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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
7章 ≪魔法学園文化祭編≫
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1話・THREATENING LETTER

―――sideリカ

 アタシの目の前には、ソラがいる。

 そして、今のこの状況、なんとソラに抱きしめられている。


 「姫、私は貴女を愛している・・・!」


 あぁ、夢みたい。

 ソラが、告白してくれる・・・。

 思わず、ぎゅっとソラを強く抱きしめる。


 「・・・」


 「・・・あの・・・リカ、さん・・・?」


 「・・・」


 もう、幸せすぎて周りの音が耳に入ってこない。

 もう少しだけ、この幸せを噛み締めさせて・・・。

 何故か、周りが騒がしくなっている気がする。

 どうしたんだろう、せっかく良いところなのに・・・。


 「リカちゃ~ん!?ソラ君が~!?」


 「死ぬ!死ぬぞ、そいつ!!」


 死ぬ?

 ・・・・・・誰が?

 そしてその時、誰かによって私の腕が解かれ、ソラと引き離される。

 そして、アタシは現実に戻ってきた。

 今、アタシ達はエレオノール魔法学園にいる。

 そこで、何故かアタシ達はDクラスの出し物の劇の練習をしていて・・・。


 「・・・ハッ!?ソラは!?」


 「リカさんのベアハグで気絶しちゃってますよ!?」


 「いやぁぁぁぁああああああ!?」


 エレオノール学園にアタシの悲鳴が響き渡った。




―――side空志

 「・・・いや、幸せに死ぬって、あんな感じ?」


 「・・・いや、俺に言われても」


 リュウは曖昧な笑みでボクのジョークに適当な返事を返してくれた。と言うか、レオはいつもみたいにボクの傍で気持ちよさそうに寝ているのがなんかむかつく。

 今、ボク等はエレオノール学園に来ている。

 まぁ、久しぶりに戻ってきてDとかの仲がそれなりに良い人たちにもみくちゃにされたのは割愛しておく。

 で、ボクとリカ、スズ、四条さんはDに顔を出すと、何故かいきなり拉致された。

 そして、気付けば騎士物語系の劇の練習につき合わされていた。

 どうも、リカかスズを出演させて客を集めたかったらしい。

 ・・・まぁ、確かに綺麗だし、わからないでもない。

 で、リカはボクが相手の王子様をやらないということが既に予想済みだったのかボクの配役が恥ずかしい役回りになってしまった。

 少なくともボクのキャラじゃない。

 そんなの、リュウかシュウにでもさせておけばいいと思った。


 「で、早くここの理事長室に行きたいんだけどな?」


 「ゴメンゴメン」


 ボクは保健室のベッドから降りると、リュウの前に立って理事長室に連れて行く。

 今回は、短期留学が目的じゃない。

 むしろ、もっと面倒かもしれない。






 ~数日前~

 「脅迫状?」


 「うむ」


 今日の魔法訓練はそんな龍造さんの物騒な単語からスタートした。

 ・・・でも、なんて命知らずだ。


 「・・・魔王に脅迫状を送るとか、何者よ?」


 「おぉ、わしじゃないぞ?」


 「・・・じゃ、誰?」


 「この学校に普通のか?」


 「それも違う」


 「それが、エレオノール学園の方に脅迫状が届いたらしいの」


 エレオノール学園。

 どういうわけか、龍造さんのことを知るサリナさんが経営する完全実力主義な魔法を教えるための学校。

 でも、それならなおさらボク等に関係が無い・・・こともなさそうだけど・・・?


 「それで、サリナからお主等に警備を頼みたいと言うのがきた」


 「要するに、学生に混じって、脅迫犯を捕まえろと?」


 「ですが、何故私たちなんでしょうか?」


 「アタシ達じゃなくて、もっとちゃんとした所に頼めばいいのに・・・」


 「うむ、そうなんじゃがな・・・」


 龍造さんは、どこか言いにくそうに口をにごらせる。

 ・・・どうしたんだろう?


