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1-5:「いっしょに」

 僕の作ったカレーは蒼井さんの体にみるみる吸い込まれていき、あっという間に食べ終わっていた。


「ごちそうさまでした~っ!」

「お粗末様です。……よく食べるんですね。ちょっと作りすぎたかと思ってたんですが」

「えへへ~ちょっとお腹空いてたから……」

「そういえば今日引っ越しなんでしたっけ。お疲れ様です」


 引っ越し作業というのは僕もほんの一か月前にやったばかりのことだから、その大変さはある程度理解している。まあ男女で荷物の量の差はあるだろうけど。


 そんなことを話しているとここで衝撃の事実が発覚。どうやら大学の必修で入っている授業にいくつか同じ授業が入っているらしい。気付いていなかった。まあ人が多い上に周囲と喋る機会は少ないので仕方のないことだと二人で笑ったけれど。


 ━━いっしょに受けない? そんな言葉が口から出かかった。いやいや、僕はただのお隣さんだからそんな出過ぎた真似はダメだろう……。

 清く正しいお付き合いを。いや別に付き合ってるわけじゃないけど。


「どうかな? 聞いてる?」

「え、ああごめん。聞いてなかった」


 なんてことを考えていると蒼井さんの言葉を聞き漏らしてしまっていた。いかん、しっかりしなければ……。


「それで、授業いっしょに受けない? どうかな?」


 自分から提案するならともかく、向こうから提案されたならいいよね? いいよ。ありがとう。


 脳内で茶番を繰り広げてから僕は頷く。


「もちろん、いいよ。 僕なんかでよければね」


 そう返事すると、彼女の目がぱっと輝いた。綺麗な目をしているな。


「やったあっ! それじゃ、連休明けからよろしくね?」


 それからすこし雑談をすると蒼井さんの提案でメッセージアプリの連絡先を交換して、彼女は自室へと帰っていった。


 お隣の部屋だから見送るほどの距離ではないけど、彼女がドアを閉めていったのを見てから僕も自室に戻った。


 朝とは見違えるほど見た目だけは綺麗になった部屋の布団に寝転がると、スマートフォンが震えた。メッセージの通知だ。

 僕にメッセージを送る人なんて家族くらいしかいないから久しぶりにスマートフォンの振動を感じた。


 メッセージアプリを起動すると、そこには『わかば』というアカウントから猫ちゃんが「よろしくっ」と言っているスタンプが送られていた。かわいい。

 僕も「よろしくナス」と言っているナスのスタンプを返した。センスないかな?


 ━━これしかいい感じのスタンプ持ってないんだよ。悪いか?

メッセージアプリはLINEみたいなものだと思っていただければ。

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