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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
7章 ≪魔法学園文化祭編≫
148/170

12話・DISMANTLING

―――side春樹

 「姉さん、確かここだっけ?」


 「えぇ、あってるわ」


 僕達は指示を受けた場所に来ていた。

 どうも、この学園の部活のどこかが行う模擬店のようで、いろいろな飾りつけが施されている。ただ、Dクラスの人達の考えた陽動作戦的な演劇の方へ言ってるのか、教室内の人はいない。


 「好都合ね。さっさと魔力を調べるわよ」


 「うん」


 そう言うと、僕と姉さんは神経を研ぎ澄ませていく。

 姉さんは元々が数法術の使い手だから、魔法機械デバイスを通して魔力を感知することができる。僕は自分の『エーテル』と言う魔法属性のおかげか、他の人よりも魔力に敏感だ。

 そして僕と姉さんは同時に異質な魔力を発見した。


 「・・・あれね」


 「・・・うん」


 僕達の目線の先には、何の変哲もない段ボール箱。

 見るからにこの模擬店で使うものだ。まだ開封していないらしく、ガムテープで箱の口が止められている。


 「・・・どうしよう、開けるの?」


 「しょうがないわよ」


 そう言うと、姉さんは何のためらいもなく段ボール箱に歩み寄り、ガムテープをべりべりとはがす。そして中身を確認する。


 「・・・何も、変なものはないわね」


 「・・・でも、魔力は残ってるよ?」


 そう言いつつ僕も姉さんの後ろから箱の中身を覗き込む。

 そこには、タコにネギなどと言った食材が詰め込まれていた。・・・見るからにタコ焼きの材料だ。


 「でも、こんな所に生ものを置いておくのはおかしいんじゃないの?」


 「別に問題はないわ。これを見なさい」


 そう言って姉さんは段ボール箱の内側の側面を指さし、僕に見せる。

 そこには何やら複雑な文字が書かれていた。・・・いや、これは数法文字コード


 「まぁ、ハルならわかるでしょ?見てわかるとおり、これは数法文字コードよ。これは数法術を使って、箱の中身の鮮度を保つ術式ね。無駄なく魔力を使うことのできる数法術ならでは技術よ」


