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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
6章 ≪季節はずれの幽霊編≫
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14話・LIVING DEAD

―――side空志

 「ジジイ!」


 「来たか、話は田中君とミストから聞いておるな?」


 「あぁ」


 理事長室に入ると、そこには龍造さんと宇佐野さんがいた。


 「・・・報告します。・・・現在、どうもこの学園を囲むようにして魔法陣が展開されようとしている模様」


 「正確には呪術陣じゃ。わしも意識的に呪力を感じ取って地図に書き取ってみたがの・・・」


 そういうと、龍造さんは机の上にこの学園周辺の地図を広げる。

 ところどころに赤丸で印がつけてあるところがそうなんだろう。まるで、学園を取り囲むかのようにして展開されている。


 「おい!これじゃぁ、ココを魔法の基点にしようとしてんのが丸わかりじゃねぇか!何で気付かなかった!?」


 「ギリギリ、わしの探知網からも外れとった。それに、精霊も何も違和感を感じぬ程度にまで呪力が抑えられておった。それこそ、ものの数時間ほどで呪力が自然消滅してしまう程度にの」


 つまり、話をまとめると・・・。


 「要するに、コレは今すぐに配置を終えて発動させなきゃ意味の無い代物ってコトだね」


 「そうじゃの」


 「ん?・・・どういうこと~?」


 またこの子は・・・。


 「・・・か、簡単ですよ。きっと、犯人さんも魔法陣を作るのが初めてなんですよ」


 「いや、むしろ逆だね。たぶん、相手は相当魔法陣の扱いに慣れている」


 とりあえず、スズと四条さんのボケに付き合ってる暇はない。

 適当にスルーしておこう。


 「でも、何でそれがわかるですぅ?」


 「・・・魔法陣を使わないからピンと来ないかもしれないけど、コレは要するにボク等に気づかれたくない意思の現れだと思う」


 「僕もそう思います。相手は、時間がたてば消えるインクを使っているようなものです。だから、効率よくやるには魔法陣を熟知している可能性が高い、ということですよね?」


 「そうそう。それに、魔法陣を使うにしても使えるポイントと使えないポイントが確実に出てくる。・・・こんな大規模術式ならなおさら」


 「なら、相手はこの町を熟知している、かつ魔法陣の扱いに慣れている人ということですか?」


 「わしもそうじゃと思う。じゃが・・・」


 龍造さんが何かを言おうとするけど、言葉を濁す。

 みんなはどうしたのかと首をひねる。


 「やっぱり、龍造さんもその可能性にたどり着きましたか・・・」


 「・・・でも、そんなことが?」


 ボクと龍造さん、ハル君の間でのみ空気がどんよりとしたものになる。


 「おい。お前等だけで話すなオレ達にもわかるように言え」


 「いや、みんな、知ってるんだよ。この町を知ってそうで、魔法陣の扱いがものすごくうまい人」


 「この町に住んでる魔法陣を使う魔法使いって、ソラと、龍造さんと春樹だけだよね?」


 「・・・違います。もう一人、あるいは二人ほどいます」


 「え?でも、三谷君と平地さんの弟君以外でいたっけ?」


 宇佐野さんの言葉にみんなも疑問の声を上げる。

 ・・・みんな頭が固い。


 「確かに、ココに住んではいない。でも、数日間滞在している魔法使いがいる。しかも、呪力を感知できる、ね」


 「・・・あ、あのオバケの二人?」


 一番最初に気付いたのはリカ。

 その言葉にみんなが理解を示すと同時に困惑の顔色を隠せない。


 「ですが、あの方達はこんなことをするのでしょうか?むしろ、呪力を浄化してくれたらしいですよ?」


 「いや、それはわからない。俺達はそれを見ていません」


 「そう。今までのことは相手の話を聞いて判断しただけだよ。だから、相手が嘘をついてる可能性も否めない。・・・まぁ、どっちにしても相手に聞かなきゃ始まらない」


 「そう言うわけじゃ。二人はまったく関係が無いかもしれんが、まずはあの二人を捕まえて話を聞くのじゃ」


 そして、ボク等は学校を早退して呪力の捜索をすることになった。






 「で、どうすんだ?」


 「まず、チームを二つに分けようボクと四条さんを中心に」


 「な、ななななな何でですか!?」


 「まず、ボクと四条さんは呪力感知がみんなより簡単にできる。・・・ボクの場合は目が痛くなるけどね。それに、精霊魔法は呪力の浄化もできるみたいだし。ボクも一応はできる」


