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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
1章 ≪異世界との遭遇≫
2/170

2話・NONDAILY

―――side空志

 『運命は扉をたたくように突然訪れる。』

 どこぞのエライ人がこんなことを言っていたような気がする。

 つまり、変化は突然、こちらが予期しない形でやってくることもあるということなんだろう。明日、もしかしたら僕は交通事故で死ぬかも知れない。また、ラブコメよろしく急にモテるようになるかも知れない。



 「でも、これはないだろー!?」



僕の魂の叫びがこだまする。

 僕達の周りは円を描くかのように炎の壁で囲われていた。






~数分前~

 「見つけたぞ。どこにいるかと思」

 「あっ、坂崎さん、家まで送るよ?結構暗いし、最近は物騒だからね」

 「・・・おま」

 「そうだよね~。つい最近私の友達の茜ちゃんも『近頃は物騒で困る』って言ってたよ~」

 「人のはな」

 「やっぱそうだよね。あ、そういえば家ってどこ?稲羽市にあるの?」

 「ちょっ」

 「うん。ここから歩いて駅の方向へ30分ぐらいのとこかな~」

 「お」

 「じゃぁ、すぐ近くじゃん。よかった。変な人がいても、家に入れちゃダメだよ?」

 「そ」

 「それぐらいは大丈夫だよ~」

 「それもそうか。じゃ、行きますか」


 ボクはさりげなくレオを腕に抱え、坂崎さんと早口に雑談をしつつ帰り道を歩く。

 やっぱり女の子一人で帰らせるのは危ない。うん。まぁ、男としてか弱い女の子を送っていくのは義務だと思う。なんか僕らのすぐ近くで怪しい人がでっかい声で独り言を言っていたような気がするけど、なんか近くの電灯の上に立ってたりするような気がしないでもないけど勘違いだ。たぶん。でも、今日はいろいろあったな~。家帰って早く寝よ。あ、でも宿題とかや・・・。