 へぇと思いつつ、僕はそれを観察する。


 「・・・・・・でも、この構成はおかしいわね」


 「おかしいの?」


 僕は一応数法術のイロハ程度は姉さんから聞いてはいるけど、使えるかどうかと聞かれればそれは無理だ。

 だって、難しすぎるんですもん。それに僕が呼んだことのある本では、数法術は姉さんのような若い人の使える技術じゃないって聞いているし。

 まぁとにかく、僕が術式構成マトリクスがわかるとは思えない。


 「えぇ。・・・・・・さっきの地図、貰って来た方がよかったかも知れないわ」


 「・・・まぁ、あの大雑把な魔法陣ならすぐに描けるけど?」


 そう言いつつも僕は常に携帯しているメモ帳とペンを取り出す。

 そこにさっき見せられた魔法陣っぽい配置のモノを書く。その代わり、どれがどこの教室にあるのかまではわからないけど・・・。


 「まさか、ここで龍造先生の勉強が役に立つとは・・・」


 脳内に『題してフラッシュ魔法陣じゃ』と最初に言っていた龍造先生の姿が浮かび上がる。


 「・・・・・・まぁいいわ」


 姉さんはソラ先輩からもらったと言う魔法機械デバイス、『数法珠』を取り出して操作。すると、姉さんの周りに数字が展開され、それが整列されていく。

 これが姉さんの数法術。構築された術式構成マトリクスは段ボールの内側に貼り付き、上書きされて正しいモノに変換される。


 「これで、完了ね」


 姉さんがそう言うと、今度はピアスに連絡が来た。

 誰だろうと思いつつ応じてみると、奏さんからだった。


 『あの、まだ魔法陣が生きているみたいです。そ、早急にお願いします!』


 「え?すみません、どういうことですか?」


 『は、はい?先ほど、精霊さん達が教えてくれたんですけど・・・?』


 何故だろう、会話がかみ合っていない。


 「・・・四条、わたし達がやったのは魔法陣の解呪じゃないわ」


 『え、えぇ!?じゃ、何をしたんですか!?』


 とりあえず、奏さんに姉さんがしたことを教えます。

 そして奏さんが言うには、姉さんが段ボールの数法術式を修正すると、他の魔法陣の魔力が若干薄れたみたいです。


 「・・・まさか、数法術と魔法陣の混成術式?」


 『そ、その可能性が高いかもしれません』


 「要するに魔法陣をわざと大まかに作って、ギリギリで意味を作るように構築。そして、もっと細かい所は数法術で補助をしているってことですか?」


 『た、たぶん?・・・す、すみません。師匠ならわかったのかも知れませんが』


 ソラ先輩は隆介さんと一緒に時間を稼いでくれている。それはしょうがない。

 でも、やることはわかった。


 「奏さん、ポイントを教えてください」


 『は、はい』


 奏さんから教えてもらった場所をメモ帳に書き込み、僕と姉さんは場所を確認する。

 そして二人して頷いて、また走り出した。




―――side風葉

 「はぁ、一時はどうなるかと思ったぜ」


 「・・・全くね」


 俺と杏奈は二人で愚痴る。

 見つかったと思えばそれはゴミだったり、普通にただの忘れものだったり、俺達はそれを何故か届けたり、清掃活動するようなことをした。

 まぁ、別にそれはいいんだけどな。ただ問題があるとすれば・・・。


 「・・・あのぉ、一応ここは関係者以外立ち入り禁止なんですけど?」


 「ご主人様、邪魔なので消えてほしいそうです」


 「ちゃうからな?ワイとお前にお帰り願いたいだけやからな?」


 「・・・こちとら客なんだぞー。文句を言うなー」


 「ものっそい棒読みやな!?」


 ・・・なんか、個性的すぎる二人組がここにやってきたことぐらいか。

 一人はくすんだ赤い髪の、大学生ぐらいの男性。こっちはごく普通の人だ。・・・背中にスコップを背負っていなくて・・・。


 「お姉ちゃん!この人たちが可哀想だよ~―――やから、いきなり変わんな、ドン引きやないか!?」


 「「「・・・」」」


 二重人格じゃなかったら。しかも、もう一つの人格が明らかに女の子で、更には自覚している分イタイ人にしか見えない。

 そして極めつけが相方の人。最早病気じゃないかと思うレベルに肌が不健康に白く、メイド服着ている女性。男の人のことを『御主人さま』と言う割に主従関係が破綻しているとしか言いようがない。むしろメイドの人の方が立場が上そうだ。


 「つかな、さっさと帰ろう。な?ここの文化祭は明日かららしいしな?」


 「メイドの勘がここを捜索せよと申しておりますが?」


 「どんな勘やねん・・・。つか、魔王さんとこのジャリ共がおる聞いてここに来たくせに・・・」


 「ですから、師匠として弟子の成長は見るべきかと」


 「本音は?三行でな」


 「文化祭をみたいです。

  プリン食べたいです。

  学生気分を味わいたい、以上です。

  追伸、ご主人様は帰っても結構です」


 「・・・もうええわ」


 男の人はいろいろなことに疲れてきたのか、投げやりな口調になってきていた。

 俺はとりあえず、周りの人間に確認をとってみる。


 「・・・なぁ、この先輩達見たことあるか?」


 「ない。もちろん噂も聞いたことない」


 他にも聞いてみるが、どうもおかしい。

 メイド服着てるからどっかの模擬店でメイド喫茶的なモノをやってるんだろうけど、ここまでキャラが濃けりゃ誰か一人ぐらいは知ってそうな気がする。

 だが、現実問題として誰も知らない。そうなると部外者だがそれはあり得ない。準備期間中も含め、文化祭なんかの大きなイベント以外では学園内に入れないからな。


 「・・・カザハ、わたしは恐ろしいことに気付いた」


 杏奈が何故か顔を恐怖に歪めて俺にそう言う。

 俺はそんな杏奈を心配しつつ聞いてみる。


 「知らない、学園生。もしかて、この人達が犯人?」


 「・・・!?」


 俺にも戦慄が走った。

 まさか、こいつ等は怪しまれないようにこんな恰好を?そうすればSクラスのようなコスプレ喫茶の関係者だと思われるからか?

 マズい。今は本当にマズい。最悪なことに、学園内の多くの生徒は俺達のゲリラ公演を見に来ている。こんな所で魔法なんて使われたら・・・!?


 「・・・どうする?」


 「・・・三谷君の仲間の誰かを呼ぶ?」


 それが一番いいだろう。

 けど、俺はソラの仲間の名前はシェルスと坂崎、四条、そして間しか知らない。名前がわからなけりゃ紋章エンブレムの通話機能が使えない。

 そして、四条は明らかに戦闘向けの魔法使いじゃないし、残りは劇の方を頑張ってもらっている。ここで戻せば不自然に思われる。

 どうしよう・・・。そう思っていた時、視界の隅で誰かが動く。


 「・・・どちらさまでしょうか、不審者殿?」


 忍がいつの間にか相手の死角から小太刀を首筋に突きつけていた。


 「・・・これがこの学園流の歓迎の仕方でしょうか、ご主人様?」


 「ちゃうわ!明らかに不審者扱いやわ!?」


 「わたしは不審者ではありません。この人だけです!」


 メイドさんがビシッと男の人を指さす。

 だが、隙ができた!


