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にゃん基地サニーデイズ  作者: 猫見沢ハジメ
プチ・高校生編
22/29

意外な再会



 まさか、マイ・マミーだろうか。いや、まさか。そう思いながら振り返る。すると、そこにいたのは、


「からかうのも良い加減にしなさいよね〜」


 意外にも、巨大なハリセンを握り締めた陽菜と、仮装姿の龍也だった。黒のサングラスに飲み倒れ人形の仮装をまとっている。そのハリセンどこから持って来たんだよ……。なんかの小道具かよ。いや、それよりも


「それでよく高校の校門を抜けられたな……」


 そう言うと、「いやー、それでこの時間になったんだよ」と飲み倒れ人形の黒縁メガネをくい、とやる龍也。()()()()何も言わなかった。


「私は先に入っていたけどね」


 と付け加える陽菜をよく見ると、胸元まで伸びるブロンドの髪がストレートになり、少しだけウェーブがかかっている。長めの前髪をセンターで分け、おでこが見える爽やかなヘアスタイルだ。ハリウッドの女優も顔負けのスタイルである。幼馴染とはいえ、龍也もなかなかの幸せ者だな。


「それよりも、2人とも入学おめでとうな」


「私は、ほんのちょっと羨ましいけどね」

 

 祝いの言葉をくれた龍也と陽菜に、


「2人ともありがとう!でも、どうしてここに?」


 理玖が素直にも感謝を伝える。そういえば、彼らも入学式があるんじゃないだろうか?


「俺ら、入学式明日なんだよ。それで、遊びに来た」


 どちらかといえば、この格好から察するにひやかしに来ているように見えなくもないが……。


「遠いのに、大阪からわざわざありがとな」


 俺は、そう言うと、


「せっかくだから久々に河原にでも行かないか?」


 しばらく、秋冬の期間が続いて行けなかったのだ。


「河原行くの、久しぶりだなー!」


「やだ、私スカート濡れちゃうんだけど」


 そう言いながらも、口角を緩ませた陽菜が「ふんふん」と小さく鼻歌を歌いながら、いそいそと腕まくりをする。マンガならルンルンという文字とともに、音符のマークが飛んでいることだろう。


 ————それにしても、


「その制服、」


 陽菜は、おろしたての制服とローファーを身につけていた。おそらく、入学式に向けて用意していた府南高のものだろう。肩のあたりがピンと尖って、締まった腰のあたりまで弧を描いている。ブレザーは黒色だが、ベージュのニットに白いブラウス、そして大人っぽい胸元を飾る赤色のリボンと白の靴下がアクセントになっている。


 その大人っぽい雰囲気が、いかにも高校生らしいと思った。陽菜が口を開いて、


「府南高の制服、似合ってるでしょ、ふふ」


 と機嫌よく一回転して見せる。彼女はジャズダンスとバレエを習っているだけあってサマになっている。


「俺も負けてないからな?」


 そう言って、龍也が制服を誇らしげに見せる。


 いつの間に着替えたのだろうか。彼は黒の制服をビシッと着こなして、赤いネクタイを締めている。どうやらシルクか何かでできているようで、光沢のあるネクタイの結び目がふんわりと膨らんで、男らしく思える。両腕で身体を抱えるように腕を重ねる姿勢は政治家か何かのようで、頼もしく見える。


「おお、2人とも宣材写真のモデルさんみたいだね」


 両の手のひらを重ね合わせ、理玖が驚く。「ふふん」と鼻を鳴らす陽菜が腰に手を当てて、


「龍也にしては、似合っている方かしらね」


 そう言い放つと、龍也は「なんだと」と突っかかる——


「そ、そうかよ。別に嬉しかねえけどよ」

 

 ——かと思いきや、意外にも照れている様子だった。なんだこれ。あ゛あ゛! !なんか悔しい!!!!


 ま、まあ、良いんだ。これはこれ、それはそれだ。俺は理性で邪念を振り払うことに成功した。


「お、晴翔くやしそうだな」


「うるせえ、ばーか!」


 かと思われたが、やはり邪念が打ち勝った。


「子どもかよ!!」


 と、龍也にしては冷静なツッコミだ。どうやら、またしても顔に出ていたようだった。


「大丈夫だって、お前にもそのうちできるさ」


「そうだと良いけどな!良いんだけどね!」


 脈アリっぽい異性に思いあたる節がないのが問題だった。俺にはにゃん吉がいればそれで良いんだ…。


 俺は、遠い、遠い目をしていた。側から見れば、きっと影が消え失せて、白く透明になっていたことだろう。漫画で言えば、ちーん……、である。意気消ちーん、である。ひらがなで書いたのには特に深い意味はない。たぶん。


 ————おい、そういうとこだぞ、俺。



 

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