 「ちょっとマテやそこのバカップルー!!」




 「三谷君!」


「了解!」


 僕はすぐさまケータイを取り出しボタンをプッシュ!坂崎さんもケータイを取り出し僕と同じ番号をコールする。

 もちろんコールするのは110番だね。

 変質者を見つけたらお巡りさんに言うのが一般市民としての勤めだよね。

 そしてその時、何かが破裂する音が聞こえた。・・・・・おかしい。

 僕の目が正常であれば、この高校に入ってから買ってもらったケータイのディスプレイ部分がどこからか飛んできた炎の塊に吹っ飛ばされたような気がする。

 坂崎さんのほうを見てみるとそこにも僕と同じようにケータイのディスプレイがない。

 炎らしきものが飛んできたほうを見てみるとそこには銃のようなものをこっちに向けている変質者。つまり、これの意味することは・・・


「せっかくケータイ変えたのに~・・・」


 坂崎さんは、中学生の時から買ってもらった人らしい。

 ちょっとだけうらやましい。

 けど、今考えるべきことはそれじゃない。


 「いや、ソレって今言うことじゃないよね。今、重要なのは友達のアドレスとかどうしようって事かと思うんだ・・・」


 「いい加減こっちの話を聞けー!!」


 変質者が怒声を上げる。

怒りっぽいのはよくないね。カルシウムとれ、牛乳を飲め。


 「変質者はやめろ!俺が怒っているのは貴様らのせいだ!!」


 ・・・っ!こいつ人の心が・・・。


 「顔に出てんだよ!!」


 ・・・・・・さいですか。

 さて、今の状況を確認してみよう。

 ケータイなし。

 変質者に襲われそう。

 周りに人の気配なし。

 自分の危険度測定器はレッドゾーンを振り切っている。

 相手はわけのわからない力を使っている。


 コマンドをえらんでください


  たたかう

  ぼうぎょ

→さくせん

   はなしあう

   どうにかする

  →超音速マッハでにげる

  にげる


 「坂崎さん逃げよう!!」


 作戦を決め、坂崎さんの返事を待たずに手をつかんで逃げる。

 この間わずか0.5秒。

 ボクの戦闘能力はカスだけど危険回避、つまりは防御や逃げることに関しては天賦の才能があるという某悪友の談。


 「逃がすかっ!!≪火炎の弾丸フレア・バレット≫!!」


 後ろから何かが飛んでくるのを感じ取り、坂崎さんを抱きかかえるようにして右へ回避行動をとる。

 そのすぐ横を先ほどの炎の塊、≪火炎の弾丸フレア・バレット≫が通り過ぎボクらから少し離れたところに着弾。

 ごうと言う音を立てて、火が燃え盛る。

 ・・・・・・ナニアレ。地面から2メートルほどの火柱が上がっているように見える。

 さっきから思ってたけどこれって超常現象だよね。

 とにかく逃げ・・・。


 「≪灼熱の炎壁ファイア・ウォール≫!」


 ですよね~。

 『逃げんな』って言うぐらいですから逃げ道を断ちますよね~。

 また手をつかんで走り出そうとするところをさえぎられた。

 ・・・・・炎によって。


そして冒頭へと戻る。






 さて、どうしよう。ピンチだ。全力でピンチ。

 相手は正体不明の方法で炎を操っているかのようにしか見えない。そう、まるで魔法のような不思議な力を使っているとしか・・・。


 「お前の考えていることは正解だ。」


 「だから、人の頭ん中を除くな!」


 「俺は、今現在炎の魔法を行使している。お前らみたいな魔力の扱い方もわからん半人前では勝てない。そのネコさえ渡せば俺は何もしない。拒めば実力行使になる」


 こっちはスルーか。てか何を訳のわから・・・。


 「スゴイ!三谷君、本物の魔法使いだよ~!?サイン貰えるのかな~!?」


 「順応性ありすぎだよね!?てかボク達は全力でかなり危ない状況なんだけど!?」


 なかったらいいなぁ。しかし、いやでもわかってしまった。

 ボクらの目の前にいるのが魔法使いであるということで、さらにはレオを要求されているということに・・・・・。

そして、レオは怯えていた。爪を立ててボクをつかんでくる。


 「さっさと寄越せ」


 「・・・」


 「いやっ!」


 声を出したのはボクではなかった。

 坂崎さんだった。ただ、その目はボクの腕に抱えられたレオに向いている。


 「レオ君、怖がってるもん!三谷君の胸にしがみついているんだよ!元飼い主さんでも、これじゃぁレオ君がかわいそうだよ~!!」


 「そうだね。ボクも渡したくない」


 正直な話、もっと会話を引き延ばして何とかしたいと思わなくもなかった。

 けど、ここまではっきりと女の子に言われちゃったら、男の子としてはいいところを見せなくちゃいけない気にもなる。


 「そうか、ならば少し痛い目を見てもらおう。≪炎の監獄フレア・プリズン≫」


