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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
2章 ≪学園編≫
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13話・ESCAPE

―――side空志

 「学校か~」


 「いや、お前は唐突に何を嘆いてんだ?」


 「学校は楽しいよ~」


 ボクの席の近くに来ているリュウとスズが言う。


 「いや、なんとなく?」


 「にゃ~」


 ・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・。


 「レオ!?」


 「・・・また、今頃気づいたんだね」


 そう呆れて突っ込んでくるのは隣の席のリカ。

 ちなみに、今は学校の1限目の休み時間。

 いや、だってさ、既に違和感がなくなってるんだよ?

 通りで先生がボクの頭の上を見て何してんだこいつ?みたいな顔で見てくると思ったよ。


 「そういえば何で先生に注意されなかったの?」


 ピィィーーーーーガガガガ!!!!!


 突然のハウリングに驚くクラスのみんな。


 『わしが説め・・・ま、待つんじゃ、優、ブチッ』


 ・・・うん、気にしないでおこう。

 どうせ理事長室では血の雨が降ってるだろうしね。

 それに、さっきの放送ですべてわかったよ。


 「・・・龍造さんのせいなんだね」


 「ご名答だ」


 「ちなみにどんなことしてるのか聞いてもいいのかな?」


 「簡単だ。特別クラスの生徒にはわしが責任を持つ。だとかだったような気がする」


 「要するに、アタシ達には校則が適用されないのね・・・」


 いろいろと優遇しすぎだよね。

 他の生徒とかそれこそ生徒会とかからブーイングが来ないの?

 それ以前に先生たちが黙ってないでしょ。


 「・・・ここから先は聞かんほうがいいぞ」


 うん。そうするよ。

 なんか雰囲気が関わるなってなってるしね。それにボクのセンサーが警鐘を鳴らしてるよ。


 「でも、まだ黒幕は見つかってないんだよね~」


 「その話か」


 「・・・でも、魔力の無い人が使える魔術符なんてあるの?」


 「今さ、解析中なんだけどボクはド素人だからさ。ログさんに教えてもらいつつやらないと魔道具に関しては全然わからないんだ」


 魔法は基本がわかってるからどうにかなってるんだよね。

 それにボク自身がよく使うし。


 「でもさ~。もし、ここであんな物が使われたら大変だよね~」


 どごぉぉぉぉおおおおおおん!

 ジリリリリリリリリリリ!!!


 『教室棟2階で火事が発生しました。生徒は速やかに先生の指示にしたがい、運動場へ避難してください。繰り返します。・・・』


 「「「・・・」」」


 ・・・アレだね。とてもあからさまな一撃をどうも。

 ボク等はスズをジト目で見る。


 「・・・てへっ☆」


 「後でみんなになんか奢れ」


 「え~。わたしのせいじゃないよ~!」


 文句を言うスズを無視して避難する準備をしているインチョーに言う。


 「じゃ、ボク等は理事長室に行ってくるから。気をつけて」


 「・・・わかった」


 そういうとボク等は理事長室に向かう。

 とりあえず、歩いてく。


 「にしても、ホントにこうも頻繁によくやるよな~」


 「そうだね~」


 「いい加減にしてくれないとアタシとソラの時間が・・・」


 「いや、ほぼ一緒だよね。これ以上増やす意味が全力でわからない」


 理事長室に到着。

 ボク等はノックもなしに部屋に入る。


 「お、来たか。というわけで襲撃じゃ」


 「また、性懲りもなく・・・」


 「敵さんも大変ですね」


 先に来ていた冬香とシュウがぼやく。

 ま、気持ちはわかるよ。無駄に面倒な相手だしね。


 「ですが、前回のようにおそらくこちらの攻撃はソラさんと鈴音さんしか効きませんよ」


 「大丈夫。考えてある。スズにボク等の武器に魔力付与エンチャントしてもらえばいいんだよ。でも、冬香だけは無理だけどね。ま、冬香には後方で敵の視界を潰してもらえばいいでしょ」


 なるほど、とみんながつぶやく。

 ボクはスズに頼んで作業をしてもらう。

 ボクは≪月夜ツキヨ≫で弾丸をたくさん作る。

 ・・・でも、なぜかわかんないんだけど、前のときみたいな精製度がいいヤツが作れないんだよね。たぶん、コレを敵に撃ってもカードが壊れる程度。敵を気絶させるまではいたらない。


