30話・THIRD IMPACT
―――sideリカ
よかった。本当に。
スズはリュウを正気に戻すことができた。
「・・・何でだろう、すごくうれしい」
気絶したソラの顔を見ると、どういうわけかソラの顔も笑みを浮かべていた。
冬香が、ソラにはある程度の未来が見えるんじゃないのと冗談を言ってたけど、案外事実なのかも。そうじゃなかったら、見てもいないのにこんな顔できるわけがない。
「どうやら、決着がついたようぢゃのう」
聞きなれた声に振り向くと、そこにはルーミアさんがいた。
いまだに半透明の、向こう側が見える体だ。
「大丈夫なの?」
「何、移動するぐらいは問題ない。それよりも、あの魔王共の近くが危ない」
確かに、そんな気はする。
リアル超人対決に近いものになっていると思う。むしろ、今この瞬間にも学園が消えていないことの方がおかしいのかもしれない。
「ところで、阻止できたのか?」
いきなり、そんなことを聞いてきたルーミアさん。
え?何、その不穏な響き?
「・・・何を?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
長い沈黙。もう、嫌な予感意外に何もしない。
でも、おかしい。
だって、ここはあの二人が結ばれてハッピーエンド。それが普通の展開。うん、だって茜とか未美から借りた本がそうだった。
「現実を見んかい。もしも、阻止できておらんのなら・・・」
ルーミアさんが何かを言いかけたとき、突然空に魔法陣が浮かび上がった。
それは空を覆い隠すほど大きいんじゃないかと錯覚しそうなぐらいに巨大な魔法陣。よく見れば、魔法陣の周囲に何かある。
「遅かったか・・・!」
「何、あれ・・・!?」
「対災厄獣用魔導兵器、『狩猟の女神の神弓』。あの横にある丸い機械がそれぢゃ。それで膨大な魔力を使って、あの魔法陣の魔法を撃ちだす」
「何それ!?それに、災厄獣って何!?」
聞いたことがない単語のオンパレードに嫌な予感が加速度的に増していく。
「災厄獣とは、呪力によってごくまれに生まれることのある魔王クラスの強さを持つ魔獣ぢゃ。この魔獣を倒すために、国家一つを差し出さねばならん。そこで考えられたのがアレ。もちろん、普通に使えば国の一つなんぞ簡単に消し飛ぶ。むしろ消滅する」
今、全部が繋がった。
たぶん、犯人は最初からアレを使う気だったんだ。そして、その膨大な魔力を生みだすことのできる存在が鈴音。それをフェイクが教えたんだ。だから、アタシ達が一番関わりのあるエレオノール学園に爆破の予告を送りつけて呼び出す。そしてダミーの魔法を解除させて油断を誘った。
アタシ達は、まんまと相手の罠にはまったんだ。
それに、よく考えてみればあの魔法陣はおかしいところもあった。日時の指定がしてあったけど、あのゴミとか箱を最終日まで動かすと言う保証が全くない。けど、見つけた手がかりに死に物狂いでしがみついた。それがこれ・・・。
「ど、どうにかならないの!?」
「・・・あの、丸い機械を壊せばいい」
それならと、アタシは大鎌を取り出す。
「真言並みの威力でな」
「ダメじゃん!?」
「それも、一個一個してはいかん。一斉に破壊せんと、勝手に修復されるぞ」
「ソラー!起きてー!」
アタシは気絶したソラをがくがくとゆする。
けどソラは幸せそうな顔をして、『リュウもスズもよかったねー』と寝言を言っている。
「よくないよ!?今、ここでソラが起きないと、よくないよ!?」
「わらわの力が万全であれば何とかなったのぢゃが・・・!」
アタシとルーミアさんが頭を抱える。
そんな時、誰かが立ち上がる音が聞こえた。
「・・・ったく、空気読めよ。今はそんな場面じゃねぇだろうが」
「本当にそうだね~・・・」
リュウと、スズだった。
ただし、二人ともものすごく怒っている。自分達のあの雰囲気を邪魔されたから当たり前なのかな?
