10話・ASSAULT!?
―――side??
「できた」
コレで準備はいい。
今回は前のデータを検証し、さらに完成度が高くなった。
前の邪魔が入ってもそれなりに戦えるだろう。
「いや、その前に肩慣らしをさせておくか?」
そう言ってパソコンのような機械のディスプレイを見る。
そこには、友人たちと楽しそうにしゃべる一組の委員長、多湖茜となんかレギュラーっぽい位置に昇格した田中太郎が映っていた。
―――side空志
「疲れた~。今日のご飯は?」
「サンドイッチだよ~」
「はい!ソラ」
リカがボクにサンドイッチを渡してくれる。
今は昼休み。
ボク等は寮が一緒だからって理由でスズが作ってくれた弁当を食べる。
いや、スズさまさまだよ。
つい最近はレオも学校についてくるようになって、レオも弁当を食べてる。
いいのかなぁ?
「にしてもうめぇな!」
「ホントね~。」
「・・・何でいんの?」
インチョーと田中だった。
「細かいことは気にするな。それに誰のおかげでお前の殲滅部隊を撒けたと思ってるんだ?」
「「「「「ソラのチートスキル」」」」」
「ちげぇよ!!この俺!アンジェリカさんのファンクラブに加入してる俺が偽情報を蒔いたんだよ!!」
「「「「「「「うわぁ~」」」」」」」
これはドン引きだよ。
自分でリカのFCに入ってるって・・・・・無いわ~。
「ちがっ!?俺は三谷のために!!!」
「田中、見苦しい言い訳はやめなさい」
「そうだぞ」
冬香とリュウの口撃。
「・・・聞かなかったことにする」
リカがそう言うとボクの後ろに避難。
レオも田中を威嚇する。
ドンマイ。
君はリカの対人恐怖症の範囲外にいけそうだったのにね。
「・・・終わった」
「そうだね」
「いや、トドメさしちゃダメでしょ。ほら、インチョーのせいで田中が・・・」
口に出してはいえない状態に。
読者の皆さんのご想像におまかせします。
「そういえば、噂、知ってる?」
「リカ&ソラ・カップル疑惑のことか?ちなみに一番有力とされてるのは力による脅しらしいいな」
「ちょ、リュウ、その話、詳しく聞かせてもらおうか?」
「そんな当たり前のことじゃなくて」
「当たり前なの!?」
「おそらく、聞いたことが無いのはソラさんだけです」
周りを見る。
・・・うん、みんな知ってる目だね。
「・・・ヘコんでるところ悪いけど話すよ?」
「・・・ハイ」
「実はね、この学校の生徒が何人か怪我をしてるの」
「・・・それのドコが変なんだ?」
「・・・アレですか?無差別に人を襲うと最近有名な。通り魔」
「そう、それ。でも被害者には共通してることがあったの」
「何~?」
「被害者が言うには犯人はありえないことをしたって。内容は魔法みたいなこと」
「へぇ~」
「ふ~ん」
「おい、食いすぎだぞ」
「フフフ、早いもの勝ちなのだぁ~!!」
「何で!?魔法使いかもしんないのよ!?」
いや、だってねぇ。
「参謀のソラよ説明してやれ」
「うぃ、大総統閣下」
「・・・前と呼称が変わってるよね」
リカのつぶやきはスルー。
気にしたら負けだって。
「ボク等にはどうしようもない。第一、情報が少なすぎる。それに、魔法で一般人を襲うメリットが無い。むしろ、殺したほうが後腐れしない。そうすると愉快犯の可能性が出る。でも、それだと余計に足取りをつかみにくい。だから、もし、その人をやっつけようとしたら、偶然ボク達を狙ってもらうのを待つしかない」
「ま、そういうことだ」
「・・・よく考えたらそうね」
インチョーは正義感が強いけど、自分にできることはちゃんとわかってる。
エライエライ。
「ま、そんなわけだし昼食食べて特別授業に行こう」
今日も死ぬかと思った。
でも、男子の中で魔法抜きなら最強の戦闘力のあるシュウを捕らえれた≪雨雷≫を避けるとかどんなんだろう?
「お袋に常識は通用しないぞ」
「魔法抜きでも私を遥かに凌駕しますからね。それこそミジンコとドラゴンが戦うレベルです」
「うわ~勝負になってないうえに例えがわかりにくい」
「・・・ソラたちはホントに何をしてるの?」
「わたしも気になる~」
「リカ、スズネ、知らないほうがいいこともあるのよ」
そんな事をしゃべってると寮に到着。
思い思いの言葉で帰宅を宣言すると、一旦自分の部屋に戻る。
リュウは夕飯まで寝ようとして、シュウは薬でも作ってるんだろう。
スズはすぐに夕飯の支度に取り掛かって、冬香は機械に囲まれてなんかしてる。
リカは・・・。
「ソラ~暇~」
「・・・鍵閉めたのに入ってこないでよ」
ボクの所によく来る。そしてべたべたとひっつく。
ボクは君の彼氏でもないのにこんなことをしないでよ。みんなに見つかるといろいろとまずいから。 特に明日の学校でのボクの命とか。
それに、魔法の実験がしたいんだけどな~。
「ねぇ~。誰か卵と鶏肉買って来て~」
スズかな?
