7話・RECREATION
―――side空志
二日目。
今日もいい天気だ。
「今日は何をするんだっけ?」
「レクリエーションですね」
「たしかスタンプラリーだったか?」
へ~。
要するにチームで回ってがんばれと。
「みんな~」
「お、あそこか」
スズがボク達を呼んでいる。
ボク達はそこへ向かう。
そこで挨拶を交わし、今日のことについて話し合う。
『スタンプラリーじゃ!!』
「「「イエーーーーーイ!!!!!」」」
「・・・・・テンション高ぇ~」
『ルールは簡単じゃ。どっかそこら辺にあるスタンプを探してさっき配った台紙に押していくのじゃ。制限時間は夕方4時まで、景品は・・・』
「景品がでるんだね」
「すごいね~」
ボク等がのんきにそんなことを言ってると龍造さんが景品を発表。
『あ~特別クラスの面々の写真じゃ』
そこからの行動は速かった。
ボク達以外の一年全員は瞬間移動でもしたかのように消えて、遥かかなたを見るとそこにはもうもうと土煙が舞っている。
そして、ボク達はというと。
「ジジイィィィィイイイイイイ!!!!!」
「「「「アホ理事長!!!!!」」」」
「ちょ、ま、どばふぁ!?」
ドカ!バキ!ガガガガガガ!ドカン!ズドーン!!
ボク以外の全員が龍造さんを肉薄する。
いや、文字通りの意味で。
ありえない音が鳴ってるけど残念ながらマジです。
え?何でボクはしないのかって?
別にボクの写真を欲しがる人なんかいないでしょ。
「オイ!!野郎ども!!!」
「「「「おう!!!」」」」
「・・・何この一体感?」
「オレ等が一番にゴールして景品をいただくぞ!!!」
「「「「押忍!!!」」」」
「・・・この雰囲気だと確実に道場破りしそうなんだけど?」
猛スピードで走り出したみんなにボクはついていく。
・・・死人が出ないようにと祈りながら。
「ドコだ!?」
「こっちには無いぞ!!」
「コレか!?」
「・・・タダの石じゃねぇか!」
現在、海岸沿いの岩場。
ここはなんとも殺気に満ち溢れていた。
「チッ。こうなったらまほ・・・」
「最低だな。魔王の孫がここまで堕ちたのか」
「・・・なら、お前も必死こいて探せよ!!」
「別にボクの写真もらってもうれしい人はいないでしょ」
「いますよ(若干一名ですが)」
「そうね。いるわね(若干一名だけど)」
「・・・ポッ」←その若干一名
「冗談でもうれしいよ」
「・・・冗談じゃないんだけどね~(若干一名~)」
なんかボクの知らないところで会話が成立してるような気がする。
ま、みんなの写真は出回ると大変なことになりそうだしね、主に血の雨が振るとか血で血を洗う戦争的な意味で。穏便に、そして何より自分の平穏のためにがんばるか。
・・・・・。
・・・・・・・・・・。
ん?
「レオどうしたの?」
「に~」
レオは口になんかくわえてる。
よく見ると、それはプラスチックでできたスタンプ。
♪テッテテ~ン。
スタンプを見つけた。コレで次のスタンプを探しに行こう。(ゼルダ風)
「「「「「「それだ!!!」」」」」」
ボクは台紙にスタンプをぽんと押す。
一個目ゲット。
よしじゃ、次はっと。
「破壊するぞ!!」
「・・・いや、次探そうよ」
「いえ、ここは破壊すべきです」
・・・シュウ、キミはそんなキャラだっけ?