とにかく、二人は魔法陣を親の仇か何かのように睨みつける。
「スズ。お前の力は魔法に作用して・・・」
「うん、わかってるよ~。なんだか、頭の中に変な知識が入ってるの」
リュウの言葉を遮ってスズがそう言う。
たぶん、あの女の人に植え付けられたっていう魔法のことだと思う。魔法を行使するために知識も導入されたみたい。
「なら、話は早い。オレが魔法を撃つ。それに合わせてスズの真言使え」
「わかったよ~」
そう言うと、二人はそれぞれの武器を構え、スズは詠唱に入る。
「―――我、紡ぐは世界の法則」
スズの声が静かに響き、リュウからは、闇よりもなお黒い魔力が双剣に込められる。
そして、スズの詠唱が終わる。
まず最初に動いたのはリュウ。双剣の一本を居合切りのように抜き放つ。そこから、一匹の黒い闇の竜が放たれ、装置を壊さんとばかりにその牙を剥く。
「≪逆≫!」
スズが真言をリュウの魔法にかける。
すると、黒い竜の魔力が増幅。黒い竜がどんどん膨れ上がる。けど、途中で竜の色が黒から白に変わった。光り輝く白い竜が分裂し、魔法陣に向かって放たれた。
そして、白い竜たちは丸い機械すべてを食い破り、魔法陣の魔法までもを破壊しつくした。
「魔法剣≪斬竜閃滅剣≫、って所か?」
「おぉ~、カッコいいね~!」
アタシは、この光景に何も言うことができなかった。
だって、二人で国一つを滅ぼせる魔法を破ったんだよ?この二人は、最低でもその力を持ってるってことでしょ?
そんなことを考えていると、ルーミアさんがいきなり笑い始めた。
「くくく、はっはっは」
「る、ルーミア、さん?」
「あぁ~・・・。すまん、いやぁ、驚いたわ。あの真言は魔力を増幅させ、さらには属性、数までも『逆』の特徴の反転で、反転させよった」
・・・えーっと、それってようするに。
「リュウのさっきの攻撃魔法が『闇』から『光』になって、一本がたくさんになったっていうこと?」
「うむ。そして竜の小僧の真言は極端な『闇』の浸食から、極端な『光』の拒絶になった。それであの魔法そのものを『拒絶』した。これでは、どんな魔法もあのバカップルには効くまい」
そう言うと、ルーミアさんはまた笑い始めた。
要するに、スズとリュウの相性が極端にいいことがわかった。
「なんて、こと・・・」
その声に振り向くと、そこにはあの女がいた。
アタシは急いで立ち上がり、大鎌を構える。そして女は狂ったようにまた笑い始めた。
「いいわ、まだ、まだ、大丈夫・・・。巫女は、こちらの手に・・・!」
そう言うと、手に持った例の機械をいじり始める。
すると、スズがいきなり苦しみ始めた。
「うぅ・・・!」
「スズ、どうした!?」
「彼女とこの機械の繋がりは切れていないわ。今、わざと魔力を暴走させるコードを打ったわ。彼女を死なせたくなければ、こちらに渡しなさい。さぁ!」
「っの、マッドサイエンティストが・・・!」
「それは、私にとっては賞賛の言葉よ。あはははははは!」
「ふむ。どれ、わらわが見てやろう」
ルーミアさんがそう言うと、スズの所に行き、胸元にあった魔法陣を見る。
「・・・少し変な感じがするかもしれんが、我慢せい」
そう言うと、ルーミアさんが魔法陣に触れる。
魔法陣の模様が勝手に書き変わって行き、スズの調子がどんどんもとに戻って行く。
「ほれ、完璧ぢゃ。これはおそらく『刻印』の応用か?まぁ、あって困るものではないから、あの機械との繋がりを作る部分だけを改変しておいた」
「な、何を・・・!」
「言ってなかったのう、わらわは『月』の神霊ルーミア。知を司る精霊の長」
女の人は狂ったように機械をガチャガチャといいじり始める。
けど、どんな風に操作しても機械は何の反応も示さない。そして・・・。
「がう!」
「ぐっ!?」
「・・・結局、お前がいいとこ全部持ってくのかよ」
「がう」
レオが女の後ろから静かに忍び寄り、そのまま巨体で押しつぶす。鋭い爪を顔の横にちらつかせ、身動き一つとれば命はないと警告する。
