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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
6章 ≪季節はずれの幽霊編≫
135/170

番外編2・十二星座と楽しいクエスト?

―――sideティーナ

 「何で、こんなところに?」


 「・・・いや、その・・・ちょっと、手伝いに?」


 「こんな、森の中でか?」


 「まぁ」


 ソラ君はものすごく曖昧な笑みを浮かべると、手伝いに来たと説明する。

 ・・・でも、納得がいかないことがあります。


 「何で、私達を攻撃したのよ」


 「いや、ココはあの時の借りを返したり、ココまで強くなりました!ってやるべきかなと・・・」


 「・・・いや、いい迷惑だったよ」


 「それに、あの地図が既にいろいろとアウトでした」


 「地図が?」


 「・・・ちょっと待ってください」


 そういうと、ソラ君は私達が進んでいた方向に向かうと、息を大きく吸い込み・・・。

 いきなり犬の遠吠えを実行。

 若干、ソラ君の頭は大丈夫なのかと心配になってきたころ、がさがさと近くの茂みが揺れます。

 狼でも近寄ってきたのかと攻撃態勢に入りますが、ソラ君にやめるように言われます。

 そして、茂みから出てきたのは、一匹のコボルト。


 「魔物!?」


 「何で・・・!?」


 「・・・ダメ」


 すると、今までソラ君の影に隠れていたリカさんが大鎌で私達を牽制します。


 「何でよ!?魔物よ!?」


 「・・・アレは大丈夫」


 「だから、何で!?」


 「******」


 「・・・なぁ、ティーナ、あれ、何してるの?」


 さ、さぁ?あの、ソラ君はさっきからなんで犬の物まねをしてるんでしょうか?

 しかも、コボルトに向かって。そして、ありえないことが。

 コボルトがこくりと頷くと、トテトテと私達の前を歩いていきます。


 「じゃ、あの子についていってください。それと・・・」


 まるで、何もなかったかのように言うソラ君。

 正直、頭がついていけません。


 「もし、コボルトに攻撃してみてください。後々、大変なことになります」


 そういうと、ソラ君は何の迷いもなくコボルトについていき、リカさんもそれに続きます。

 私達は狐につままれたような気分でしたが、おとなしくソラ君について行く事に。

 すると、しばらくして開けたところに出ます。

 コボルトは地面をとんとんと叩くと、そこが開き、大きな穴ができました。

 穴を見てみると、そこには丁寧に梯子までついてます。

 コボルトは梯子を無視して飛び降りていきました。


 「じゃ、ここの下に下りてください」


 そういうと、ソラ君も梯子があるにも関わらず飛び込み、更にはリカさんもでもが。

 私達はどうしたものかと顔を見合わせますが、意を決して下に行く事にしました。


 「じゃ、俺達は梯子で行こう」


 私達は順番に梯子を使って降りていきます。

 そして、下に向かうに連れてどんどん明るくなっていき、一番下につく頃には昼間と変わらないような光が中を照らしていました。

 しかも、更に驚くことが。コボルト達が・・・。


 「・・・掃除、してる?」


 そう、お掃除をしていました。

 それも、せっせと。

 ばうばう言いながらいろいろな所を隅々まで掃除していました。

 何故か掃除機やハタキ、更に雑巾まで使っての本格的なものです。

 ・・・夢でも、見ているのでしょうか?


 「すみません!こっちです!こっち!」


 声に反応してそちらのほうを向くと、そこにはソラ君とリカさんが。

 私達は混乱した頭でソラ君たちについて行くと、そこは普通に台所。

 今、気付いたんですが、ココ、地下にあるにもかかわらず、私達が普通に暮らしているような設備です。

 呆然とした表情で見ていたからか、ソラ君が決まり悪そうに言います。


 「すみません。なんか、掃除中で応接間みたいなところが使えないらしいんですよ」


 違います。

 聞きたいこと、そこじゃありません。

 しかもあるんですか、応接間?

