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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
6章 ≪季節はずれの幽霊編≫
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3話・TEST OF COURAGE

―――side空志

 と、言うわけで夜になりました。

 あの後、優子さんにボコられて男子三人は三途の川までピクニックに行く羽目になった。


 「はーい。じゃぁ、集合確認するからこっち来て~!」


 インチョーが大声でボク等に言う。

 今回、インチョーのカリスマ・・・というかアホな一組の生徒が中心に学校近くの林に来ていた。ちなみに、ボク等の寮からはボクにリカ、シュウ、冬香、四条さん、ハル君になってる。レオはボクの部屋で早々に寝た。

 それに、一組以外の人間は全員寮で生活してる人間、つまりは暇人だった。



 「結局、冬香はブラコン発揮したわけだ」


 「黙りなさい。氷漬けにするわよ?」


 「でも、ソラ先輩から聞くにシャンさんはシュウさんにべったりなのに来なかったんですか?」


 「はい。シャンは早寝早起きが基本でして。それでいつも九時までに寝てるんです」


 子供!?

 シャンちゃんはどこの小学生!?

 なんかイイ子過ぎる!?


 「でも、何でハル君はボクに先輩なのに他は『さん』なの?」


 「魔法的にも年齢的にも?」


 ・・・まぁ、いいけど。

 ボクが言ってもなんか押し切られそうな気がするし。

 どこぞの押しかけ弟子的なことをしてる女子と一緒で。


 「く、くしゅん・・・」


 「・・・智也さんも大変ですね」


 「・・・あぁ」


 うん。いつも通り口数が少ないですね。

 ボクは幽霊よりも智也さんの存在感のほうが薄くないかと真面目に心配になってきた。


 「・・・吸血鬼ヴァンパイアの小娘は?」


 「リカですか?」


 「・・・あぁ。いつもならお前の体のどこかに引っ付いているが?」


 ボクは黙って指差す。

 その先にはしゃがみこんで縮こまっている吸血鬼ヴァンパイアの少女がいたりいなかったり。


 「・・・まぁ、そういうわけで幽霊にビビッてます」


 「・・・吸血鬼ヴァンパイアなのにか?」


 智也さんは半ば呆れた風な感じに隅で震えているリカを見た。

 まぁ、男子からそこがイイ!!と言う言葉がちらほら聞こえ、女子から白い目で見られている人がいた。


 「じゃ、今から肝試しを始めま~す」


 そういうと、主催をしていたインチョーがしゃべりだした。

 たぶん、今回の肝試しのルールとか諸注意でしょ。


 「今回は、一応学校に許可を貰っているので問題はありません。でも、基本的によその迷惑にならないようにしてください」


 それ、無理じゃない?

 だって、肝試しって絶叫が響くものだよ?

 ボクと同じ事を思ったのか一人の女子生徒が質問する。


 「ででででで、でも、き、肝試しって、ひ、悲鳴が上がるものだよね?」


 リカだった。

 うん。悲鳴を上げること前提だってことがわかった。


 「うん。でも、がんばって出さないでね」


 インチョーは無茶な注文を満面の笑顔でつけた。

 インチョー、意外にSだね。


 「じゃ、この時点で質問は?」


 そういうと何人かの手が挙がる。

 インチョーは適当に人を当てて聞く。


 「どういう風に行くの?一人で?」


 その言葉にリカの肩がビクッと跳ね上がる。

 ・・・反応が面白いと思ったボクはSが入っていてるのかな?


 「今から説明する。まず、人数は二人。基本的に男女ペアに・・・」


 「「「アンジェリカさん!!」」」


 一斉に男子がリカに右手を出して頭を下げる。

 ・・・なんか、こういうのをテレビで見た気がする。


 「・・・ソラと行くから無理」


 ・・・さりげなくリカがボクの死亡フラグを立てた気がする。

 でも、それを聞いた男子の方々は何故かわかってたよって顔をして肩を落とす。

 ・・・よくわからないけどご愁傷様。

 そこでインチョーが何故か不適に微笑んだ。


 「っふ。・・・安心しな男子。今回は公平にくじで決めるよ!!」


 「「「さすが!!」」」


 その言葉で何故か全員が沸いた。

 男子からは俺がアンジェリカさんと!!とか、そして女子からはお姉さま!!とか李君と!!見たいな感じで欲望にまみれた声が聞こえた。


 「はいは~い。並んで並んで~☆」


 そして、パシリの田中とノリノリな宇佐野さんがどこからとも無く現れて上が丸くあいた箱を持ってくる。つか、田中いたんだ。

 すると、その箱に甘いものに群がるアリのようにみんながくじをひきに行く。


 「同じ番号の人とペアね。ついでに行く順番もこの番号どおりで」


 そして、くじに書かれた順番どおりに全員が並ぶ。

 ボクはっと・・・・・・十九番。

 確か、全員で五〇人前後って言ってた気がするから、後のほうだね。でも、相手は誰だろう?


