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1-6:「心臓に悪い」

 突然ではあるが、僕が住むこのアパートはガス水道電気インターネットは揃っているし風呂もトイレもついている上に格安だ。大学と連携して地方からの学生を受け入れるようにしているらしい。その割には入居者少ないけど。

 しかしその安さは大学連携だけではなく、さまざまなコストカットがあって格安を実現している。


 何が言いたいかと言うと、今までは隣に人が住んでいなかったから気付かなかったがこのアパートの壁は薄いようだ。


 つまり、隣の人がシャワーを浴びていればその水音が僕の部屋まで聞こえてくるのだ。

 非常に心臓に悪い。


 よろしくナスのスタンプを送ってからしばらくして、そろそろシャワー浴びるかと思っていたところで隣からシャワーの音が聞こえたものだからかなり焦った。これほどまで音が聞こえてくるなら僕がシャワー浴びる音も向こうに聞こえるのでは? そしたらお隣さんに『シャワーの時間に合わせて同じ時間にシャワー浴びる変態』のレッテルを貼られてもおかしくない。考えすぎかもしれないけど、今の時代は何がセクハラにあたるかわからない。女心は難しい。


 そんなふうに悶々としていたら水音が止まった。


 ━━僕もそろそろ浴びるか。


 先ほどから脳内にチラチラと浮かんでいた蒼井さんのシャワーを浴びる様子を振り払って風呂場へ向かう。一日ぶんの体の汚れといっしょに雑念を流しておいた。


 なお、隣の部屋では蒼井若葉がシャワーの水音が筒抜けであったことを知って悶々としていたが、それはまた別の話である。


◆◇◆◇◆◇◆◇


 僕にとってシャワーとは一日の終わりの合図である。このあとに何かやるべきことが残っていたとしてもシャワーやお風呂の後はすぐに眠気が襲ってくる。


 久しぶりに女子と会話したこともあり、自分の想像以上に疲れが溜まっていたようでいつも以上の眠気が僕を襲う。


 布団に潜り込むと、眠気はより一層強くなる。意識が落ちてゆく。眠りへと落ちてゆき━━。


 ふと脳内にシャワーを浴びる蒼井さんのイメージが浮かび上がって悶々とするハメになった。

 シャワー程度では雑念を確実に流すことはできないようだ。


「━━心臓に悪いな」


 そうつぶやいて、意識は今度こそ眠りへと落ちた。

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