「ここはガツンと行くべし!!」
「そうね。ゴミくずにしたほうがいいわ」
「アタシもそう思う」
「では・・・ハッ!」
・・・マジでやりやがった。
でも、意味無いんだよな・・・。
コレ、相当な結界が張ってあるんだよ。たぶん龍造さんのヤツ。特性は衝撃二倍返し。つまり、強い攻撃をするほど自分にその痛みが帰ってくる。
これはシュウが攻撃したからわかったことだけど。
ボクは逆に痛みで悶絶するシュウに親切に教える。
「・・・わかってたのなら教えてくださいよ」
「いや、バカは痛い目を見るって事を教えたほうがいいかな~と思って。それに僕がわかったのは結界が張ってあるって事だけだし」
≪月詠≫すればわかったかも知れないけど。
たぶん他のにも同じことがしてあると思うし、やっぱ自分らが1位になるしかないよね。
「参謀のソラ!!」
「リュウ総帥閣下、情報がないから無理」
「「「「「・・・」」」」」
「よし、次行くよ」
「みゃ~」
みんなは肩を落としてゾンビのようにボクとレオについてきた。
―――side??
「何だよアレは!?」
森の中を走る。
俺たちは普通にスタンプラリーをしてたはずだ。
何で追われてるんだ?
「それをよこせ!!」
おそらく、台紙のことだろう。
何人かの男子生徒が追いかけてくる。
オレのほかのメンバーは途中ではぐれた。
全員無事だといいんだが。
ゴウッ!!
そのとき、ものすごい勢いで直径1メートルほどの水塊が俺の横を通り過ぎて言った。
「ヒッ!?」
声にならない悲鳴が上がる。
「ひゃはははは。おしい、後少しだったぜ?」
「次は俺にさせろよ」
「いや、俺だって」
恐ろしい。まるで魔法のような事を繰り出す。
そして、俺は疲労のためか足元の注意を怠り、木の根につまずいてしまった。
「うわぁ!?」
「・・・なんだ。鬼ごっこは終わりか?」
「なら、さっさと終わらそうぜ」
そういうと、一人の男子生徒が一枚のカードを俺にかざす。
すると、俺の体に雷を浴びたような衝撃。
悲鳴を上げるまもなく、俺の意識は闇に落ちた。
―――side空志
「レオはすごいね」
「ああ、レオのおかげでラスト一個だ」
アレからだいぶ時間がたってボク達は次々にスタンプを見つけて台紙に押していく。
って、言ってもほぼレオが見つけてきたやつをボク等が押してっただけなんだけどね。
「最後は・・・森にあるのか?」
「探していないのはそこだけですしね」
「でも、ヒントが無いのは辛いわね」
「鬼畜げ~」
「・・・スズネってオタクなの?」
「突っ込んじゃいけない領域なんだよ。たぶん」
ボク等の前には森。
ここにあったらいいな~。
そしたら、みんなハッピー。ボクにも平穏な日々。
どごぉぉぉぉおおおおおおん!!!!
「≪月詠≫!!」
「オイ!?」
リュウが驚くがそれどころじゃない!!
さっきの爆発に魔法の残滓が感じられた。
こんなところで魔法使いが戦闘してたら生徒がヤバい!
ボクは魔法の解析、ならびに発生場所を調べる。
「戦闘隊形だ!!前衛ボク、リュウ!後衛に女子!!シュウは奇襲!!合図で敵を殲滅しろ!!」
「どういうこと!?」
「そうよ!!説明しなさいよ」
「さっきの爆発は魔法。雷の属性」
「本当ですか!?」
「だから周りに被害が出る前にたたく!!レオ!!」
ボクはレオに合図し大きくさせる。
そして、森の中を駆け出す。
―――side??
