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DARK・MAGIC ~闇夜の奇術師達~  作者: 夜猫
5章 ≪サマー・バケーション編≫
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21話・SEA!

―――side空志

 季節は夏。

 夏といえば海!

 というわけで闘技大会の翌日。ボク等は海に来ていた。

 何故か留守番部隊のはずの風葉達がいるのは気にしないでおこう。


 「わ~い!海だよ~!」


 「うみー!」


 「ひろーい!」


 「ちょっと!?あんた達ちゃんと準備運動しなさい!!」


 「綺麗ですぅ」


 みんな元気だね~。

 ・・・ボクは溶けそうだよ。


 「ソラ?大丈夫?」


 「大丈夫・・・たぶん。まぁ、リカも気にせず遊んできなよ」


 ボクがそういうと、リカは申し訳なさそうな顔をしつつも海のほうに走っていった。

 ・・・というか、いつの間に水着を買ったの?

 ボクの脳裏には何故かピースサインをする母さんと海美が思い浮かぶ。


 「だが、以外だな。・・・おそらく、冬香か?」


 「そうですね。私も一番はリカさんかと思っていましたが・・・」


 「だが、あれがちょうどいい!」


 「・・・シャオ君。あの男衆は何を言ってるの?」


 「・・・大きさです」


 ・・・なるほど。

 何がとは聞かない。

 ただ、冬香は以外に着やせするタイプだったらしいとだけ言っておこう。


 「うんうん。以外に冬香っちはナイスバディなんだね☆」


 「・・・どっから沸いてきた。そしてその水着は何だ?」


 まず、リカは黒のビキニっぽい水着。

 冬香はごく普通の青の水着。

 スズはひらひらがついた子供っぽい水着。

 インチョーはワンピースの水着。


 「何で宇佐野さんはそんな狙ったとしか思えない水着?」


 「え?スクール水着だけど?」


 ・・・胸のところにひらがなで『みみ』とか書いてあるのは気にしない方向でいこう。

 てか、何で向こうに行かないの?


 「実はこのワタシ、泳げないんだね~☆」


 ただのカナヅチだった。

 それで暇だったからボク等のところに来たんだろう。


 「でも、何はともあれ冬香っちが戻ってきてよかったね~」


 「まぁ、ね」


 あの後、氷漬けにしたラズを警備の人に突き出した。

 そしてボク等が知る限りのことを全部話して、冬香は事情聴取のために少しだけ話を聞かれ、すぐに解放された。まぁ、一目瞭然で脅迫させられてたことがわかるしね。

 犯罪者に成り下がった『災禍の焔』は即解散。冬香はすぐにボク等のところにはいってすべて完了。大会も一応は優勝って事で依頼も完遂。

 それで、今日は冬香のいたところの院長先生に誘われて近くの海に遊びに来た。


 「でも、いいのかい?あれはあんた達が優勝して手に入れたもんだろ?」


 「あぁ、んなもん気にすんな。オレ達が持ってたところで使い道に困るだけだ」


 「そうですね。基本的に私達は大丈夫ですね」


 「薬はシュウが作りますし、ソラさんも装備を整えてくれますしね」


 「そうですよ。まぁ、そのお金で孤児院の子供達においしいものでも食べさせてあげてください」


 ボク等は優勝賞金を全部、寄付という形でサンクトス孤児院に渡した。

 冬香が平謝りにボク等に頭を下げたのが何故か笑えた。


 「お~い!間君達~!」


 向こうからインチョー達が呼んでくる。

 ・・・どうも、ビーチバレーをしようとしてるみたいだ。


 「くらえ!!俺のカザハスペシャル!」


 「何の!!このわたしのスナイパーサーブをくらえ!!」


 「スライダーだ!!」


 「ちょ!?重力の魔法ですんな!!」


 ・・・何だか混沌と化してるけど気にしない方向で。


 「・・・まぁ、やることもねぇし。行くか」


 ボク以外の男子がうなずく。

 ボク?

 既に夏の暑さに参ってます。


 「・・・まぁ、こいつはいつものことだからほっとけ」


 「・・・頼むよ」


 できれば何か飲み物欲しい・・・。

 みんなは若干呆れた表情でボクを見ているのを感じ取れる。

 まぁ、でもなんだかんだでみんなは遊びに行った。


 「・・・あんたは何で行かないんだい?」


 「行ったら確実に溶けます」


 とことん夏にダメなボクだった。

 現在進行形でうつ伏せで寝ている。


 「・・・おや?」


 そこで院長先生が声を上げる。

 どうしたんだろう?