 相手が呪文を唱えたと同時に地面から五本の火柱がボクらを取り囲むように展開。

 ものすごく熱い。


 「ねぇ、三谷君」


 「何、坂崎さん」


 「ものすご~くやな予感がするよ~?」


 「奇遇だね。ボクも」


 「これは拷問用の魔法だからな。」


 親切に教えてもらってもまったくありがたくないのはなぜだろう。


 「焼け」


 突然、炎が襲い掛かってきた。

 とっさに坂崎さんとレオをかばうと声が聞こえた。



 「―――闇よすべてを喰らい尽くせ。

     ≪闇の侵食ダーク・イロージョン≫」



 静かな、しかし力を持った言葉だった。

 顔を上げると。あいつ・・・が不敵な笑みを浮かべた姿があり、炎は消えうせていた。


 「何があったの~?」


 坂崎さんが困惑したような声を出す。

 ソレは相手も同じだったようだ。


 「お前、何者だ?」


 ボクはそれ以上に戸惑っていたように思う。

 そいつはボクがよく知っているやつ。


「通りすがりの正義の魔法使い、間隆介って所か?」


鋭い目つきに、ボク等と同じくらいの年頃の少年。

 まぎれもなく、ボクの悪友のリュウだった。



「ついでに、種族はドラゴンだ」



しかもドラゴンらしい。

 衝撃的すぎる答えに思わず心の底から叫んだ。


「ありえねぇー!?」


 さすがにソレはありえないでしょ。

 まぁ、リュウが魔法使いなのは百歩譲って信じるとして、実際に使ったし。でも、実はドラゴンなんだZEって言われても・・・・・。だって、見た目人間じゃん。ボクら中学からの友達だけど、んなこと他のやつらだって知らないと思うんだけど?

 それに、突然な事態にここにいる人全員がポカンとしている。

 レオだけはボクにしがみついたままだけど。


 「ねぇ、リュウ・・・」


 「ソラ、すまんな。騙すつもりはなかったんだけどな。こっちにもいろいろと事情があったんだよ」


 そう言いながらリュウは頭の後ろをかく。

 ぶっきらぼうだけど、どこかやさしさを感じる言葉。

 ・・・・・・うん、ボクの知っているリュウだ。


 「別に俺も好きでお前を騙してたわけじゃないんだ。言い訳かもしんねぇけど・・・。ただ、これだけは信じてくれ。全部が嘘じゃない」


 「・・・・・わかったよ、リュウ」


 「お、わかってくれてな」

 「ちょっとこっち来い」

 「・・・なんだ?」


 リュウがこっちへとやってくる。よし。


「貴様、見え透いた嘘をしゃしゃと吐くなぁー!!」


 ボクの右拳が唸る!!

 そして、リュウの顎を確実に捉えた!


 「ごぱぁ!!」


 ボクの怒りのこもった一撃を受けて悶絶する。

 そしてレオはとどめとばかりにリュウを前足でペシペシと叩く。


「えーと・・・。三谷君、この男子は誰~?」


 「ボクの悪友。自称ドラゴン(笑)」


 「みゃ」


 「(笑)じゃねぇよ!?」


 「チッ」


 ギャグ補正のせいですぐに復活しやがった。


 「『チッ』じゃねぇよ!!」


 「とにかく、今は助けてよ~。ドラゴン(笑)さん」


 「そうだ、今は助けろドラゴン(笑)」


 「てめ」

 「≪|火炎の弾丸(フレア=バレット)≫」

 「わぎゃ~!!」


 突如飛来した火球の餌食になってプスプスと煙を上げてのたうちまわっているリュウ。

 火球の飛んできたほうを見ると、変質者が銃の近くに二つの火球をまとわせている。


 「てめぇ、何しや」

 「どうやら本当のようだな」

 「人の」

 「復活が早いのはギャグ補正のせいじゃないの!?」

 「だか」

 「ドラゴン(笑)さんだから大丈夫なんじゃないの~?」

 「ちょ」

 「あれ喰らったら普通は消し炭になってるからな。こんな直撃してもピンピンしてるぐらいに魔法耐性が強いのはそれこそドラゴンしかいない」

 「「へぇ~」」

 「・・・」


 どうやら、マジでドラゴンらしい。

 そしてリュウはと言えば、ボク等の会話に参加できず、隅っこでむくれている。


 「と、言うわけで、俺もさすがに本気出さなきゃなぁ!」


 「「「・・・え?」」」


 ボク等三人が素っ頓狂な声を上げると、それに構わず不審者は銃を構えた。

 そして何かをぶつぶつと呟き始めると、その周りにアニメとかでよく見る感じの魔方陣っぽいものが出てきた。まぁ、見た感じ幾何学模様とか数字で造られているっぽい。


 「・・・なんか詠唱的なものをし始めましたが?ついでに魔法陣みたいなのも」


 「ホンとに魔法使いっぽくなってきたよ~!?」


 とりあえず専門家の意見を聞こうとリュウに聞いてみる。なんとなく嫌な予感もしたので、レオを腕に抱きかかえておく。

 坂崎さんの言葉はスルー。

 てか、あんたはそんなキャラだったっけ!?


