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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
7章 ≪魔法学園文化祭編≫
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13話・MAGICAL SNIPING

―――sideアスカ

 「・・・さて、と」


 わたしは近くに置いたギターケースのような黒い箱から、愛用の魔法式狙撃銃スナイパーライフルを取り出す。

 そしてそれを手早く組み立て、構える。

 既に『照準サイト』の魔法は展開済みだ。だから、後は狙って引き金を引くだけ。簡単なお仕事だ。


 「・・・口では、何とでも言えるけどねー」


 正直、ここからの距離じゃかなり難しい。

 わたしの絶対半径キリングレンジは測ったことはないけど、たぶんよくて六百。ちなみにこの銃の精度なら最高で千。どこぞのドラグノフ構えた女の子よろしく二千オーバーの距離は無理だ。

 しかも、魔銃は魔力弾が拡散しやすく狙撃銃には向いていない。こんなの使うのは自分くらいだなんてのもわかっている。その上、この学園のみんなの命がこの腕にかかっている。


 「・・・ものすごく、重いなぁ」


 でもやるしかない。こんなことできるの、この美人スナイパーのわたしだけだし。

 わたしはグリップを握り、そこから魔力を流す。すると、銃にどんどん魔力がたまり、弾丸が形成されていくのがわかる。

 そして、カザハ達に言われたポイントを狙い、引き金を引く。


 「・・・・・・やっぱ、魔力が足りない!」


 わたしの眼は途中で拡散してしまった弾丸を目に捉える事が出来た。

 やっぱり、距離が少しだけ遠い。

 魔法のおかげで大体の距離が今の私にはわかる。

 距離はおよそ七百弱。わたしの技量では無理な位置。


 「でも、諦められないんだよね!」


 ならもっと魔力を込める、拡散しないように。

 そして引き金を引く。

 今度は届く。けど、威力が足りない。どういうわけか、狙撃銃の魔法弾は魔力を込めすぎてもダメらしい。理由はよくわからない。


 「っ、まだまだ・・・!」


 込める、撃つ。込める、撃つ・・・・・・・・・。

 何回やったんだろう、紋章から聞こえてくるみんなの声がどんどん焦っているような気がする。

 幸いにも、あまりに大規模な魔法陣だからなのか発動するのに時間がかかっている。

 けど、時間はもうない。

 わたしは、魔力を込める。そして撃つ。


 「・・・っ、当たらない!」


 また、魔力を込めようとする。けど、その時になって気付いた。魔力が、もうほとんどない。

 わたしの魔力保有量はとても少ない。どうも、聞いてみれば三谷君と同レベルの低さらしい。わたしが三谷君と出会った時、それは本当に驚いた。だって、わたしと同じぐらいの魔力しか持たないのに、Sクラスのガリューク君に勝っちゃったんだよ?もう正直な話、崇めてもいいと思った。

 だからわたしはがんばった。三谷君が来るまでの学園は完全な実力主義で、Dだからと、魔力が低いからと不当な扱いを受けた。

 女の子のわたしじゃ、狙撃銃を完全に扱えない、力が足りないから。でも、魔法銃なら普通の銃よりも遥かに扱いやすく、女の子のわたしでも大丈夫。その代わり、とんでもない技量を要求されるけど。

