔法でほとんどの壁と天井が破壊されて、もはやここは屋外と化し、時刻は夜だ。

  そして、見上げた夜空には煌々と三日月が輝いていた。


 「まさか、ボクの月属性は三日月になると力が強くなる?」


 「少なくとも今はそうだろ。ひょっとすると月の光を浴びていることが条件なのかもしれない」


 「でも、こういうときって普通は満月だよね~」


 「こいつは中途半端なのよ」


 「でも、ソラすごい!」


 「ま、とにかくだ。オレ達にも勝機が出てきた。シュウ!」


 「何ですかッ!?」


 「お前はそいつの相手をしていろ!こっちはオレ達が片づける!」


 「むしろこの方を倒しておきます!」


 「小癪な!」


 激しい殴り合いを続けるシュウ。

 今回は薬の重ねがけはつらそうだ。


 「でも、シュウなら大丈夫。じゃ、ボク等はこっちに集中しよう」


 ボクは敵の式神に向き直る。

 そして、素早く誰がどの式神をやればいいのか考える。


 「ボクは玄武。リュウとリカは白虎。冬香は麒麟。スズと朱雀、雷狐は青龍。レオと風狸は敵の朱雀だ」


 「よし、リカ。頼むぞ」


 「リュウも足引っ張んないでよ!」


 「わたしは一人なわけ?楽できないじゃない!」


 「スーちゃん、ライちゃんがんばろうね~!」


 雷弧と朱雀は何だかあだ名をつけられて首をかしげている。

 レオと風狸はなんか上下関係ができたのかレオの態度がでかい。


 「ま、全員行くぞ!」


 ボク等は戦闘を開始した。



―――sideリカ

 アタシとリュウは目の前にいるこの無駄にでかい白虎の相手だ。

 この虎はやたらとスピードが速い。

 だから、ソラはこの中でシュウの次に高速戦闘ができるアタシと、それの援護ができる技量を持つリュウをチョイスしたのかな?


 「じゃ、ソラの考えはお前のことだからわかってるよな?」


 「アタシを誰だと思ってるの?ソラのカノジョ(予定)なんだから!」


 その言葉と同時にアタシが白虎に突撃する。

 アタシと白虎はほぼ同じスピード・・・いや、向こうの方がホントに少しだけ速い。

 でも、この差は大きい。

 だから、アタシはそれをカバーする。


 「吸血呪≪血濡れの大鎌デスサイス≫!」


 これは前にも言ったけど武具の召喚魔法じゃない。あくまで無数の衝撃波を飛ばす魔法。でも、使いやすいように魔法で自分にあった武器を魔力で生成する。具現化マテリアライズに近いけどこれも違う。あれは本当にすごすぎる。まさにソラにぴったりな魔法だと思う。でも、ソラはあの魔法の真骨頂を知らないみたい。

 っと、そんなことより目の前に集中集中。

 アタシは鎌を袈裟斬りに振り、さらに返す。すると、ソラが作ってくれた大鎌、『クレセント』から衝撃波が発生し、敵を切り刻もうとする。

 だが、敵は持ち前のスピードでかろうじて避ける。


 「だが、甘い。オレを忘れている」


 リュウが敵の影から、ぬっと現れる。

 ソラに対してとどめになったあの魔法剣だと思う。

 そして、リュウは敵に魔力の刃を展開した双剣で斬りつける。

 だが、それも俊敏な動きで回避された。


 「チッ・・・いくらなんでも速すぎる!」


 「でも、リュウの攻撃は完全には回避できてないよ」


 リュウは敵の胴体部分に斬りつけることに成功している。

 斬りつけたところからは魔力のようなものが白い粒子となって空気中に霧散して言ってる。でも、それも少しすると傷口がふさがり元通りになった。


 「あれってダメージ受けてるの?」


 「・・・わからん。あいつみたいにコアを破壊できたらいいんだがな」


 「・・・なら、吸血呪≪血の舞踏ブラッディ・ダンス≫!」


 アタシは鎌を白虎に投げる。

 もちろん、それは簡単に避けられる。


 「魔法剣≪影打ち≫」


 いつの間にかリュウはまた敵の背後に。

 そして、さらに続ける。


 「魔法剣≪影縫い≫!」


 リュウは剣を敵の影に突き刺す。

 どういう原理かわからないけど敵は動けなくなったみたい。

 これなら確実に当てれる!

 アタシが鎌を操作し、ブーメランのように鎌が白虎に戻ってくる。


 「離れて!≪終演フィナーレ≫!」


 リュウが魔法剣を解除。それと同時に思い切りバックステップを踏む。

 アタシはそれに合わせて発動させる。

 音のない爆発。黒い光が破裂する。

 そこにはまたも尋常じゃない速さで左後ろ脚を持ってかれただけの白虎がいた。

 それもすぐに再生してしまう。

 ・・・そう言えばクレセントって壊れないの?

