3-9:「やっぱりこの子僕のこと好きでしょ」
ストック消失につき、今まで以上に更新頻度が落ちます。申し訳ない……
大学の授業を終えて家に帰ると、僕を出迎えるのは無人の部屋──ではなく、二つの人影。その正体はもちろん蒼井さんと宮田さん……じゃなかった、ルナのふたり。
どうやらルナは僕の料理を気に入ってくれたようで何故か晩御飯までおねだりされてしまったのだ。最初は断るつもりだったのだが、どうしてもと頼み込まれてしまったので断り切れずにこの状況になった。
このやり取りを見ていた蒼井さんが終始不満そうな表情であったことが気がかりだけれど、二人きりの方が良かったなとか思ってるのかな。やっぱりこの子僕のこと好きでしょ。
……とまあ戯言はここまでにして。
「さとーくん、今日はありがとね? 急なことなのに受け入れてくれて」
「ま、どうしてもって言われたら断れないし……あのまま放ってたら往来のど真ん中で土下座とかやりかねなかったし」
「佐藤くん、ルナちゃんにはご飯一杯で十分だよ」
「いやいや、お客様にそんなことするわけにはいかないから」
「そーだよっ! 独占しようだなんてずるいぞ若葉ちゃん」
どうやら、僕のお隣さんは僕のことを独占したいらしい。
◆◇◆◇◆◇◆◇
なんやかんやあって、食後。ルナが「ルナはお邪魔した立場だからっ!」と食器洗いを申し出たのでお任せして、僕は蒼井さんとふたりでお話をしていた。
「佐藤くん、今日はルナが迷惑かけてごめんね?」
「迷惑なんて思ってないよ、むしろ三人で楽しかったし」
「……私と二人だと、楽しくない?」
しまった、失言だったか。不安そうな顔をする蒼井さんに、そんなことないと慌てて訂正する。
「いやいや、楽しくないわけないよ。蒼井さんと二人でいるのはとっても大事な時間だし」
「大事な時間……そっか。えへへ」
どうやら僕の返事はお気に召したらしい。やったね。
二人で話をしていると、心が落ち着いてくる。もちろんルナがお邪魔ってわけじゃないけど──むしろ仲良くしたいと思っている──やっぱり二人でいる時間の方が好きだ。
その風鈴のような声が。僕だけに向けられるその笑顔が。どうしようもなく好きなんだ。
「その、蒼井さん、ちょっと話したいことが──」
「さとーくん、ちょっといいかな?」
その想いを口走りそうになったところで、ルナから遮られる。考え無しに口走る前に止まれて良かったかもしれない。
「さっきここに来る前に知ったんだけどさ、ここってまだ空き部屋あるらしいじゃん?」
「まあ、そうだね。僕たち以外にここに出入りする人大家さんくらいしか見ないし……」
ルナに言われて思い出したけど、ここのアパートの入居者って僕たち以外に誰がいるのだろうか。こんど大家の中村さんに聞いてみようか。
「だからさ、ルナもこっちに住もうかな~って思うんだけど、どうかな……?」
佐藤くんはアパートの住人が二人だけであることに気付いていません。その理由については今度書くと思いますが、簡単に言うと大家の佐藤くんの父親とアパートの大家の中村さんが友人同士で、そこのコネで入居することになったけど大家が説明を面倒くさがって誰も入居していないことを言わなかった&佐藤くんも面倒で何も聞かなかったからです。




