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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
2章 ≪学園編≫
41/170

19話・STRONGEST MOB

―――side隆介

 「ぜぇーぜぇー・・・」


 「・・・ごめんなさい」


 リカのヤンデレが発動してから何とかことを収めた。

 ソラがリカの言うことを何でも聞くという死亡フラグで。

 今は冷静になってるが、オレの見間違いじゃなけりゃリカの目が狩人の目になってる気がする。

 ま、そんなことはオレの精神衛生上考えない方がいいだろう。

 んなことより重大なことがある。


 「やつはどこにいるんだ?」


 やつとはもちろん黒幕のことだ。

 とりあえず、魔力探査なら右に出るやつがいないソラに聞いてみる。


 「・・・わかりません」


 「ハァ!?じゃ、どこにアンタの存在価値があるのよ!!」


 「冬香また言ったね!?ボクはなんでそんなに罵倒されなきゃいけないの!?」


 ・・・なんぜか不毛な言いあいに発展した。


 「アンタがドMだからよ!」


 「言いがかりだ!!ボクはノーマルだ!てかリカ!?どこからその縄を出したの!?使用用途は!?」


 「ソラをし「それ以上は言っちゃダメな気がする!!」・・・」


 このカオスな空気はダメだ。


 「・・・坂崎、多胡、どう思う?」


 「わかんない!」


 「いい笑顔でありがとう。坂崎に聞いたオレがバカだった。で、多胡はどうだ?」


 「てへっ☆」


 「・・・まともなヤツはいないのか?」


 Pi Pi Pi Pi Pi Pi!!


 ・・・誰だ、こんなときに?

 オレはケータイを取り出してみる。

 表示されたのは非通知。

 だが、オレの立場上、つまりは魔王の孫であるわけでたまにジジイへの伝言を頼むとかでオレの知らないやつからも電話がかかってくることがある。今回もそのパターンかも知れないな。一応出ておくか。


 「もしもし、間隆介だ。誰だ?」


 『・・・ワタシよ』


 ・・・誰だ?


 「名前を言え。ワタシでわかるか。詐欺ならお断りだ」


 『・・・宇佐野美未』


 「・・・うそをつけ。宇佐野はそんなキャラじゃない」


 あいつはもっとバカっぽい雰囲気だ。こんなクールというか寡黙なやつじゃない。


 『・・・間君は実はドラゴン』


 「なるほど。わかった。で、ホントは誰だ」


 『・・・最終手段・・・みんなにわたしの声が聞こえるようにして』


 オレは怪しいと思いながら、みんなに言う。


 「お前ら、宇佐野らしき人物から電話だ」


 「なんで宇佐野さんらしき人なの?」


 「・・・聞けばわかる。宇佐野、出来たぞ?」


 ソラが宇佐野って誰?とか言ってるがリカあたりが説明するだろう。


 『・・・宇佐野です』


 「「「「嘘だ!!」」」」


 女子四人が雛見沢の少女のようなリアクションをとる。


 「・・・そんなにキャラが違うの?」


 「まぁ、そうだな」


 『・・・証拠、坂崎さん、平地さん、アンジェリカさん、委員長の体重は「「「「きゃぁぁぁぁああああああ!?」」」」』


 女子が目にもとまらぬ速さでオレのケータイをひったくると、オレ等からかなり離れる。そして、何かを話す。

 お、戻ってきた。

 ・・・涙を流してるのは気にしないでおこう。


 「「「「この人は本物です」」」」


 「・・・そうか」


 オレは微妙な顔で宇佐野に聞く。


 「どうしてオレのケータイの番号を知っている?」


 『・・・ハッキングした』


 犯罪はやめろ。


 「まぁ、この際はいい。で、用件は何だ?」


 『・・・黒幕らしき人を見つけた』


 「本当!?」


 『・・・あなたが三谷君ね。はじめまして』


 「いや、クラスメイトだよね。会ったことはあるよね」


 「それよりその黒幕はどこ!?」


 『・・・はい。場所は―――』


 突然オレは魔力を感じる。それもかなりの数だ。


 「後方に魔力・・・人でも魔物でもない・・・魔道具!?」


 ソラのその言葉と同時にいろいろな鎧をまとった奴等が現れる。

 まだこんな戦力をかくしもっていやがったか!?