「お主たち、大丈夫か!?」
聞きなれた声が聞こえる。
声の方を見れば、見慣れた面々の顔が見えた。
「みんな!」
「大丈夫ですか?・・・また、ソラ君はこんな怪我をして」
「手伝います」
颯太さんが何故か一番にソラの所に来て、シュウと治療を始める。
そして龍造さんと優子さんがリュウの所に行って、拳骨を喰らわせる。特に、優子さんの方がものすごい音がしていた。
「ってぇー!?」
「このバカ孫は!言っておいたじゃろう!お前の『闇』は暴走しやすい属性じゃ。己の心のままに≪魔獣化≫なんぞすれば、自然と暴走してしまうと!それじゃからわし直々の封印魔法で隆介自身の『闇』の力をある程度制限までしたのにのぉ!お前に≪魔獣化≫のことを教えたのも、信頼しておったからなんじゃぞ!?」
「そうよ、隆介。今回はたまたま被害が出ていないけど・・・いえ、若干一名の気絶があるわね。とにかく、こんな風に無茶な≪魔獣化≫はダメよ。・・・お義父様、この辺で」
「ええい、優子さん。まだじゃ!下手をすれば自分の嫁まで傷つけん行為じゃった事をその身に教えんといかん!」
「だ、誰が嫁だよ!?」
「は、はぅ・・・」
みんなが口々にそんなことを言う。
けど・・・。
「ごめん、みんな。アタシ、みんなに言わなきゃいけないことがあるの」
スズが顔をこわばらせ、ダメだと言うように首を振る。
アタシはそんなスズに笑顔を浮かべ、みんなに全てを話した。
スズに起きたこと、そして、アタシがそれに対してしたことを・・・。
―――side空志
目が覚めると、そこはエレオノール学園の保健室。
周りを見てみると、時刻は夕方だった。
確か、リュウとスズのハッピーエンドの場面を見たのがお昼ぐらい。案外気絶していた時間は短いみたいだった。
ベッドから起き上がろうとすると、手を誰かに握られていることに気づく。手を見てみると、そこには当たり前のようにリカが寝ていた。その近くにはレオも寝そべっている。リカは顔の所々にばんそうこうを張ってあった。まぁ、あれだけのことがあったんだから、しょうがないけど。
すると、ボクが起きた気配に気づいたのか、リカが目を開けた。
「・・・おはよう」
「・・・もう、ソラはいつも怪我ばっかり」
最初に貰ったのが説教だった。
いつもは心配の言葉をマシンガンの如く放ってくるから、これは新鮮だ。レオも気づいて起きるけど、またお前はって感じの目でボクを眠そうに見るだけで終わった。
「ごめんなさい」
「けど、どうせ無茶するんだもん」
「・・・」
まったくもって返す言葉がない。
一応自覚はある。けど、それを止めることができるかどうかは別問題だ。
「で、どうなったの?」
「相手がすっごい兵器で学園を消そうとしたけど、スズとリュウの魔法で消滅。敵の女の人も警察に突き出した。一応爆破未遂。フェイクは逃げちゃったみたい」
まぁ、大体は予想通り。
「やっぱ、フェイクは逃げたか」
「うん。今は何故か闘技場で残りのプログラムを消化してる」
まぁ、ここまで来てやめるっていうのも後味が悪い気がするのはわかる。けど、やる?普通しないよね?
でも、好都合だ。
「Dクラスの出番は?」
「・・・五時から」
今の時間は四時三十分過ぎ。たぶん、最後の機材チェックとかをしているはず。
ボクはケータイを取り出し、カザハに連絡を取る。
『お前、大丈夫なのか!?』
「うん、今起きた。それに、やるらしいよね?」
『あぁ、どうする?』
「たぶん。リュウのことだから絶対にヘタレてる」
『・・・お前がそれを言うのかよ』
「とにかく、最後のとどめだ。派手に行こう」
そう言うと、ボクはケータイの電源を切った。
これで、全ての舞台が整った。
「ソラ、この一週間で一番輝いてる」
「だって、こんな面白・・・まぁ、よく恋愛相談されて恋のキューピッドもどきさせられることもあるからね」
「・・・え?」
「・・・え?」
何でそんなバカなって感じでリカは見てくるんだろう?