 呪玉としてだけど。

 でも、やらないよりはマシだと思う。後で龍造さんに言って処分してもらえばなんとかないるはずだ。


 「でも、今回はミストと田中もいるぞ?」


 「いや、これがいいと思う。・・・考えたくないけど、カバネさん達がもしも敵だったときのために」


 ボクがそういうとみんなの顔が曇る。

 確かに、知り合いが実は敵でしたなんてあまりいい気はしない。

 でも、最悪の状況を想定しておくべきだ。


 「とにかく、どっちにしろ、分かれて効率的にやらないと後々面倒なことになる。最悪、呪術陣が発動するのだけは止めないと・・・」


 そういうと、みんなは押し黙る。

 たぶん、わかってはいるけど納得はできないって感じかな・・・。


 「とりあえず、いつもみたいに適当に分かれて」


 そういうと、ボク等は適当に分かれる。

 ボクのほうにリカ、スズ。双子。

 四条さんのほうにリュウにシュウ、冬香、ハル君が。

 おろおろする田中はボクが引き取りました。まぁ、コレでバランスは大丈夫。


 「よし、じゃぁボク等はこっちに行く」


 「は、はい。あ、あたし達はこっちに・・・」


 「みんな、気をつけて!」


 そういうと、ボク等は町の中を駆け出した。






 走り出して数分。

 ボクはいつものように≪月詠ツクヨミ≫を展開し、呪力を探す。

 ついでに、田中もいるからミストの持つ魔力レーダー的なもので調べても貰う。


 『あっちの方向だ』


 「うん、見えてきた」


 「ソラ、そろそろまずいんじゃない?」


 リカが心配してくる。

 まぁ、そうだろう。ボクの目は呪力を直視すると目に激痛が走る。

 それは前回の遺跡での騒ぎのときに経験済み。


 「でも、見ないことには何もできない。ま、こっちにはスズがいるから呪力を消してもらえばいいんじゃない?」


 「うん?がんばるよ~!」


 「・・・俺、坂崎さんだとそこはかとなく心配になるんですけど?」


 「大丈夫ですぅ!鈴音さんなら魔法は完璧に消せるですぅ!」


 「でも、この魔法構成プログラムはどういうものなのでしょうか?」


 そう、そこがボクも気になっているところだ。

 呪力を使っているって言うことはおそらく邪法。

 でも、正直な話、ボク等は邪法について全然知らない。

 まぁ、古代の禁忌魔法タブーだし。そのせいか龍造さんに聞いても詳しいことはわからなかった。

 それか、知っているけど、知らないほうがいい類のことなのかもしれない。


 「まぁ、なんにしてもろくなものじゃないね。っと、呪力発見」


 ボクは視界の隅に映った黒いまがまがしいマナの塊を発見した。

 ・・・規模は野球のボールぐらいの大きさのモノが道のど真ん中にぽつんとある。

 周りには何故か人がいない。


 「・・・そういえば、俺達は今まで人に会いましたか?」


 「・・・そうか、コレ罠だ」


 「「「・・・は?」」」


 ボクがまるで当たり前のように言うと、みんなはビックリして素っ頓狂な声を上げる。

 ・・・あれ?何か驚くようなこと言ったっけ?

 そんなことを考えたその時、ボク等を囲むようにして魔法陣が展開。

 みんなは急な事態に追いつけていないのかただただ驚愕の表情を浮かべるだけ。

 ボクは足元に展開した魔法陣に手をついてすぐに魔法陣を分解した。


 「・・・これでも、魔王仕込の魔法使いなんでね」


 『お前、もう人間じゃねぇよな』


 黙れ。

 ボクがミストにそういおうとしたとき、レオが『みゃ』と一声かけ、ボクにある一点を示す。

 すると、一つの人影が現れた。




―――side隆介

 オレ達の足元で魔法陣が展開される。

 オレを含め、誰も予想外の事態に動きが止まる。

 いや、シュウだけは何とかしよとしているみたいだがアイツに魔法は使えない。だから、ただ手をこまねいているしかない。

 そこで、意外な人物が動く。


 「―――魔法陣に干渉、分解せよ」


 冬香の弟、春樹が手を地面につけ、魔法陣に触れる。

 すると、魔法陣が急速に光を失っていき、消滅した。

 オレ達四人は驚愕の表情で春樹を見る。


 「・・・あのぉ、皆さん、どうしたんですか?」


 「お前、ソラみたいだな」


 「え?そうですか?うれしいです」


 そういうと、春樹は本当にうれしそうな笑顔を浮かべる。

 だが、コイツはわかってないな。

 ソラみたいってのはオレ達の間での『人外だな』って言葉と同義だ。


 「ちょっと、人の弟を人外呼ばわりしないでくれる?」


 「でも、ソラ先輩なら触れるだけで干渉できるんですよね・・・。俺もがんばらないと」


 いや、俺が思うにお前等どっちもどっちだなって思ったぞ?

