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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
2章 ≪学園編≫
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12話・ANYWAY

―――side空志

 「ごめんなさい」


 「いや、わかってくれたらいいよ。」


 「「さすがフラグゲッター(死亡)」」


 この二人は後で新魔法の実験台になってもらおう。

 ・・・・・でも、大変だった。

 普段は優しいリカが何であそこまで逆上したんだろう?


 「でも、ホントにごめんなさい」


 『いいじゃないですか。お父様がそういうのですから』


 「いや、何割かエリアのせいだよね。でも、何で『お父様』って言葉に反応してたの?」


 「「「・・・」」」


 ・・・なんか、リカは顔を赤くしてるし、残りの二人はかわいそうなものを見る目でボクを見てる。


 「・・・どういうこと?」


 『「「・・・」」』


 何で!?

 エリアと朱雀とレオにもかわいそうなものを見る目で見られたんですけど!?


 『ギャルゲの主人公のような父は放っておきましょう』


 「そうだね~」


 「そうね」


 「がう」


 ・・・何、その評価?

 そして朱雀までうなずいてるよ。

 新手のイジメ?


 「でも、この状況どうするの~?」


 そう、そこは確かに問題だ。

 まず、不特定多数の一般人に魔法を魔法を見られてしまったということ。

 そして、周りがその余波で被害を受けてる。

 コレでごまかす方法があったらすごいと思う。

 ・・・・・いや、よく考えると常識の通用しないあの方々なら大丈夫な気がする。


 「龍造さん達には連絡したの?」


 「やったよ~。わたし達は事態の早急な鎮静化に努めろってさ~」


 なるほど。

 でも、こんな状況じゃみんなもてこずるよね。

 じゃ、みんなと合流しよう。

 ボクは≪月詠ツクヨミ≫を使って、とりあえずみんなの魔力を探してみる。

 ・・・・・・・・・・・・・・・案外、他のみんなは固まってるようだ。


 「よし、じゃ、こっちだ」


 ボクはみんなのいる方向に向かって歩き出す。



―――side隆介

 「・・・最悪だな」


 「そうね」


 「どうしましょうか?」


 オレ達は目の前にいる四人の敵と戦っている。

 だが、魔法が通じない。

 物理もダメ。

 そんな状況で坂崎はどこかではぐれた。

 あいつが唯一の切り札かもしれねぇのにな!!


 「アンタの魔法で鈴音と似たような感じの無かったっけ?」


 「そうですよ。確か≪闇の侵食ダーク・イロージョン≫でしたっけ?」


 「あ~・・・やってもいいが無駄だと思うぞ」


 坂崎の魔法はその全てが強制的に問答無用で魔法を消し去る。

 逆に、俺の魔法は相手の魔法を侵食してからオレが消すようにしてある。

 つまり、オレの魔法≪闇の侵食ダーク・イロージョン≫は相手の魔法のコントロールを奪ってから消す。そういう魔術構成になっている。

 何が言いたいかと言うとだ、乗っ取る時間がいくらか必要になる。

 特に、今回は物理、魔法障壁がある。その二つを侵食するには時間がかかる。

 その間にオレの魔法がはじかれる可能性がたぶんにある。


 「と、言うことだ」


 「要するに、鈴音さんを待った方が確実だと」


 「そういうことね」


 「というわけで到着~」


 「・・・迷子だったんだね」


 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 ま、何はともあれ全員合流したな。

 なぜか田中はレオの背中で寝てるがな。


 「じゃ、坂崎。早速してくれ」


 「いや、今回はボクの方が早いよ」


 そういうとソラはホルスターに収めた拳銃を抜き相手に向ける。そして引き金を引く。

 四つの発砲音とともに、四つの銀の閃光が走る。

 それは障壁をものともせずカードに着弾。その余波で相手をも気絶させた。


 「・・・また人外度が上昇したな」


 「いや、そこは何をしたんだ!!とか聞いてよ」


 「いえ、ソラさんですし」


 「そうね。それは今更よ」


 「ま、一応聞いてやる。言え」


 ソラはぶつぶつと文句を言いつつオレ達に説明。

 ≪月夜ツキヨ≫を完全にさせて、敵がまだいるとわかったからもう一回してできるだけ弾丸を作ったとかドンだけチートだよ。それにエリアが大きくなってるし召喚魔法をいつの間にか習得してるぞ?


