うたた寝サニーデイズ
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大広間に布団を敷いた後、僕は1人、横になって天井のシミを眺めていた。途中「晴翔、寝ちゃうのかー?」と龍也の声がしたが、体を休めるつもりだったので「んー」と濁した。暖房のかかった部屋は暖かすぎるくらいで、縁側の開いた障子から流れ込んでくる涼しい風がどこか心地良かった。そうしているうちに僕の意識は深くなる夜とともに闇に包まれていった。
ふと、誰かの声が聞こえた気がして、意識が半分だけ浮上する。その声を僕は、夢心地の中で聞くともなく聞いていた。
「晴翔、疲れて眠っちまったみたいだ」
「まあ……、あんな喧嘩を見せられたら誰だって疲れもするってもんだよ」
「ずいずん迷惑かけちゃったみたいね」
「いや、ほんとにすまねえ。俺らしくなかったな」
「もう良いじゃん、晴翔のおかげで解決したんだから結果オーライだよ。そうだよね、加藤さん」
「——ええ、そうね」
どこか上の空といった様子の陽菜が、やや躊躇いがちに返事する。
「そういえばよ、晴翔が帰ってくる前にやけに大きな音がして、俺たちは喧嘩するのをやめただろ?あれ、いったい何だったんだろうな」
「そう言えば、何だったのかしらね」
龍也と陽菜に向けて理玖が
「今日は、明るい満月の日だから、どこかで誰かが忠告してくれたのかもしれないね。ふふ、まさかそんなことあるわけないだろうけど」
と冗談を飛ばす。おい、あの音は僕がアタマをぶつけた、ってだけのことなんだけどな。でも、運命のしわざだとすれば、それはそれで面白くもあるが。
にゃん吉はといえば、家に帰るや食事を済ませたかと思うとすぐに居間のコタツで居眠りしていた。星空のお散歩だ。きっと疲れていたのだろうと思う。僕たちが布団を敷くや、気になって見に来たのを陽菜がおもちゃで遊んだり、構ってもらえない龍也が頬を膨らませて拗ねたりしていた。にゃん吉は理玖の膝でしばらく休んでいたが、僕が布団のうえで寝るともなく横になっていると「んにゃあ」と顔をすり寄せ、潜り込んできたのだった。
だから、今もこうして彼はゴロゴロと満足気に喉を鳴らしながら布団の中で丸くなっている。彼らの話に耳を傾けるうちに本当は意識が覚醒していたけれど、水を指すのも悪い気がして、僕は、このままにゃん吉を抱きしめることにした。
そう時間がたたないうちに、理玖と龍也が隣に敷かれた布団に潜り込んできたのが半分眠りながらでも分かった。そして、しばらくして最後のシャワーを終えた陽菜が少し離れた所に布団を敷くと、ほどなくして息を立ててすやすやと眠りに落ちたようだった。




