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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
7章 ≪魔法学園文化祭編≫
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2話・PREPARATION PERIOD

―――side空志

 Dクラスの方々にアホの烙印を押されてから、ボクはとりあえず校内をみて回ってみることにした。

 ついでに他のみんなのクラスも気にはなっていたし。

 シュウと双子がCで、冬香がA。そしてリュウがぶっちぎりのSで、驚いたのが、ハル君もリュウと同じSだったと言うこと。

 ・・・確か、ハル君は十三歳だったはず。なのにSと言うランク付けの理由は、教師の皆さんも驚くほどの知識量だったらしい。

 ハル君自身、元々が病弱で本をよく読んでいたらしく、孤児院にあった本のほとんどが魔法理論系の専門書だったらしい。

 地味に、院長先生の正体が気になってくる。

 それに、魔法の方も問題はない。

 実技ではボクと同じ魔法展開系統から教師からは三谷ヤツの再来かと戦々恐々としているらしい。

 まぁ、こんなことを長々と考えていじけていてもしょうがないと頭を切り替える。

 周りを見ると、まだ一週間近くあるにもかかわらず準備に忙しそうな生徒であふれている。


 「何でこうもみんな忙しそうなの?」


 「・・・楽しみだから?」


 最早当たり前のようにボクについてきたリカが言う。

 でも、それだけなら学校がなんかしない?


 「でも、こういうのって危ない気がするよ」


 「危ない?何で?」


 「だって、ココは普段は魔法の使用禁止じゃん?」


 まぁ、ココに限らずほとんどのところはそうらしいけど。

 まず、校内の魔法私用は禁止されている。

 要するに、廊下でサッカーするなって言うのと同じだね。でも、こういう時って、だいたい魔法の使用が解禁されるような気がする。

 すると、レオがココの制服のローブのフードの中で暴れだす。

 いきなりどうしたのかと思っていると、前のほうから声が聞こえてくる。


 「お前、何すんだよ!?」


 「そっちこそ!」


 何が原因かはまったくわからない。

 でも、ボクの目がマナを捉えられるようになる。

 誰かが、魔法を近くで使ってる・・・!

 周りには大勢の人がいる。こんなところで魔法なんか使ったら!


 「ソラ!あそこ!」


 リカが指差す先、そこには詠唱をしようと口を開ける二人の生徒。

 ボクは魔法の構成を目で確認。

 状況を考えると、あれだ。


 「≪水鴎ミズカモメ≫!」


 水でできた二羽のカモメが相手の間に入る。

 それに二人の生徒はぎょっとすると、すぐに目の前の魔法を駆逐。

 でも、ワンテンポ遅い。


 「こんな所で魔法使おうとして、危ないじゃないですか」


 「・・・」


 ボクとリカが二人の生徒に銃と大鎌を突きつける。

 すると、やっと状況を理解したのか、複数の生徒が驚きの表情でボク等を見る。


 「何だ、その魔法・・・!?」


 「おい、アイツDだぞ?」


 「Dがあんな魔法を?」


 「ありえない」


 「いや、もしもありえるなら・・・」


 何故か周りががやがやとしている。

 いや、確かに今回は緊急事態っぽかったから魔法陣使って魔法使ったけど・・・。

 もしかして、ボクの悪評だけがココに残ってたりするの?


 「最強の、落ちこぼれ・・・?」


 「うるさいよ?この銃で風穴開けて欲しい?」


 「ソラ!?落ち着いて!?」


 気づけばリカに羽交い絞めにされ、二人の生徒からは土下座されていると言う状況になっていた。

 ・・・おかしい、ボクはただ銃を突きつけていただけのはず。


 「ゴメン、冷静さをなくしてたよ」


 「・・・元に戻ってよかった」


 安心した表情でリカがボクから離れる。

 そしてボクはこの二人に向く。


 「で、やっぱり文化祭の準備期間では魔法が解禁されるわけか。・・・だからって魔法を相手に向けていいわけが無いじゃないですか」


 「「・・・」」


 二人は返す言葉もないのか、うつむいてじっと話を聞いている。

 まぁ、頭に血が上っていただろうし、今はずいぶんとおとなしい。たぶん、自分がしたことを冷静に考えることができるようになったんだと思う。

 すると、また周りが少し騒がしくなる。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・何でだろう、嫌な予感がする。


 「んじゃ、そういうことで」


 と、言う訳で可及的速やかに撤退した。




―――side生徒会長

 私は校内を散策していると、何やら騒ぎが聞こえてきた。

 どうせ、どこかのバカが魔法を使って喧嘩でもしているんだろう。

 ・・・・・・面倒だ。そして眠い。

 すると、周りから声が聞こえてくる。


 「何だ、その魔法・・・!?」


 「おい、アイツDだぞ?」


 「Dがあんな魔法を?」


 「ありえない」


 「いや、もしもありえるなら・・・」


 おかしな魔法?