 「いや、なんかさ今日はボクの力が強くなってるらしいよ」


 『はい。お父様に作られ、数日ですが力の強い日と弱い日があります。おそらく、今日がたまたま強い日だったんでしょう。ですが、それもセーブをなさってる節があります』


 「って、言っても普段が強すぎるからよくわかんないわよ」


 ま、そうだな。


 「で、ソラ。敵は後どのぐらいいる?」


 「いや、さっきので終わり。ここに来るまでに寄り道して倒してきた」


 オレ等の応援に先に来いよ。

 結構ヤバかったんだぞ?


 「いや、リュウ達なら大丈夫でしょ」


 「理不尽だが、まぁいい」


 オレはケータイを取り出す。

 かける相手は理事長クソジジイ


 「ジジイ、オレだ」


 『オレオレ詐欺は勘弁してくれんかの?』


 「後で拷問にかけるぞ?」


 『なんじゃ?隆介?』


 最初っからそうしろよ。


 「そっちの準備はできたのか?」


 『できとるぞ。お主等のほうはどうじゃ?』


 「鎮圧完了」


 『じゃ、早速発動させるぞ』


 その言葉と同時にこの町をジジイの結界が包む。

 すると、建物等の壊れた部分が勝手に修復されていく。


 「「「「「「何コレ!?」」」」」」


 「・・・ジジイの結界魔法。まずは人の記憶を改竄かいざん、そして何も違和感を覚えさせないように指定の時間まで巻き戻す魔法。ぶっちゃけ、ジジイにはホントに常識が通用しない。これはまさに『魔法キセキ』だ」


