3-6:「それはダメっ!」
「なんで……僕の部屋で寝てるの……?」
僕の呟きは目の前で眠る蒼井さんへ向けられたものであるが、その声が彼女に届くことはなかった。
まるでそれがもともと彼女の物であったかのように、僕の布団にくるまって幸せそうな寝顔を浮かべている彼女にわいてくるこの感情は──。
──かわいすぎるだろぉぉ!!!
勝手に布団を使われていた怒りではなく、非常にかわいらしい寝顔への感動と感謝であった。
それはそうとしてどうして寝ていたのかは気になるけれど。
◆◇◆◇◆◇◆◇
SIDE:蒼井若葉
二限を空きコマにしていたのは理由がある。たまたま大学で知り合った女の子といっしょにランチする時間を作るため。その子の名前は宮田月ちゃん。『月』と書いて『ルナ』と読む。素敵な名前だと思う。
高校の頃にはバスケ部にでキャプテンを務めていたらしい。運動神経バツグンで、身長も高くて、スタイル抜群で、それて雰囲気もカッコよくて……もし仮に私が男の子だったら確実に惚れてるなって思う。
そんな月ちゃんと今まではランチしていたのだけれど、私には佐藤くんという素敵なお隣さんとの予定が生まれてしまった。まぁ月ちゃんとの約束を忘れて佐藤くんといっしょに食べる約束をしてしまったのだけれど。
当然「男の子といっしょに食べるからランチには行けない」なんて正直に言うと周囲の知らない女子大生を巻き込んで恋バナを開催されかねないから、「今日はちょっと予定があって~」とごまかそうとしたのだけれど。
「ルナとのランチ以上に大事な予定ってなんなのさ~!」
と言われてしまうのだから仕方なく絶対に口外しないことを約束してもらってから引っ越しをしたことと、お隣さんの佐藤くんのこと、そしてその佐藤くんのことが好きになってしまったことを明かした。
「ヒュ~、青春だねぇ。ルナもそういう超高スペックなお隣さん、欲しいな」
「さ、佐藤くんはあげないからね?」
「でさ、その佐藤くんって子、カッコしい? イケメン?」
「どう、かな」
私としては佐藤くんはとってもカッコいい方だと思っている。だけどそれは私の恋に落ちたことによる盲目フィルタがかかっているかもしれないし……。それに、もう少しだけでもひとり占めしておきたいという思いがあって少しはぐらかした。たぶんその意図も月ちゃんには見抜かれていたかもしれないけど。
「ルナもそのさとーくんとのお食事について行っていい?」
「それはダメっ!」
せっかく二人きりになれる時間なんだから、邪魔しないでよねっ。
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