 でも、この属性のおかげで第一回の『教室間戦争クラス・ウォー』でみんなの役に立てたし、夏休みの時の三谷君のお願いも達成できた。

 けど・・・・・・。


 「やっぱり、ダメなの・・・?」


 この距離じゃ、できない。

 しかも、時間的余裕と魔力的なことから考えてもあと一回。これじゃ、できる可能性なんて万に一つもない。

 ・・・・・・どうしよう。

 わたしの心の中が黒いもので埋め尽くされそうになった時、声が聞こえた。


 『アスカ、がんばれー!』


 『アスカさん、これは貴女にしかできないことですのよ!?』


 あのレクト君とリオちゃんのバカップルの声が聞こえる。

 何でかと思っていると、どうも紋章の通話が切れていなかったらしい。


 『ホークレス殿・・・!』


 忍君にしては珍しい、感情を表に出した声。


 『美人スナイパーなんだろ、お前ならできる!!』


 無茶苦茶なことを言う、我らが代表カザハの声。


 『・・・アスカ、お願い』


 そして、あの『教室間戦争クラス・ウォー』以降仲が良くなって、親友的な位置にいる頼れる副代表の杏奈。

 他にも、クラスの全員が何かを言っている。

 そうだった。わたしは、Dクラスの狙撃手スナイパーだ。どのクラスにもいない、魔法銃を使う・・・。


 「そうだったなぁ。・・・わたしは、狙撃手だ」


 銃を再び握りなおし、狙いを定める。


 「狙った獲物は、逃さない」


 眼にかかった魔法を意識し、精度を上げる。


 「・・・大丈夫、当たる」


 耳に、みんなの声が聞こえる。

 ・・・大丈夫だ、みんながいるから。だから、当たる。

 それでもダメなら・・・。いっそのこと、神様じゃなくて悪魔にでも頼みますか!

 みんながいて、神様にも、悪魔にも頼んだ、わたしの弾丸・・・・・・いや、魔弾。今のわたしに・・・。


 「わたしに、射抜けないものはない・・・!」


 そしてその時、不思議なことが起こった。

 突然、わたしの脳裏に言葉が浮かび上がる。そしてどういうわけか、その言葉を唱えずにはいられない。

 気がつけば、わたしは言葉を紡いでいた。


 「―――それは、一発の弾丸。

     全てを見通し、狙う。

     この魔弾に射抜けぬものはなし。

     ≪魔弾の射手ホークアイ・ショット≫」


 正直な話、何が起こったのかよくわからない。

 わかったのは、わたしが知らないはずの魔法を使ったということだけ。

 この≪魔弾の射手ホークアイ・ショット≫を発動させたその瞬間、目の前の空間がぐにゃりとゆがんだような気がしたが、自分ではよくわからない。ただ、頭の中に今しかないと言う声が聞こえた気がした。

 わたしはその声に任せ、最後の一発を放つ。

 弾速の遅いはずの魔力弾は、わたしの予想を遥かに上回るスピードで、光の速さで宙を駆け抜ける。

 そして、カザハ達の言っていたポイントに着弾し、派手なスパークが弾ける。

 それと同時に学園全体を覆っていた魔法陣から光が消えうせ、どこからか歓声が聞こえる。


 「・・・やった、の?」


 全く現実味がない。

 魔法を使ったと思えばそれは自分の知らないもので、しかも弾丸の威力やスピードが明らかに上昇している。

 ううん、今はそんなことはどうでもいい。

 やったの?わたし、あの距離を?


 「やったの?・・・やった?やったー!?」


 もう自分が何を言ってるのかよくわからなかった。

 でも、そこでフラッと体が傾く。

 あれ?何で、こんなにだるいんだろう?魔力の使い過ぎ?

 悲鳴が聞こえる気がする。誰の?自分はもう疲れていて、指一本動かせない。こういう時にリオちゃんみたいに優しい彼氏がいたらいいのにと思う。

 そしてわたしは、何かにぶつかり、気を失った・・・。




―――side風葉

 俺達はあの後、いてもたってもいられなくなって、アスカのいる所に走っていった。

 誰が先に走りだしたのか全く記憶にない。アスカは、バカで能天気なお調子者娘だけど、誰よりも努力しているのは全員知っている。

 紋章越しにだけど、何回も狙撃しているのがわかっている。Dクラス一の狙撃手が苦戦している。俺達にできることなんて全然ないのかもしれない。

 けど・・・・・・。


 「ほっとけるか・・・!」


 「本当に、らしくない!」


 杏奈も俺と同時に走りだしたのか、並走するようにしてついてきていた。

 と言うか、クラスのほとんどが駆け出している。たぶん、みんな気持は同じだったんだろう。

 途中で何事かと俺達のことを見ているやつ等がいる。これじゃぁ約束がパァだと思いながらも、足は止めない。

 そして、アスカのいる時計塔の近くに来る。

 この学園の時計塔は学園の真ん中にあり、一番高いから屋根からならこの学園を見渡すことができる。アスカはその屋根に上り、『照準サイト』の属性で辺りを見てくれていた。まさかこんなことになるとは思いもしなかったけどな。

