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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
7章 ≪魔法学園文化祭編≫
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3話・JEALOUSY

―――side空志

 「って、言うわけなんだけど、無理かな?」


 「メンドイ」


 まぁ、リュウならそう言うと思った。

 ボク等は借りている部屋で今日のことを話していた。


 「つか、お前等仲いいな。俺達なんかまともに話せねぇぞ」


 「でも、Sならジグとかいたと思うけど?」


 「あの、主席さんですか?なんと言うか、近寄りがたい雰囲気があります」


 まぁ、わかる気がする。

 どっちかと言うと、孤高の存在タイプと言うかなんと言うか・・・。


 「でもさ、以外だったが何で冬香はAだったの?」


 「アンタね、わたしには数字しか扱えないのよ」


 「・・・いや、そんな胸張って言われても」


 「それに、属性自体がそんなに珍しくないわ。『氷』と『大地』、探せばわりとどこにでもいるわよ」


 「なるほど、ね」


 「まぁ、俺達は魔法なんてほとんどしたことが無いですし」


 「私も魔法薬以外に魔法は使えませんから」


 「わたしはシュウと一緒がよかっただけですぅ」


 どうも、みんなフリーダムなようだった。

 そして遊び呆けていたボク等Dの方々とは違い、ちゃんと仕事をしてたみたいだった。


 「一応、ココに来た業者をチェックしたけど、何も怪しい動きはなかったわ」


 「そうだな。むしろ、この学校のやつ等が魔法をドンパチしてる方が危なかったな」


 「それ、アタシとソラも遭遇した」


 「さすがソラ君だね~」


 「す、すみません。せ、精霊さん達には何も言ってなかったので、き、気づかなかったみたいです」


 まぁ、そんなものか。


 「でも、普通に爆破するって言ってもいつとかかいてなかったし、理由も思い当たらない。絶対に悪戯のセンだね」


 「だな。ココを爆破してもメリットがねぇしな」


 みんなもそう思っているのか、特に反対もない。


 「ま、それならそれでココの文化祭を楽しんでおけばいいじゃん」


 わりと軽い気持ちでそう言っておく。

 まぁ、その前に友人作りから始めないとダメだけど。


 「まぁ、リュウがオッケーしてくれて助かったよ」


 「おい、俺は何も言ってねぇぞ!?」


 「え~。リュウ君が騎士さんやるとかっこいいと思うのにな~」


 スズのさりげない言葉に思わずうっと詰まるリュウ。

 ボクはこっそりとスズにびしっと親指を立てておく。

 既にタネは蒔いてあったのさ!ちなみにスズはリュウの騎士姿ってカッコよさそうだよね?と言う言葉で買収した。

 そして、準備期間一日目がこうして終了した。




―――side隆介

 「・・・なぁ、オレさ、何でこんなところにいんだ?」


 「黙れ!坂崎さんにつく下郎が!」


 目の前には自称元Sの優等生。

 何故かオレはそいつにこの学園のシステムの一つである『決闘』を申し込まれていた。

 確か、名前はロイ・ガリューク。


 「・・・なぁ、オレ、お前になんかしたか?」


 「黙れ!貴様の行い、万死に値する!具体的にはリア充爆発しろ!」


 ・・・そうか、リア充は爆発物だったのか。

 今度からはそっちも警戒しねぇとな。

 まぁ、そんな現実逃避をしている場合じゃねぇな。

 とにかく、こうなったのは少しだけ時間を遡る。






~数時間前~

 オレはこのエリートクラスでぼうっとしていた。

 まぁ、特にすることも無かったしな。


 「ねぇねぇ、間君。君が珍しい『闇』の属性持ちってホント?」


 「・・・別にいいだろ」


 聞いてくるやつ等(主に女子)を適当にあしらうが、何故かきゃーっと黄色い悲鳴を上げて自分の友人のところで興奮したように話す。

 ・・・女子のやることはよくわからない。

 こんなところをスズには絶対に見られたくない。


 「お~い、リュウく~ん!」


 噂をすれば・・・。

 時間を見てみれば昼時、たぶん、スズがいつものようにオレ達にメシを作ってくれたんだろう。

 扉のほうを見るとニコニコと微笑みながら手を振るスズ。

 ・・・別に、かわいいなんて思ってないぞ?

 オレはスズのところへ行く。


 「よう、メシか?」


 「そうだよ~」


 「わかった。で、あいつらは?」


 「他のみんなはソラ君達が呼びに行ってくれたよ~」


 「てか、いい加減にわたしがいることに気づきなさいよ」


 声のしたほうを見ると、そこには冬香と見慣れない男子生徒がいた。

 ・・・誰だ?