 本格的に頭がおかしくなったのかと思っていると、そこへすっと湯飲み茶碗にお茶を淹れて誰かが渡してくれました。


 「あ、どう、も・・・・・・」


 反射的にお礼を言うと、その先にはつぶらな瞳に、エプロンを装備したコボルトが。

 ・・・・・・犬種は、柴犬ですか。

 コボルトママ(命名)は口を開けて何かを言う。


 「******」


 でも、私達には犬がほえているようにしか聞こえない。


 「******」


 そこで、ソラ君は何かを言う。


 「粗茶ですが、だって」


 「・・・あの、まさかとは思いますけど」


 「あぁ、わかりますよ。コボルト語的なもの」


 「「「・・・」」」


 最早、何も言うことが見つかりません。


 「お前、何者だよ!?つか、古代魔法文字エンシェント・スペルを解除しろ!!」


 「うぉ!?あ、ゴメン、すっかり忘れてた!」


 そういうと、ソラ君はさっと指を振って、ステラに巻き付いた文字を分解した。


 「で、ボクが何者って言われてもね・・・。ボクは三谷空志。元極普通の高校生で、現『月』の属性を持つ魔法使いだよ」


 「んな事聞いてない!?・・・って、お前が『月』の持ち主!?マジで!?」


 「あ~・・・うん。一応」


 ソラ君は私の肩に乗っている小人が気になるのか、私に視線を送る。

 ・・・あの、私の方が知りたい事がたくさんあるんですけど?


 「あの、この子は、私の契約精霊でステラです。あの、驚かないでくださいよ?この子、『星』を司る神霊なんですけど」


 「・・・へ~」


 ・・・・・・。

 あの、それだけですか?

 もっと、こう、『はぁ!?』みたいな感じになるんじゃ?


 「要するに、ルーミアの知り合い?」


 「おまっ!?何であのアバズレのことを!?」


 「・・・いや、普通に会ってるし」


 「そうか、だから変な魔法を・・・!でも、契約してんのか?」


 「いや、してないけど?それに、一応言っておくと、ルーミアさんに教えてもらったのは、マナの操作コントロールぐらいだよ?」


 「・・・コレだから、『月』はイヤなんだ」


 そういうと、何故か泣き崩れるステラ。

 ・・・何で?


 「でも、おかしくないですか?私達、三魔源素スリーシンボルはそれぞれの属性を司る神霊に自分の力の使い方を教えてもらうんですよね?」


 「・・・なにそれ、初耳なんですけど?」


 「・・・アタシも知らない」


 「ちょっとゴメン」


 そういうと、ソラ君はケータイを取り出し、どこかに連絡する。

 何かを話していると、突然、私の目に魔法の反応が出る。

 何かが、ココに来る・・・!


 「ほれ、来たぞ」


 「おま!?」


 「ん?・・・誰かと思えば、がきんちょか」


 「誰ががきんちょだ!?年増!!」


 「わかったわかった」


 「なんかそういうのむかつく!!」


 「す、ステラ!初対面の人にそんなこと言っちゃダメ!」


 「誰が初対面だ!コレが年増、『月』を司る神霊のルーミアだ!」


 ・・・はい?


 「でも、この神霊、魔法使ってなかった?」


 そう、ですよね?