 そして、とんがり帽子のような屋根を眼を凝らして見る。そこには銃を構えた人影が見える。更に、時たまその人影から一筋の光も見える。

 アスカが自分の銃で目標ターゲットを撃ち続けているんだろう。

 それを見た杏奈は、アスカが切り忘れている通話中の紋章エンブレムに向かって言う。


 「アスカ、がんばって!」


 それを見た俺達は口々に言いだす。


 「がんばれ!」


 「お前ならできる!」


 「お前がやらなきゃ、誰がやる!?」


 声が届いているのかはわからない。

 けど、俺達は杏奈に向けて声を出し続けた。そして変化が起きた。

 突然、魔力が膨れ上がるのを感じる。一瞬、ついに魔法陣が発動したのかと思い始めたがどうも違うみたいだ。

 魔力は下からじゃなく、上から感じる。

 なら、この魔力の発生源は・・・・・・。


 「・・・アス、カ?」


 杏奈が驚きの表情で親友の名前を呼ぶ。

 するとその声にこたえるかのようにして、一筋の流れ星のような光が学園の外に向かって流れていく。

 そしてガラスが割れるような音がしたかと思うと、地面に展開されていた魔法陣がぱっと消えた。

 それを見て俺達は何が起こったのかわからなかった。だが徐々に理解してくると、誰かが『おっしゃぁ!』と歓声を上げ、それを合図に全員がわぁっと歓声を上げた。


 「アスカ、やったよ!魔法陣が、消えた・・・!」


 「さすが、俺達の誇るスナイパーだよ!」


 俺と杏奈が口々にべた褒めする。

 だが、紋章からは何も返事がない。まぁ、たぶんアスカ自身も茫然自失な状態になってるんだろう。そう思った。


 「・・・シルファリオン殿、あれを!」


 俺は珍しくいきなり声を上げた忍に驚いたが、忍の焦った顔からただ事じゃないと判断して、指をさす方向を見る。

 ・・・・・・よく見えないが、アスカっぽい人影が見える。心なしかふらふらしているように見える。


 「アスカがどうした?・・・なんかふらふらしているように見えるが?」


 「・・・二人ともよく見えるなー。オレッチじゃ全然わかんねーよ」


 「さすがは猟師の家系と言うべきでしょうか?」


 バカップル達はよく見えないらしい。

 いや、ここの近くにいるヤツ全員が眼を凝らしているが、誰も見えていないのか?


 「そんなことよりも、ホークレス殿の様子が変です!」


 忍がそう言った瞬間、アスカっぽい人影がぐらりと揺れ、体から力が抜けるのがわかる。そして、時計塔の屋根はとんがり帽子のような角錐の屋根。それが意味することは・・・。


 「落ちる・・・!?」


 「何で!?」


 「魔力の使い過ぎか!?」


 確か、アスカの魔力はかなり低いって聞いたことがある。

 俺達が来る前からも眼に魔法を使って、更には銃に魔力を込めて何発も撃ち続けていた。それに、さっきの異常な魔力の高まりから考えるにそれが妥当だ。

 魔力を極限まで使ったらどうなるかは人によってさまざまだが、大抵の場合は『気絶』する。

 さっきまで歓声を上げていた俺達の声は悲鳴に変わる。

 魔法でどうにかしたいが、落ちている人に向かって魔法を放ち、かつ助けることのできる都合のいい魔法なんて俺達には思いつかない・・・!?


 「そうだ、ジグはどこだ!?」


 奴なら重力系の魔法で何とかできるはず!

 だが、声が聞こえない。どうも、教室に置いてけぼりにされたのか・・・!?

 本当に、これはマズい。


 「こうなりゃ、一か八か俺の『風』で上昇気流を・・・」


 「でも、魔力が持つの!?カザハの魔力が持たない・・・」


 そう、そこが問題だ。

 俺の魔力もそんなにない。杏奈の言うとおり、人一人を浮かび上がらせる程の風なら死ぬほど魔力が必要だ。


 「けど、やらないよりましだ・・・!」


 意識を集中する。

 今回は風の操作だけだから詠唱は必要ない。と言うか、そんな暇はない。正直な話、≪万の風の如く(ミリオン・エア)≫が使えたら問題が全くない。けど、あの魔法は魔法陣を描かなきゃいけないし、俺だけじゃ魔力が足りない。


 「風を操作できるやつは俺に合わせて上昇気流を作れ!それと落下地点に誰か行ってくれ!」


 俺がそう言うと、クラスの連中が慌ててそれぞれの行動に移る。

 でも、ヤバいな。アスカの落下速度が落ちない・・・!


