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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
2章 ≪学園編≫
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20話・ORIENTAL MAGIC

―――side空志

 「・・・いた。・・・あなたが三谷君ね」


 突然、後ろから声をかけられた。

 そこには、間学園の制服を着た、見た感じ小学生の女の子がいた。パソコンで何かしながらボクに声をかけたのか、目はパソコンに向いている。

 ・・・・・でも、何で小学部のほうの体育館にいないんだろう?てか、なんで高等部の制服?


 「お、タイミングがいいな、宇佐野」


 ・・・え?


 「この見た目小学生の女の子が宇佐野さん!?自力でボク等の秘密に近づいた情報屋!?ウソだ~」


 「・・・三谷空志。10月21日生まれのてんびん座。血液型はO型。家族構成は父、母、妹、祖父の五人家族。彼女いない暦=自分の年齢。学校の成績は「なるほど!信じるよ!」・・・フッ」


 全て正解。・・・なんか鼻で笑われたけど気にしない。

 確かにみんなに聞いたとおりすごい情報収集能力だ。


 「お前な、別に成績が最低なのは全員が知ってることだぞ?しかも坂崎と同じでビリだ」


 そういえば龍造さんにやられたな。

 ・・・後で鉄拳制裁だ。


 「で、あの話の続きを教えてくれ」


 「・・・これ」


 そういうとボク等にパソコンの画面を見せる。

 そこにはこの町の商店街とかコンビニの中が移された映像があった。


 「この町の監視カメラの映像」


 「・・・ハッキングですか?」


 「それ以外に何があるのよ」


 「・・・乙女の特殊能力」


 「いや!?そんな特殊能力ないよ!」


 「・・・案外あるかもよ~」


 いや、どこに!?


 「まず、ソラ君の危機回避スキルとか」


 ・・・なるほど。


 「アンジェリカさんの三谷君レーダーとか?」


 「なにそれ?ボクははじ「ソラ!それよりこっち!」あ、うん」


 なんかリカに強引にパソコンに視線を戻させられた。

 ま、確かにこっちの方が重要だしね。


 「・・・この映像」


 そこにはボク等が対峙したときと同じ格好の五属性の魔法使いが映っていた。

 どこかを歩いて移動してるみたい。


 「・・・コレが位置」


 宇佐野さんがパソコンを操作すると、今度は地図が現れる。この町の地図だ。

 そして、地図には赤い点が一つ点滅している。


 「要するにここにいると」


 宇佐野さんはパソコンをたたみつつうなずく。


 「以上がワタシの調べた情報だよ☆」


 ・・・この人誰?

 さっきまで無表情というか超クールというか・・・そんな感じだったよね?


 「お前、パソコンを前にすると人が変わるのか?」


 「え?ワタシ普通だよ?」


 首をかしげて疑問符を浮かべる宇佐野さん。


 「・・・もう、コレは筋金入りの変人ね」


 冬香の言葉にみんなはうなずく。

 ま、敵のおおよその場所はわかった。


 「じゃ、敵と直接対決と行きますか」



―――side??

 ・・・実験は成功だ。

 だが、一部のヤツがコレに対抗している。

 おそらくはあのオッドアイの少年だろう。

 ・・・不安要素は俺がじきじきに潰すか?

 だが、ヤツはバケモノだ。どうすればいい?

