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2-1:「『祈りの歌』」

第二章開始です。

 前にも言ったが、このアパートは壁が薄い。お隣さんがシャワーを浴びているときの水音が聞こえてくるのだから、目覚ましのアラームが鳴れば隣の部屋まで聞こえてくるのは当然と言えるだろう。


 連休が始まって二日目。僕は休みの日を満喫するべくお昼過ぎまで寝る──ということは叶わず、隣の部屋から聞こえてきた音で目が覚めた。


 ピエトロ・マスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の『祈りの歌』。

 吹奏楽にアレンジされたそれは、アルトサックスがソロで美しい音色を奏でていた。


 懐かしい音(・・・・・)だ。そう思っていると、突然その音が止まる。おそらく隣の蒼井さんが目を覚ましてアラームを止めたのだろう。


 スマートフォンで時刻を確認すると、朝の6時を示していた。


 どうせ今日は何も用事がないのでこのまま二度寝と洒落こんでもいいのだが、二年ぶり(・・・・)に聞いたその音は僕の心を震わせた。

 今度また会う機会があったら、このことについて聞いてみよう。


 たぶん、ご飯をご馳走するよって言ったらお話しすることはできるだろうし。


◆◇◆◇◆◇◆◇


 学生にというものはゴールデンウィークのような連休期間はアルバイト漬けになるのが世の常らしい。

 だがしかし僕の親はお金の心配はしなくても良いように、と毎月の家賃やら生活費やらを全部負担してくれているので今すぐにバイトをしなければならない事情があるわけではない。それゆえアルバイトを探すのは大学生活が落ち着いてからでもいいかな、なんて思っていた。


 人間という生き物は目の前に札束を提示されると思考がフリーズする生き物らしい。いや、もしかしたら僕だけかもしれないけど。

 ともかく、自室の机に置かれた札束と向かいに座る蒼井さんを前に、僕は困惑していた。


「どうか私に、お食事を恵んではくれませんか──!」

筆者は高校時代に吹奏楽部に所属していて『カヴァレリア・ルスティカーナ』を高2のときのコンクールで演奏しましたが、とってもいい曲なんですよ。(原作の内容から目を逸らしながら)

中でも今回登場させた『祈りの歌』は大好きで、筆者自身も朝のアラームに設定しています。優雅な朝を迎えることができるので、(アラームの音を嫌いにならないタイプの方は)オススメです。

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