 だが、こいつらは機甲魔道人形ドールなんかじゃないぞ!?


 「ドールじゃ・・・ない?・・・コアを解析・・・完了」


 「ソラ、これは何よ?」


 「よくわかんないけど・・・≪焔鳥ホムラドリ≫!」


 ソラが近くの一体を攻撃し腕に着弾。

 だが、一瞬で腕が再生。


 「だから、何かを媒介にしてそれをヒト型にしてる。頭の核を破壊すればたぶん消える」


 そう言うとソラは銃で敵の頭を撃つ。すると、撃たれたやつは消え、代わりに例のカードが残った。

 よくわかった。だが、問題がある。


 「・・・お前が解説してる間にヤベえぐらい増えたんだが?」


 無駄に広いグラウンドを埋め尽くさん勢いで敵がどんどん出現している。


 「・・・学校中にいるね。・・・てか、シュウ達が危ない!?なんであそこから動かないの!?」


 「シュウ君達は体育館に避難した人達を守てるの~!!」


 「あ、そうだった!」


 「そして、向こうは対抗策を知らないわけね」


 「レオ!でっかくなれ!」


 ソラが指示するとレオは白い翼の生えたライオンの姿になる。

 そして、ソラもボードを展開する。


 「レオ、四人も乗せれる?」


 「・・・がう」


 「三人が限界?」


 無理か。

 しょうがない。オレが≪影抜けシャドウ・パス≫を使うか。


 「オレは魔法で先に行く。お前らは敵を潰しつつ体育館に来てくれ」


 「「「「「了解!」」」」」


 オレはすぐに≪影抜けシャドウ・パス≫で体育館の影に転移。

 すぐそこで戦闘が行われていた。


 「シュウ!智也!」


 「リュウさん!?これは何ですか!?」


 「よくわからん!だが、頭をぶっ飛ばせばそいつらはカードになって攻撃ができなくなる!」


 「・・・そうか。≪消滅の散弾クリア・ショット≫!!」


 智也がすぐさま魔法で敵の頭に向かって消滅属性の散弾を放つ。

 すると、敵はカードになって、地面にぽとりと落ちる。


 「私には向いていないので智也さんのサポートをしておきます。・・・私も攻撃魔法が使えたらよかったのですが」


 まぁ、シュウは魔法は使えるが魔法薬関係しかできない。樹族は全員がその特徴を持っている。だから、シュウのように格闘術まで使い旅するヤツはほとんどいない。

 そして、格闘術では効率が悪いからしょうがない。


 「お前はそれで十分だ。いつもは最前線で戦ってるから今回はちょっとした休憩だとでも思ってろ」


 「そう言ってくれると幸いです」


 そして、オレも魔法で敵を潰そうとしたときだった。

 窓ガラスの割れる音がし、そのあと体育館の中から悲鳴が上がった。

 オレは体育館の方を見る。

 中がかなり騒がしい。これは中のヤツ等がパニックを起こしている?


 「・・・上だ!!」


 智也の声でオレは上を見る。


 「何だと!?・・・飛行形のヤツまでいたのかよ!!」


 上にいたモノ、それは、とてつもなく大きなカラスのような鳥だった。それが体育館の上空に何羽もいる。

 一見すると魔物のようだがそれはあり得ない。あれからは生命を感じられない。・・・おそらくは目の前のカードを媒介にしたドールのようなものの鳥のバージョンだろう。


 「リュウさん!中の一般人をお願いします!中には田中さんもいます!」


 「わかった!」


 オレはすぐに体育館に飛び込む。

 中に入ると、一羽の大きなカラスが一般人に襲いかかろうとしている。

 それに対峙するように、モップを構えた田中がいる。


 「―――絶対的な闇の力を持って彼の者を裁け!!

