表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
7章 ≪魔法学園文化祭編≫
154/170

18話・CONTEST

活動報告にてアンケート実施中です。暇があれば見てみてください

―――side空志

 なんやかんやで冬香の所の子供たちの相手をしていると、この子たちの保護者である院長先生、サーシャ・クロイツさんと偶然会って子供たちを任せた。

 冬香のことを聞かれて正直に答えると、育て方を間違えたかねぇと言いながら歩いて行った。

 冬香、そっちの道を突き進んでもボク等は友達だからね、たぶん。


 「いやぁ、びっくりしたね。三谷君とアンジェリカちゃんがたくさん子供つれてるんだもん」


 「確かに、あれは少し驚いたわね」


 ボク等は途中で偶然出会った杏奈さん達と近くの出し物の喫茶で話していた。

 まぁ、こんなことばっか言われてボクとリカの顔があり得ないぐらいに赤くなってきた。そろそろ顔から本当に火が出てきそうだからやめてほしい。


 「そ、ソラと、家庭・・・子供・・・結婚・・・・・・」


 「あ、あのさ、そろそろ精神的なものがピンチだからやめてもらえるとうれしいんだけど?」


 「おけおけ。それにそろそろ時間だしね、杏奈」


 「そうね」


 「時間?」


 二人の言葉に首をかしげる。

 そんなボクの様子を見て、二人は教えてくれた。


 「四条さんのミスコン」


 「奏ちゃん美人だからな~。他の人等びっくりりするぞ~・・・」


 アスカさんは悪役か何かのようにうぇっへっへと笑う。

 なるほど、例の四条さんを洗脳して何とか参加させたやつね。いろいろと不明瞭な点が多くて突っ込みどころ満載なやつ。

 まぁ、ボクも無理やりにやらせたんだから、見に行くぐらいはしないとダメだね。決して、ミスコン出てる四条さんをいじるのが楽しそうだと思ったわけじゃない。


 「どこでやってるの?」


 「でっかいイベントは大抵、闘技場の特設ステージでやってるよ」


 アスカさんはそう言いながら立ちあがって闘技場の方に向かって歩いて行く。

 ボクと杏奈さんはその後ろを追いかけるようにして歩きだした。ちゃんとリカも引っ張ってきてるよ?






 「・・・結構人がいるね」


 どうも、この学内ミスコンは闘技場の中と、観客席から見ることができるみたいだった。ボク等は強引に前の方に行って、四条さんを応援しようとしている。

 周りにいる人たちがボク等の紋章エンブレムの色を見て空気読めよという表情を向けてくる気がするけど、それをボク等はスルー。というか、ボクはリカが今にも鎌を出して脅さないかものすごく不安でそれどころじゃなかっただけなんだけど。


 「で、何する予定なの?」


 「うん、今回は水着審査と簡単な質疑応答だって」


 「ここでやるんだ」


 ボクはアスカさんの答えに何とも言えない返答を返す。

 すると、周りにいる男子が興奮した声を上げる。ついでに何故か女子も黄色い悲鳴を上げている。何でだろうと思いつつもステージを見ると納得できた。

 女子以外にも、男子もいたからだ。

 たぶん、ミセス・エレオノール的なものと一緒にミスターもやろうとしているみたいだ。


 「でも、Dクラスからも男子が出て行ったの?」


 「うん。『俺がイケメンになってモテてやる!』って言う儚い野望と一緒にね。そうだよね、杏奈?」


 「うん。結果は予選落ちだっけ?」


 「違うよ。書類審査落ち」


 どっちにしてもひどかった。

 このコンテストは、まず全部のクラスから一人以上出場者を決めて、生徒会や風紀委員とかのあたりでふるいにかけるらしい。そこで男女それぞれ八人にまで人数を絞って、今日ここで晴れてお披露目になったみたいだ。

 でも、確かに出ている人たちは結構なイケメン、奇麗ドコロばっかりだ。その中には我らが(前髪に)隠れた美少女の四条さんもいる。


 「・・・でもさ、何で前髪をあげてないの?」


 今の四条さんは前髪をあげていない、ただの地味子さんだった。

 しかも他の人たちの影に隠れてるし。


 「だから、自己紹介で前髪をあげるように頼んだから大丈夫だって」


 「いわゆる、『ギャップ萌』を狙ってみようかなって?」


 「意味が分かんないよ」


 ボクもリカの言葉にうなずく。

 そんなことを言ってるうちに、無意味にきゃいきゃいしている女子たちの媚売りが終了。いつも思うんだけど、こういうのって何であぁなるんだろう?いや、とにかく四条さんの番がやってきた。