 「・・・あぁ~、あれな。メンドくせぇモノを・・・。制御が完璧な魔法だな。オレ達をハチの巣にしても、周りに被害ゼロで魔法をコントロールできる」


 かなりデンジャラス。

 そんなことを考えていると、周りにも魔法陣のようなものが展開された。


 「・・・・・さっきみたいに防げる?」


 「まぁ、できねぇことはない。けど、面倒だからな。それにいい機会だ・・・逃げる」


 なんか意味がわからないけど、リュウは行動を起こした。

 リュウは右手を相手に向け、さっきみたいに言葉を紡ぐ。


 「―――闇よ、刃となれ。

     ≪闇の刃ダーク・エッジ≫」


 リュウが魔法を使う。

 すると、リュウの掌から黒い刃が相手に雨のように降り注いだ。

 それらは狙い違わずに変質者を襲い、その周囲が土煙りに包まれる。けど、それと同時にボク等の周りにある魔法陣も輝き始めた。


 「おし、お前等、オレに掴まれ」


 そう言いながらリュウはボクと坂崎さんの手をつかむ。


 「≪影抜けシャドウ・パス≫」


 リュウがそう一言だけつぶやくと、ボク等の視界が黒一色に染まり、公園から姿を消した。




―――side変質者

 「・・・っち、土煙りかよ」


 今回、俺は金持ちのジジイ達からあの猫の捕獲を頼まれた。

 はっきり言って密猟の類だ。まぁ、いい金になるのには変わりないし、あのバカな金持ちの権力でこちらに迷惑がかかることはないと踏んでやった仕事なわけだが、流石は伝承の通りとでも言うのか、非常に骨が折れた。

 しかも、俺が特殊な魔法で≪蜃気楼ミラージュ≫って姿をかくす魔法を使ったのに、それがいつの間にか破られていた。

 あのボロボロの状況からあそこまで回復したのを考慮すれば、あのガキ共の誰かが魔法をぶっ壊したんだろう。

 しかも、一人のいけすかない目つきの、自称ドラゴンのガキは『闇』なんてレアで使いづらい属性をモノにしていた。どうせ、俺の魔法を『浸食』して無効化したんだろう。

 ・・・・・・いや、それでも俺の≪蜃気楼ミラージュ≫の魔法を破ることはできないはずだ。だって、見えねぇんだからな。


 「・・・まぁいい。こんな危険地帯にまで来て、収穫はなし。仮契約を無理やり行使してやればよかったぜ」


 まぁ、愚痴ってもしょうがない。

 こんなお使いみたいな仕事よりも割がいいやつはまだまだある。依頼主を適当に脅して、この依頼はキャンセルすっか。

 そして俺は、この危険地帯から出て行った。




―――side空志

 「「・・・・・ここドコ?」」


 ボク達は魔法でこいつの言う『安全なところ』に飛ばされた。

 だが、ボクが記憶している中でこんな都市は日本どころか、世界中のどこにもない。

 そこには、耳のとがった森の住人的な人やどっからどう見ても二足歩行しているトカゲ、プルプルな水色の物体、頭に角の生えたでっかい人。

 そう、まるで・・・・・・。


 「魔物による魔物のための都市、『魔窟ネスト』へようこそ」


 リュウはこともなげに爆弾発言をした。

 ・・・・・・うん、嫌な予感がひしひしとしてくるね。


 「・・・・・ここって日本のドコ?」


 「日本じゃない」


 「えっ。じゃあ、外国?」


 「・・・・・まぁ、そうなんのかな。」


 待て、それ以上先は聞きたくない!!ボクが唯一誇れることが、ごく普通の日常を送ってきたってところなんだ。だって、ボクは生まれてこの方異世界に召喚したことも、されたこともない。そんな平凡な日常を壊さないで下さいと神様に必死に祈った。


 「じゃ、じゃぁ、ドコの国なの~?」


 坂崎さーん!?ソレは聞いてはいけないフラグだっ!