 「・・・できたよ~」


 「おし、じゃ、行きますか。で、ドコにいるんですか?」


 「教室棟の二階。2年7組周辺じゃ。周りへは近寄らせんように魔窟ネスト出身の先生に固めてもらっておる」


 「りょーかい」


 ボク等はどこぞのヒーローよろしく、現場にダッシュする。



―――side太郎

 「多湖。あいつらがいない。どうせそっち絡みなんだろ?」


 「そうそう。だから先生の言い訳がすごく大変だったの」


 そう言って悪戯をして、成功した子供のような笑顔を見せる。

 ここは運動場。

 全校生徒がここに集まっている。ここから教室棟は見えない。

 ま、あいつらのことだから大丈夫だろ。

 だが、それは突然起こった。

 何の前触れもなく地面が俺の足を拘束した。


 「なっ!?」


 「何コレッ!?」


 多湖も足を拘束されているようだ。周りを見てみると同じようにパニックを起こしかけている生徒が大勢いる。

 いや、数人ほど普通に立ってしゃべっているやつらがいる。


 「コレでいいの?」


 「頼まれたことはやった。コレで力が手に入った!!」


 数人の生徒が歓喜の声を上げる。

 何でこっちにいるんだ!?例のやつらは校内にいるはずだろ!?


 「・・・まさか陽動?」


 「そういうことかよ!」


 「お前たちか!!こんなことをしたのは!!」


 そういうのは我らがクラスの担任ガントさん。


 「田中、何度も言うが「いや、そんなことよりさっさとあいつらを止めろよ」・・・」


 「ちなみにあたし達が事情を知ってるのは聞いてますよね?」


 そういうとガントさんはため息をついて相手に言う。


 「早くコイツを何とかしろ。そうしたら罰を軽くするぞ?退学処分を反省文を書かせる程度に」


 「ハァ?何言っての?ワタシ達に勝てるわけないじゃん」


 そういうと笑う数人の生徒たち。

 ・・・なんか本当にご愁傷様。


 「・・・しょうがない」


 そういうと、ガントさんは足の拘束を力づくで引っぺがし、ありえない速さで近くの敵の生徒の首筋に手刀を叩き込む。そうすると悲鳴すら上げれずに気絶した。


 「な、何で!?」


 「俺はな。鬼人オーガって種族でな。魔法力は低いが力だけならどの魔物にも負けない自信がある」


 「ハァ!?訳がわかんなんですけど!?」


 「別に俺の知ったことじゃねぇな」


 そういうと足に力をこめる。


 「待て!!コイツがどうなってもいいのか?」


 敵の一人がカードを一般の生徒に突きつける。


 「普通、そう来るわな。投了だ」


 「「「おい!!」」」


 まさかの1組全員のツッコミだった。


 「アンタそれでも漢か!?」


 「見損なったぞ!」


 「ガント先生のバカ!!」


 「そんな人だったの!?」


 「いや、鬼人オーガだろ?」


 「・・・俺は自分が普通の人間じゃないぞ宣言したつもりだったんだがな?」


 「「「むしろ普通の人間だったの!?」」」


 「お前ら全員後で語り合おう。拳で」


 「お前ら黙れ!!」


 敵にまで突っ込まれてしまった。


 「・・・敵の注意をそらせないかな?」


 「・・・なんか考えがあるのか?」


 多湖に小声で話しかけられた俺は多湖と小声で会話をする。


 「なら、いい考えがあるよ」


 そう言ったのはクラスの女子。

 俺は話したことが無いな。


 「じゃ、お願いできる?」


 「おっけ」


 そういうとその女子は自分の後ろにいるヤツと少し話す。すると今度はそいつが自分の後ろのヤツに話す。

 伝言で誰かになんかさせる気か?

 多湖は敵と似たようなカード。つまりは三谷からもらった魔術符を手に握っている。


 「そういえばエリアを呼べば解決するんじゃないか?」


 「それは無理。相手に気づかれるかもしれないから気をそらしてもらうの。それに魔法は効かないからエリアに三谷君達を呼んできてもらう」


 そういうことか。

 それであいつ等ににボコボコにしてもらうと。


 「準備できたよ。たぶん、もうそろそろだね」


 そういうさっきの女子。

 ・・・いったい何をしたんだ?