 よく、神霊は魔法を単独で使えるという話がある。

 でも、アレは間違いのようです。

 神霊も精霊と同じ。そのため、人と契約し、精霊魔法としてしか行使できないとステラが言ってました。


 「それが、コイツはできるんだよ!」


 「わらわ、すごいからのぅ」


 どうも、すごいらしい。


 「何で、教えてくれなかったんですか!」


 「わらわの教育方針は自習でのぅ」


 「・・・それって、ただの放任主義」


 「って、結局、君は何者かな?」


 やっと正気に戻ったアルさんが話を元に戻してくれました。


 「確かに、神霊は知ってる。何故か魔物の言葉も話せる」


 「しかも、私の剣を斬ったわよね!?」


 「とりあえず、話が長くなるので・・・お茶でも」


 そういうと、ソラ君は説明し始めました。

 この四月、何の因果か『災禍の焔』のラズさんのおかげで魔物の町に飛ばされ、自分の力を知り、いろいろな事件に巻き込まれ・・・。

 明らかに、苦労している人生を送っています。


 「・・・お前が、『結界の魔王』の知り合い?」


 「と言うか、師匠に近いです」


 「・・・息子とは友達」


 「・・・あの、さ・・・。リカ、もっと堂々と話そうか。自分が吸血鬼ヴァンパイアだって言ったのはえらいけどさ」


 確かに、現在進行形でソラ君の陰に隠れているリカさんが吸血鬼ヴァンパイアだとはにわかには信じがたいです。

 でも、あの人間離れした力。そうでもなければ納得しません。


 「でも、何でこんなところにいる?『結界の魔王』は迷いの森にいるって噂だぞ?」


 「それに、何で人間を片っ端から狩っている?」


 リオンさんが目に剣呑な光を宿し、返答によっては・・・。と言う目をしています。


 「狩るって・・・。さっきの地図、ここがその中心です」


 「・・・それに、アタシ達は気絶させて、あるいは逃げていかせたりしてしていただけ」


 「そうそう。そういう風にお願いしたし、この子達は殺さないよ」


 すると、今度はどこからともなく一人の男の人が現れました。

 ・・・・・・軽い人にしか見えませんが、本当はどうなんでしょうか?


 「・・・アンタは、誰だ?」


 「『閃光の魔王』、かな」


 さらりと、ものすごいことを言われた気がする。

 ・・・もう一度目の前の男の人を見る。


 「今、アンタ、何て?」


 「『閃光の魔王』、かな」


 いえ、もう一度って意味じゃ・・・。


 「本当にですか~?」


 「本当にだよ~」


 ・・・嘘だ。

 こんな、軽くて、町でのナンパを生きがいにしてそうな人が、新進気鋭で『結界の魔王』と仲がいいと噂の『閃光の魔王』なわけが無い。


 「まぁ、そういうわけでボクは龍造さん、つまりは『結界の魔王』経由でこの、ちゃらんぽらんなライネルさんという『閃光の魔王』の依頼を受けたんだ」


 どうも、このちゃらんぽらんな人が『閃光の魔王』みたいです。


 「だが、ココは『神速の魔王』の領地じゃ?」


 「あ、それは僕の父さんです」


 「ライネルさんの?・・・あの、放浪癖のある、龍造さんの古い友人のヴァネルさん、でしたっけ?」


 「そうそう。よく覚えてるね」


 目の前で、人間と魔王が繰り広げるフレンドリーな日常会話についていけない。

 いつの間にか、リカさんはコボルトの子供たちっぽいものに引っ張られてどこかに行ってる。たまに、にゃ~と猫の断末魔の叫びが聞こえる気がします。


 「で、今回この子達に頼んだ内容だけど・・・」


 ついに、本題です。

 ココまで、長かったです。いろいろと常識を破壊されて既にK.Oノックアウト寸前です。

 一体、どんな壮大な理由があるのでしょうか?






 「僕はこの子達に引越しの手伝いを頼んだんだ」


 「「「・・・」」」






 今、ものすごく日常的な単語が聞こえた気がします。

 そんな、日常的な理由で、呼び出したんですか?