 「アスカ・・・!」


 もう杏奈が泣きそうな顔で祈る。

 いや、ほとんどのヤツが杏奈と同じ気持ちだろう。

 実際に、俺も既に祈っている。

 神様がいるなら俺の願いを聞いてくれ。頼むから、あそこまで頑張ったアスカを、見捨てないでくれ!

 そして、俺の耳に獣の雄叫びが聞こえた。

 一瞬だけ魔獣かと思ったが、この咆哮を俺は聞いたことがある。


 「あれ・・・!」


 誰が言ったのかわからないが、自然とそいつの指し示す方向が何故かわかった。

 そこを見ると、白い翼の生えた獅子がいた。大きな体に似合わない俊敏な動きとその翼で、風が乱れているにもかかわらずアスカに向かって飛翔する。

 そして、器用にアスカの制服のローブの後ろ襟を咥え、俺達の発生させた上昇気流から抜け出す。

 白いライオンは旋回しながら高度を落とし、口にくわえたアスカをゆっくりと地面に寝かせる。

 そこに杏奈が駆け寄り、自分の友人の名前を叫ぶ。


 「アスカ、アスカ・・・!」


 「・・・」


 アスカは何も答えない。

 だが、杏奈は呼び続ける。俺も近くにいき、アスカの様子を見る。


 「お願い、返事して!」


 「おい、返事しろよこのバカ!」


 「・・・・・・ぉ」


 「アスカ?」


 かすかに、声が聞こえた。

 俺達は更に声をかけ続ける。


 「「「アスカ!」」」


 「・・・あ・・・・・・ん」


 「「「・・・」」」


 なんだか、雲行きが怪しくなってきた。

 俺達は一応念のためにアスカに声をかけ続ける。


 「・・・あと、五分・・・」


 「「「起きろ!」」」


 「はぐぅ!?何、何なの!?宇宙からの侵略者と仲良くなって、金の狙撃銃か銀の狙撃銃のどっちを落としたのか聞かれて、どっちも落としてないって言ったら杏奈をくれるんだよね!?」


 「何、愉快な夢見てんだ!?意味わかんねぇよ!?」


 俺達の大声と、杏奈の鉄拳でアスカが跳ね起きた。

 俺は、俺達のこの思いを返してほしい、真剣にそう思った。

 だが、こんなバカなことを言うアスカに杏奈は抱きついた。


 「心配かけて・・・」


 「・・・うん、ゴメン。そう言えば、魔法陣はどうなったの?ていうか、ここどこ?」


 「お前のおかげで解除できた。で、魔力を使いすぎたお前があそこから落ちてきた」


 俺は軽く状況を説明しながら時計塔の屋根をさす。


 「・・・わたし、よく生きてたね」


 「本当にな。飼い主に似て、いいところだけ持ってく猫がいなきゃ死んでたな」


 俺がそう言うと、アスカは自分の近くにいる白いライオンの存在に気づく。

 三谷の飼い猫、と言うか飼い獅子の『レオ』だ。

 見るのは二度目だが、どうしてもあのぐうたら猫とこのライオンが俺の中でイコールで結ぶことができない。

 レオにおっかなびっくりといった感じで触れる。

 レオは何か用かとでも言いたげな表情でアスカを見る。


 「・・・えっと、ありがとうね?」


 レオは一言だけ『がう』と鳴くとそっぽを向く。

 どうも、このレオは自分の飼い主以外にはあまり懐かないらしい。本当に、どうやってこんなのを手懐けたのかものすごく気になる。


 「みんな、大丈夫!?」


 その声に振り向くと、そこには今だ騎士の恰好をしたソラと間に、お姫様の恰好をしたままのアンジェリカさん、そして坂崎さんがいた。どうも劇を早々に終わらせて、俺達の所に駆けつけてくれたみたいだった。