台所の方から声が聞こえてきた。
どうも材料が足りないようだ。
「昼寝中!」
「手が離せません」
「・・・」
なるほど、ボクに行けと。
ボクはため息をつくと台所にいるであろうスズに声をかける。
「ボクが行ってくるよ」
「アタシも~」
当たり前のようについてくるリカ。
「お願いね~」
そう言ってボクとリカは寮を出て、買い物に出かける。
「って、腕!!胸!!」
「ダメ?」
「いや、ダメじゃないけど!いや、ダメなのか?」
「みゃ」
いつものやり取りをしつつ、そして周りから殺気のこもった視線受けつついつもボク等が行くスーパーへ。
夕飯の買い物をする主婦の方々が多い。
ボク等が店に入ろうとしたとき、後ろから声をかけられた。
「お、三谷か」
「ん?・・・田中か」
なんか、ホントによく出るね。
モブなのに。
「うるさい。で、どうしたんだ?」
「いや、食材が足りないみたいでさ。その買出し」
「へぇ~。デートかと思った」
「・・・こんなところにデート誘うって最低だな」
「・・・確かに」
「ねぇ、材料」
「あ、そうだ。スズが待ってるからボク行くよ」
「あぁ、またな」
「うぃ、またあしっ!?≪月守≫!!」
ボクは魔法の盾を展開。同時に≪月詠≫を発動。
それと同時に火の魔法が着弾。
轟音が響き、周りの人がこちらを向く。
「お前、どういうつもりだ!?」
ボクは目の前にいる同い年ぐらいの少年に怒鳴るようにして聞く。
そいつは、黒を貴重とした服装。フードを深くかぶっていて、顔はわからない。そして、手にはカード。
―――魔術符だ。
「・・・俺様はそいつを消せと命令されただけだけど?」
おもしろくもなさそうにそいつは答える。
「でも、あんたみたいなのがそばについているとか聞いてないんだけど?」
そいつはため息をつくとカードをこちらに向ける。
すると、そのカードから炎の槍が放たれる。
だが、展開したままのボクの盾に阻まれて周りへ被害は出ない。
だが、さっきと違って多くの人が注目している。
小さなきっかけだった。
誰かが悲鳴を上げた。
それが連鎖した。
たちまちパニックに陥る人々、周りは怒号などであふれる。
「やめろ!!お前魔法使いじゃないな!!」
「・・・そうだけど?」
「ソラ?それってどういうこと?」
「前と同じって事か!!」
「いや、前より強化されてる」
「そんな事はどうでもいい。俺様達は力を手に入れた。選ばれたんだ。コレをくれたやつはお前を殺し、そしてお前らを殺せば俺様達に刃向かえるヤツはいないといった」
・・・つまり、敵は複数。
カードを作った黒幕がいる。
田中、そしてボクとリカ、リュウ、スズ、シュウ、冬香を狙ってるって事か。
いや、ここにいるメンバーはカードのことを知ってる。すると・・・ヤバい!!
「インチョー、多湖茜も狙ってるのか!?」
「・・・決まってるだろ。別のヤツが狙ってる」
最悪だ!!
早くインチョーのほうに行かないと!!