 そしてリュウはと言えば、何故かニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべて、ボク等に一言だけ言う。


 「異世界『ヴェルデ』、ってところか?お前等から見れば」


 「「・・・・・え?」」


 やっぱ、地球じゃないの?

 つか、それだとボク等の世界にも名前があるノリ?


 「あぁ。ちなみにお前等の世界は『テラ』って言ってるな。よかったな、わかりやすくて」


 まぁ、確かにわかりやすい。『テラ』って言葉はよく耳にしたことがある。

 と言うかそのままだ。


 「・・・人の頭の中を読むな」


 とりあえず、悔しいのでリュウに言い返した。


 「そろそろ、現実を受け止めろ」


 と、思ったら痛烈なカウンターを見舞われた。


 「「うそだぁー!!」」


 異世界、しかも魔物の住処のど真ん中で人間二人の叫び声がこだました。






 おーけー。

 現実を見よう。ボクと坂崎さんは落ち着きを何とか取り戻し、周りをみる。

 現在地・・・異世界、魔物のための魔物の都市『魔窟ネスト』、その出入りのための大きな門の前。見た目どっかのお城のような石造りの城壁。たくさんの魔物の方々がせわしなく出入りしている。時折、こちらを見てくるような気がしないでもない。


 「これは、あれか、最近流行の異世界召喚モノ」


 「そうだよね~。ちょっとだけワクワクするね~」


 「たぶんあれだよね、自分は何かの魔物って偽ってどうにか日々を過ごしていく系のやつも入ってるよね」


 「かくれんぼみたいで楽しそうだね~」


 「坂崎さん!?ボク等は極めてピンチな場面にいるんだよ!?もし、ボク等が人間だってバレたら、頭からつま先までバリバリ食べられるかもなんだよ!?」


 「う~ん・・・。それはちょっとだけ困っちゃうかも~」


 どうも、坂崎さんとボクの驚きのベクトル方向は全く違ったみたいだった。


 「何、言ってんだ?」


 リュウは都市の門の詰め所のようなところへと歩いていく。

 右も左もわからないボクらはついていくしかない・・・・・・。

 意気消沈したボクに対して、坂崎さんはスキップでもしそうなぐらいに上機嫌だ。


 「うぃーっす。ガントのおっさんいるか?」


 詰め所の中にリュウが挨拶する。てか、異世界なのに日本語でいいんだ・・・・・。

 そうすると門番らしき人が出てきた。やたらと大きな人で、頭に角が生えてる気がする。でも、最後の部分は見間違いであってほしい。


 「おー!?三谷君!鬼さんだよ~!?」


 そんなボクの儚い希望もへし折られてしまった。


 「おっ、リュウ坊か!久しぶりだな!元気だったか!」


 「おかげさまでな」


 そのあともリュウとガントと呼ばれた人もとりとめのない会話をしていく。

 そしてリュウは唐突にボク等の方を向いた。


 「お前らに紹介しとく。このゴツイおっさんはガント。種族は鬼人オーガ。見てのとおり門番のバイトをしてもらっている。」


 どうやら角はマジもんのようだった。

 つか、門番のバイトって?


 「がっはっはっは!ガントだ。本職はわけ合って休業中だ。よろしく。で、お前さんらは?」


 「あ、三谷空志です」


 「坂崎鈴音です」


 「みゃ」


 「あ、こいつはレオ」


 「ヒロシにスズネか?名前的にはこいつと血縁のあるドラゴンか?」


 まずい!きなり死亡フラグか!?

 リュウ、助けろ!!