 すると、クレセントが手元に突然出現した。


 「・・・ホントに速い。リカ、オレが拘束系の魔法を使う。それまで時間を稼げ」


 「おっけ!」


 アタシは白虎に突撃!

 白虎もアタシに攻撃をしてくる。

 強靭な爪で攻撃され、鎌がひらめく。

 ここまで苦戦したのはシュウ以来かな?

 ・・・でも、そう言えばソラの血をこの頃飲んでなかったな~。

 後でもらおう。


 「・・・お前の考えが手に取るようにわかるんだが・・・余裕だな」


 「できたの?」


 「決まってるだろ、そいつを空中に吹っ飛ばせ」


 「おっけ!」


 アタシは足で思いっきり白虎の腹のあたりを蹴り上げる。

 ほんの少しだけ浮き上がる。やっぱり重すぎる!


 「上等だ!≪鎖の闇輪舞チェイン・ダークネスロンド≫!」


 アタシは思いっきり後ろに下がる。その瞬間に闇の鎖が白虎を拘束し、締め上げる。


 「ちょっと!?アタシ巻き込まれそうだったよ!?」


 「お前なら大丈夫だ!・・・たぶん」


 白虎が大暴れしながら咆哮する。

 だが、リュウの闇の拘束魔法はギリギリと白虎を締め付ける。


 「じゃ、叩き斬るよ!」


 「誰に言ってる!魔法剣≪斬黒≫!」


 「吸血呪≪血濡れの大鎌デスサイス≫!」


 アタシとリュウの斬撃と衝撃波が白虎に襲いかかる。

 そして、白虎はなすすべもなくアタシ達の攻撃に切り刻まれる。


 ガァァァァアアアアアア!!!!!


 断末魔の叫びがあがる。

 すると、白虎は自分の体を維持できなくなったのか白い光とともにフッと消えてしまった。

 アタシ達の勝ち!



―――side鈴音

 「ライちゃん!スーちゃん!頑張って~!」


 わたしは雷弧ことライちゃんと朱雀ことスーちゃんと青い龍さんと戦ってます。

 って、言ってもライちゃんとスーちゃんが主に戦ってるんだけど。

 わたしはみんなと違って普通の女の子だからね☆

 お~!

 ライちゃんは雷で戦うんだ!

 すごい!ソラ君みたい!(←ボクが召喚したからね)

 スーちゃんも空中で青い龍さんと一生懸命戦っている。

 でも、やっぱり任せきりはダメだよね。

 よくわからないけど新しいのを使ってみよう!

 あれ?なんでライちゃんはこっちを見てるの?なんか元気なさそうだけど大丈夫?


 (・・・この子は大丈夫なのか!?)←雷狐の心の声


 「ま、いっか~。頑張ろうね!

  ―――わたしに悪意を持つ魔を祓え!

     それは鋭く、剣のように斬り裂く!

     幾千の刃によって、災いを討ち消せ。

     ≪逆刃千本短刀アンチ・サウザンドブレード≫!」


 わたしの杖、『ゆぐどらしる』に魔力が収束していくのがわかる。

 わたしはみんなの魔法と違って早口で読むと失敗しちゃう。

 だから、国語の朗読みたいにハッキリ大きく口をあけてしっかり発音しないとうまく発動してくれない。

 大変だよ~。

 でも、結構長い詠唱を頑張った!偉い!わたし!


 「へぇ~こんな魔法だったんだ~」


 そこにはわたしの魔力で形作られたナイフみたいなものがあった!

 これはすごい!

 そして、ナイフが敵に向くと、一斉に飛び出していく。

 それに気づいた青い龍さんは空に逃げる。

 でも、ナイフは青い龍さんを勝手に追って行って、そのままナイフが刺さる。


 ボシュ!ボシュ!ボシュボシュボシュボシュ!


 そんな音を立てながらナイフが刺さる。

 それに苦悶の声を上げる。


 「スーちゃん!ライちゃん!今だよ!」


 わたしがそう言うと炎と雷が奔る。

 それに青い龍さんは直撃。


 ギャァァァァアアアアアア!!!!!


 そんな叫びをあげると青い龍さんは消えちゃった。

 さっきの叫び声がまだ聞こえるような気がする。

 わたしの肩にスーちゃんが降りてくる。


 「・・・やっぱり、戦いはイヤだね」


 「「・・・」」


 つんつん。

 ぺろ。


 スーちゃんはわたしを優しくつつき、ライちゃんがわたしの手をなめてきた。

 ちょっとくすぐったい。


 「?・・・慰めてくれるの?ありがとう~」



―――side空志

 「さて、ボクはでっかいカメさんと行きますか!」


 ボクは腰の二丁の拳銃で早速撃つ。

 純粋な魔力が銃から何発も放たれる。


 ダンダンダンダンダンダン!!