 「あ~!?林の方で1組の三谷がアンジェリカさんとキスしてる~!!!!!」


 「「「なんだと!?」」」




 全校生徒がそっちのほうを見た。

 いや、インパクトがありすぎだろ!?(←リカのファンクラブに入ってるバカ)


 「ナイスでしょ」


 「ありがとう。そして三谷君・・・強く生きてね」


 そういうとエリアの名前を呼ぶ。

 すると、そこには小さな水の精霊がいた。


 「誰にも見つからないように三谷君達を呼んできて」


 『きゅ』


 そういうとエリアは魔法で水でできた門のようなものを出す。エリアがその門を通ると消失してしまう。おそらく、校内に転移したんだろう。

 後は、成功を祈るばかりだな。



―――side空志

 「「「なんだと!?」」」


 校庭から大きな声が聞こえる。

 ・・・何故だろう、ものすごく死亡フラグな予感がする。

 いや、今は目の前のことだ。


 「死ねぇぇぇぇええええええ!!!!!」


 ボクは銃を敵のカードに向かって撃つ。

 破壊されたのを確認したら≪紫電シデン≫で気絶させる。

 コレが一番威力が低いんだよ。うん。


 「無駄に今回も多いね」


 「そうだな」


 ここは体育館。敵はボク等を分断して倒すつもりだったようだ。それでボクとリュウはここに誘導された。ま、わかってたけどね。

 素人相手に負けるほどボク等は弱くないのにね。それに今回は既に対策したし。


 「もういないのかな?」


 「そうじゃね?」


 あたりには気絶してたれている人々。

 死屍累々とした惨状になってる。

 てか、よくこんなに人を集めれたね。


 「じゃ、みんなと合流しよっか」


 「そうだな」


 ボクとリュウは体育館を出る。

 そうすると、そこには一人の人。


 「・・・」


 「・・・避難が遅れたんですか?運動場はあっちです」


 「現実を見ろ」


 「みゃ」


 ですよね~。

 敵さんだよね~。

 レオにまで突っ込まれたよ。

 しかもボクは今現在絶賛≪月詠ツクヨミ≫中だからわかるんだよね。

 敵が魔法使いって事が。


 「で、黒幕さんかな?」


 「・・・そうだ」


 「・・・自分が何をしたのかわかってるのか?」


 「もちろん」


 「・・・そっか。じゃ、おとなしく投降してくれない?龍造さんならとても寛大に何とかしてくれると思うんだけど?」


 「≪樹木の棘フォレス・ソーン≫」


 返事の変わりに魔法が放たれた。

 属性は『木』。地面から木の棘がボク等を襲う。

 ボクとリュウはそれを避ける。

 だが、敵は次にありえないことをしてきた。


 「≪火炎の矢フレア・アロー≫」


 「ウソォ!?」


 「・・・多重属性デュアルじゃねえの?」


 「ボクは相手の属性だってわかるんだよ!!敵は間違いなく『木』の属性オンリー!!」


 「・・・今回は間違ってるんだろ、お前が」


 「≪大地の衝撃アース・インパクト≫」


 「「!?」」


 その言葉と同時に体育館が大きく揺れる。

 大地属性の魔法。局地的な地震を発生させる魔法だ。


 「さすがに三つはないでしょ!!」


 「いや、お前がそうだからな・・・。月と天空の癖に火を使ってるしな」


 「いや、ボクは月のおかげで何とかなってると思ってるんだけど!?≪雷燕ライエン≫!!」


 こっちからも反撃してみる。


 「≪鋼鉄の壁メタル・ウォール≫」


 敵の目の前に鋼鉄の壁が発生。

 属性は『金』。


 「ちょ~!?」


 「・・・さすがにアレは有り得んわ」


 「で、カラクリは?」


 「わからん」


 「≪激流の槍アクア・ランス≫」


 放たれる水の槍。

 てか、ホントにありえない!!


