4話・DATE?
―――side空志
「魔物の都市にもファミレスがあるんだね」
「生活水準はソラの世界と変わらないんだよ」
「にー」
・・・そういやレオ、お前今までどこにいた?
ログさんトコについたらいつの間にかどこかに消えてた気がするぞ?
ま、そんなことより、だ。
「で、ボクは何をすればいいの?」
そういえばいい忘れてたけどここはメインストリートにある食堂。
結構いろんな料理があって、おいしかった。
「う~ん」
「お客さん、カップルかい?」
そう言ってきたのはこの食堂の店員さん。
種族はコボルト。あの犬みたいなやつ。
でも、鉢巻巻いて板前みたいな格好をしてるのはまごうことなき柴犬だ。
ボクの腰ぐらいの伸長の店員が料理を運ぶのはなかなかにシュールな光景だ。
「いや、そんなんじゃないです」
「え~、デートしてくれるって言ったのに」
「彼氏をつくれ」
「・・・バカ」
なんか小声で言ってるけどボクまでは届かない。
柴犬の店員はにやけた顔でボクに耳打ちする。
「こんな可愛い子をそんな風に扱うもじゃないですぜお客さん」
いや、そんな風ってどんな風?
「おいコラ!!次郎!!注文とってこいや!!」
「へい!!」
するとコボルトの店員、次郎さんは仕事に戻っていった。
・・・いったい何がしたかったんだろう?
「じゃ、行こうか」
ボクは立ち上がってレオを抱いてリカに言う。
「行くってドコに?」
何を言ってるんだこの子は?
そんなの決まってる。
「デートするんじゃないの?」
驚くリカ。
でも、次の瞬間には満面の笑みでこう答えた。
「うん!!」
「でも、デートって何するの?」
「さ、さぁ・・・」
リカは何を緊張してるんだろう?
さっきからやや表情が硬い。
「見付けたぁぁあああああ!!!」
諸悪の根源の声がする。
てか、後ろ襟をつかまないでください。
「・・・今度はなんです?」
「よくもわたしをおいて逃げたわね」
「それが一番得意なことなんで」
「・・・」
リカから殺気がヤバいくらいに出てきてるよ。
でも、アリアさんはそんなことでは怯まない。
「で、わたしが聞きたいのはキミは浮気してるの?」
「ソラ?」
「待って、誤解。てか、彼女がいないのに浮気とかできない」
「え~。スズネちゃんって彼女じゃないの~」
「違います」
このはた迷惑なおねーさんを誰かどうにかして!!
「じゃ、こっちが本命?」
「いや、「そうです」・・・いい加減やめてよ」
ほら、周りの男性の方からすごい殺気が。
自分が超絶美少女であることを自覚してください。
・・・さっき闇討ちとか聞こえたよ。
「・・・そういうことか」
アリアさんはニヤニヤ笑いでリカを見る。
・・・前にもこんなことがあった気がする。
「ヘ~イ、そこのカノジョ」
「え、ちょ!?」
突然リカを拉致しようとするアリアさん。
ボクがついていこうとすると。
「今からヤロウはお断りよ。乙女の重要な話があるの」
ナニソレ。
ボクから少し離れたところで内緒話をしだす乙女(?)達。
リカは赤くなったり慌てふためいてる。
それをアリアさんはおもしろそうに見ている。
・・・なんか暇だなぁ。
レオが欠伸をした。
―――sideリカ
「で、キミはあのカレが好きなのかい?」
「え、ちょ、そっ、なっ!?」
なんか初対面の人に突然そんなことを言われても!?
ど、どうすればいいの!?
正直に話すの!?
「むふふふふふ。その反応はドンピシャね」
「え、あ、はぅ・・・」
自分でもアタシの顔が赤くなってるのがわかる。
てか、何でこの人にそんなことを!?