 そのとき、俺は周辺に張った結界に異変を感じた。

 ―――侵入者だ。

 なんとなくだがやつらの気がする。

 ついさっき多くの兵を倒したにも関わらず、もうここまで突き止めたか。

 なら、迎え撃つまで。今回は用心に用心を重ねた。

 不足の事態にも何とか対応できるだろう。

 俺は魔法を展開させておく。



―――side空志

 「で、ここが居場所なわけだ」


 「みゃ」


 ここは市の体育館。

 ・・・戦いやすそうな場所を選んだもんだね。


 「そうらしいな」


 リュウが答える。

 ちなみにここにいるのはいつもの六人とレオ。

 インチョーと田中、智也さんは体育館の警備に勤めてもらっている。


 「それにしてもやけに静かね」


 そういうのは冬香。

 確かに冬香の言うとおりやけに静かだ。


 「う~ん・・・・・なんだか罠みたいだね~。こう、そこらへんからバ~ってさっきのカードの敵さんが出てきそう?」


 そう、スズが言った瞬間に体育館の入り口から近くの木陰からとにかくいろんなところからさっきの敵が出てきた。


 「「「「「「・・・」」」」」」


 ボク等はとりあえずスズを睨んでおく。

 レオも心なしかジト目だ。


 「・・・テヘっ☆」


 「後で全員になんかおごれ。つか、前の分も忘れてたな」


 リュウの言葉にふぇ~んとウソ泣きをするスズを無視して敵を見る。

 ・・・無駄に数が多いな。


 「・・・冬香。何とかならない?」


 「・・・どうかしら?」


 冬香は適当に答える。

 でも、ボクは知っている。


 「・・・冬香、それの作成者はボクだ。さっさと本気でこいつらを蹴散らして」


 みんなは不思議そうな顔をしている。

 冬香はその言葉を聞いて不適な笑みを浮かべる。


 「いいの?全員の出番なくなるわよ」


 「いいよ。それぐらい。それに敵は冬香をそんなにマークしてないだろうしね。ほとんど意味無いからね。あのカード持った敵には」


 「それもそうね。魔法が聞かないし。じゃ、わたしの本当の力を見せてあげるわ。めったに見れないんだから感謝しなさい!数宝珠、起動!」


 冬香は初めて・・・数宝珠を起動させた。

 いや、今までも起動はしてた。でもそれは待機状態ウェイトで、だ。完全稼動フルは今回が初めて。

 みんなも驚いている。

 そこにはパソコン。魔力で構成された大きなキーボードとウィンドウのような物が六つ展開され、それぞれにいろいろなことが書かれている。素人のボクにはわからない。そして、冬香はキーボードを目にも留まらない速さでたたいている。

 さて、冬香は何をするのかな?