 「で、でも、何で、それがこちらへの攻撃につながるんですか?」


 「だって、僕達魔物だよ?見つかれば、すぐに攻撃されて終了。で、引越しの準備の間、あの二人にここら辺にいろいろな噂を流して、近づかないようにしてもらったんだ」


 「で、近寄ってくるような物好きには鉄拳制裁をしてました」


 「・・・まさか、魔物が活発になった理由って」


 「引越しの準備ですから。慌しくなるのはしょうがないです。ちなみに、行き先はライネルさんの統治する『霧の谷』です」


 「でも、近くの畑から作物が・・・」


 「あ、アレは子供のコボルト達の悪戯ですね。その後、ボクgその家の作物のところに盗った作物とお金を少しだけ一緒においておきました」


 「だが、最近行商が・・・」


 「あ、ここらへんに山賊が出てたんだ。それは僕が適当に潰しておいた」


 こともなげにそう言う。

 ・・・なんて言うか、思っていた魔王のイメージと全然違う。


 「・・・魔王さんて、実はいい人たちなんですね~♪」


 「ところが、そうはいかないんだな、コレが」


 「ライネルさん、龍造さんは魔王達の派閥で、ハト派にあたる平和派ピース。でも、逆にタカ派にあたる強襲派アサルトなんて言うのがあります」


 「そうそう、君達が戦った闘技場近くの魔王もそうだよ」


 「・・・舞さん、ですか」


 「そうそう、でも、アレは面白かったね。龍造さんと一緒にまったく関係のないシャニアさんと優子さんに瞬殺されてたね」


 何が面白いのか、思い出し笑いをしています。


 「・・・実は、皆さん龍造さんと舞さんに会ったこと、というか見たことあるんですよね」


 「・・・嘘だよね?」


 「いや、覚えていないかもしれませんけど、ボク等のチームが当たったんですけど・・・。その時、真っ黒いヤツがケータイで誰か呼んだ試合がありませんでしたか?」


 ・・・なるほど、あの試合ですね。

 アレは、忘れるなと言う方が無理なくらいに悲惨な試合でした。

 おそらく、あの呼ばれていた人達が・・・。


 「あの、呼ばれていた人にボコボコにされていた方が、龍造さんと舞さんなんですよ・・・」


 「「「・・・」」」


 誰か、常識を返してください。

 あんな、魔王がいたら、世界が平和すぎます。というか、魔物相手に必死に生きている私達がバカみたいに思えます。


 「まぁ要するに、人間に良い人と悪い人がいるように、魔物にも良い魔物と悪い魔物もいるってコト。たぶん、今回はコボルト達の討伐依頼に来たんだよね?」


 相手はニコニコと笑っています。

 ただ、私達にはどうしてもそれが恐怖としてしか捉えられません。


 「ココに、コレだけのお金がある」


 そういうと、『閃光の魔王』・ライネルさんは小袋を取り出すと、私達の目の前に置きます。すると、その袋の口から少しだけ何かがコロコロと転がってきます。

 それは、綺麗な装飾の施された装飾品の類。


 「僕の領地、『霧の谷』ではこういう細工が得意でね。コレを売れば相当なお金になるはずだ。それに、魔法具としての性能も一級品。コレをあげるから、ここのコボルト達には何もしないでね」