 「・・・まさか、十九ってアンタ?」


 ボクは危機覚えのある声に後ろを向く。

 そこには、眼鏡をかけた短髪の凛々しい女子。

 というか冬香だった。


 「あ、冬香なん・・・だ」


 何故だろう。

 ものすごい視線が・・・。

 マジで視線だけで射殺されそう。


 「貴様、お姉さまにもしもあんなことやこんなことをすれば・・・」


 「アンジェリカさんの次は平地さんとは、いいご身分だな」


 何で、ボクは耳元でこんな風に脅されなきゃいけないんだろう?

 別にボクと冬香はなんとも・・・。


 「どうしたの?急に顔を赤くして」


 「いいいいい、いや!?何でも無いですけど?別に思い出してませんヨ!?」


 「ふ~ん」


 何故か冬香はにやついた笑みを浮かべた。

 ・・・なにその全部わかったわよ的な。


 「そういえば、幽霊って実際にいるらしいわ」


 「・・・急に何?でも、冬香ならいても数法術で」


 「わたしも一人の女の子だし、怖いものは怖いのよね」


 完全に冬香がボクの話をスルー。


 「と、言うわけでこんなか弱い女の子を守るために繋いでくれるわよね・・・手」


 といって冬香がボクの腕を取った。

 その言葉と行動で周りの殺気が上がった気がした。

 ・・・絶対、からかってる!!


 「ちょ!?アンジェリカさん!?四条さん!?」


 「離して!!冬香にとられる前に殺る!!」


 「師匠に不埒なことをする雌狐は消します!!」


 「冬香!僕が殺される前に手を放して!!」


 「いいじゃない。減るもんじゃないし」


 「いや、このまま続ければ減っちゃダメなモノが減る気がする!!特に命とか!!」


 でも、冬香はずっと不適な笑みを浮かべたままだった。

 ・・・何、この子ってこんなキャラだっけ!?


 「ッチ!いつの間に三谷は平地さんと仲良くなった!?」


 「絶対寮だ!そこで何か間違いがあったに違いない!!」


 お願い!変な噂を流される前に離れて!!


 「はいはい!そんなことより、肝試し始めるよ!ちゃんと廃校舎の中に行ってお札持ってきてよ!」


 「「「へ~い」」」


 インチョーその言葉でみんながおとなしくなった。

 ・・・助かった?


 「何だ。面白くないわね」


 そういうと冬香は興味をなくしたみたいにボクの腕をぽいと捨てるようにしてはなす。

 よかった。主に自分の命が助かって。


 「じゃ、はじめるよ~。まずは一番の人!!」


 「俺だ!じゃ、アンジェリカさん、行きましょう!」


 「う、うん・・・」


 そうか、一番はリカだったのか。

 ・・・って、やばくない?