 「・・・アンタ、何してんの?」


 「冬香?」


 ボクが顔を上げると、そこには冬香がいた。


 「さてさて、年寄りは少し散歩にでも行くかね」


 そういうと院長先生は変に気を利かせて行ってしまった。

 ・・・別にボクと冬香はそんな関係じゃないのに。


 「・・・どったの?」


 「まぁ・・・その・・・何・・・」


 何だか冬香の言葉にはいつもみたいに歯切れがよくない。 

 ・・・何か悩みかな?

 そんなことを考えてると冬香がボクの隣に腰掛ける。


 「悩み?」


 「違うわよ。・・・今回、アンタにはものすごく世話になった気がして」


 そんなことか。


 「別にボクだけってわけじゃないでしょ。・・・それに、仲間だから当然」


 「・・・普通、わたしがあんなこと言ったら大抵の仲間はわたしを見捨てると思うんだけど?」


 ・・・何をこの方は言っておられるのでしょう?

 そんなの、今更過ぎる。


 「残念だったね。ボク等は普通の・・・仲間じゃないんでね」


 「・・・まぁ、確かにいろいろとそうかもしれないけど。わたしが言いたいのはそんなことじゃなくて・・・」


 「?」


 「・・・あぁ~!もう!!・・・わたしをここに連れ戻してくれて、ありがとう」


 冬香はそっぽ向きながらもボクに小さな声でそういった。

 ・・・何だか素直じゃないね。


 「はぁ、それこそ今更。何回も言うけどさ、ボク等は仲間なんだ。困ったことがあれば何でも言いなよ。そうしたらボクだけじゃ無理かもしれないけど全員で何とかする」


 「・・・何故かアンタにだけはそのセリフを言われたくないわ」


 「でも、今回は特に何も無茶してないし」


 「・・・嘘つきなさい。聞いたわよ~。リカとケンカしたんでしょ?」


 ・・・誰だ!

 こういうのは内緒にしといてよ!?

 話がまとまらない!!


 「まぁ、とにかく!・・・・・・ボク等は例え冬香が離れていっても無理やり連れ戻す。それこそギルドだろうが世界経済だろうが借金取りだろうがね」


 「・・・何でお金方面ぽいのかは聞かないでおくわ」


 だって、冬香にはそういうイメージしかない。

 それはハル君からも確認済みだ。

 でも、他にも理由があるけど。


 「それに・・・」


 「それに?」


 ボクはあえてこの言葉を選んだ。


 「『お前達はボク等にとって大切な仲間だからね』」


 その言葉に冬香が目を見開いて驚く。

 そりゃそうだろうね。これは院長先生の言葉をボクが借りた。

 まぁ、ハル君から教えてもらった言葉だけど。


 「はぁ・・・アンタはまた・・・。でも、よ~っくわかったわ。こうしてアンタはいろいろな人にフラグを作っていくのね」


 「・・・あれ?何だか方向が変わってない?」


 「あ、安心しなさい。わたしは残念ながら攻略対象外だから。それにアンタのお姫様が怖いからね~」


 「・・・あの~。先ほどから何を?」


 「・・・でも、お礼はしたいわね」


 「いや、いいから。別に・・・」


 「わたしの気が済まないのよ。基本的に借りを作りたくない人間だし」


 そういうと冬香は何かを考える。

 別に借りとか・・・。

 ボクはそんなの気にしないのに。リュウは例外として。


 「ん~・・・やっぱ、女の子のお礼はこれかしら?」


 「はい?何を言って・・・!?」


 何か頬にやわらかい感触。

 それが離れたのを感じ取ってボクはギギギッとロボットのように冬香のほうを向く。

 冬香の頬が微妙に赤いことを知り、現実逃避気味に聞いてみる。


 「あああ、あののののの!?」


 「え?お礼のチューよ。嫌だった?」


 「え?・・・いや!?その!?・・・な、何で!?」


 「ソラー!!」


 「ぶはぁ!?」


 いきなり飛んできたリカにボクは押し倒された。

 ・・・何故に?