 まぁ、伊達に魔王直伝の魔法陣使ってるってわけじゃねぇな。


 「おし、四条。できるか?」


 「はは、はい!ガンバリマス!・・・精霊さん達が・・・」


 「では、私達は周囲の警戒に当たります」


 そういうと、オレ達はそれぞれの仕事につく。

 四条は目を閉じ、精神を研ぎ澄ましているのがわかる。そして、かすかにオレ達とは違う魔力がその周囲からあふれている。それは、どんな穢れをも洗い流してしまう綺麗な水のような魔力だ。


 「・・・え?・・・み、皆さん、誰か来ます!」


 そういうと、何かの光がこちらに放たれる。

 オレはとっさに≪闇の侵食ダーク・イロージョン≫を発動させ、魔法を受け止める。そこへ冬香と春樹が魔法が飛んできた方向へと魔法を打ち返す。

 だが、それも相殺される。


 「・・・雷の魔法、ですか」


 そう、こっちに向かって放たれた魔法は明らかに雷の魔法。

 心なしか、空気中でまだパチパチと静電気のようなものを発生させているような気もする。

 そして、魔法が放たれた方向から声が聞こえた。


 「・・・ココで、何をしているのでしょう?」


 「それは完全にこっちのセリフよ」


 「だな、知り合いにいきなり攻撃しかけるとはどういう了見のメイドだ?」


 そこにいたのはメイド服を着て、右手に長ネギを持ったポーカーフェイスな人間の女、ただし正体は生ける屍リビングデッド。立花可憐がいた。

 どういうつもりか、相手はオレ達に向かって魔法を放ってきた。


 「貴方達が私の敵でないと言う保障がありませんから。それに、時間がありません」


 そういうと、可憐はオレ達に向かって長ネギを向ける。


 「・・・なぁ、オレ達のことバカにしてねぇか?」


 「何を言うんですか?私は至極真面目です」


 可憐は淡々と、ポーカーフェイスを貼っ付けたまま言う。

 ・・・・・・長ネギをオレ達に向けて。


 「・・・ホントに、わたし達をバカにしてるとしか思えない魔導宝具アーティファクトよね」


 オレ達のコメントに本気で首をかしげるメイド生ける屍リビングデッド

 そして、向こうは会話は十分だとでも言うように魔法をつむぎ始めた。


 「―――奔れ、雷」


 そういうと、相手の長ネギを中心にいくつもの魔法陣が展開する。


 「・・・要するに、本気って事か」


 「・・・そのようです」


 オレとシュウは戦闘のために構える。

 そして、平地姉弟は四条の盾になるようにして前に立つ。


 「四条は任せたぞ」


 「わかりました」


 「アンタ達もボコられないようにしなさいよ?」


 「んなもん、心配するだけ無駄だ」


 「大丈夫です。私の薬で何とかしますので」


 「―――≪放電ディスチャージ≫」


 相手の魔法陣から雷の魔法が放たれるのを合図に、オレとシュウは駆け出した。



作 「と言うわけで、『生ける屍』をお送りしました」

樹 「いえ、ココに来るのも久しぶりな気がしますね」

作 「確かに、基本的にシュウはボケキャラじゃないからあんまり呼ばない気が」

樹 「・・・そこに重点をおいていたのですか?」

作 「もちろん。そして次回予告だ!」

樹 「何故、急に・・・」

作 「なんか言われそうな気がしたから!」

樹 「・・・」

作 「と言うわけでメイドさん襲来、パート2!今回は本気だ!」

樹 「可憐さんはかなりの魔法の使い手のようですしね」

作 「うん。性格はともかく」

樹 「・・・本当にそうですね?」

作 「ちなみに、コイツは僕の友人に似たようなやつがいました」

樹 「・・・嘘でしょう?」

作 「いや、マジで」

樹 「・・・」

作 「いや、世の中にはいろいろな人がいるよ。ウン」

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