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構ってほしいなんて思ってないし

 勉強をしていると、玄関の扉が開く音がした。

 お姉ちゃんが帰ってきたんだ。


「お姉ちゃん、おかえり」


 私は自分の部屋の扉をちょっとだけ開けて、顔だけを出してそう言った。


「ただいま、美葉」


 お姉ちゃんの返事を聞いた私は、直ぐに扉を閉めて部屋に戻った。

 お姉ちゃんと遊びたい気持ちはもちろんあるけど、お姉ちゃんは高校生で忙しいと思うから。

 ……私もキリのいいところまで勉強したいし。


「美葉、入るわよ〜」

「お、お姉ちゃん!?」


 私がそう思っていたところ扉がノックされて、急にお姉ちゃんが入ってきた。


「きゅ、急に何? 私今勉強で忙しいんだけど」

「んー? 美葉が構ってほしそうな顔してたから来たんだけどなぁ」


 構ってほしそうな顔って……そんな顔して無い……と思う。

 いや、絶対してない。……そもそも構ってほしいなんて全然思ってないし。


「し、してないから! 早く出ていってよ。……お姉ちゃんだって忙しいでしょ」

「私は大丈夫よ」

「……私が勉強で忙しいんだし」


 そう言うとお姉ちゃんは私の隣に座って来た。


「勉強なら私が教えてあげるわよ」

「ひ、一人で出来るし……」

「ここ、間違えてるのに?」


 お姉ちゃんがそう言って、私が解いた問題に指を指す。

 それにつられてお姉ちゃんが間違えてるって言う問題を見るけど、私にはどこが違うのか分からない。


「……ほんとに間違ってるの?」

「教えてあげるわよ」

「……うん」


 



 そうやってしばらくお姉ちゃんに教えて貰いながら勉強をしていると、外が暗くなってきた。


「そろそろ私は夜ご飯を作るわね」


 そう言ってお姉ちゃんは立ち上がり、部屋を出ていこうとする。


「あ、私も手伝うよ!」


 いつも親がいないからお姉ちゃんが作ってくれてるし、たまには私も手伝いたいからそう言った。……はいいけど、私に手伝えることなんてあるのかな。


 そう思いながらも私はお姉ちゃんについて行った。

 

「何作るの?」

「美葉は何がいい?」

「なんでもいいけど、強いて言うなら……ハンバーグとか、かな。……あ、でも、ほんとになんでもいいよ」


 材料があるか知らないし、無かったら無かったでお姉ちゃんなら買いに行くとか言いだしそうだし、私は慌ててなんでもいいことを強調した。


「だったらちょうど材料もあるし、今日はハンバーグにしよっか。美葉にも手伝って貰うからね」

「うん!」


 私が頷くと、お姉ちゃんが急に頭を撫でてきた。

 一瞬、受け入れそうになったけど、私は直ぐにお姉ちゃんから離れて撫でられないようにした。


「こ、子供じゃないんだから、いきなり頭撫でないでよ!」

「今のは子供扱いじゃなくて、可愛かったからよ?」

「か、可愛くなんかないし! お姉ちゃんに可愛いとか言われても、う、嬉しくないし!」


 私はこれ以上お姉ちゃんにからかわれないように、早くご飯を作ろうと急かして、一緒にハンバーグを作った。

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