 しかも、Dの人間がか?

 ・・・・・・面白そうだ。

 私は今まで自分にかけていた≪隠密シエスタ≫の魔法を解除。

 私が独自に開発した魔法で、誰にも邪魔されず寝るにはものすごく都合がいい。


 「何があった?」


 「え?ついさっきそこで・・・・・・生徒会長!?」


 その言葉に静まりかけていたその場が再び騒然となる。

 ・・・だから、魔法は解除したくなかった。

 何故か私が姿を現すと全員驚く。

 それに、この感じは・・・。


 「逃げられたか?」


 私は周りを見ると、おそらくはこの騒ぎの関係者であろう生徒二人がこちらを見て驚いている。

 私はその二人の前に進むと尋ねてみる。


 「何があった?いや、大体は予想がつくが」


 そう言うと、二人の生徒はバツが悪そうな表情になり、逃げられないと悟ったのか、思いのほか素直に洗いざらい話してくれた。


 「・・・で、最強のおちこばれと言うのは?」


 「知らない、んですか?」


 「・・・夏休みの前に短期留学でココに来たやつで、『魔法陣』とか言う古臭さそうアナログな魔法を使って、変な魔法を使うヤツです。よく、白い髪の女子といるみたいで」


 「ふむ」


 そう言われて脳裏に浮かぶのは、あの光景。

 ・・・世界は、以外に狭いらしい。


 「そうか、わかった。もう、行っていいぞ」


 そういうと、二人の生徒はきょとんとした表情になる。


 「何だ?そんなにお咎め無しはイヤなのか?なんなら、私との『決闘』でもいいが?」


 そういうと、その言葉に反応して二人の生徒は猛ダッシュで逃げていった。

 今回の文化祭、とても面白いものになりそうだ。

 私はそう結論付け、再び魔法を起動。

 すると、突然姿を消した私に周りの生徒が驚くが、私はそれを無視して歩き出した。

 しかし、今回は久しぶりに疲れた。生徒会室で寝よう。




―――side空志

 ボク等はとりあえずDクラスの教室に戻ってきた。

 そこには教室の机をどけて演劇の練習をしている姿がある。

 監督をしているっぽいカザハのところへ行き、とりあえずボク等が手伝えることが無いか聞いてみる。


 「カザハ、ボク等に手伝えることは?」


 「あ?手伝えること、か・・・?」


 そう言うと、カザハは『う~ん』と考え込む。

 そして、顔を上げると・・・。


 「そういや俺達のクラス、まだミスコンに出るやつと、魔法闘技大会に出るヤツ、決まってなかったよな?」


 カザハが杏奈さんにそう聞く。

 すると、杏奈さんは少しだけ考える仕草をしてうなずく。


 「そう言われると・・・。じゃぁ、アンジェリカさんに出てもらう?」


 「え?そこはわたしでしょ!?この美人スナイパーさんが『アナタのハートを狙い撃ち♡』って感じで!」


 「よし、アンジェリカさんに出てもらおう」


 アスカさんが後で騒ぐのを完全に無視して言う。

 ボクがリカを見ると、どうもリカは乗り気ではないらしい。


 「・・・何するの?」


 「確か・・・」


 「はい、これ」


 カザハが説明しようとしたところを杏奈さんが横から何かプリントを出して封殺。

 カザハは口をパクパクさせて自分の言葉をどうしようか悩んでいる。

 そんなのは無視してプリントを見てみると、そこにはやっぱりミスコンについての内容が事細かに書かれていた。


1.女性であること、あるいは女装しても可。

2.各学年クラス一人出すこと。

3.買収行為を見つけた場合、または出場者に何らかの危害を加えた場合、そのクラスの出場者を即失格とする。


 そんな事がつらつらと書かれていた。

 そして、リカは下のほうを読んでいくとどんどん顔色を曇らせていく。


 「リカ、どうしたの?」


 「・・・うん、ちょっと・・・・・・」


 そう言うと、リカはチラッとプリントのある一点を見る。

 その先を目で追ってみると・・・。


 「・・・・・・おい、水着審査って何?」


 「そう、それで誰もやりたがらない」


 「でも、上の学年はそうでもないらしいよ?」


 慣れって言うのは恐ろしい。


 「いや、優勝すればできる限りの願いを叶えてくれるって言うのが大きいと思うぞ?」


 「できる限りの願い?」


 「あぁ。俺もよくは知らないけどな」


 「たぶん、アバウトすぎて初めての私達は誰も出ないんだと思うわ」


 「へ~」


 「でも、アタシ、ソラ以外に裸見られるのいや」


 「ちょっと落ち着こうか」


 いろいろと話がぶっ飛んだ。

 でも、何故か目の前の代表コンビは平然として対応した。


 「そうか、彼氏以外に見られるのはイヤか」


 「しょうがないわ」


 そして二人は『う~ん』と考え込む。

 そういえば、一人だけものすごくいい人材を知ってる気がするぞ?

