6話・ORIENTATION
―――side空志
「オリエンテーションの事を決めるぞ~」
そうやってガントさんが教室に入ってきたことによってホームルームが始まった。
そういや前にそんな事言ってたね。
1年生交流のやつ?
「何度も言うが原土元太だ。原土先生、もしくは元太先生と呼べ」
「気にするなって。ガントのおっさん」
「リュウ、ちょっとお前とは語り合う必要があるな。拳で」
「でも、ガントさんはガントさんだもんね~」
「そして、何気にこのクラスではすでにガントさんが定着してるよね」
「そうだぜガントさん」
「・・・田中太郎!?お前同じクラスだったのか!?」
「ホントだ!!いつぞやの田中太郎君!!」
驚くボクとスズ。
「何で俺はフルネームなんだよ!?そして今さらだろ!?」
ま、これはほっとこう。
「で、オリエンテーションでは班を・・・」
「「「アンジェリカさん!!!」」」
「「「坂崎さん!!!」」」
「「「間君!!!」」」
それぞれ男子がリカとスズを、女子がリュウと同じ班になろうといっせいにフライングする。
え?
ボク?
モテ無いからしょうがない。
でも、一度でいいからモテてみたい。
「ソラ?」
隣の席のリカが怒気を含んだ声でにらんでくる。
てか、何で!?
そういえばボクはなぜかリカの隣の席にさせられた。
リュウは真ん中らへん、スズは前のほう廊下側。ボクとリカは一番後ろの窓側。
つまりだ、リカの隣ということはリカFCに殺される可能性がとても高くなってしまった。そして、微妙に対人恐怖症のリカはよくボクの後ろへと素早く逃げる。
そしてお約束の展開。
「おい三谷、邪魔をするな」
「いや、ボクは自分の席から一歩も動いてないよね?」
「お前の存在が邪魔だ」
それは酷くない!?
もっと人権を大切にしようよ!!
「お前には適用されないんだよ!!!」
「どんな憲法だよ!?」
「しょうがない。お前は人間を超越、あるいはやめてるから」
「ソラ君ドンマイ」
いつの間にかいるリュウとスズ。
どうやって自分の包囲網を抜けてきたんだ?
「そんなことよりソラ、オレ等と班組もうぜ」
「クラスまたいで冬香ちゃんとシュウ君も呼ぼうよ」
「クラスまたいでもいいの?」
「いいらしいぞ」
「へぇ~。なら、リカも大丈夫だね」
「・・・うん」
もはやボクの後ろで小動物と化しているリカはボクから離れようとしない。
・・・って、そんなにくっついたらボクの命が危ない!!
「じゃ、ガントのおっさんに言ってくるわ」
「待て!!ボクが行く!!」
ここにいるとヤバいんだ!!
「おう、じゃ、頼むわ」
ボクは席を立ってガントさんのいる教卓へ。
行こうとしたが行けない。
「・・・リカサン?」
「・・・」
ボクの制服のすそをつかんで離さないリカ。
「・・・行かないで」
・・・アレだ!!
リカはここに残ると目が血走ってる男子のところにいるのが怖いだけなんだろうけど、でもボクにとってこれは完全なる『ざ・死亡フラグ』!!!
「「「三谷ぃぃぃいいいい!!!!!」」」
まさか教室でやる気か!?
ガントさん!!!
「死なない程度にな」
「あんたそれでも教師か!?」
「本日も始まりましたソラVSクラスメイツ、実況はワタシ、間隆介と・・・」
「解説は坂崎鈴音でお送りしま~す。そしてゲストは・・・」
「アタシ、アンジェリカ・シェルスです。よろしくお願いします」
「いや、安全なところに退避して何をしてんの!?てか、ホントにクラスメイツだね!?」
男子のほかに女子も混じってました。
でも何で!?
「あたし達から間君を奪った恨みっ!!!」
「ちょ、まぁぁぁぁああああああ!!!!?」
「あ、おっさん。これ、班のやつ」
「おう、わかった」
~オリエンテーション当日~
「・・・生きて帰ってこれるかなぁ?」
「大丈夫ですよ。班行動は夕飯を作るときとレクリエーションのときぐらいですから」
「男が何メソメソ言ってんのよ!」
「冬香、それは男女差別だ」
「お菓子は300円まで!!」
「・・・スズネ・・・」
「に~」
ボク達はすでに集合場所を出発してバスの中。
みんなジャージ姿でわいわい言ってる。
そして、これからの3泊4日のこととかを話している。
・・・って。
「何で冬香とシュウがいんの!?クラス違うよね!?」
「ガントさんに話したら大丈夫でした」
ボクはガントさんのほうを見る。
・・・いや、親指立てなくてもいい。
「・・・むしろ何でレオもいるのよ?」
・・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・!?