 チュンチュンチュンチュンチュンチュン!!


 跳弾か・・・。やっぱり堅い。

 でも、ここまでは予想通り。

 だから、ここはボクが一番早くやっつけられる。


 「魔法陣展開!」


 ボクの右の銃、『ナハト』に黄色の紋様のようなものが出てくる。

 皆さんご存じ。あれですよ。

 ボクは玄武の上空あたりに銃口を向けて撃つ。

 銃口から黄色の弾丸が飛び出し、玄武の真上ではじける。そこには超巨大な黄色の魔法陣。


 「≪雨雷アマイカズチ≫!」


 ~~~~~~~~~~~~!!!!!


 いつも思うけどホントにこれはすごい。

 そこには悲鳴もあげれずにピクピクしている玄武。

 でも、すぐに光の粒子になって消える。

 じゃ、不安なスズの方に行くかな?

 いや、結構大丈夫そうだしレオの方かな?

 ・・・どうしよう?



―――sideレオ(三人称)

 そこには三匹の獣がいた。

 一つは赤色の鳥、敵の朱雀。

 一つは翼の生えた白い獅子、レオ。

 一つは緑の大きな狸、風狸。

 後者の二体が朱雀を睨み、威嚇をしている。

 先にレオが動く。

 まるで地面を走るかのように空を駆け上がり、俊敏な動きで敵に飛び掛る。

 だが、朱雀もその大きな翼でレオを吹き飛ばそうとする。


 ブワッ!!


 風狸を中心に風が巻き起こり、竜巻のようになる。

 その竜巻が朱雀に向かう。

 気流が安定しないところで空中戦をするのは無理だ。

 そこで、レオも朱雀も地面に降り立つ。

 レオは地面を風のように走る。

 だが、朱雀は炎の壁で進路を阻む。


 「がぁぁぁぁああああああ!!!」


 ちゅん!どぉぉぉぉおおおおおおん!!!


 咆哮覇。

 レオが使える遠距離攻撃。その破壊力はすさまじく、炎の壁は振り払われる。

 だが、既に敵はそこにいなかった。


 ゴウッ!


 風が後方で巻き起こる。

 レオはすぐに振り向く。

 そこには、朱雀が空中から風狸に攻撃を仕掛けていたところだった。

 だが、朱雀は風狸を甘く見ていた。

 風狸は風を操り、自分も空中に打って出た。そして、風の刃を飛ばして攻撃する。

 朱雀はおどろき、目の前のことにとらわれすぎた。

 レオが朱雀の後ろを取った。

 朱雀はそれに気づくが時既に遅し。


 ちゅん!どぉぉぉぉおおおおおおん!!!


 咆哮覇が直撃。

 あまりの威力に朱雀の胸あたりが消え去る。

 そして、爆発。

 そこには何も残っていなかった。



―――side冬香

 「・・・かったるいわ」


 「ブルルルルルッ・・・!」


 どうも向こうもわたしと同じ意見のようね。

 わたしの目の前には朱雀達をまとめる神獣と呼ばれる土をつかさどる馬のようなもの。麒麟を相手にしている。

 何で神獣相手に一人なの!?

 正直メンドイ。

 わたしが頭の中でソラに対して文句をぶーたれてると向こうは痺れを切らしたのか攻撃してきた。

 地面を前足でダンッと踏みつける。

 すると、地面が盛り上がり、わたしに襲い掛かってきた。

 甘すぎる。


 「コード≪氷地獄コキュートス≫!凍らせ、地獄を見せろ!開放ブート!」


 ギンッ!!


 周りが音を立てて凍る。

 周りの温度が急激に下がり、吐く息が白くなっている。

 わたしはキーボードに指を滑らせ、次のプログラムを展開させる。

 すると、地面から槍のようにとがった氷の塊が出てくる。

 そこからわたしと同じぐらいの大きさの氷でできた人形が何体も出てくる。

 キーボードをたたく。

 人形が輪を描くように麒麟を囲む。

 麒麟はこの魔法に何かを感じたのかわたしに攻撃しようとまた地面に干渉する。

 でも、こっちも大地の魔法使いよ!

 別のディスプレイを見て、敵の魔法に干渉ハックする。そして、発動を無効化させる。単純なものなら簡単に消せる。時間がそれなりにかかるけど。

 ま、後は最期の仕上げね。

 キーボードの上を指が踊るように動く。そして、『起動鍵盤エンターキー』を押す。

 魔術が発動。先ほどよりも温度が急激に下がる。

 人形たちの一部が一斉に魔法を放ったからだ。

 それは麒麟を一瞬で氷付けにした。

 さらに残りの人形達が氷で大きな槌を作り出し、それを氷付けの麒麟に思い切りたたきつける。すると、麒麟の氷は麒麟もろとも砕け散った。


 「こんなもんかしらね。・・・あ~久々に使ったから指が痛いわ」




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