「わたしが思うにキミのカレシ(予定)はキミの好意に気づいてないんだね」
「・・・ハイ」
そう。
ソラはアタシのあからさまな好意に気づいてない。
どこぞのギャルゲの主人公だ!?としょっちゅう思う。
「ふふふふふ、おねーさんに任せなさい」
「・・・なんでこんなことをしてくれるんですか?」
アリアさんは笑みを浮かべるとこう言った。
「恋する乙女は応援しろがわたしのモットーよ」
アタシは少し感動してしまった。
コレでソラが少しでもこっちに振り向けば!!という思いでいっぱいだった。
この時この人が影で邪悪な笑みを浮かべていたのにアタシは気づかなかった。
―――side空志
「ゴメン」
「いや、アリアさんに捕まったんだ。しょうがない」
それよりもリカがアリアさんに汚染されてないかが心配だ。
あの人は状況を混沌とさせるのがとても大好きなヤツだ。
だが、アリアさんはリカと話し終えるとどこかに行ってしまったようだ。
ま、たぶんコレでひとまずは安心だろう。
「じゃ、どうする?」
「デ、デートしましょう!」
「うん。で、ドコに行く?」
「アリアさんがデートにはここが・・・」
「よし、そこは却下しよう」
驚愕の表情のリカ。
・・・いや、だってあのアリアさんだよ。
絶対に何か理由があってこんなことしてるって。
「・・・ダメ?」
「うっ・・・」
上目遣いがこんなにも破壊力のある兵器だとは思わなかった。
なんか美少女が目をウルウルさせてるとすごいね。ホント。
「・・・わかりました」
「じゃ、行こ!!」
ボクはリカの上目遣いに負け、結局アリアさんの教えてくれたところに行くことにした。
「って、腕!!胸!!」
「♪~」
―――sideリカ
よし、作戦はうまくいった。
それにしてもアリアさんはすごい。
ソラはおそらくそこへ行くのを拒む。だから上目遣いで攻撃しよう!そうすれば絶対に断れなくなる。
なんという策士。
で、アタシは今、アリアさんの教えてくれた所に向かっている。
「でさ、ドコに行くの?」
「ん~とね、今日はね湖水区で何かイベントをしてるらしいよ」
この都市はいくつかの区画に分かれている。
普段、アタシ達がいるのが中央区。
他にも山岳区、森林区、がある。
アタシ達が向かっているのは湖水区。
主に水の中に住む魔物達が生活する区画だ。
もちろん。水中で生活しない人もいたりするし、水棲の魔物の人たちも中央区で買い物をしてたりする。リュウの話では魔道具や魔物の力でできるらしい。
「へぇ~。そういえばボクはあそこに行くのは初めてかな?」
「アタシも」
アタシ達は腕を組みながらそんな話をしていると、目的地が見えてきた。
そこには大きな湖に町が浮いていた。
イタリアのベネツィアみたいな感じ。
まさに水の都だ。
「・・・すげぇ」
「・・・うん」
アタシ達は目の前の景色に圧倒された。
とてもきれいな町並みだった。
そして湖にはさまざまな魔物や妖精が泳いでたり顔を出してたりしてる。
アタシ達はしばしそこでこの景観を楽しんだ。
―――side??
「こちらブラック。ターゲット目の前の光景に見入っています」
『こちらウォーター、了解。引き続きターゲットを監視しろ』
「了解」
『こちらベルだよ~。二人が動き出したよ~』
『こちらフォレス、こちらでも確認しました』
『こちらウィンター。暇だわ』
二人はこちらにまったく気づいていない。
ま、こっちも大いに楽しませてもらいますか。
―――side空志
「!?」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
なんかものすごくいやな予感を感じた。
てか、誰かに見られてる気がする。
ま、そんなことより、だ。
「イベントってコレのことかな?」
「たぶんそうだと思う」
目の前には看板。
そこには『湖水区リ○ル鬼ごっこ大会』とあった。
「・・・何ぞコレ?」
「さ、さぁ?」
ツッコミどころがたくさんあるがとりあえず無視しよう。
「お客さん!カップルかい!」
「いや、そ「うです」・・・」
聞いてきたのは受付の人だろうか?
擬人化していて種族はわからない。
「じゃ、このイベントに参加してけって」
なんで?
「コレはカップル限定イベントなんだよ。そこにも書いてあるだろ」
ボクとリカは看板をよく見る。
確かに下のほうにカップル限定♡って書いてある。
「・・・やっちゃう?」
「・・・え」
「いや、どうせここまで来たならやっちゃえばいいかなーって思ったんだけど?」
「でも、カップルじゃ・・・」
「細かいことはいいって。じゃ、参加します。あ、そういえばレオはどうすれば?」
「ここに名前を書いてな!そいつはお前が連れててもいいって」
「ん~。どうも」
―――side??