     ≪断罪の闇ダークネス・ジャッジ≫!!」


 オレの影から闇の鎖が放たれ、カラスを拘束する。

 そして、今度はカラスの足元の影から断頭台ギロチンに使われるような刃が出現し、カラスの首を、羽を、足をと、どんどん切り刻んでいく。

 そして、カラスが消え、例のカードが残る。


 「田中!大丈夫だったか!?」


 「・・・ちびるかと思った」


 「そんだけ言えたら上等だ」


 周りのヤツ等はオレがしたことについていけないようだ。

 だが、そんなことを気にしている場合じゃない。


 「間!後ろだ!」


 「分かってる!≪闇の刃ダーク・エッジ≫!!」


 無数の黒い刃が窓を突き破ってきた新たなカラスを切り刻む。


 「今度はこっちだ!」


 「≪闇の刃ダーク・エッジ≫!!」


 そうやってオレは敵を潰していく。

 だが、オレは空に注意を払いすぎ、陸の方を忘れていた。


 「イヤァァァァアアアアアア!?」


 「!?あんな奴もいたのか!?」


 「シュウと智也の討ち残しか!?」


 いつの間にか鎧姿のヤツが中に入ってきてる。

 ・・・裏に回られたか!?


 「≪闇のダーク・・・ッチ!」


 オレは後ろからの気配に反応し、左腰の双剣を抜刀。

 敵の攻撃を受け止める。


 「まさか、こいつら連携をとっている!?」


 たいていの機甲魔道人形ドールは連携を行える。だが、その代わりに2メートルほどの巨人のような大きさにまでしないと容量の問題でそれができなくなる。

 だが、目の前にあるのは普通の人サイズ。しかも正体は小さなカードだ。普通ならあり得ない。


 「ッ・・・!!」


 田中がモップを片手に今にも襲われそうな生徒に向かって駆け出す。


 「やめろ!お前には無理だ!!クソッ!邪魔だ!!魔法剣!≪斬黒≫!」


 オレは魔法剣でカラスを真っ二つにする。

 しかし、死角からまたカラスが襲ってくる。


 「「この野郎!!」」


 オレと田中は同じ言葉を叫ぶ。

 敵の鎧は剣を振り上げる。

 オレは間に合わない!?と思いながらもカラスを吹き飛ばし、魔法を発動させようとする。だが、ここからでは着弾の前に田中が切られる。


 「ちくしょぉぉぉぉおおおおおお!!!」


 田中が叫ぶ。それは力がないために出たものだろうか?

 剣が振り下ろされる。

 まるで、オレはスローモーションで行われているように感じるそれを、ただ、見ていることしかできなかった。


 ガアァン!!


 まるで、金属がぶつかったような音がする。

 そして、敵の剣が・・・・くるくると回って遠くに飛んでいく。


 「なんだよ、あれは!?」


 そこには、無数の白銀の盾に守られる田中の姿があった。



―――side太郎

 俺には力がない。

 だから、俺は体育館の中で、一般人を落ち着かせることに勤めていた。


 「イヤァァァァアアアアアア!?」


 突然叫び声が響く。

 そこを見ると、鎧姿の奴が今にも生徒の誰かに襲いかかろうとしてたところだった。


 「!?あんな奴もいたのか!?」


 「シュウと智也の討ち残しか!?」


 よくわからない。けど、敵のようだ。


 「≪闇のダーク・・・ッチ!」


 間は後ろから来る敵に反応し、左腰の双剣を抜刀。

 敵の攻撃を受け止める。


 「まさか、こいつら連携をとっている!?」


 あり得ないことが起こってるようだ。

 間はカラスに精一杯だ。

 だが、鎧の方はゆっくりとした動きだが確実に生徒に近づいてる。


 「ッ・・・!!」


 俺は、体育館のモップを武器の代わりに今にも襲われそうな生徒に向かって駆け出す。


 「やめろ!お前には無理だ!!クソッ!邪魔だ!!魔法剣!≪斬黒≫!」


 俺の死角で間が悪態をつきながら戦っている。

 そして、俺は敵の鎧と生徒たちの間に立ち、モップを構える。


 「「この野郎!!」」


 俺と間は偶然にも同じ言葉を同じタイミングで叫ぶ。

 敵の鎧は剣を振り上げる。

 俺はモップをがむしゃらに打ち込む。だが、敵は全くひるまない。

 そして、敵は剣を頂上で止める。

 最後に振り下ろし、俺を斬ろうとしているんだろう。

 モップなんかで鉄の剣を受け止められるわけがない。俺の負け、そして、死ぬ。


 「ちくしょぉぉぉぉおおおおおお!!!」


 力が欲しい。そう思った。

 剣が振り下ろされる。

 だが、そこで異変が起こった。

 まるで、時が止まったように周りが静止した。


 「何だ!?」


 『力が欲しいのか?』


 俺は声のしたほうを向く。

 そこには、小さな男の子がいた。小学生くらいだろうか?