意味がわからない。
「とにかく、リカはいますぐにスズと連絡とって」
「うん、理由も『ソラに付き添ってる』でいいよね?」
「もちろん。ウソは言ってない」
これで、ボク等の激動の文化祭は最後の最後にバカップルの二人に爆弾を投下して終了だ。
―――side隆介
それは突然だった。
Dクラスの代表のカザハというやつから頼まれた。
「Dクラスの演劇のソラの役を変わってくれ!」
まぁ、しょうがない。
どういうつもりか、他の模擬店、特に外は魔獣達にぐちゃぐちゃにされて何もできない。じゃぁその代わりに闘技場でのプログラムを全部消化しようと言う意味のわからないノリで、Dクラスが最終日だけとれた闘技場での演劇もやることになった。
しかもDクラスのやつらは避難の時に無意味に勘を働かせ、ポケットの機能がついた紋章に演劇の小道具を全て収納。全部無事という奇跡が起こっていた。
そこまでまぁ、いい。だが、何でオレがソラの代わりを?と、ストレートに聞くと・・・。
「だって、『闇』とかカッコいいじゃん」
「・・・」
思わず閉口した。
まぁ詳しく聞けば、戦闘をする相手を影崎忍とかいうやつにすれば、戦闘の画だけはマシになると言うこと。どうもDクラスではそいつが一番戦えるらしい。そして、オレの役はセリフが少ない。そこでオレがソラと何回も劇やってるからセリフぐらい覚えてるだろ?と言うわけでこうなったらしい。
・・・まぁ、実際に覚えてるんだけどな。
まぁ、オレは軽い気持ちでそれを承諾した。
そして衣裳を着ていると、お姫様のとうちゃーくと賑やかな声が聞こえた。
何気なくそっちを見ると、そこにはスズの姿。
「・・・おい?リカはどこだよ?」
「・・・あぁ、アンジェリカちゃんはミタニーのこと見てるってさー。妬けるなー、リオちゃーん!」
「ちょっと、レクト!?いきなり抱きつかないでくださる!?」
「いつものスキンシップじゃんかー」
いちゃつき始めたこいつらには悪いが、今はそれどころじゃなくなった。
リカじゃ、ない?
何で気付かなかった!今、ソラが出れないのには理由がある。それは殴ってでも止めると言う言葉を有言実行し、『竜殴り』と言う二つ名が新たに加わったが、そのせいで魔力精神力を使い切って気絶したらしい。
そして、経験則からリカがソラに付き添うことは十分に予測できた。バカだ、オレ!?
「・・・間殿、どうされた?」
「あ、あぁ、なんでも、ない」
近くにいた見慣れない男子に適当に返す。
スズとはアレから話していない。なんか、話しづらい。だってオレは≪魔獣化≫して、普通に邪竜的な振る舞いしているし、あれは誰が見ても普通に恐ろしい。
つーか、火を吹いて暴れまわる竜を怖がらないやつがいたらむしろ教えてほしい。まだ、リカのアレの方が・・・いや、これは不謹慎なことを考えた。オレ達は決めた。あの時正直に告白してくれたリカを信じた。だから、あのことはオレ達だけで終わりだ。
オレは一応見慣れない男子に聞く。
「なぁ、お姫様の代役って」
「坂崎譲です」
「・・・」
だよなーと頭では理解している。
スズはオレに気づいていないのか、女子たちに促されるままに進む。そして女子更衣室に行って着替え始めた。
・・・オレも、適度に腹をくくろう。どうせ、これは劇だ。たとえ、ラストシーンに王子様とお姫様のキスシーンがあるとしても。
―――side龍造
「・・・何で、俺までここにいる?」
「もー、ヴァッ君はツンデレなんだから」
「・・・いい加減にしろ、生臭いぞ」
「だから、乙女にんなこと言うな!・・・・・・冬香ちゃん、臭くないよね?」
「だからって、わたしの顔をアンタの胸に押しつけるな。当てつけ?それに、わたしはアンタの好みとは違うはずよ?」
「大丈夫、大抵の人は私より年下だから!」
「ハル!この変態からわたしを守って!」
「・・・噂だとその人、追加も入ってるみたいだから無理」
賑やかじゃのぅ。そう思っておると隣の駄犬に殴られてしもうた。
「なんじゃヴァネル。相変わらず落ち着きがないのぅ」
「余計な御世話だ、アホ蜥蜴。だから、何で俺はここで待ちぼうけを喰らっている」
「わしの孫が劇に出るらしいからのぅ。それ以外はソラに聞いておらん」
「ソラ?・・・この拳骨勇者の孫か?」
「誰が拳骨勇者じゃ。鉄拳制裁するぞ?」
「かわいそうに、お前の血のせいで『竜殴り』と呼ばれるようになってしまったらしいじゃないか」
「何を言う。人生、生きてれば竜の一匹や二匹、殴ることぐらいあるだろう?なぁ、そこの薬剤師の子よ」
「・・・いえ、流石にそれはないかと」
うむ。わしが思うに、シュウ君ならば余裕で行けそうな気がするんじゃがのぅ。
「シャオ、後ろの人達がすごすぎですぅ・・・」
「シャン、俺もそう思っていた所だから安心しろ」
「なんじゃ、二人とも元気がないのぅ」
「「あははは(ですぅ)」」
わしの言葉に曖昧な笑みでこたえる双子。
・・・疲れておるのかのぅ。
そしてその時、闘技場のアリーナの横から数人の黒子の生徒さんがたが出てくる。
手早く舞台を作り上げるとそのまま舞台そでに行き、放送が入る。
『・・・次、Dクラスの演劇。スタート・・・・・・・・・眠い』
『だからディアちゃん。もっとまじめに・・・!』
ぶちっと言う音で声が途切れる。
・・・サリナの所も個性的な生徒がおるのぅ。
まず最初に出てきたのが鈴音ちゃんじゃ。騎士様が好きなんじゃが、身分のせいで婚約ができんという内容を言う。
そしてその相手の騎士役が・・・。
「・・・ブハッ!」
「龍造、口を塞いで死ね」
「アホ蜥蜴、死ね」
隼人とヴァネルがそう言ってくる。
この二人は知らんじゃろうがな、隆介は鈴音ちゃんがマジで好きなんじゃぞ?