 「ナイス、忍!」


 「リオちゃん、『レローネ』でいいかー!?」


 「構いませんわ!皆さん、下がって!」


 我らがDクラスの主戦力、リオネとレクトのバカップルが仕掛ける。

 『レローネ』はこいつ等の人形の一体、四足歩行タイプの竜型ドラゴノイドの人形だ。全長五メートルほどの小型のドラゴンだが、その膂力は人を遥かに上回り、口からは雷属性の吐息ブレスのような攻撃をすることが可能だ。


 「とりあえず、潰れてくださる?」


 リオネがそう言うと、『レローネ』がその前足を二人に向けて叩きつける。

 これなら、敵はもう立っていられはしない。


 「・・・少し、危険でしたよ?」


 「忍なら避けれただろ?」


 当たり前のように俺の横へ気配もなく立っていた忍をねぎらう。

 だが、俺達は次の光景に目を見張るしかなかった。


 「・・・ご主人様、死んでますか?」


 「生きとるわ。つか、最初に聞くのがそれかい!?」


 「・・・・・・・・・・・・・・・ッチ」


 「今『ッチ』言うたな!?」


 何回も言うが、『レローネ』は人間の力なんかとは比べ物にならないぐらいに強い。やろうと思えば、この学園の城壁だって崩せる破壊力だ。だが、メイドはそれを片手で止めていた。


 「そんな、バカな・・・!」


 「リオちゃん、次!」


 レクトはすぐに次の人形を準備。

 取り出したのは狼の形をした人形。これは『フェーン』、本来は索敵などに用いる人形だが、集団戦闘で一気に殲滅することも可能な人形だ。レクトは力じゃダメだと判断し、手数の多さに切り替えたんだろう。


 「わかりましたわ!」


 そう言うとリオネは人形に魔力を通し、大きくする。二メートルほどの人形が全部で六体。これがリオネの操れる人形の最大数のはず。俺もこの人形と戦ったことがあるが、あまりの速さに全く歯が立たなかった。


 「行け!」


 『フェーン』達はその俊敏な動きで相手を翻弄し、死角から攻撃を叩きこもうとする。

 だが・・・・・・。


 「ご主人様、今度こそ死にましたか?」


 「やから、死んでへんわ!―――大丈夫だよ、お姉ちゃん。何しろ、このわたしが憑いて・・・るんだからね!」


 これならさすがに守る余裕もないはず。そう思っての選択だった。レクトの読みは当たり、メイドはさすがにこの数の人形を捌き切れなかった。メイドは体のいたるところを噛みつかれていた。ただ、男の周りの『フェーン』達は足が綺麗に切り落とされていた。その、あまりにも大きすぎる巨大な剣で。どう考えても、あれは人間が使える武器じゃない。


 「お、お前、魔物の、類か!?」


 「・・・なぁ、ワイの人間性が否定されたんやけど?」


 「ご主人様は確かに人間の皮を被った鬼畜ですね。さすがはエレオノール学園の生徒様、ご慧眼でいらっしゃいます」


 いや、そう言うことが聞きたかったわけじゃない。

 まぁ、準備ができたからよしとしよう。


 「≪貫き穿つ風ピアッシング・エア≫!」


 俺が単独で使えの最強の魔法。風の刃が旋回しつつ、弾丸のように相手に飛んでいく。さすがにこんなの受けりゃ死ぬ寸前の大怪我を負うだろうが、今の俺達に手加減なんてする余裕はない。

 俺の魔法は男の所へと飛んでいく。


 「ご主人様!」


 「うわぁ!?」


 だが、メイドが男を突き飛ばし、代わりに魔法を受ける。それによってメイドさんは派手に切り刻まれ、さらには壁に吹き飛ばされる。・・・・・・ただ、男も壁に頭から突き刺さっていたけどな。

 とにかく、だ。これで敵は男一人・・・!


 「ダアホ!?もっと綺麗に助けんかい!?つかな、ほっといてくれたらカリンが斬ってくれたわ!?」


 「何この人、女の人に守ってもらっておいて・・・本当に鬼畜?」


 杏奈がさりげなく毒を吐く。

 それに同意する声が上がる。


 「本当ですね。助けてあげたのですから、感謝してほしいものです」


 「お前、何で!?」


 おかしい。そこには何故か五体満足で、怪我ひとつないメイドがいた。あの魔法を喰らえば、どんなヤツでも無傷はあり得ない!