 「お前は誰だ?ここは?」


 『力が欲しいのかと俺は聞いている』


 有無を言わさない口調で言う。見た目に反して威厳の篭った声で言ってくる。


 「・・・欲しい」


 とりあえず、正直に言ってみる。


 『なら力をやる。その代わり、俺に身を委ねろ』


 ニタリと悪魔のような笑みを浮かべて言う。

 ・・・絶対アレだな。ここでハイとか言ったらダメな雰囲気だ。


 「・・・嫌に決まってんだろ」


 『お前、要らないのか?力が?』


 「つべこべ言わずにさっさと寄こせよ!」


 『・・・しょうがない。力ずくでやるくわぁぁぁあああああ!?降ろせ!』


 「ガキが力ずくとか言うな。ママが泣くぞ?」


 俺は無造作に目の前のガキの首根っこをつかむ。


 『誰がガキだ!?・・・精神干渉!俺を降ろせ!』


 「・・・」


 『・・・』


 「・・・何言ってんの?」


 『なっ!?何で効かない?』


 「いや、お前は命令しただけだろ?」


 『まさか、お前、一般人の癖に魔法抵抗ができるのか!?魔法無力化体質キャンセラーか!?』


 「・・・さっさと!俺に!さっきの!鎧を!倒す力を!寄こせぇぇぇぇええええええ!!!」


 『ぎゃぁぁぁぁああああああ!!??この空間では俺が絶対なんだぞ!?イヤ、サーセン!!すぐにやるから!!こめかみをグリグリするのはやめて!!』


 泣いて謝るガキ。

 なぜか罪悪感はわいてこない。


 『う、うぅ・・・俺は幻想武器、銘はミスト。お前に力をやる。宝玉を出せ』


 「宝玉?何だそれ?」


 『お前のポケットに入ってる玉だ』


 ・・・三谷がくれたヤツか?

 俺はビー玉を取り出す。

 すると、ビー玉が光る。光が収まると、ビー玉はそこにはなかった。


 『契約は完了した。使い方はその雑魚と戦いながら教える』


 「・・・涙目で言われても威厳が無いぞ?」


 『黙れ!何で俺がこんな目に・・・』


 そう言うと、ガキ・・・いや、ミスト?まぁ、そいつが消える。

 すると、時間が動き出す。

 って、今にも剣が振り下ろされそうだぞ!?


 『左手を前に突き出せ!』


 「え!?おう!?」


 俺は左手を前に出す。

 それと同時に剣が振り下ろされる。


 ガアァン!


 剣が俺の目の前に展開した無数の盾によって弾かれる。


 『コレが俺の力だ。魔力が少ない一般人専用の対魔法使い用の宝具だ』


 頭の中に声が響くと、盾が消える。


 「お前か!?」


 『言っただろう。お前じゃない、俺の銘はミストだ。・・・まぁいい。雑魚をブッ飛ばす。両手の平を前に出せ』


 「こうか?」


 俺は言われたとおりに両手を前に出す。

 すると、掌から今度は十数本の剣が出てくる。

 そして、切っ先を下にして俺の周りを浮かんでいる。


 「田中!頭を狙え!!」


 「ミスト、聞こえたか?頭らしいぞ?」


 『ふんっ!こんな雑魚、俺が一人で潰してやる!手を上に向けろ、・・・そして、そのまま敵の多いところに投げろ!サークルブレード!』


 俺が右手を上に向けると、突然、剣が俺の掌に柄を向けて円状に広がる。それが、俺の手を中心に回り始め、俺は次の指示に従い、投げるモーションを行う。

 すると、剣は円の状態を保ったまま敵に攻撃。縦横無尽に駆け抜ける。


 『この野郎!!お前等のせいだ!!』


 「八つ当たりだろ!?」


 『ええい!面倒だ!!』


 その言葉とともに剣が消え、代わりにビー玉のような物が展開する。


 『両手を前に向けろ!お前等、全員死ねや!!マジックキャノン!!』


 ビー玉からビー玉に線のような物がつながり、魔法陣のようになる。

 そこから超極太の光線が発射される。


 ドゴォォォォオオオオオオン!!!!!