『おい!ジジじゃなくてメイアー!!お前はアホか!!』
「アホとは何じゃ。急に言い出すもんだからコレが精一杯だったんじゃ」
『しょうがないよ~』
「やっぱりすじゃなくてベルはいい子じゃの」
『ま、しょうがないわね。わたしが急に頼んだことだし。』
『でも、楽しいから全然大丈夫よ。ウォーター』
『みなさん、ターゲットはどうやら参加したようです』
『あいつはアホか!?』
―――side空志
『さて皆さんコンニチワ!!本日はカップル限定の鬼ごっこ大会にご参加いただきありがとうございます!!そしてお前らノッてるかぁぁあああああ!!!!?』
「「「イェ~イ!!!!!」」」
「・・・鬼ごっこですごいテンションだね」
「そうだね」
「みゃ~」
『久しぶりの市長主催のイベントですからね!!景品もすごいぞ!!!』
「「「うぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」」」
よし、突っ込まないでおこう。
このイベントのルールはいたって簡単。
まず、カップル自分のパートナーを捕まえる。
それだけ。ただし、運営や自主参加でボク達を邪魔する人がいる。
その人たちは全員腕章をつけていて、ボク達に向かって威力を落とした水の魔法の魔術符を放ってくる。それにあたればゲームセット、つまりは失格となる。
それで、自分のパートナーを一番早く見つけて戻ってきた人たちの勝ち。
ちなみに参加者の魔法の使用は禁止されている。
魔法を使用した場合も失格。
ま、こんなところかな?
『では、準備を開始いたします』
その言葉とともに観客席にスクリーンのような物が展開される。
たぶん、アレでボク達の様子を中継するんだろう。
『準備が整いました!では女性の方から目の前の魔法陣にお入りください』
「じゃ、行ってくるね」
「了解、すぐに見つけに行くよ」
リカが魔法陣に入る。
『では、これより転移を行います。なお、場所はランダムですが湖水区の中にいます。じゃ、そー言うわけで転移!!!』
その言葉と同時にリカが転移される。
『では、男性の方もどうぞ!!』
ボクも魔法陣へ入る。司会者の転移の言葉でボクもどこかへと転移される。
気づくと、そこは湖水区のど真ん中。
『では、全員の転移が終了しました!!じゃ、レディー・・・ゴー!!!!』
「じゃ、がんばるか」
「に~」
ボクは勘でリカのいそうな方向に向かって歩き出す。
―――side??
『おい、この都市のやつらは全員アホなのか?』
「違うわよ。久しぶりのことだからみんな舞い上がってるのよ」
『15年ほど寝とったからのぉ』
『ま、ここからは高みの見物としときましょう』
『そうですね』
『お菓子食べる~?』
―――side空志
「リア充死ねぇぇぇぇええええ!!!!!」
「ちょ、ま、どわぁぁぁあああああ!!!!?」
「どうせ私はモテないわよぉぉぉおおおお!!!!」
「それは、きゃぁああああああ!!!!?」
・・・完全に妬みだよね。
自主参加の人はとてつもなく私怨だね。
そのギラギラした目線で参加者を失格にできそうだよ。
「ちょこまかと!!!!」
「・・・コレって反撃とかありなのかなぁ?」
『無理だと思いますができるのならどうぞ!!あ、もちろん魔法は無しです』
うん、司会者さんありがとう。
でも、何でボクの質問に答えれたのかすごく気になる。
「コレでどうだ!!!」
放たれる水の魔法。
ボクはそれをひょいと避ける。
「こいつ何者だ!?」
「ん~人間?」
「いや、人間にこんなことができるわけないだろ!?」
・・・黙れよ。
「ボクはれっきとした人間だ!!」
「ごぱ!?」
「ス、スマン」
ボクは後ろからひそかに迫っていた人を利用してその人が放った魔法を避け、ボクの目の前の人に当てる。
「て、てめぇ・・・」
ボクの目の前の人はキレて後ろの人に魔法を放つ。
ラッキー。コレってチャンスじゃん。
「・・・お前」
ふふふふふ、味方同士で潰しあってくれ。ボクはこの場を逃げるよ。
『おおっと!!ここでナンバー13、三谷選手が策略で敵をやっつけたぞ!!』
余計なことを!!
「「・・・あ」」
「じゃ!!」
ボクは全速力でリカを探すために逃げ回った。
空 「このノリは何?」
作 「ワタシのノリです。」
リ 「え!?」
作 「いや、仲のいい女子の友達にはふざけてこういうことをしょっちゅうね。」
空 「・・・・・そう言えばボクの日常は作者がモデルなんだよね。」
リ 「・・・・・それで行動パターンもそれに準じたと。」
作 「そのとおり!でも、一方的にボクが連れまわされるだけだけどね。」
リ 「ありごうとうございます。」
作 「くるしゅうない。」
空 「なんか二人がおかしいので次回予告。」
? 「ついに二人が急接近!?」
空 「・・・・・何してんの?り・・・・・。」
? 「黙れ。そしてあんなことやこんなことが!?」
空 「R15になる予定はないよね?」
? 「かつ目して待て!!」
空 「いや、作者が気分で書いてるようなヤツにかつ目する必要はないと思う。」