「何だよ。こいつもだ。どうせなら最後にここを探せよ」
「つか、この力があれば俺等って最強じゃね?」
「きゃははははは!!そうだよな!!!」
森の一角に間学園の男子生徒の下卑た笑い声が響く。
「田中君!?」
そこに一人の女子生徒が現れ、倒れている男子生徒を見て驚愕の声を上げる。
おそらくは心配して駆けつけてきたのだろうと思う。
「・・・に、げ・・・ろ」
「何だ?コイツまだ生きてるぜ?」
「しぶといヤツだな!」
そういうと田中と呼ばれた生徒に蹴りを放つ。
「やめて!!」
「うっせぇな・・・お前もコイツと同じ目にあいてぇのか?」
男子生徒たちが女子に近づく。
「い・・・いや・・・」
「いまさら遅ぇっつうの」
カードを取り出す男子。
本能的にそれが危険なものだと感じ、女子は下がる。
「や、や・・・め・・・ろ」
息も絶え絶えに田中が声を振り絞る。
「黙れっつてんだろうが!!」
カードを田中に向ける。
「助けて!!」
「こんなトコに誰も助けにこねぇよ!!「残念ながら来ます!!」ゴパァ!?」
ドサッ。
いきなり後ろから後頭部に蹴りを受けたために今まさに田中に向けて何かしようとしてた男子は昏倒する。
その蹴りを放った男子は片目が深い蒼、もう片方が蒼銀というオッドアイの少年だった。
「さて、一人。って、お前は田中太郎か!?」
「・・・み・・た、に?」
「あ~田中太郎君だ~」
「田中か」
「誰?」
「アタシ達のクラスメイト」
そこにはこの学園のトップアイドル(若干一名を除く)が勢ぞろい。
李樹君だけがいない。
「ぐるるるるる」
「って、ライオン!?」
「・・・あ~後で説明するよ」
三谷と田中君に呼ばれた生徒があたしに言う。
・・・でも、この人たちの雰囲気がいつもと違う。
田中君を襲った人に似ている気がするけど、根本的なところが違う気がする。
「さて、悪い子はいねが~?」
「いや、ドコのなまはげだよ!?」
・・・ホントに大丈夫なのか心配になってきた。
―――side空志
「で、魔法使いは?」
リュウが聞いてくる。
相手はさっき倒したのを抜いて6人。
でも、残念なお知らせがある。
後ろに庇った女子生徒がなんかうるさいけど無視だ。
「いない」
「「「「・・・は?」」」」
「正確には≪月詠≫ではあいつらが放ってることになってる。でも、あいつらには魔法力は皆無」
「どういうことよ!?」
「わからない。でも、カードが関係あると思う」
ボクは相手の握るカードをさすたぶん魔術符だろう。
「お前らさっきからゴチャゴチャ何言ってんだ?魔法とか脳みそイカれてんのか?」
「確かに魔法のことを知らんようだな」
「じゃ、わたしが魔法使えば一発じゃない~?」
「そうだね。とりあえず相手を気絶。魔法は使わない方向で」
「え~何でよ」
「アホか?周りにバレないようにだよ」
「だって少なくとも一人にはわかっちゃうじゃない」
そう言って後ろの女子をさす冬香。
「それはしょうがない。巻き込まれただけなんだし。じゃ、行くよ!!」
「へいへい!!」
ボクとリュウは前に飛び出す!
「俺等にかなうわけねぇだろ!!」
そういうとカードを前に突き出す男子。
解析!!
「≪激流の水衝球≫!?」
「ウソだろ!?」
皆さん覚えているだろうか?
これは初めてアリアさんにあったときにかまされた水属性中級魔法。
でも、限りなく上級に近い強力な魔法。
「リュウ、バック!!」
そうリュウに指示しつつボクは前に突き進む。
「バカが!!」
相手は魔法を放つ!
ボクだったからタイミングがわかったけど普通の人だったら確実に一撃もらってる。
というわけで、余裕でかわしました。
「な!?」
「次の動作が遅い!!」
「がっ!?」
「リュウ、ナイス~」
後ろに回りこんで一撃を決めたリュウに声をかける。
「そういや、こういうの久しぶりか?ソラ」
「できれば永遠にこないで欲しかった・・・」
「ソラだと!?」
「いや、あの連携!?」
「・・・まさか相方は!?」
「つか、あいつらはまさか・・・!?」
「「「「「黒騎士と白騎士か!?」」」」」
「「黙れよ!?」」
「忘れてた!!コレ言うとげふぅ!?」
瞬殺!!