 オレがそういうとちょうど終わったようだ。

 そこには、世界が凍結してしまったように静止する人々がいた。


 「ま、実際に時間は止まってるがな」


 「アタシ達は何で動けるの?」


 「ジジイがそういう風に魔法を発動させたんだ。・・・そろそろ時が動くぞ」


 オレがそういった瞬間に氷った世界が元に戻った。

 時は夕方。

 ちょうどソラとリカが買い物に行った時間だ。


 「じゃ、材料買って帰るぞ~」


 「そうだね~。茜ちゃんと田中君も来る?」


 「いいの?じゃ、親に聞いてみるね」


 「田中~。起きろ~。≪紫電シデン≫(弱)~」


 「ぐわばぎゅ!?」


 「あ、起きた。もう終わったからね」


 「いや、起こし方がひでえだろ!?」


 「アタシの目をみるから・・・」


 「・・・魔眼を見たのはバカね」


 「知らなかったんだからしょうがないですよ」


 「じゃ、そういうことでうちで夕飯食べようってさ」


 「マジで!?いいのか!?」


 「いいよ~」


 ボク等は買い物を済ませるべくスーパーに向かう。



―――side空志

 「今日はホントにスマンかったの~」


 「いや、今日は・・・龍造さんのせいじゃないからしょうがないですよ」


 「だな。今日は・・・ジジイのせいじゃない」


 「・・・言葉に棘があるの」


 「リカちゃん料理上手になったね~」


 「花嫁修業」


 「・・・何であのバカは気づかないのかしら?」


 「三谷君だから?」


 「「あぁ~」」


 「・・・なんか俺、強くなりたいんだけど?お前はさ、格闘してんじゃん。俺にも教えてくれないか?」


 「難しいですね。私のは我流ですから。死ぬ覚悟がおありでしたら間優子さんに鍛えてもらうのをお薦めします」


 「あら、死ぬ覚悟は必要ないわよ」


 「・・・優子、ウソはやめなさい」


 龍造さん宅。

 ここには間家一行と、ボク等がいる。

 今日は急遽メニューを変更してカレー。

 そして、よくがんばったね的な宴会をなぜか開いてる。

 大きなちゃぶ台にみんなで座っている。


 「・・・にしてもこっちでこんな大規模な戦闘は久しぶりだよな?」


 「そうじゃな。ま、今はそんなことは忘れてメシでも食っておれ。隆介、酒飲むか?」


 「てか、こんなことはよくあるんですか?」


 ボクは気になったので聞いてみる。


 「そうじゃな。よく、バカな連中がこっちの世界で魔法を使うことはそれなりにあるの」


 「で、だ。今回のオレ達のようにそれを取り締まるヤツもいる」


 「私たちもその類の方に含まれます。特に、一番多く引き受けているのが魔物が大暴れしていうるといった内容のことです。ほとんどは話し合いで何とかします」


 「言わば、わたし達はボランティアで警察紛いな事をしてるのよ」


 へぇ~。

 やっぱ、こっちで悪さする人もいるんだな~。

 それで、ここの人たちはゲームとかによくあるギルドのようなことをしてるんだね。


 「じゃが、ここは魔物がよく出る危険地帯という噂を広めてあっての、それなりに被害は少ないんじゃぞ。むしろ、ここで何かするのはよほどのバカか極悪人に限られる」


 そうなんだ。


 「・・・今回、ここを選んだのがよほどのバカだといいですね~」


 「・・・どういうことじゃ?」


 「え?だって、黒幕がまだ捕まってないでしょ?」


 し~ん。


 ・・・どうしたの?

 間家の皆様が固まっているんだけど?


 「ソラ君。あの中に黒幕はいないってどうしてわかるんですか?まだ、事情聴取すらしてないんですよ」


 「いや、当たり前でしょ。だって、今回は全員魔力がゼロですもん」


 「本当なの!?」


 「いや、だって、今回も魔力ゼロの人が魔術符カードで魔法をバカスカ撃ってたんですよ?それに、敵がぽろっと漏らした情報では黒幕は一人、一般人にカードをバラ撒いてるようです。それと、あくまで予想だけどこれは結構前からやられてたね。通り魔の事件もコレが原因。力を持った人たちの暴走。コレじゃ通り魔を捕まえられるわけが無い。複数いたんだから」


 「・・・なんということじゃ!」


 「なぜお前はそれを先に言わなかった!!」


 「いや、情報がそれだけしかない。後は、ボク等が気絶させた人たちの情報だけが頼りなんだ。それに、通り魔に関しては完全にボクの憶測だし」


 みんなはボク達と離れたところでワイワイしてる。

 ここだけが空気が明らかに違う。

 ・・・龍造さんが結界とかでなんかしたのかな?


 「・・・颯太、≪魔窟ネスト≫の自警団に連絡し、早急に隠密部隊でこの町で怪しい人物の捜索をすんのじゃ。わしは理事長室で待機しておる。優子さんはわしを手伝ってくれんかの?」


 「「わかりました」」


 そういうと、龍造さんは明るい声でみんなに声をかける。


 「すまんの。急用ができた。悪いが今日はここらで抜けさせてもらうぞ」


 「「「「「「は~い」」」」」」


 「鍵とかどうすればいいですか?」


 「大丈夫じゃ。今日はここに泊まっていきなさい。幸い、明日は学校が休みじゃ。わしから二人の親御さんに伝えておこう」


 そういうと龍造さん達は部屋から出て行った。

 残るのはボク達だけ。


 「よし、リュウ。ボク等もなんか食べよう」


 「そうだな」


 「ね~ね~。王様ゲームしてみようよ~。わたしやってみたかったんだ~」


 「なんか、方向性がいろいろとダメだよね」


 「別にいいじゃねぇか」


 「そうそう!!」


 適当なノリのリュウと元気に同意を示すリカ。

 ・・・リカはそんなにしたいのか?


 「俺も俺も」


 「なんか楽しそうね」


 「・・・学生がそんなことしちゃダメだと思う」


 「もう無理ですよ」


 「ボクもそう思ったトコ。これはおとなしく従うしかないね」


 ま、従わなくても結局はこうなると思うけど。


 「じゃ、やろう~!」


 とても平和な時間が過ぎていく。



―――side??

 「なぜだ!?」


 今回は前回を遥かに上回る出来だったんだぞ!?

 少なくとも、普通の人間の少女と少年ぐらいは瞬殺できるようなモノだったはずだ!!

 ガキの魔法使いも簡単に殺れるモノだ。

 ・・・あの魔法使いのガキどもにはイレギュラーが多すぎるということか?

 それしか考えられない。


 「いいだろう。おもしろい」


 ならば、イレギュラーを潰すまで。



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