「・・・行かせると思ってるのか?」
今度はカードから炎の弾丸による弾幕。
ボクは盾に魔力をこめる。
コレじゃダメだ。防戦一方だ。
「リカ!!」
「うん」
リカはその言葉で姿を消す。
霧になって移動を開始したんだろう。
すると、リカは相手の後ろにいた。
右ストレート。吸血鬼の力は半端じゃない。
だが、相手には届かなかった。
まるで、結界に守られているかのように空間の途中でリカの拳は止まっていた。
リカはすぐさま距離をとって大きく跳躍、ボクの横に着地。
「ソラ?」
「わかんない。リカが殴る瞬間に結界みたいなモノが展開した」
前のヤツとは比べ物にならないぐらいに改良されている。物理攻撃だけじゃなく、魔法もガードされるかもしれない。コレじゃ、インチョーがホントに危ない。
でも、田中をほうっては行けない。
・・・ケータイは壊れたまんまです。明日、絶対にケータイを買いに行こう。
「『ナハト』!!」
ボクの左手に刃のついた銃が現れる。
ボクはそこにありったけの魔力をこめる。
魔法使いなら魔力を見れなくても、ある程度の魔力を感知することができる。
ボクは空に向かって銃を撃つ。
眩いばかりに輝く光弾が夕焼け空を白く染める。
「ま、コレでみんな気づくでしょ。」
「応援を呼んだところで変わらない。」
「いや、みんなが来るころには君は倒れてるね」
「理由はアタシ達の本気の力でボコボコにされる」
「・・・いや、多湖が心配だ。三谷。お前は多湖のトコに行け」
「・・・リカ、いざとなったら田中は見捨てていいから」
「うぉい!?」
「わかった」
「理解しないで!!」
「レオ!!ここでリカの援護」
でっかくなるレオ。
でも、今回はボクは自分の足で行く。
ま、駅のほうにインチョーらしき魔力の人がいるってわかってるしね。
「じゃ、そういうわけで」
ボクは走り出す。
「逃がすか!!」
再び放たれる弾幕。
だが、それはボクじゃなく、リカ達に放たれる。
おそらく、ボクに盾を出させてみんなを守らせようという考えだろう。
「『クレセント』!!」
リカの手に大鎌が現れる。
それを振り回してすべての炎の弾丸を切り裂く。
いや、どこぞの五○衛門だよ。
「・・・すげぇ」
田中は感嘆の声を上げ、相手は驚きに目を開く。
「ま、ボク等をなめすぎ」
ボクはインチョーがいるであろう方向を目指して駆け抜ける。
―――side茜
「?」
あたしは立ち止まった。
ただなんとなく、学園近くのスーパーの方からいやな雰囲気がした。
そのときだった。突然、空に光が弾けた。でも、この感じは知ってる。
―――魔力。
魔法に素人なあたしでもわかるほどの魔力。
これは何かが起こってる。
「コンニチワ。アンタが多湖茜?」
あたしは後ろを振り向いた。
そこには同い年ぐらいの女性。そして男性が二人。合計三人の人がいた。
でも、あたしは答えない。その三人は例のカードを持っていたからだ。
「姐御。間違いないですぜ」
「写真どおりだ」
二人の男性も答える。
どうやら狙われていたらしい。
「エリア!!」
『きゅ!』
現れる水の小人。
さらに、手に三谷君からもらったカード、魔術符を握る。
「・・・アンタもこっちの人間かい?」
「全然。これは友達にもらったの」
「・・・例の魔法使いのチームの一人からでしょうかね?」
「大方そうだろ」
「ま、そんなのはカンケー無いけどね。大体、そのちびっこいやつはオモチャかい?」
「違う!!」
この子は、あたしにとって、最高の相棒だ。
笑うことは許さない。
「いや~。結構真剣に作ったボクの人工精霊をバカにされるのを実際に聞くとむかつくね。特にあんた等みたいなチンピラに」
「なんだと!?貴様姐さんを侮辱するか!?」
「姐御に謝れ!!」
「黙れ手下その1、その2」
「・・・すごくタイミングよく出てくるね」
「うん。タイミングを見計らったからね」
あたしの隣にはオッドアイの同級生。三谷君がいた。
フラグゲッター(死亡)でよく知られる。
「そんな知られ方はいやだ!」
「無視をするな!!」
「≪螺旋の水槍≫!!!」
相手は火、インチョーは回転する水の槍で攻撃・・・って、あれ?
「・・・ボクが渡したのってただの水の槍だと思ったんだけど?」
「あ、コレと組み合わせてみたの」
そう言って見せるのは水の槍のカードと洗濯のカード。
「洗濯!?てか、まさかの合成!?」
これは予想外だ。
まさかこんな使い方をするとは。
いや、ボクもつい最近合成を考えたけどリュウにさすがにお前でもそれは無理だって言われたから保留にしてた。
・・・じゃ、ボクも試してみようかな、召喚を。
魔法も半端ないやつにしないと効きそうに無いし。
どうせならコイツ等で実験しておこう。
「魔法陣展開!」
手にはおなじみ、赤色の魔法陣。
よし、これをベースにしよう。
さて、どんなチートができるかな?
ま、ボクのイメージを反映するなら形は決まってる気がする。
「ヤバい気がする!!あんた達!!やるよ!!」
「「おう!!」」
火、土、風の巨大な塊が出現。
「エリア!!三谷君を守って!!」
『きゅ』
エリアの周りに巨大な水塊がいくつも出現。
・・・とてつもなくかわいらしい外見に似合わず凶悪なことをしようとしてらっしゃる。レベルとしては中級の上位魔法。
エリアが敵のチンピラをさす。
すると、水塊は敵に殺到する。
だが、相手も先ほどの魔法で水塊を迎撃する。
「しゅーりょー」
ボクの手元の魔法陣が輝く。
すると、手の魔法陣が消え、代わりに足元は鳥を意匠化したようなものが描かれている魔法陣が展開する。
やっぱりね。
たぶん、予想できた。
「召喚!!≪朱雀≫!!」
ボクは魔法陣の特性を無意識に最大に使ったようだ。
さて、召喚の魔法は吉と出るのか凶と出るのか!