 『次は・・・一年Dクラスより四条奏さん!』


 『は、ははは、はいぃ!?』


 過剰に緊張している四条さん。ただし近づいてきた司会者さんから少しでも距離を取ろうとしている。そんな光景に司会者さんも苦笑いだ。


 『・・・とりあえず、自己紹介を』


 『ししし、四条、奏・・・です・・・・・・』


 『・・・あの、他には?』


 『ほほほ、他ですか!?』


 もう、なんだかかわいそうになってきた。

 しかも、周りからは何であんな地味子が?という声がちらほら出てくる。


 「・・・そろそろまずそうじゃない?」


 「まぁまぁ、それは司会者さんがわかってるって」


 そう自信満々に言う。

 ・・・いったい、何をしたんだろう?


 『・・・あぁ~。そろそろ、何でこんな地味子ちゃんがここにいるのって思っている人もいると思います』


 『・・・』


 四条さんがそうだ、なぜ自分はこんな所にいる?という顔でいる・・・・・・ように見える。


 『ここに、匿名さんから彼女の前髪をあげろと指示が来てるわけですが・・・?』


 『い、いやです!?無理です!?恥ずかしいです!?』


 四条さんはさらに縮こまって後ろに下がっていく。

 そこで司会者さんがどこからともなく取り出したヘアピンでさっと前髪をあげ、四条さんの顔が見えるようにしてしまう。そこで司会者さんが息をのむ声が聞こえた。


 『・・・マジッすか』


 会場にいる人は首をかしげる。

 まぁ、確かにそうだろうね。

 司会者さんはそこで無理やり四条さんを前に出す。セクハラがどうとかいう事態になりそうだけど、そこは誰も突っ込むことができなかった。


 『は、恥ずかしい、です・・・』


 「さすが四条ちゃん!」


 「見たか、Dクラスの(前髪で)隠れた美少女!」


 いろいろな所からDクラスの連中っぽいつぶやきが聞こえる。

 まぁ、無意味なまでに四条さんのバックアップをしていたしね・・・。やれ、水着はこれだとか、その次の衣裳がこれだとか、何故か優勝するのが当り前な雰囲気でやってた。こいつら、どうしようもないバカだなと再確認させられた。


 『み、みみみ、そんなに、見ないで、くださ~い!?』


 結局そう言いながら後ろにざっと下がる。

 しかもボクの目は、四条さんの周りにいる精霊たちが何かしようとしているのを見つけた。

 ・・・・・・まじで、どうしよう?