まさかのキャスティングにわしもびっくりじゃ。
「「「?」」」
じゃが、周りの反応は少し違う。
何故か周りにおる面々は首を傾げておる。
「・・・どうしたのじゃ?」
とりあえず、近くにおる双子に聞いてみる。
「あの、この劇の配役が違うですぅ」
「本来、ここはソラさんとリカさんが主役でした」
「・・・なるほど、リカちゃんの強い希望じゃな」
そして聞くところによれば、隆介は敵の騎士役。そして鈴音ちゃんは周囲に被害が行かないように結界を張る担当。そうすればもしもの事故があったとしても鈴音ちゃんの魔法が対処してくれるからのぅ。
「・・・確か、ソラはもう起きてるわよね?」
「うむ、わしも劇を見て行けとソラ本人に言われたからのぅ」
冬香ちゃんの疑問に答えると、隼人は何かわかったような表情になる。
そして隼人はわしに質問をしてくる。
「おい、お前のところの孫と、あの娘さんの関係はなんじゃ?」
「相思相愛なのに隆介がヘタレておるせいでカップルになっておらん残念なカップル予備軍じゃ」
「・・・よくわからんが大体わかった」
すると隼人はにやにやしながら椅子に深く腰掛け、劇を見続けた。
「僕も、なんとなくわかった気がします」
つい最近ソラに毒されつつある春樹君までもがそんなことを言い始める。
しかし、わかっておらんのはわしら大人だけらしい。他のみんなはどこかひょっとしたら?と言う表情になっておる。
「まぁ、出てくるのを待ちましょう。・・・ソラさんが」
シュウ君のその一言でみんなは口を閉じ、舞台の方を見る。
そして劇は滞りなく進み、この劇の見せ場と言われておる騎士同士の決闘のシーン。相手の騎士はいままで出てきておらん。
そして隆介が最初に現れ、相手の騎士を待つ。
しばらくすると、隆介とは反対の方向から一人の少年が出てきおった。その少年は、短めの髪の毛を後ろに流した、特徴的な髪形。そしてザ・平凡といつも自分で言っておる顔。
相手を見た隆介の顔が驚愕の表情に変わる。決闘を見届けるお姫様役の鈴音ちゃんまでもがそうじゃ。
そして、騎士は・・・ソラはこう言った
「・・・この私が相手です、卿の真の力で、この私を打ち破られてみよ!」
ものすごくノリノリじゃった。
作 「というわけで『三度目!?』をお送りしました!」
隆 「いったい、何が起こってる・・・!?」
作 「安心しろ。むしろこのためだけに話が進んでいたと言っても過言ではない」
隆 「またかよ!?」
作 「それが僕のジャスティス!」
隆 「つか、マジで意味がわかんねー!?」
作 「いや、割と最後のもってき方は王道?」
隆 「どういうことだよ?」
作 「ただし未知の物質、『ヨルネコニウム』であり得ないぐらいにひねくれてる。この未知のウイルスに感染した人は、性格が著しくひねくれてしまうというそれはそれは恐ろしいウイ(ry」
隆 「結局はただのノリかよ!?」
作 「そーゆーわけで次回!いったいどうしてこうなった!?次回もよろしく!」
隆 「おまっ!?待て、この野郎っ!!」