 「どうすんだよ、爆弾魔がこんな強いなんて聞いてないぞ!?」


 「・・・なぁ、自分等なんか勘違いしてへん?」


 「ご主人様、ついに犯罪に手を染めたのですね」


 「お前はやめへんか!?むしろ爆弾魔の第一候補はお前やろ!?同機は面白そうやったとかでな!!」


 「・・・っく、否定しきれません」


 「否定せぇ!?―――ねぇ、どうしよう、そろそろ衝動がきちゃあはははははは!?」


 さっきまで比較的まともだと思っていた男の人の方が狂ったように笑い始めた。

 ・・・・・・あの、すごく怖いんですけど?

 そんなことを思っていると、男の人が明らかに人間を凌駕したスピードで俺に肉薄。急な出来事に脳の処理がおっつかない。


 「いっけぇ!」


 『地獄にですか?』と思わず軽口を叩きそうになる。

 だが、刃は既に俺の首を狙って振り下ろされそうだ・・・!



 「―――迅雷の弾丸。

     ≪鳳雷弾ライジング≫」


 「あぎゃぁ!?」


 メイドがいきなり味方に攻撃をし始めた。

 雷の弾丸が放たれ、男の人に直撃。男の人はピクピクと痙攣している。

 ・・・どういうことだ?


 「すみません、ご主人様は誰から構わず襲おうとする変態ですので。後で私がじっくりと調教しておきます」


 「何、勝手な、こと言う、とる。その前に、これ回収せんか!?」


 息も絶え絶えに男の人が言う。

 メイドさんはやれやれとオーバーアクションをとり、巨大な剣を回収。すると、武器が光り出し、長ネギに変貌する。


 「「「・・・」」」


 「・・・これで、パーフェクトメイドの完成です」


 無意味にポーズをキメるメイドさん。

 俺達は絶句するしかない。


 「所で、この魔法陣は何ですか?」


 そう言うと、メイドさんは俺達に学園の見取り図を突きだす。

 いつの間にとも思ったが、意味がわからない。


 「何って、貴方達が仕掛けたんじゃ?」


 杏奈の言葉にクラス全員がうんうんとうなずく。

 そして、メイドさんはじーっと見取り図を見る。


 「・・・これでは不完全ですね。必要な点は・・・ここと、ここです。・・・これはまた、珍しい魔法陣をお使いのようです」


 ぶつぶつと言うメイドさん。

 と言うか、無視できない単語が聞こえたぞ!?


 「おい、お前魔法陣がわかるのか!?」


 「はい。そうですが?・・・ちなみに、これがこの問題の正解です」


 そう言いながら俺達に見取り図を見せる。

 そこには、四条が探した意外の部分に赤い丸で印がつけてあった。

 ・・・っていうか、ここは!


 「さっき、俺達が調べたところじゃ!?」


 「・・・どれも、ゴミや忘れ物があったところですわね」


 リオネや他のヤツらに聞いても答えたことは同じ。

 ・・・どういうことだ?


 「・・・と言うか、新手のオリエンテーションにしては難しすぎではないでしょうか?それに、使った魔法陣の内容は・・・別の魔法陣を一時停止にする。何故これにしたんでしょうか?」


 メイドさんがよく意味のわからないことを言う。

 俺はとりあえず敵ではなさそうなので質問をする。


 「一時停止って、どういうことだ?」


 「これは、要するに遅延詠唱ディレイ・スペルの一種です。今回は発動させたい魔法陣を、こちらにあるもので発動を抑え、かつバレないようにすると言う戦術系の魔法陣です。・・・・・・この学校では、『教室間戦争クラス・ウォー』が盛んと聞いていましたが、さすがです」


 こんなこともするんですねと感心するメイドさん。

 だが、今の俺達にはものすごく嫌な予感しかしなかった。


 「・・・あの、一つ聞いてもいいですか?」


 「なんなりとどうぞ」


 「もしも、この魔法陣を解除したらどうなります?」


 「抑えていた魔法陣が即座に発動します」


 「平地姉弟に連絡だ!解除を中止させろ!!」


 俺がそう叫んだ途端、今度は『CALL-平地冬香』と言う名前が表示される。俺は見覚えがない名前だが、おそらくは『平地姉』だろう。

 ・・・ものすごく嫌な予感がするが、出ないわけにもいかない。俺は平地姉との通信を入れる。


 「・・・一応聞くが、どうした?」


 『今、全部の解除が終了したわ』


 「「「アウトォ!?」」」


 俺達は全員で叫んだ。

 おそらく、敵の考えはこうだったんだ。ゴミや落し物に仕込まれた魔法陣の欠片とでも言うべきモノを、配置を崩していけば発動するように考えていたんだろう。

 そして、俺達は本来もっと後で発動するはずだった魔法陣を今ここで起動させてしまったらしい。

 そんなことを考えていると、足元に魔力のラインが引かれる。ヤバい、発動する!?