 「コード≪巨人ギガント≫!大地と氷結の巨人を展開せよ!」


 パソコンの画面から0と1が並ぶ帯が幾本も地面や空中に伸びる。


 「開始ブート!」


 その言葉と同時に魔力が大暴れする。

 帯がある地面が次第に持ち上がる。そこから土でできたずんぐりした巨大な人形が何体も現れる。

 だが、それだけに終わらない。空中に伸びた帯からも水が集まり、人の形を成す。そして、それが一気に氷る。それは氷でできたクリスタルを繋いでできたような人形。


 「どうよ。わたしの≪大地の巨兵ガイア・ゴーレム≫と≪氷結晶の人形クリスタ・ドール≫は?」


 みんなは口をあんぐりあけて驚いている。


 「・・・冬香。そんなことができたの?」


 「スゴーい!」


 「・・・一人で戦争ができるんじゃないですか?」


 「もはや数の暴力だね」


 「なんでオレと戦ったときはコレをしなかったんだ?」


 「ケータイじゃ容量キャパが足りなかったのよ。かといってでかいの持ってくるのは逃げる敵にとっては好都合だしね」


 そういうと冬香はキーボードを操作。

 一斉に土と氷の人形たちが敵の人形を潰しにかかる。

 ・・・ここで戦争が起こってるみたいだね。


 「さ、ここはこいつらに任せて先に行くわよ」


 「「「「「了解」」」」」


 そして、中にボク等は入っていった。

 先頭はボク。敵の魔力を視てその方向へ向かう。

 中は電気がついてなくて暗かった。

 でも、別に見えないわけじゃない。

 ・・・でも、不意打ちとかされたら嫌だなぁ。

 ボクはいくつかの魔法陣を展開。


 「≪焔鳥ホムラドリ≫」


 炎の鳥が出現する。そして、身にまとう炎が周りを照らす。

 そして、ボク等の周りをパタパタと飛び回る。


 「ソラの魔法って便利だよね。でも、コレって攻撃用の魔法じゃないの?」


 「う~ん・・・別にそういうわけじゃないんだけどね。コレはあくまで意思を持った魔法。攻撃以外にも防御や偵察、警戒なんかもできる」


 「ほ~。で、今は警戒させてるっつーわけか」


 「さすがですね。他の動物タイプもそうなんですか?」


 「まぁ、そう。でも、魔法によって違うけどね」


 ≪焔鳥ホムラドリ≫はバランス型。

 ≪雷燕ライエン≫はスピード型。

 ≪八岐雷大蛇ヤマタノオロチ≫は戦術系攻撃型。

 まぁ、実は後二つほど考えてあるんだけど・・・・・それは機会のあるときに。


 「でも、何だかわたし達よゆーだね。」


 「いや、罠があるのがわかりきってるだけだからみんな開きなおってるんだよ。」


 そして、ボク等はとある扉の前に立つ。

 扉の上にはプレートがあり、そこには『アリーナ』と書かれていた。

 ボクはみんなを見る。

 みんなは首を縦に来る。

 よし。ラスボスとご対面だ。


 「この扉を壊して」


 ボクの言葉に炎の鳥たちが反応し一匹が扉をぶち破る。

 扉の向こうは電気がつけられていた。そして、ボクが暴走したときに対峙したあの人がいた。

 今回も黒のフード付きのローブを着ている。


 「よくここがわかったな」


 「御託はいい。オレ達が言うことは唯、一つ。投降しろ」


 「無理だな。俺にはこの研究成果を持って帰らなくてはいけない」


 「こんな似非エセ魔法を?冗談。生命力を魔法力に変換して使用なんて使用者のリスクが高すぎる。それは、もはや邪法だね」


 「「「「なんだと!?」」」」


 ・・・そういえばリカはあん時あそこにいたから知ってたけどみんなは必死に戦ってたから知らないのか?


 「何故それを知っている!?」


 ばらしていいよね?

 ボクはみんなに目で聞く。


 「「「「「いいんじゃない?」」」」」


 「適当な返事をありがとう。ボクは月の属性の魔法使い。三谷空志」


 「・・・そうか、最近噂に聞く・・・まさかお前のようなガキだったとは」


 ・・・なんかボクのこと知ってるっぽいよ?


 「まぁ、アンタが何を知ってるのかわからんがこいつはチートだ。オレ等もな。だからさっさと投降しろ」


 「噂なんぞ尾ひれがいくらでもつく。お前等なんか俺が潰してくれる」


 その言葉と同時に相手の魔力が解放される。

 ボク等も構える。


 「シュウ、リカが前衛。リュウはそのサポート。スズ、冬香は後衛。ボクはとりあえず後衛二人のガード。全員、全力で勝て!」


 「「「「「了解!」」」」」


 その言葉と同時にシュウとリカが相手に高速で近づく。


 「魔法剣≪闇刃やみば≫、≪鞭刃べんじん≫!」


 リュウは魔法剣を使う。

 まず、短くなった剣に魔力の刃が纏いつき、それが鞭のように伸びて敵を攻撃する。

 それに合わせてシュウが手甲ガントレットをはめた手で敵を掌打。リカは大鎌で敵を斬り裂こうとする。


 「結!」


 一言叫んだだけだった。

 だが、相手はそれだけで半球状の結界を張った。

 いや、周りに魔術符が舞っている。


 「さすがに六対一は卑怯だろう?俺も手ごまをそろえる。」


 そう言うと相手はまた、懐から五枚の魔術符を取り出す。


 「―――我が喚びかけに応えろ!