 ニコリ。そんな音が聞こえそうなほどの笑み。

 けど、放たれているのはものすごいプレッシャーだ。

 もしココでノーといえば、どうなるかは簡単に想像できる。

 でも、出されているのは破格の条件だと思う。相手は、その気になれば脅して、こっちに何の得もない申し出を受けさせることもできる。

 従えば、依頼料よりも高いお金、あるいは装備。断れば・・・・・・絶対的な『死』。

 何で、ソラ君が攻撃しないように言ったのか、今わかった。

 ココには、本物の魔王・・・・・がいたからだ。

 リオンさんは冷や汗を流しながらもこくりと頷く。


 「そう、よかった」


 そういうと、今までライネルさんから放たれていたプレッシャーが嘘のようになくなる。

 そこで、ようやく自分が息を止めていたのがわかり、必死に酸素を取り入れる。


 「じゃ、もうすぐコボルト達の引越しの準備が終わるから。それまでゆっくりしてて良いよ」


 そういうと、ライネルさんは僕も何か手伝うよとコボルトママに良いながら楽しそうに手伝いを始めた。


 「・・・えと、大丈夫、ですか?」


 「・・・何とか、な」


 「あれが、魔王・・・」


 「・・・・・・それが、あの試合で」


 「「「・・・」」」


 ものすごく、微妙な空気になってしまいました。


 「まぁ、ライネルさんもやりたくてやってるわけじゃないですよ?ただ・・・どんなにあがいても、ライネルさん達は魔物、ですから」


 ソラ君は、自分のことのように悲しそうな顔で言います。

 ・・・ものすごく、不思議な子だとは思いましたが・・・。


 「・・・小僧は、何故魔物に味方する」


 「別に、味方とかじゃないですよ。それこそ、ライネルさんの言うとおり、魔物にだって『良い魔物』に『悪い魔物』だっています。・・・でも、ボクは、知ってますから」


 「知ってる?」


 「龍造さん、ライネルさん、舞さん・・・そして、遥か昔に存在した勇者・橘薫は、魔物と人が共存できるような世界を望んでいるんです」


 「橘、薫、だと!?」


 「・・・あれ?知ってるんですか?」


 「知ってるって、有名すぎるじゃない!」


 橘薫。通称は『勇壮なる勇者』。

 勇者の中の勇者と言われる勇者。女性でありながらも、どんな困難にも一人で立ち向かい、自らが生み出した魔法で敵を薙ぎ払った、最強の一人に数えられる勇者。


 「・・・・・・龍造さん、そんな人と・・・」


 何故か頭を抱え込むソラ君。


 「・・・どうか、したか?」


 「いえ、こっちの話です。・・・なんか、ボクがコレを話すと歴史が壮大にひっくり返るので、やめておきます」


 「そうなるかのぅ。まさか、『結界の魔王』とその『カッコイイ女勇者』が結ばれておるなどとなぁ・・・」


 「アンタ、いきなり出てきて何を言い出すの!?カミングアウトしちゃったよ!?」


 「・・・あの、もう驚き疲れました」


 こんなところで、歴史の裏側を垣間見るとは思いませんでした。

 本当に疲れてしまいました。


 「・・・あの、それと、貴女の武器、壊しちゃってすみません」


 「・・・そういえば、そんなこともあったわね」


 既にルピアさんは手遅れです。

 もう、社会復帰できるのかどうか・・・。


 「お詫びと言っちゃなんですけど、ボクの自称・師匠を名乗るドワーフの試作品を渡しますので」


 そういうと、ソラ君は一枚の魔術符カードを取り出します。

 それを起動させると、その魔術符カードに描いてある円の中心に手を入れます。

 最近になって出てきた、カバンの魔術符カード。そこに多くの武器をしまってあるみたいです。


 「・・・ふん!」


 軽い気合を入れる音と共に金属音を響かせながらいろいろな武器が雪崩のように出てきます。

 ・・・と言うか、全部の武器の名前を言えるのか、自身が無いです。


 「・・・おい、コレなんだ?」


 「・・・あぁ、それはFK。某魔王対策にと悪ふざけで考えたものです」


 あの、どう見ても機関バルカン砲なんですけど?


 「あの、FKってどういう意味ですか?」


 「バカ殺しフール・キラーです」


 ・・・こんな、ふざけているとしか思えない人にルピアさんが気に入るような武器があるわけ・・・。


 「・・・お、おい、まさか、コレって、ぜ、全部、ドワーフの秘術が?」


 「らしいです。そうじゃなければ、ボクのナイフであんな大剣は斬れません」


 ・・・まさかの、全部、魔導宝具アーティファクト候補!?

 ルピアさんの目に生気が戻り、狂ったように武器を物色し始めます。

 よかったの、でしょうか?

 それから、私達の精神衛生上、問題のない話をして、何故かコボルトさん達の引越しを手伝って宿に戻ると、そこにはみんながいました。


 「・・・一応聞くが、どうだった?」


 リオンさんが酷く疲れた声でそう言いました。


 「すみません、見つかりませんでした」


 「・・・そうか、よかった」


 「え?よかっ、た?」


 はい、本当によかったです。

 下手をすれば、この中の一人が帰らぬ人になっていてもおかしくありませんでした。


 「あの、リーダー、酷く疲れていますけど・・・そんなに、強かったんですか?」


 「・・・あぁ。俺達が負けた」


 「負けたって・・・」


 「おいおい、じゃぁ、どうすんだよ!?」


 「問題ないわよ。別に、放っておいてもよかった類だから」


 「・・・何で、ルピアだけ元気なんだ?」


 「・・・と言うか、その武器、どうしたの?」


 「あの依頼は結果的に達成された。けど、報酬は貰わないぞ」


 リオンさんがそういうと、皆さんは呆気にとられた表情をしてから、猛反発。

 それにリオンさんはライネルさんから貰った小袋をドンと置いて、みんなに見せます。

 それを見ただけで、皆さんの猛反発もなくなりました。


 「・・・あの、コレ、どうしたの?」


 「・・・魔王・・・むしろ、悪魔と契約して貰った」


 「・・・はい?」


 「ゴメンね・・・。今日は、わたし達疲れちゃった~・・・」


 「だから、説明は明日にさせてください」


 「私からも、お願いします」


 「・・・」


 もはや、ペンダントに篭ったステラは何も言わない。

 そういうと、『死神』と『悪魔』の討伐チームは早々に寝床に着いた。

 翌朝、みんなにこのことを説明して私達に病院へ行くように言われたのは当然の流れでした。



と言うわけで、ごく普通の人から見れば予想のはるか斜め上を行くオチでした。

ただ、ボケたかっただけです。


では、今後も作者夜猫の小説を読んでいただければ幸いです。

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