 「冬香・・・」


 「・・・確かにマズいわね」


 でも、ボク等には止めるすべが無い。


 「でも、いいんじゃない。この際、アンタの重要性をわからせるべきよ」


 「いや、なにそれ?」


 その時、リカの悲鳴が上がった。

 そして、リカが林の中からものすごい勢いで飛び出し、まっすぐにボクに突撃。


 「ぐぼぁ!?」


 いつものことなので以下省略。


 「ななななななななななななな何かに、お、お尻触られた!!」


 「お、落ち着こうか。それに何かした?」


 「思い切り殴った!!」


 ・・・うん。予想通り。

 ボクはインチョーに声をかけた。


 「インチョー。林の中の男子を救出してあげて」


 「わかった」


 そういうと、インチョーは数人の男子を引き連れて林の中に。


 「うお!?何があった!?」


 「こ、こけただけだ」


 「こけてお前は上下逆さまに木からぶら下がるのか!?それに顔も原型がわからないぞ!?」


 ・・・ずいぶんと器用なこけ方をしたらしい。

 それに暴力的な幽霊も一緒か・・・。


 「リカ、殴っただけじゃないの?」


 「・・・よく覚えてない」


 その言葉で周りのみんなの表情が引きつる。

 ・・・だろうね、おそらくドサクサにまぎれてリカにボディタッチを行使しようとした男子が何故か木から逆さまにぶら下がってフルボッコにされる怪現象が起きてる。

 まぁ、犯人は残念なことに一人しかいないってことになる。


 「三谷、お前ってスゴイヤツだったんだな」


 「あぁ。俺も見直したよ」


 「三谷君、がんばってね」


 「死ぬなよ」


 みんながやたらと慈愛の篭った目で見てくれた。

 ボクもみんなの誤解が本当に解けてうれしいよ。


 「・・・みんな、何でソラに声をかけたの?」


 「やっと、認めてくれたんだよ」


 「?」


 よくわかっていないリカをそのままに肝試しはどんどん進んでいった。






 「・・・もうすぐだね」


 「そうね」


 次々とみんなが林の中に入って行って、残りは数組。

 たぶん、後ほんの少しでボク等だ。


 「でも、林からはリカ以外の悲鳴が聞こえないね」


 「要するに、幽霊の話はデマだったって事でしょ」


 いたらいたで結構面白そうだったのに。

 幽霊と知り合いとか面白そうじゃない?

 その時だった。林の中から急に悲鳴が上がった。


 「ついに幽霊が出たかっ!?」


 「・・・アンタ、何で楽しそうなの?」


 だって、こういうのにはハプニングがつき物でしょ?

 そうじゃなきゃ肝試しじゃない。

 それに、イレギュラーがあってこそイベントは盛り上がるって何かの本で読んだ気がする。

 そんなことをつらつらと考えていると、一人の女子が血相を変えてボク等のほうに旅出してきた。


 「で、何があったんだ?チカンか?」


 「ち、違う、でで、出た」


 周りの男子や幽霊が怖くない女子がやってきた女子に聞いていくけど怖がっていて要領を得ない。


 「・・・あれ?そういえば相方の男子は?」


 ボクはこの女子のペアの男子が全然こないことに気づいて聞いた。どうしたんだろう?

 でも次の言葉で、この騒ぎの意味が一八〇度変わった。


 「い、一組の、た、確か、田中、君。逃げろって・・・」


 「智也さん!ここでみんな守って!!」


 「・・・わかった。頼むぞ」


 「わたしも行くわ!!」


 「アアアアア、アタシも!!」


 「無理だから。そんな足がブルブル震えてたら・・・」


 「・・・がんばってね」


 リカは今回ばかりはおとなしくボクの言葉に従ってくれた。

 そして、ボクと冬香が林の中に走っていった。


 「ソラ!田中の場所は!?」


 「今、極端に魔力の無いところを探してる!」


 田中は魔力無効化体質キャンセラーだ。

 だから、田中自身の魔力はボクは感知できない。でも、逆を言うと、田中の魔力はまったく無い。ということは、マナも魔力も・・・・・・まったく無い場所に田中がいる可能性が高い。


 「冬香は他のメンバーを呼んで!」


 「わかったわ!」


 そういうと冬香はピアスをつける。

 でも、今回はこの近くでピアスを持ってるのはシュウだけだ。リュウとスズはどうせ寮でイチャイチャしてるだろうから無理だね。


 「勝手な妄想はやめときなさい」


 「でも、ついにスズがリュウにフラグを立てたよ?」


 「ホント!?って、今はこっちに集中しなさい」


 「・・・はい」


 そして、ボクは見つけた。

 冬香に田中の位置を見つけたことを言ってすぐにそこへと向かう。

 すると、少しだけ空けた空間に出る。

 そこには、青白い火がたくさん出ていた。


 「こりゃ、ホントに幽霊かもね」



作 「と、言うわけで『肝試し』でした」

奏 「ど、どうも。し、四条奏です」

作 「・・・そういえば、僕の友人にはこんな感じの子がいない気がする」

奏 「ど、どういうことですか?」

作 「良くも悪くも僕の周りの女子は漢らしい人が多い」

奏 「はぁ・・・?」

作 「そんで四条奏みたいな自信なさげな女子の知り合いとかいない気がする。むしろ全員自身に満ち溢れてる気がする」

奏 「そ、それはすごいです。わたしも見習わないと!」

作 「で、僕の地位的なランクがどんどん下がっていくと」

奏 「・・・」

作 「ま、雑談もこの辺にしといて連絡~。活動報告をよければ見ておいてください。わりと重要なこと書いてあります」

奏 「よ、よろしくお願いします」

作 「そして次回!ついに幽霊登場!?」

奏 「・・・ちょっと、ドキドキします。挨拶とかがんばります!」

作 「何かおかしいけど突っ込まない!そしてキング・オブ・モブのあいつががんばるぜ!」

奏 「・・・誰ですか?」

作 「わかる人にはわかる。て事で次回もよろしく!」


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