その口を縫っといてやろうか!?
「へ~。あの二人がそうだったんだ~」
「・・・なんですかそれ?」
「「言うな!!」」
「その二人に依頼すると必ず成功させるという何でも屋のような二人のチームです」
そういったのは後ろの女子。
・・・。
「・・・穴、無いね」
「・・・ああ、そうだな。」
「何でも、探し物から荒事までありとあらゆることに失敗したことが無いという伝説の中学生二人のことだったんです。それで、通り名が策略、守備に特化した白騎士のソラさん。凶悪な攻撃に特化した黒騎士の・・・誰でしたっけ?「リュウさんですね」・・・そうなんですか?・・・って、さっきの誰!?・・・とにかくその二人で構成された何でも屋です」
「・・・ぶっちゃけちゃうとね~今とそんなに変わらないよ~」
「そうね。特にソラとか」
「・・・一番の敵はリュウ?」
「リカ!?お前は何を言ってるんだ!?」
・・・穴、無いなぁ~。
「だが、俺たちにはこの力がある!!伝説はここで終わんだよ!!」
なんか微妙にかっこよさげな事言ってる~。
「でもよぉ、すでに二人・・・」
「偶然だ!!そうに決まってる!!」
「・・・そうだよな!!ビビッて損したぜ!!」
「・・・元気だね」
「・・・そうだな」
「「じゃ、シュウ、後がんばって」」
「誰にげぼら!?」
「・・・黒歴史を言われたぐらいでヘコまないでくださいよ」
「お前!?いつの間に!?」
「さっきですが?」
「ちっ・・・一気に殺るぞ!!」
ヒュン!ドカ!ドス!バシ!ボカ!
「終わりましたよ」
「・・・速いな。さすが」
周りにはシュウにボコられて気絶した男子生徒A、B、C、D、Eとボク等が気絶させたF、G、H。
みっしょん・こんぷりーと。
「まだだぁぁぁぁああああああ!!!」
帰ろうとしたところを後ろからリカが羽交い絞めにされる。
・・・って、ヤバい!!!
「お前!早くリカを離せ!!」
「そうだよ~!!」
「危ないわ!!」
「死ぬぞ!!」
「お願いだから!!」
「ハッ!!形勢逆て「リカ!!気絶させるだけだから!!」「・・・ソラが言うなら。」・・・は?」
バキ!
「俺は・・・ただ姐さんの写真が欲しかっただけなのに・・・ガク。」
うん、ドンマイ。冬香のファンクラブの人よ。
本日最大の犠牲者が出てしまった。
何度も言うがリカは軽く対人恐怖症だ。
そのためかわからないけど、前に冬香がふざけて後ろから抱きついたことがある。
そのとき、リカは思わず吸血呪を発動させようとしたことがある。そのときはとっさにボクが後ろから抱き着いておとなしくさせるという作戦(スズ発案)で事なきを得た。
以来、リカに後ろから抱きつくことは禁止となった。
・・・そういや、ボクのときは何で大丈夫だったんだ?
「・・・アンジェリカさんつよ・・・ガク。」
「田中君!!!」
・・・忘れてた。
作 「暇なんで主人公たちに黒歴史を作ってみました。」
隆 「作者ぁぁぁぁああああああ!!!!!」
空 「死ねぇぇぇぇええええええ!!!!!」
作 「あべしっ!?」
隆 「作者が星になったところでまじめにいこう。」
空 「そうだね。」
太郎 「じゃ、次回予告だ!!」
隆 「・・・・・お前はモブじゃなかったのか?」
太 「ついにレギュラーだぜ!!」
空 「次回!ボクはがんばってごまかします。」
隆 「オレ達はお前に押し付けて逃げるがな!!」
太 「無視か!?」
空 「じゃ、次回もよろしくお願いします。」
隆 「そういうことだ。」
太 「・・・・・俺、何でここにいんの?」
空 「作者の気分じゃね?」
隆 「だろうな。」
太 「ちくしょぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」