 「実はの、サリナにこの話を受けんとわしのことをバラすとかぬかしおっての」


 魔王をストレートで脅す人がかなり身近にいたことが判明した。






 ~現在~

 「ちわ~」


 「入るぞ」


 「みゃ」


 ボク等は理事長相手にも関わらずとてつもなく軽い挨拶で入っていく。

 そこにはいつものようにサリナさんと、カルネル先生がいた。

 カルネル先生はデフォルトの苦虫を潰したような表情でボク等に不愉快そうな表情を向け、サリナさんは何が楽しいのかニコニコと笑っている。


 「久しぶりね、三谷君。それとはじめまして、龍造君のお孫さん」


 「あぁ、俺は間隆介だ。他にも後、数人いるが紹介は省かさせてもらう。で、噂の脅迫状とやらは?」


 「ズバズバくるねぇ」


 そう言うと、サリナさんはカルネル先生に指示を出す。カルネル先生がその指示に従って一枚の紙を取り出す。

 既に封が開けられているまっさらな無地の便箋、そこから二つ折りにされた紙をボク等に見せる。そこには、簡単に一言書かれていただけだった。


 「10月23日、学園を爆破する・・・?」


 「そうそう、しかも、それが今回の文化祭の最終日に見事被ってるわけよ」


 今日は10月16日。ちょうど文化祭の一週間前だ。

 どうも、エレオノール魔法学園では二十日から三日間かけて大々的に文化祭をするみたいだ。

 そこで、一般客も招いて自分の学校がいかにすごいかというのを宣伝するみたいだ。

 でも、これ・・・・・・・・・・・・・・・。


 「・・・サリナさん、言っちゃなんですけど・・・これって、悪戯じゃ?」


 うん、普通にそうとしか思えない。

 それに爆破されるにしても、ボク等に何をしろと?


 「リュウ、爆発物の処理ってできる?」


 「え?お前、できねぇの?」


 どっちもダメなヤツだった。


 「でも、何でこんな手紙を真に受けるんですか?」


 「だって、イヤじゃない」


 「「・・・」」


 カルネル先生を見ると、そこにはいつものような仏頂面を保っている。

 て言うか、いつもより顔が苦い?


 「ま、そういうわけで今回のキミ等のお仕事は、爆発物の発見とその処理。あるいは犯人を直接捕まえるでもいいよ」


 「何でお手軽にその二択になるんですか?」


 言ってる内容は酷く難しい。

 爆弾なんてどう見つけろ?


 「だって、魔法が使われていればキミの目が見つけてくれるでしょ?それに、使われていなくても四条さんの精霊に頼めばいい」


 その言葉にボク等は思わず反応した。


 「・・・何で、四条の精霊魔法を知っている」


 そう、四条さんはこの魔法学園に入学する際、どうも自分が精霊魔法を使えることを隠していたみたいだった。


 「え?龍造君に聞いただけだけど?」


 「「・・・」」


 あの魔王ジジイ、何やってんだ?