 「・・・にしても、よく止めたな。一応話はあのカレンから聞いてたけどな」


 「というか、さっきのって真言だよね?」


 間の言った聞きなれない名前に俺達は首をかしげる。まぁ、今はいいだろう。それよりも、ソラの言った無視できない単語の方が激しく気になる。


 「ちょっと、どういうこと?わたしが真言使ったって!?」


 言われて一番驚いたのは、むしろ本人のアスカだった。

 そのことに対して、ソラはこともなげに言う。


 「だって、普通の魔法と明らかに桁違いの魔力とマナ使ってたし」


 「・・・じゃぁ、アスカちゃんも頭の中に呪文が浮かんできたりしたのかな~?」


 何気ない坂崎の一言にアスカがはっとする。

 どうも、思い当たる節があるらしい。


 「まぁ、なにはともあれおめでとう?」


 そう言うとソラはレオのもとに行って撫で始める。

 まぁ、まさかアスカが真言を使うとかそんなことになるとは思いもしなかった。

 とにかく、今言えることは一つある。


 「俺達、やったんだよな?」


 「うん。カザハ達がやってくれたね」


 ソラはそう言いながら、猛獣使いみたいにレオの喉のあたりを撫でる。レオも心なしか気持ちよさそうだ。


 「ありがとう、本当に助かったよ」


 まさか、俺達より遥かに強いこいつらにこんな風に言われるとは思ってもみなかった。周りを見渡してみても、クラスの全員が照れくさそうにしていた。


 「・・・まぁ、これもお前がいたからできたことなんだけどな」


 「違う」


 意外なところからの声、アンジェリカさんだった。この人は吸血鬼のくせに人間不信と言うなんかいろいろとおかしい性格で、あまり俺達とも話さない。まぁ、ソラがかかわれば話は別だけどな。

 まぁ、そんな意外な人物から否定の言葉が上がった。


 「それは、ソラの力じゃない。貴方達の力」


 「まぁ、そうだね。ボクは何もしてないし。しいて言うなら、無理やりにAクラスと戦わせた程度だよ」


 そう言うと、ソラは気の抜けた笑みで俺達を見る。


 「ゲリラ公演も、爆発騒ぎもこれで終了。これで心おきなくここの文化祭を遊べるね」


 その言葉で、自然と俺達の口からおっしゃぁ!と言う歓声が響く。

 あちこちで肩をたたき合い、ハイタッチをしているやつもいる。

 そして・・・・・・。


 「お前らぁ!いい加減にせんかぁ!!」


 お仕置きがものすごく恐ろしいと評判の、生活指導兼実技担当のゴリラ教師が登場。

 ・・・・・・ヤバい、死ぬ!?


 「総員、各自の判断で退避、そして逃げ切れ!」


 「「「了解!!」」」


 もう、そこからは鮮やかだった。

 さっきまでの興奮はどこへか、俺達は示し合わせたかのようなタイミングで即逃げる。そう言うわけで俺達は無断でゲリラ公演をした問題児として先生達から追われる羽目になった。

 まぁ、こんなバカみたいなことができるのも俺達がこの学園を守ったおかげだとでも思っておこう。


作 「というわけで『魔弾の射手』をお送りしました」

空 「・・・これは、地味にすごくない?」

作 「何が?」

空 「だって、『魔弾の射手』ってもとは童話かなんかでしょ?悪魔から狙ったとことに必ず当たる魔弾を七つ作る作り方を教えてもらって、最後の一発だけが悪魔の願ったところにあたるってやつだよね?」

作 「うん。それがどうかしたの?」

空 「この展開、部分的に似てるなと思ってさ。作者もやるときはやるんだね。なんかかっこいいし」

作 「・・・実は、これって偶然だったりするんだよねー」

空 「・・・え?」

作 「なんかジャ○プ的な展開でいいかと思って書いたらこうなった。いや、後で魔弾の射手って調べて地味に旋律を覚えたね」

空 「・・・」

作 「こわいね、僕の才能!」

空 「・・・≪真月シンゲツ≫!」

作 「あぴゃぁ!?」

空 「というわけで次回、バカ騒ぎします。次回もよろしくね!」

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