「何でレオいんの!?」
「「「「「今気づいたんかい!?」」」」」
「いや、いつものところにいて全然違和感が無くてさ」
「に~」
「・・・ソラって天然が入ってるよね」
「いやいや、ボクが天然だったら世界中の90%の人が天然だよ」
「天然な人の特徴、自分が天然であるという自覚が無いですね」
「そうだね~」
「天然の筆頭が言うなよ。お前は世界一の天然だぞ」
ボク達はそんなたわいも無いことをしゃべりながら、そしてボクは自分の命を心配しつつこれからのことに思いをはせた。
「到着だぜ!!」
「テンションが高いね~」
スズはいつものんびりだね~。
ここは海岸近くの間学園が所有する合宿所の前。
バスから開放されてさらにテンションが高くなるみんな。
そして、いろいろと話し合っている人々。
平和だね。
「みゃ~」
「・・・コレって三谷君の飼い猫?」
そう言ってきたのは別のクラスの女子の方。
名前は知らない。
でも、どっかで見たような気がする。
「まぁ、そんなもんかな?レオって言うんだよ。レオ、挨拶しなさい」
「にゃ」
「「「かわいい~!!」」」
いつの間にか女子に包囲されてる!?
レオすげぇ!?
「でも猫を連れてきてもいいの?」
「いや、気づいたらこいつのベストポジションのボクの後頭部に張り付いてた」
「三谷君って結構天然?」
「失礼な。ボクが天然なら君らのほとんどがそうだよ」
「「「え~」」」
「リュウ!!どういうこと!?」
「あ~。あいつな、結構いろんな人の相談のったり助けたりしまくるから実は隠れファンがわりといたりすることはごく一部のやつしか知らないことだ。コレを期に親睦をとか告っちまおうぜ!!っていうやつも結構いると思う」
なんかリカとリュウが話し合ってそこからリカがボクをにらんでるけど何でだろう?
あ、リカがこっちに来た。
・・・リュウよ、何故合掌している?
あ、リカが男子に囲まれてる。
てか、みんな男子や女子に包囲されてる。
・・・そういやこれから昼まで自由行動だから気になる人と一緒に行動したいって人がいっぱいいるのか。でも、みんな片っ端から断ってるな。
いや、冬香に関してはなんか必死に抜け出そうとしてる。・・・血に飢えた女子の群れから。
「ソラ!!」
「ん?リカどうしたの?」
「え?あ、その・・・」
「・・・三谷君ってアンジェリカさんのこと好きなの?」
はい?
・・・なんでリカは顔を赤くしてこっちをガン見してるの?
「急になんで?」
「よく一緒にいるなぁ~と思って」
そうか、周りから見るとそういう風に見えるんだ。
・・・そういやリカは何かとボクに構ってくれるけどボクのことをどう思ってるんだろう?
「三谷君?」
「あ、ゴメンゴメン。う~ん・・・友人以上には好きかな?」
「・・・好き」
おい、リカ!?
顔がこれ以上に無いほど赤いけど大丈夫!?
「友人以上・・・」
「何でこっちは暗くなった?」
この温度差はなんだろう?
そしてさっきから酷く視線を感じる。
主に殺気がこもったヤツ。
「ソラ!!早くみんなのところに行こう!!」
「え?あ、うん。・・・って、腕!!胸!!!」
いつものごとく腕を組んでボクは引っ張られていった。
でも、今日のリカはいつも以上にご機嫌だ。
何でだろう?
『第1回!カレー作り対決じゃ~!!!』
「「「イェーーーーー!!!!!」」」
「いや、最初で最後だよね」
『何を言うか!わしの権限でふやげぼら!?』
『皆さん。アホ理事長は放っておいて早速料理してください』
拡声器を使って話しているのは理事長こと龍造さんと優子さん。
もちろん、校医の颯太さんもいる。
「じゃ、作れ」
「・・・いや、何であんたもいんだよ。ソラからこっちについたとは聞いたが」
なぜか智也さんもいた。
あなたは図書館司書ですよね?
「できたよ~」
「「「「「はやっ!?」」」」」
スズ、ボク達何もしてないよ。
「料理は得意だもんね」
胸を張って言うスズ。
でも、胸が・・・。
「ソラ君?」
「何でもありません」
触らぬ神にたたりなし。
「ですが超越してますね」
「ま、スズの料理はおいしいからいいじゃん」
「・・・ソラは料理できる女の子のほうが好き?」
「?・・・まぁ、そうかな?」
「がんばる」
「乙女はすごいわね」
「よそえ」
「お前はいちいち上からものを言うなよ!!」
「「「おい!」」」
・・・スズネFCか?