     朱雀!玄武!白虎!青龍!麒麟!」


 そういうと、魔術符を投げる。

 カードが眩い光を放つ。そして、そこには赤い鳥、黒い亀、白い虎、青い龍、角の生えた馬がいた。


 「コレで六対六だ」


 「・・・そういうことか。お前、陰陽師だな?」


 リュウが言う。

 ボクも気づいた。

 陰陽道。その中には五行と呼ばれるものがある。

 木、火、土、金、水。この五つのことだ。

 五行はこの順番どおり循環していると考えられている。

 木から火へ、火から土へ、土から金へ、金から水へ、水から木へという具合に生成されている。つまり、敵の前回の魔法は、コレを利用したものだったわけだ。


 「じゃ、どうするの~?向こうも六人になっちゃったよ~」


 「・・・こうする。冬香!」


 「行くわよ!」


 その言葉にリカとシュウが離れる。


 「≪雷燕ライエン≫!≪焔鳥ホムラドリ≫!行け!」


 「コード≪槍衾ファランクス≫氷の槍を精製!開始オープン発射ショット!」


 ボクと冬香も容赦はしない。

 ボクは鳥達が。そして、冬香は氷の槍の弾幕。それが敵を攻撃。

 だが、敵は傷一つつかない。

 ・・・さて、どうしたもんか。


 「終わりか?ならばこっちから行く!お前たち、行け!」


 「冬香!数の暴力で行こう!」


 ボクはそう言いつつ、いくつかの魔法陣を展開。


 「何よそれ!?コード≪巨人ギガント≫!大地と氷結の巨人を展開せよ!開始ブート!」


 「≪八岐雷大蛇ヤマタノオロチ≫!」


 ボクと冬香が魔法を発動させると、氷と土の人形、八つの頭を持つ雷の大蛇が出現した。


 「「行け!」」


 もはや大戦争。

 ・・・いや、数ってすごいね。


 「・・・オレ達の出番ねぇんじゃねぇの?」


 「ソラ~。がんばって~」


 「魔法薬の準備でもしておきます」


 「お菓子食べていい~?」


 ・・・。

 お前らは緊張感持てよ。


 「でも、残念なお知らせよ。敵の方が強い」


 「・・・マジで?」


 「わたしの方がすでに何体かやられたわ。全体の16%ね。」


 やっぱし、やらないとダメか?


 「・・・みんな時間を稼いで。」


 「ちなみに何をするつもりだ?」


 「目には目を召喚には召喚を、だよ」


 ボクは魔法陣を展開する。

 ・・・不安だから他のも実験がてらやっておこう。

 そして、ボクの目の前に三つの魔法陣を展開させる。一つはすでに完成していて、魔法陣には鳥を意匠化したものが描かれている

 よし、残り二つの構築開始!


 「何だ!?その魔力は!?白虎!奴を殺れ!」


 その言葉と同時に白虎がボクに突進してくる。

 って、速ッ!?

 レオより速いかも!?


 「させません!」


 シュウがボクと白虎の間に入ってガードしてくれる。

 助かったよ。

 ボクは続けて構築。


 「お前ら!全員行け!」


 「一人一体!全員でソラをガードだ!!」


 「「「了解!」」」


 リカが青龍に、そして、リュウは朱雀に、冬香は玄武に攻撃。

 スズは攻撃力がないからボクのそばで待機。

 ・・・あれ?なんか一体麒麟がこっちに向かってきてますが?

 一人足りない!?


 「がぁぁぁぁああああああ!!!!!」


 レオがいつの間にかボクの頭から地面に降りてでかくなっていた。

 そして、機敏な動きで麒麟を攻撃する。


 「チッ・・・≪樹木の槍ウッド・ランス≫!」


 地面から木の槍が出てくる魔法。


 「地面だ!」


 「わかったよ~。≪相殺アンチ≫!」


 スズによって、魔法が無効化される。

 よし、あと少しだ!

 ・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 「できた!」


 「遅い!さっさとやれ!」


 「じゃ、リュウのご希望に応えて!」


 ボクは魔力を魔法陣に流し込む。

 そこには、黄色の魔法陣と緑色の魔法陣。


 「召喚!≪朱雀スザク≫!≪雷狐ライコ≫!≪風狸フウリ≫!」


 いつにもましてヤバいほどの魔力が大暴れする。

 みんなもそれを感じたのか思わずこっちを見てる。

 今回はいける!ボクはそう思った。

 そして、魔力がおさまる。


 「・・・あれ?」


 おかしい。

 朱雀、鳳バージョンがいない。

 そして、足元をまたもやつつかれる。

 視線をどんどん降ろしていくと、そこには赤いスズメと、黄色の子キツネ。薄緑色の子タヌキがいた。


 「またかよ!?」


 「「「「「失敗したんかいっ!?」」」」」


 「・・・さすがに焦ったぞ」


 ・・・敵にもあきれられた。

 でも、なんでこうなるの!?

 こいつら愛玩にしか向かないよ!

 でも、なんだか癒される気が・・・。


 「って、マジでどうすんの!?」


 次回に続く!


 「終わるの!?」



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