 「・・・一応聞きますが、これって厄介事だったりしますか?」


 メイドさんは無表情な顔で俺に聞いてくる。

 俺は既に半泣きの顔でうなずくことしかできない。

 メイドさんは更に何か考えこむ。そして俺にまた聞く。


 「この魔法陣、発動するとまずいものですよね?規模から考えれば学園全体を覆っているようですが?」


 「何でアンタはこんなに冷静なんだよ!?」


 「メイドですから」


 意味のわからない受け答えをされても困る!?

 俺は心の底からそう叫んだ。


 「すみません、どなたか、長距離を攻撃できる方は?」


 「無理ですよ!?つか、何で急にそんなことを聞くんですか!?」


 俺がそう聞くと、メイドさんは今度は学園周辺の地図の一部をとんと指で示す。


 「ここのポイントに何かしらのダメージを与えられれば、この魔法陣を停止させることが可能です」


 「「「マジで!?」」」


 つか、さっきから思ってたけど何この人!?

 ソラよりも魔法陣の習熟度高い!?


 「でも、こんな所攻撃できるやつなんか・・・」


 一人思い浮かぶ。だが、あいつに任せても大丈夫なんだろうか?


 「しかも、ここにいねぇし」


 「・・・こんな時に、どこに行ってるの!」


 口々にクラスメイト達が文句を言う。

 もちろん、アスカのことだ。けどアスカがいたとしても、高い所からじゃないとここは攻撃できない・・・。どうする?

 そんな時、杏奈の所に通信が入る。


 「アスカ!?今どこにいるの!?」


 アノヤロウ、今どこにいるんだよ。

 後でシメる。・・・・・・生きてたらな。


 『杏奈、そんなことより、これって大丈夫なの?なんか学園全体を魔法陣が覆っちゃってるけど?』


 「「・・・」」


 この時、俺と杏奈は疑問を感じた。

 こいつ、何で学園全体にこれが張られているってわかったんだ?


 「・・・おい、アスカ。今どこだ?」


 『えぇ、今?あれから何の連絡もないからさぁ、ずっとここで待ちぼうけだよ。まさにサビシンボーイだね』


 「アスカ、俺は今、お前を超愛してる」


 『・・・・・・・・・・・・・・・はいぃ!?杏奈、カザハ代表が壊れたよ!?』


 「アスカ、私も愛してる」


 『モテ期到来!?』


 バカなことを言うアスカに現在の状況を説明。


 『なるほど、この美人スナイパーさんの出番なわけだ』


 「頼む、お前だけが頼りだ!」


 クラスの全員が口々にアスカを応援する。


 『任しときなさいって、わたしの眼はどんなものだって射抜くよ~』


 アスカのその一言を最後に、杏奈の紋章からは何も聞こえなくなった。


作 「というわけでお久しぶりです。『解体』をお送りしました」

カレン 「みなさんお久しぶりです。最強のメイドことカレンです」

カバネ 「わけのわからへんこと言うな。死霊術師ネクロマンサーのカバネや」

カリン 「ついでにカリンちゃんもいるのだー★」

作 「まぁ、やっぱりボケは必要だよね!というわけでこうなりました」

カバネ 「そのせいで死にかけたけどな!?」

カレン 「わたしの英雄譚はこれからも続きます」

カリン 「お姉ちゃんかっこいいー!」

作 「まぁ、こんなのでも魔法のレベルはかなり高い人達ですから」

カレン 「メイドですから」

カバネ 「関係ないでな?」

カリン 「わたしは魔法できないけどねー」

作 「まぁ、そんなわけで次回!」

カバネ 「どういうわけやねん!?さっきから適当に話しとるだけやないか!?」

カリン&カレン 「「イェー!」」

カバネ 「だれか助けて!?」

作 「次回は美人スナイパーことアスカちゃんががんばるぜ!というわけで次回もよろしく!」

カレン 「・・・次こそ、伝説のネギを求める話ではなかったのですか?」

カバネ 「どんな話やねん!?」

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