 とボクとリュウの考えがシンクロしたのは間違いない。


 「でも、すごいよね~。精霊魔法とか滅多に使える人がいないのに」


 まぁ、この人は精霊魔法そういうことに頓着はしないらしい。

 まぁ、魔王を脅すぐらいだし・・・。


 「ま、そんなわけで・・・カル、あれ」


 「・・・自分で持ってきてください」


 そう言いつつもカルネル先生は理事長室の隅にある大きな段ボール箱から何かを取り出す。

 どうも、ビニールで包まれている・・・。


 「キミ等の仕事着」


 「・・・ただの制服、だよな?」


 そう、ココの制服。


 「だって、そうでしょ?学生にまぎれて調べてもらうんだから」


 「まぁ、そうですけど・・・」


 「それに、今、ちょうど準備期間中だから、いろいろな業者が入ってくるの。その中に爆弾がまぎれていないかも調べてね」


 「・・・おい、オレ達はんなこと聞いてねぇぞ?」


 「だって、今言ったんですもの」


 そういうと、ものすごく嬉しそうに言う。

 なるほど、大体わかった。


 「サリナさん、アンタ、ボク等を自分の学校のイメージアップに使おうとしてますね?」


 「え~?ナンノコトカナ~?」


 サリナさんをボクは睨みつけるようにして言う。

 そして、サリナさんは負けじと真正面から返す。

 そうやってしばらくじっとしている。けど、折れたのはボクだった。


 「じゃ、がんばってね~」


 そんな軽い声を背中に受けて、ボク等は理事長室を後にした。






 「へ~。そんな事があったんだね~」


 「だから、龍造さんがアタシ達に公欠を出したんだね」


 「うん、その時点でおかしいことに気づくべきだった」


 まさか、今日からの公欠とか思わないでしょ?

 てっきり、ココの文化祭の初日だけだと思っていた。


 「で、でも、皆さんは、どちらに?」


 「みんなは、例の部屋で魔力測定。・・・絶対にリュウとかメーターが振り切れる」


 そんなことを言ってると、どこからか女の人の『もういや~!?』と言う悲鳴が聞こえてきた気がする。

 まぁドンマイ、事務担当の椿さん。


 「と言うか、理事長先生に利用されたのか?」


 そう言ってくるのは深緑色の髪のDクラスの代表、カザハ。


 「まぁね~。だから、これからまたココに厄介になるよ」


 「つか、ミタニーの仲間って、どうせすっごいヤツばっかなんだろ?」


 「あの時の方々ですわよね?」


 見るからにお嬢様とその従者的な二人、リオネさんとレクトが会話に参加。

 いつものように二人で行動してるみたいだ。


 「まぁね。三人ぐらい増えてるけど」


 「それって、この学校、大丈夫カナ~」


 「どんな人でも受け入れる」


 けらけら笑いながやってきたのがアスカさん、いろいろと危なそうな発言をしているのが副代表の杏奈さん。

 ココで仲良くしていた人達に一通り出会う。

 あと一人いないけど、ボクでは見つける自身が無い。

 向こうから現れてくるのを待たないと。

 すると、何故か先生が入ってくる。

 ちなみに今日は日曜。先生は来ない。じゃぁ、何故カザハ達がいるのかと言うと、学園祭の準備らしい。

 ・・・そんな、一週間前から泊り込まなくてもと思わなくもない。


 「ちょっとお前等、話を聞け」


 「せんせー。今日は授業ありませんよー?」


 「先生、残業はしない主義だ。今回はこんな時期だが短期留学生が来た」


 どうも、ボク等の扱いはまたも短期留学らしい。

 まぁ、おおっぴらに爆弾探してるなんて言えないだろうし。

 ちなみにカザハ達にはバラした。

 でも、もしもマジにあってもボク等がいるから大丈夫だろうと言ってる。

 いや、そんなことよりも誰が来たのかな?

 そう思いながら見ていると・・・。


 「と、言う訳で見かけないやつを見たら親切にしてやれよ」


 そういうと、先生はさっさと教室から出て行ってしまった。

 ・・・・・・つまり、コレが意味することは。


 「どうも、お前が一番アホらしいな」


 「みゃ」


 どうも、そういうことらしかった。

 でも、レオにまで言われるってどう?



作 「と言うわけで、『脅迫状』をお送りしました」

空 「また、面倒なことを・・・」

作 「今回は題して、文化祭編!いろいろな人が登場し直します」

空 「登場し直し?」

作 「まぁ、それは今後のお楽しみってコトで!」

空 「果てしなく嫌な予感しかしない」

作 「既に不幸に見舞われた人がいるからね」

空 「・・・」

作 「そんなわけで次回!まぁ、文化祭の準備をしようZE!て感じです」

空 「じゃぁ、次回もよろしくお願いします」

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