 『え~・・・。四条さん、とりあえず強引ですが質問します!』


 司会者さんがそういう。

 そして四条さんは精霊たちが何かしようとしているのに気がついて、精霊達に言う。


 『だ、ダメです!』


 『え?ダメですか?』


 そこで精霊達が何かを主張しようと激しく動きだす。


 『当たり前です!(精霊さん達、)やめてください!!』


 『あ、当たり前、なんですか?』


 『そうです!切り刻まないでください!』


 『いや、そこまで突っ込みませんよ!?』


 精霊達はひどくご立腹のようだった。しかも司会者さんと何故か話がつながっているというミラクルが発生中。

 そこで精霊達がさっきまでの激しい動きから一転して、緩やかなものになる。


 『そ、それなら大丈夫です?』


 『で、では、質問です』


 そこで精霊達が一か所に集まる。


 『だ、だからダメですよ!?』


 『何で!?』


 『とにかく、傷つけちゃダメです!!』


 『だから、そんな質問はしませんって!?』


 四条さんが精霊達を叱ると、まるで光の球が反省するかのように明滅を繰り返す。

 それを見て必うなずいて一言。


 『わかってくれてよかったです』


 『・・・とまぁ、こんな感じの天然ちゃんのようです。時間もないので次に行きましょう!!』


 司会者さんは、ついに四条さんとの会話をあきらめた。

 ボクも四条さんが精霊魔法を使えることがバレなくてよかったと思いつつ、緊張を解く。

 すると、ボクの耳にさっきまで遠のいていた周りの音が聞こえてくる。


 「し、四条ちゃんて、あ、あんなキャラだっけ・・・っく!?」


 「ち、違うと、お、思うけど・・・っぷ!」


 ・・・どうも、みんなは四条さんをコメディアン的なナイスキャラだと勘違いしている。さっきまでのボクの心配を返してくれと心の底から思った。


 「はぁー・・・。ところで、三谷君は何ではらはらしてたの?」


 さっきまで隣で爆笑していたアスカさんがボクにそう尋ねる。


 「あの司会者さんに四条さんがいじめられてるって思って、精霊達が司会者さんに魔法を放とうとしてたんだよ」


 「じゃぁ、さっきの会話って・・・?」


 リカの一言でアスカさんと杏奈さんがさっきのコメディを脳内で再生する。

 そして一言。


 「・・・よかった。いろいろと」


 「「「・・・」」」


 ボク等は杏奈さんのつぶやきに深くうなずいた。






 「と、言うわけで四条さんオメデト~!」


 「「「オメデト~!」」」


 「や、やめてください~・・・」


 時間は過ぎて一日目の文化祭終了後の午後七時。

 ボク等はその個性的なキャラでミスコンを勝ち残った四条さんを称える、もとい、いじるために簡単な祝賀会的なものを開いた。

 みんなは缶ジュースを片手に四条さんにミスコンのことを話している。


 「でも、いきなり四条がトークに目覚めたのかと驚いたな」


 「あぁ。それが三谷の話じゃ、アレのせいだからな」


 「まじナイス、アレ」


 みんなは精霊をさっきからアレ呼ばわりして、四条さんが精霊魔法を使えるというのを隠す。でも正直な話、そんな風に意味深な感じにしちゃうとすぐにバレるきがするんだ。


 「まぁ、暴れかけていたのは『風』系統の精霊だから、最悪はカザハがやりましたってことにしておけばいいんだよ」


 「おい、ソラ。それはどういう意味だ!?」


 「なるほどー。リオちゃんの裸見ようとした変態に全てをなすりつけるわけだなー。さすがミタニーだな!」


 レクトがにこりと微笑みながら、ボクじゃなくてカザハを見る。

 カザハはその笑顔に薄ら寒鋳物を感じたのか口をパクパクさせながらも、結局は何も言わなかった。

 賢明な判断だったと思うよ。ついでにリオネさんが周りの女子から冷やかしを受けていた。


 「ででで、でも何でわたしなんですか!?ももも、もっと、す、素敵な方はたくさんいました!」


 四条さんはどうしてもミスコンに出たくないみたいだ。

 たぶん、どうせ自分はすぐに落ちるだろうと思っていたのがこんな結果になって、穴に入りたいぐらいに恥ずかしいらしいとは本人の言葉。

 ・・・・・・少し、言葉の意味とか使い方が違う気がする。


 「でも、かわいかったよね~」


 「そーそー」


 「なぁ、今から俺と付き合わないか?」


 「あ、テメ!抜け駆けは許さん!」


 「えぇい、顔しか見てない男子共は四条さんから離れろ!」


 四条さんは自分の求めていた反応とは全然違うためか、目を白黒させて事態の成り行きに戸惑っている。

 しかも男子からはいきなり告白されていたりするし。


 「あ、あの、わわわ、わたし、そそそ、それは、ちょっ、と・・・」


 「やーい、振られてやーんの!」


 「うるさい!」


 こんな風にバカ騒ぎは続いた。

 とりあえず、今日の報告はっと・・・。

 Dクラスの初日の文化祭、演劇にアクシデントが発生するけど無事成功。そして四条さんも最終日のミスコン出場決定。

 こんなところかな?

 そうだ、後は龍造さん達に最終日は絶対来るように言っておかないと。


作 「というわけで『コンテスト』をお送りしました!」

奏 「な、なんでわたしが・・・」

作 「僕の策略のおかげです。やったね、奏ちゃん!」

奏 「う、うれしくないです!」

作 「安心しろ。僕の作戦はすでに最終段階に入っている」

奏 「ほ、本当ですか・・・?」

作 「あぁ、これで君にも彼氏ができる!」

奏 「いいい、要りませんよ!?」

作 「まぁ、冗談はここまでにして次回!」

奏 「じょ、冗談・・・?」

作 「さて、三谷君。まだ忘れていないかい?」

奏 「・・・はい?」

作 「次回もよろしく!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