 「何で!?さっき、冬香と、キキキキキキキキキ・・・!?」


 「あら、バレちゃった。まぁ、いいわ。唇にしなかっただけいいでしょ」


 「くくくくくくくく・・・!?で、でででででも、と、冬香は・・・!?」


 さっきからリカが大変なことになってる。

 顔がものすごく赤い。

 それに冬香は不適な笑みで答える。


 「さぁ~?・・・でも、早く何とかしないと盗られちゃうかもね。攻略対象外のはずのわたしが落とされて、本気出したらどうなるかしらね~」


 そういうと冬香はみんなのほうに歩いていった。


 「ソ、ソラ!?何で!?や、やっぱり胸なの!?」


 「待って!?何のこと!?冬香は何かお礼とか言って・・・!!」


 「なら、アタシもソラにお礼するーッ!!」


 「いきなりなんで!?」


 何だかテンパってるリカをなだめつつ冬香を見る。

 そして、冬香もこっちの視線に気付いたのかボクを見て口を動かす。


 「これからもよろしく」


 ボクにはそういう風に唇が動いたように見えた。

 ・・・よし、それじゃぁ。このお姫様を何とかしてボクもみんなのところに行くかな。







 ~数日後~

―――sideリカ

「あははは~。アタシを捕まえて~」


 「お~い!待って~!」


 海辺の砂浜。

 綺麗な海に青い空。

 ここにはアタシとソラの二人きり・・・。

 あ、よだれが・・・。


 「きゃ」


 「大丈夫!?」


 なれない砂の地面に足を取られてこけちゃった。

 そこをソラが急いで駆けつけてくれた。

 そして、ソラはアタシを覗き込むようにして見る。

 ・・・このシチュエーションは!!


 「・・・リカ」


 「・・・ソラ」


 互いの名前を呼んで・・・そして顔が近づく。


 「・・・リカ」


 「・・・ソラ」


 「・・・リカ・・・」


 「・・・ソラ」


 「リカ・・・ん!」


 「え?」


 「リカさん!」


 あれ?ソラってアタシにさん付けで呼ぶっけ?

 ・・・それに声が高い、というより女の子の声?


 「リカさん!!!」


 そこでアタシは目が覚めた。

 目の前にはソラの妹の海美がいた。そしてアタシはまるで海美に抱きつくようにして顔を寄せ、キスしようとしてたらしい。

 ・・・・・・夢オチ!!!

 そういえば昨日、帰ってきたんだっけ。


 「お~い。もう朝だよ~」


 ソラの声と共に部屋の扉が開けられた。


 「「・・・あ」」


 「・・・ゴメン」


 ソラはそういうとすっと何事もなかったかのように扉を閉めた。


 「「違うの!!」」


 三谷家の朝にアタシと海美の声が響き渡った。



―――side空志

 「いやぁ、てっきりリカがそっちの趣味なのかと」


 「違う!アタシは男の子が好きだよ!?」


 「てか、リカさんって華奢なのにものすごい力ですね」


 でも、朝の光景を見たら誰だってそう思うと思う。

 まぁ、アレを田中に見せたら鼻血噴いて倒れる気がする。

 そんなわけでボク等は昨日帰宅。

 みんなもそれぞれの家に帰っていった。

 冬香はもちろん、孤児院に。

 そこで子供達の面倒を見たいようだった。

 院長先生は別にどこでも好きなところにいきゃいいとか言ってたけど、どことなくうれしそうだった。

 これで本当に一件落着。

 そして、少しだけボク等は変わった。


 「あ、そういえば今日は鈴音と茜に遊びに誘われてた」


 「うん。わかった。暗くなる前に帰ってきなよ~」


 「うん」


 そういうとリカはさっさと用意を済ませて玄関に行く。

 ・・・何でボクを引っ張っていくの?


 「・・・ん」


 「何?」


 「え?海美と奈美が出かけるときにはお出かけの「わかった。後で母さん達はシメとく」・・・して欲しいのに」


 そういうとリカはボクに行ってきますといって一人で・・・出かけた。

 よし、これでいいんだ。


 「あれ?兄貴とリカさんついに終わった?」


 「終わった?・・・いや、むしろ始まったんだと思うよ」


 ボクも重労働バイトの準備をする。

 ・・・ログさんがうるさいんだよね。

 後で海美がマジで!?とかついに兄貴に春が!?とかいってるけど意味がわからない。


 「あ、それとリカに変なこと吹き込むなよ」


 そういうと何故か海美は全てを悟ったような顔になってボクに一言。


 「・・・兄貴、さすがにそれは引く」


 「わけがわかんないから。・・・ボクもバイトに行ってくる。・・・主にボランティアだけど」


 「バイトしてたの?まぁ、いってらっしゃい」


 ボクもそういうと家を出た。

 さて、これからが本番だ。

 夏の熱い日差しの中をボクは突き進んで行った。



作 「と、いうわけで!ついに冬香のターンが終了!」

空 「いやぁ、今回も大変だった」

隆 「だな」

作 「まぁ、そんなわけで次回は九月って事で舞台は再び学校に戻ります」

空 「またか・・・」

隆 「何でそんなに憂鬱そうなんだ?」

空 「だって、学校にはあのテロ集団がいるんだよ?」

隆 「もう、いっそのこと死んで来い」

空 「よし、リュウ。拳で語り合おうか」

隆 「おい。ガントのおっさんになってるぞ?」

作 「まぁ、その前に番外編をはさむけど。つーわけで次回もよろしく!」

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