「何か御用ですか?」
「何で坂崎さんの料理を食ったことがあるんだ!?」
「・・・オレ等一緒の寮で坂崎は料理担当なんだよな」
「そうそう、わたしは家計の管理」
「私は力仕事ですね」
「そういえばボクは家事全般?」
「アタシはソラの手伝い」
「オレは寮の管理だな」
何気にこの面子だから寮で過ごせてきたのか。
「な、なんだ、と!?」
「羨ましすぎる!!」
「コレが主人公補正・・・!?」
「作りすぎたからみんなにもあげるね~」
そう言いつつ他の人たちにも配膳するスズ。
一部の男子は涙を流しながらカレーにがっついてる。
「で、何で智也さんがいるの?」
リカは智也さんに敵意のこもった目でにらみつけている。
だが、智也さんはそれを無視している。
「気分だ」
最悪ですね!?
気分で上から目線でカレーを食おうとしてたんですか!?
何でこうもボクの周りには常識が通用しない人が多いの!?
「おぬしが不幸体質じゃからな」
「ジジイ、いつの間に・・・」
「あら、おいしいわ。鈴音ちゃんすごいわね」
「本当ですね。おいしいですよ」
「えへへ~。どうも~」
「いつの間にオールスター勢ぞろい!?」
「そんなことより、ソラ。あ~ん」
「さらば!!」
「「「三谷ぃぃぃぃいいいいいい!!!!!」」」
今日の食卓はとてもにぎやかだった。
―――side隆介
「おい、リカ?」
「何?」
オレはリカに思ったことをズバッと聞いてみる。
「やたらと機嫌がいいがなんかあったのか?」
「え~。何でもないよ~」
・・・顔がにやけてるぞ?
これはソラ絡みで相当いいことがあったな。
「そういえばソラさんが女子に包囲されてからリカさんが連れてきたあたりから機嫌がいいですね」
「やっぱりソラ君関係だね」
「リカ、白状しなさいよ」
「わしも気にふべら!?」
「ここはわたし達オトナは退散しましょう」
「そうだな」
そういうと大人達+龍造は離れていく。
「えへへ~。あのね実は、ソラに好きって言われちゃった♡」
「「「「「ウソォ!!!!?」」」」」
あいつはリカに告ったってことか!?
いや、リカによる何らかのフィルターがかかっている可能性がある。
「・・・スマンが詳しく頼む」
オレ達はことの詳細を詳しく聞いてみることに。
・・・なるほど、そういうことか。
「驚いたわ」
「そうですね」
「それなら納得できるね~」
「・・・どういうこと?」
大変残念なお知らせだな。
残酷だがしょうがない。
「ソラはな、おそらくお前を異性として好きなやつとは認識していない」
「・・・え?」
「たぶん、ソラ君の認識は友達以上恋人未満だよね」
「ホントにどこぞのギャルゲの主人公何だか」
「ま、気を落とさないことです」
「ま、ソラにとってそんな異性はここにいるメンバーぐらいだからな。十分に周りのヤツよりかはアドバンテージがある」
「・・・絶対に振り向かせてやる」
「あ~。疲れた」
タイミングよく帰ってきたな。
「ソラ!!」
「ハイ!?」
「絶対あきらめないから!!そしてがんばるから!!」
「え、あ、うん?」
ソラはオレに近づく。
「どうしたの?それとさっきの意味は?」
「それはお前が見つけろ。そしてリカのためにもな」
ソラはわけのわからないという顔をしている。
オレ達は張り切るリカと困惑顔のソラを見て困ったもんだとでも言うように顔を見合わせた。
隆 「ソラがコレって事は作者もそうなのか?」
作 「そうだといいなぁって思ったよ。ウン。」
鈴 「実際に相談とかは?」
作 「何回もある。ヘルプがかかったら即出動。」
樹 「で、モテないわけですね。」
作 「そうなんだよ!!何で!?」
冬 「あんたはモテ無いこと間違いないわ。」
作 「・・・・・次回予告だ!!!!!」
鈴 「逃げた。」
作 「ついに事件発生!!」
隆 「ヤケクソだな。」
作 「そしてあのキャラが巻き込まれる!!」
樹 「名前を考えるのが面倒になったんですね。」
作 「そして新キャラ登場!!」
冬 「取ってつけたかのような内容ね。」
作 「次回もよろしくお願いします!」