 それを切り出そうとすると、レクトが何かを思い出したのか、ボク等の会話に入ってきた。


 「そういや、ミタニーは出ろって、さっき理事長の伝言をカルネル先生が伝えに来てたぞ?どうも、短期留学生チーム的な代表で」


 「いや、それっていろいろとおかしいよね?」


 機材の調子を見ていたレクトがさりげなく爆弾を投下した。

 何でボクの了解も取らずに話しが進んでいるの!?


 「いや、ミタニーの仲間が出たら、絶対に勝てないだろうからって」


 そういえば、ボク以外は全員上のクラスか。

 それで、一番下の馬鹿ボクが選ばれたと。


 「でも、ミタニーでも大抵の人間が負けちゃうからハンデをつけるって言ってた」


 「ボク出なくていいじゃん!?」


 いや、わかってる。サリナさんが何をしたいのか。

 このメンバーの中で一番能力がよくわかっているのがココに一時期通っていたボク。他のメンバーを使いたくてもどのくらいのハンデをつければいいのかわからない。それでそうなったんだろう。そして、最低クラスでもこんな実力があればそりゃすごいよね。かなりいい宣伝になる。

 でも、納得がいかない!


 「ちなみに、わざと負けたら秘密をバラすって」


 「脅迫以外の何者でもない!?」


 なんか前に来たときのツケを、今、全部精算してる気がする。

 しかも、ハンデをつけられた上にガチでやれとか鬼畜以外の何者でもない。


 「ま、こっちは出たい人が出るからなー。噂じゃ、ミタニーの仲間の年下君も出るらしいぞ」


 「・・・」


 どうしよう、ハル君に勝てる気がしない。

 いや、別にいいっちゃいいんだけど・・・。

 ハル君が勝った後の冬香のことを考ええるといろいろとメンドそうだ。


 「まぁ、がんばれー」


 そう言うと、レクトは再び機材の調整に戻った。

 ボクはもうなるようにしかならないと判断して諦めることにした。


 「でも、ここの劇をどうとか言ってなかった?」


 「・・・やっぱ、アンジェリカがこっちの方がいいんだけどな。なんかお姫様っぽいって言うかさ」


 「そう、問題は三谷君を殺しかけるかもしれないってコト」


 さすがにそれはイヤだ。

 と言うか、ボクが王子様役それなのは決まっているんだね。

 リカは二人に必死に今度は大丈夫とか頼み込んでいる。

 ・・・そんなにお姫様の役がやりたいのかな?

 すると、現お姫様のリオネさんの声が聞こえた。


 「レクト!この衣装が着れませんわ!」


 「ん?オレッチに着付けをしろってことかー?」


 そう言うと、レクトは声のするほうへと向かっていく。


 「な!?バッ!?変態!」


 「ぐほぉ!?」


 ・・・・・・まぁ、どうなったかって言うのは野暮だね。


 「でもさ、何でボク等に主役をさせようとするの?」


 「だって、せっかく来たのに何もしないじゃ面白くないだろう?」


 「そうそう、それに、みんな三谷君達のお世話になってるし・・・それに、王子様とお姫様は一番セリフが少ない」


 「それに、この劇の目玉は決闘の部分。この部分は実際に魔法を使って戦って演技してもらう」


 なるほど、それなら見ているほうも楽しそうだし、何よりボク等なら十二分以上に役割をこなせるってわけだ。


 「ただ、お前についていけるのがほとんどいないっていうな・・・」


 「じゃ、そこはボクがリュウに頼んでみる。あいつなら何とかなると思う」


 まぁ、一番長くいるし、行動パターンは両方共に知りすぎているから大きな怪我をしない程度には加減しながらできると思う。


 「そうか?じゃ、頼むわ」


 そう言うと、カザハは周りにいくつかの指示を出して、ボク等に台本を渡してくれた。


 「じゃ、別にセリフは大体でいいからな。できれば明日までに覚えろ」


 「明日までか・・・」


 結構無茶だけど、確かにそれぐらいしないと間に合わなさそうだ。

 リカは既に台本を開けて食い入るように読んでいる。


 「結局、三谷君は断らなかったね」


 「まぁ、その、なんて言うの?」


 頼まれると、断れなくなるタイプなんだよね、ボクは。



作 「と言うわけで、『準備期間』をお送りしました」

リ 「・・・納得がいかない」

作 「・・・突然どうした?」

リ 「だって、文化祭って、もっとキャッキャウフフな彼氏イベント的な・・・」

作 「そんな面白くないこと、僕がするとでも?」

リ 「・・・」

作 「と言うわけで、いつもの如く残念な女の子リカちゃんはこの文化祭でどうなる!?」

リ 「・・・うん。とりあえず、一番の敵は作者だった」

作 「そんなわけで次回!・・・どうしてこうなった!!以上です」

リ 「・・・意味がわかんないよ」

作 「次回もよろしく!」


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