 どうやらリュウはボクのアイコンタクトに気づいたようだ。

 右手の親指を立てるとこういった。


 「二人とも人間だ」


 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イマ、コイツナンテイッタ?


 「マジか?」


 びっくりな表情のガントさん。


 「あぁ、正真正銘、人間率100%だ。」


 「アウトぉー!?」


 ヤバい、非常にヤバい。

 だって、魔物だよ?RPGでは敵だよ?人間滅ぼされかけちゃうんだよ?ここでボク等はなんか取って食われるんじゃないかと思って、ボクはおろおろする。

 しかし、予想を遥か斜めにいくことが発生した。


 「がはははは!!人間か!この都市はじまって以来、ここに来た人間第二号と三号だな!!いやぁ、久しぶりに見たな。しかも、その制服は間学園だな?」


 「すごーい!?何でわかっちゃったの~?」


 「・・・何で、ボク等の学校を?それに、初めてじゃないの?」


 ボクと坂崎さんは驚きつつも、疑問の声をガントさんに投げつける。

 その代わりに、リュウが答えてくれた。


 「そういや、言ってなかったな。この都市は市長まおうの方針で人間との共存を目的としている。基本的にくるもの拒まず去るもの負わずな感じだ。そして、ここの文化的なレベルは結構発展していて、お前らの住んでた町とそんなに変わらない」


 リュウはまぁ、この世界全体は魔法と科学が混じったような世界だと付け加えた。

 そしてオイ、待て。市長が魔王と聞こえたぞ!?

 そして魔王なのに平和主義過ぎる!!


 「いや、魔物の都市だからな。それにいまどき世界征服とか古すぎる。どこぞの中二病だ?・・・まぁ、いないわけじゃねぇけどな。おっさん、しばらくの間こいつらを都市に滞在させるからな。滞在先はオレん家だ。何かあればお袋か親父に頼む」


 「おう。・・・まぁ、お前だからメンドイ手続きはこちらでやっておく」


 「悪いな、恩に着る」


 そう言うと、ガントさんは詰所に戻り、何かしらの作業をしている。

 リュウはそれを確認してボク等に向き直る。


 「そう言うことだ。オレん家に行くぞ。まぁ、案内とかは明日以降。それと、ここに呼んだ理由もオレの家についてからする」


 そう言えば、ボクはリュウの家に遊びに行ったことがない。

 まぁ、部活で忙しかったの手のも理由の一つだけど、リュウはあんまり自分の家のことは話さなかったしね。その時はなんか理由があるのかと思って聞かなかったけど、確かにこんな理由ならしゃべらないね。


 「でも、何で急に滞在を?それに、学校は?」


 「今は気にしなくてもいい。親父とお袋が何とかしてくれるはずだ」


 リュウのご両親は、どんな権力者なんですか?


 「とにかく、話はオレん家でだ」


 そしてリュウは歩きだす。

 と思ったら、『あ、忘れてた』とか言って急に振り向いた。


 「んじゃま、ようこそ人間さんたち。我らが『魔窟ネスト』へ!!」


 そして、ボク等は魔物による魔物のための都市、『魔窟ネスト』に足を踏み入れた。


作 「というわけで『非日常』をお送りしました!」

隆介 「オイ、ここは・・・」

作 「というわけで実はドラゴン(笑)の隆介さんにお越しいただきました!」

隆 「誰がドラゴン(笑)だ!?」

作 「こいつは僕のツッコミを大切にする心から生まれた登場人物です」

隆 「アホみたいにボケてることしかしてねぇじゃねぇか!?」

作 「普段の僕はもっとまじめなんだよ!・・・たぶん」

隆 「たぶんってなんだよ!?たぶんって!?」

作 「というわけで次回」!」

隆 「あ、コラ!逃げんな!!」

作 「まさかの魔物の都市に来てしまった主人公達。さてさてどうなる!?というわけで、あでゅー!」

隆 「待てぇー!?」

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