 「ハル~!さっさと昼ご飯にするわよ!」


 「あ、姉さん!」


 冬香がSの教室に首を突っ込むと春樹を呼び出す。

 春樹は人当たりがいいからか、ここでも結構いい友人関係を築いているようだった。

 年下にもかかわらずこのクラスは春樹をオレ達と同じように対応してくれている。つか、ソラに聞いた話じゃ、こいつらはプライドの塊らしいがそうでもないような気がするぞ?


 「じゃ、そろったところで行くか」


 「あ、リュウ君ちょっと待って~」


 スズが歩き出したオレの後をついてくる。

 ただ、オレはこのときに気づけばよかった。

 後の男子生徒の嫉妬の視線に。






 「お~い、こっちだよ~」


 学園の中庭。芝生が敷き詰められていてすごく綺麗なところだ。

 そして、ソラが大きな木の近くでココだと手を振る。

 オレ達はどうも一番最後に来たらしく、既に他のメンバーがそろっている。

 ・・・・・・って、言いたいんだけどな・・・。


 「お腹減ったよ~」


 「坂崎のメシはうまいからなー」


 「・・・レクト、行儀が悪いですわ」


 「・・・なぁ、お前等金持ちなのになんで坂崎にたかってるんだ?」


 「交友を深めるため」


 「本音は?」


 「坂崎さんのごはんおいしい」


 何故か大勢の人間がいた。

 たぶん、こいつ等がDクラスの仲のいい連中なんだろうけどな。


 「お?ロイも久しぶりだね」


 「おう。そうだな」


 そう言いながらロイとか呼ばれた冬香と一緒のクラスのやつも当たり前のように芝生に座る。

 それに続くようにしてオレ達も近くに座る。


 「今日も一杯作ってきたよ~」


 そう言うと、スズはうれしそうに自分のポケットの魔術符カードから重箱の包みをいくつも取り出す。

 ・・・つか、どうしたらコレだけのものを一人で作りだせるんだ?