 轟音とともに後続の敵を体育館の壁と一緒に消し去った。

 後には体育館の壁にでかい穴が残る。


 「アレは何ですか!?」


 そこにシュウと城崎さんがやってくる。


 「・・・!?」


 城崎さんがなぜか俺に剣で攻撃をしてくる。

 って、オイ!?


 「ミスト!盾だ!!」


 『・・・宿主に死なれたら俺も困るな。俺の自由がなくなる』


 そういうと、先ほどの盾が展開し、城崎さんの剣を阻む。


 「何で!?」


 「そいつを使うな!!それは「魔導宝具アーティファクト、幻想武器『ミスト』。大丈夫だよ。それは田中の精神をおかしくできない」・・・どういうことだ?」


 城崎さんが剣を引いて声のほうを向く。

 そこには、この武器をくれた本人がいた。

 そして、その後によく見知った人やライオンも来る。


 「ソラさん!!それに皆さんも無事でしたか!」


 「面倒だったわ」


 「ホントに大変だったね。エリア、ありがとう」


 『きゅ!』


 「お疲れ様~」


 「がう」


 「アタシも何もしてないけどね~」


 「ゴメン。遅れた」


 三谷達がいた。


 『何故お前が知っている?』


 「オイ!?お前、何でここにいるんだよ?!」


 俺の目の前にミニチュアの人形のようなミストがいた。


 『自分の姿を投影してるだけだ。声は魔力を使ってる。お前の掌からな』


 そういえば俺は掌を前に向けたままだった。

 俺は掌を上に向ける。すると、ミストは俺の掌の上に浮いている。

 てか、今気づいた。なんか俺の掌に魔法陣みたいなのが出てる。・・・刺青みたいだ。


 「まぁ、最初に見つけたのはボクだし。煉さんと一緒に武器の素材を探してる途中で偶然見つけたんだ。ボクは魔力を視れるっていう特殊体質で、煉さんにあの宝玉の魔法構成を煉さんに教えたら、君について教えてくれたんだ。もう、ホントに驚いてたよ。あの人。いや、牛頭か?」


 『・・・てめぇか?』


 なんだかミストがプルプル震えている。


 『てめぇのせいで俺の自由が無くなったのかぁぁぁぁああああああ!!!???』


 「いや、人の体乗っ取って自由を謳歌する君に言われたくないよ」


 おい!?今、無視できない単語があったぞ!?


 「三谷!それはどういうことだ!?」


 「あ、そいつね、煉さんによると、どうも人の体をパクって好き勝手するらしい」


 「うぉぉおおおい!?俺にそんなもん渡すなよ!!」


 「いや、田中は大丈夫だから。田中はたぶん、魔法が効きにくい体質だ」


 「・・・魔法無力化体質キャンセラーか。なるほど、それなら大丈夫だ」


 「ねぇ~それ何?」


 「やたらと魔法が効きにくい体質のことだ。特徴として、一般人にのみ現れる体質だ。いや、この体質のせいで魔法を使えないと言った方があってるか」


 間が解説してくれる。


 「でも、なんでソラさんはそれがわかったんですか?」


 「いや、普通に前のオリエンテーションの時、中級の上位魔法を田中はくらったのに生きてた・・・・。それどころか意識も少しあった」


 「・・・何が言いたいのよ?」


 平地さんがイライラした声で言う。


 「田中には魔力が無いんだ。だから、魔法抵抗力もほぼ皆無のはず。なのに何で中級魔法・・・・それも上位のものを・・・・・・・・・くらって生きてるの・・・・・・・・・?」


 「ギャグ補正?」


 「・・・インチョー、アレのどこにギャグがあったんだよ」


 「そういうこととか、普通、そんな魔法を一般人がくらえば死ぬからな」


 ・・・あのときの俺ってやばかったのか!?


 『むしろそのとき死んどけ』


 「黙れクソガキ」


 「ま、これからもよろしく。戦友としてね」


 三谷が、いや、ソラが俺に右手を差し出す。

 俺はその右手をつかんで握手して言う。


 「俺のほうからもコレからよろしく、ソラ」



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