 「ソラ、何とかしろ」


 「いや、魔法の専門家だろ!?素人に頼むな!!」


 「だが、ぶっちゃけ、オレより魔法の技能はすごいぞ?」


 いや、ボクは細かいことがまだそんなにできないし、リュウは普通にそこらへんの魔法使いより強いと思うけど?

 そうやって敵と攻防を続けているとみんなが体育館に走ってきた。


 「たいへ~ん!!」


 「こっちもなんだけど!?」


 そう言ってくるのはスズ。

 後ろにはリカとシュウと冬香もいる。


 「全校生徒が人質に取られたわ!!」


 「マジで!?」


 「本当です。そちらの方に聞けばわかると思います」


 「・・・その通り」


 ヤバい!!

 ここはチームを分けるか!!


 「ボク、冬香、リカはここに残って、残りは生徒の救出、レオも!!」


 レオはボクの後頭部から飛び降りる。すると、みんなの前を走る。

 ・・・子猫の癖に速いな~。


 「おい!」


 それにリュウたちが続く。

 よし、準備完了。


 「で、相手の属性は?」


 「サーセン。わかりません」


 「「ウソ!?」」


 マジです。ハイ。


 「じゃ、ドコにアンタの存在価値があるの!?」


 「そこまで言うか!?」


 「・・・ずいぶんと余裕だな」


 「いや、そっちだってボクの仲間を見の・・・デカいのが来る!!」


 ボクは二人の前に立つ。

 おそらく、敵がやろうとしてるのは範囲系の・・・結界に近い?

 とにかく防ぐ!!

 魔法の軸となってるのであろう五箇所にボクは弾丸を叩き込む。

 しかし、相手の魔法は止まらない。


 「!?・・・まさか、これって物にしか効かないの!?」


 「・・・勝ちだ」


 そう敵が言うと正五角形の魔法陣が光って現れる。それはぼく等の周りを囲む。

 てか、ものすごくピンチじゃん!!!


 「ハッ!」


 そんな声とともに魔法陣の光が弱くなる。

 声のほうを見るとリカ。近くの地面、ちょうどボクが狙った辺りに切ったような跡がある。リカは続けて目にも留まらぬ速さで他の箇所も切りつける。そうすると、魔法陣が輝きを失った。


 「リカ、サイコー」


 「ホント、ナイスよ」


 「えへへ~」


 ボクは銃を敵に向ける。


 「降参してくれますよね?」


 「・・・そういうことか」


 「「「?」」」


 なんかよくわからないけど一人で納得し始めた?


 「何いってんのよ、アンタ?」


 「・・・おそらく、お前たちはほとんどが人間じゃないんだろう?人間には不可能な魔法に、人間をはるかに上回る魔力、あるいは力。特にお前とお前だ。それなら全てに説明がつく」


 そう言って、ボクとリカを指す敵さん。


 「ソラは人間!」


 「・・・俺は禁句を言ったのか?」


 ・・・かなりボクはショックを受けた。

 


 「だが、そいつは人間・・・・・・ということは、おそらく人間以外、俺の予想では魔物がいるんだろう?特に、その女は吸血鬼ヴァンパイア、じゃないのか?」


 「「「!?」」」


 「・・・図星のようだな。よりによって、ここは魔物の巣窟で、魔物にすら嫌われている吸血鬼がいる」


 「・・・・・・・・・・いや・・・」


 「リカ?」


 なんだかリカの様子がおかしい。

 でも、相手はお構い無しで話を続ける。


 「そのため、吸血鬼は自分たちの種族のみで構成された集落で過ごしていて、普通ならそこから吸血鬼は出てこれない。・・・掟という例外を除いて」


 「ダメ!」


 「落ち着いて!お前も黙れ!!≪雷燕ライエン≫!」


 ボクは敵の口を塞ごうと魔法を放つが敵も木の魔法で防御。


 「吸血鬼はその集落での掟を重んじる、おそらくこいつは掟により追放されたはぐれ吸血鬼だ。人間と関わってはいけないという掟を破ったな・・・。まったく、バカバカしい」


 そういうと、相手は火の魔法で炎の槍を生成し、ボク等を攻撃する。そこを冬香は弾幕で相殺する。




 「バケモノが人間と仲良くなれるわけが無い」




 その言葉が引き金だった。

 リカが叫びだした。



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