 いや、前に一度だけ聞いたことがあるが、『乙女の秘密』らしい。

 意味がわかんねぇ。

 まぁ、そんなこんなで昼食会が始まった。


 「なーなー、最近しのぶーが見当たらないんだけどさ、どこにいるんだー?」


 「影崎さんは、『我々のことを嗅ぎ回っている輩がいます』とか言って、最近はいろいろなことを調べているらしいですわ」


 「へー。忍っちも大変だねぇ。坂崎ちゃんのご飯ウマー!」


 「そうだよ、カザハ、ココにスゴイ子がいるんだよ!四条さんにミスコンをやってもらえばいいじゃん!」


 「・・・おい、お前大丈夫か?お前の好みを一方的に押し付けられても困る」


 「ちょ!?そんなこと言ったら・・・!」


 「・・・ソラ?」


 「リカサン!?冬香!ボクの誤解を解くためにも四条さんの前髪を上げて!!」


 「は、はいぃ!?な、何でですか!?」


 「へいへい。貸し一ね」


 「・・・!?誰だよ、お前・・・!」


 「え?え?代表さん?何を言ってるんですか!?わたしです!四条です!?」


 「・・・嘘!?かわいい・・・」


 「そ、そんな寺井さんの方がお綺麗ですよ!?」


 「奏さんはなぜ前髪を上げないのですぅ?」


 「・・・さぁ?」


 「そのほうが可愛らしいですのにね」


 「シュウはわたしだけのですぅ!!」


 「はいはい、わかりましたよ」


 そんな風にのほほんとした会話を楽しみつつ、オレ達はメシを食っていた。

 そして事件が起こる。


 「あ、リュウ君、ほっぺにご飯がついてるよ~」


 「ん?どこだ?」


 「取ってあげるね~」


 そう言うとスズがオレの頬に触れ、米粒を人差し指ですくう。

 それをそのままパクッと自分で食べる。


 「・・・・・・よく、そんな恥ずかしいことができるな」


 「ほぇ?何が?」


 等の本人はきょとんとしている。

 たぶん、今のオレ達は、端から見てりゃ・・・。


「まるで、恋人みたいだね」


 オレは思わずその声にうなずきそうになる。

 声の方向を見れば、そこにはにやけた笑みを浮かべるソラがいる。

 やべぇ。オレの経験則がそう言っている。


 「あの劇さ、リュウとスズが王子と姫の役をやれば完璧だったと思わない?」


 ソラはいろいろなものを含んだ笑みを冬香に向けた。

 最近、冬香とソラはこういうことに関してはかなり仲がいいというか・・・。たぶん、リカの次に仲がいいと思う。

 いつもならリカはココでソラにバカとか言って張り飛ばすだろう。だが、リカもソラの考えを読み取ったのか黙っている。そして冬香はそれに乗っかる。


 「確かにね。ビジュアル的に美男美女だし、かなり劇にいいんじゃない?」


 「そ、そんな・・・。リカちゃんとソラ君の方がきっといいよ~」


 スズの顔が赤くなり、もじもじと体を動かしだす。

 ・・・この野郎、覚えていろよ。つか、オレまで顔が赤くなってきたじゃねぇか。


 「・・・もう、我慢ならん!」


 そこで、一人の男子が立ち上がる。

 あの、ロイとか呼ばれていたやつ。

 オレ達はそいつの突然の行動にあっけに取られながらもそいつの次の行動を見守る。


 「ロイ、どうしたの?」


 ソラがどうにかしてロイにたずねる。


 「どうしたもこうしたのあるか!貴様、名はなんと言う!!」


 そう言いながらオレにビシッと指を突きつける。


 「オレ、か?」


 「お前だ!!」


 「間隆介だが?」


 「貴様、この俺と『決闘』しろ!」


 「・・・はぁ?」


 オレの口からはものすごく間抜けな声が出ていただろうと思う。

 全員があっけに取られる中、レオのやつだけはもぐもぐとメシを食っていた。






~現在~

 「なぁ、マジで何でオレがこんなコトしなくちゃなんねぇんだよ?」


 「うるさい!あんな坂崎さんとうらやまし・・・不埒なことをして、俺が勝って代わりにそれを・・・お前に天誅を下してやる!」


 「本音が駄々漏れだな!?」


 良くも悪くも正直なやつだった。

 ・・・そういや、ソラから似たような話を聞いた気がするぞ?


 「つか、よくもこんなに人が集まったな」


 周りを見渡せば、そこには所狭しと席についている生徒達。

 だが、そのほとんどの声援がロイに向けられている。

 ・・・・・・オレ、そんなに悪いか?


 「そりゃそうだ。前の三谷がものすごかったからなそれを期待して見に来るヤツがたくさんいる。その上、お前は『闇』の属性らしいな?」


 「・・・あぁ」


 「おそらく、その属性を見ようとココにかなりの教師も来ている」


 「・・・オレはパンダじゃねぇんだけどな?」


 「そして、お前が坂崎さんにとられまいとSの女子を中心に俺への応援部隊ができている!」


 「余計なお世話だっ!」


 「黙れ、このツンデレが!」


 「誰がツンデレだ!」


 何故か頭の中でソラがリュウのことに決まってるじゃん(笑)と言うビジョンが明確に浮かんだ。

 そんなやり取りをしつつも事態はどんどん進んでいった。

 ロイは学校から借りたであろう剣を構える。


 「お前も構えろ!本気で行く!」


 面倒なことになったと思いつつ、オレは武器を呼び出す。


 「・・・『双牙』」


 すると、オレの左腰に二つの剣が出現する。


 「二刀流か、お前の年ではかっこつけもいいところだ」


 「だな。・・・けど、一つ言っとくぜ、オレは、あいつらの『リーダー』だぞ?」


 その言葉にロイの顔色が変わる。


 「ソラより強いかどうかはわからねぇ。だが、はっきり言ってオレはあいつに負ける気は全くない。ま、それは向こうも同じだろうけどな」


 「・・・要するに、三田に以上にがんばれって忠告か?」


 「あぁ、じゃないと、確実にお前は負ける」


 そう言いながらオレは鞘から一本だけ剣を抜く。


 「だが、お前に土俵を合わせてやる。オレが本気を出せばお前は絶対に勝てない」


 「・・・それは面白いことを聞いた。なら、お前に本気を出させたら、俺は三谷やお前と同じ土俵に立てるわけだ」


 挑発してみたがそれに乗らない。

 どうも、ヤツはそれなりに戦いなれているみたいだ。

 ・・・・・・ひょっとすると、使っちまうかもな、魔法剣を。

 オレは自然と口元に笑みを浮かべる。

 まぁ、周りから見りゃ獰猛だとしか思えないようなものだろうけどな。


 「こりゃ、少しは楽しめそうだ」


 「お前のメガネに叶って何よりだ」


 そして、オレ達はそろって攻撃を開始した。



作 「と言うわけで、『嫉妬』をお送りしました」

鈴 「ねぇねぇ、何でこんなことになってるの~?」

作 「神様が定めた運命だからだよ」

鈴 「むぅ!?そうなの!?・・・それならしょうがないね~」

作 「そう、だから、ここいらでリュウ君にはかっこいいことをしてもらおうと想ったんだよね」

鈴 「へぇ~」

作 「そして、ラストはあんな感じで・・・ぐっへっへ」

鈴 「作者さんがワルモノみたいだよ~?」

作 「そんなわけで次回!かませイヌに成り下がったロイはどうなる!?」

鈴 「そこは言っちゃうんだね・・・」

作 「次回もよろしく!」

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