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私がツンデレみたいに思われちゃうから

「美葉、いい匂いになったわね。美葉の匂い、好きよ」


 お風呂をあがって、ソファに座った私の隣に座ってきたお姉ちゃんがいきなりそう言ってきた。


「だ、だからいきなり匂い嗅がないでって言ってるでしょ。……そ、それに、同じシャンプー使ってるんだから、匂いなんて変わらないし」

「ふふっ、全然違うわよ。美葉も私の匂い嗅いでみる? そしたら分かるわよ」


 お姉ちゃんに抱き寄せられながら、そう言われた。

 意味わかんないし。どうせ同じ匂いなのに、わざわざ匂いを嗅ぐ意味なんてないし。


「お、同じ匂いだから」


 毎日同じベッドで寝てるんだから、意識しなくても、知ってるし。


「ご飯、作るわね」


 私がそう考えていると、お姉ちゃんは私の頭を撫でながらそう言って、キッチンに向かって行った。


「あ、お、お姉ちゃん、ま、また今度でいいから、料理、教えてよ」

「ええ、もちろんいいわよ」


 私がそう言うと、お姉ちゃんは微笑みながらそう言ってくれた。

 

「あ、ありがと」


 私がお礼を言うと、お姉ちゃんは嬉しそうにしながら今度こそキッチンに向かって行った。

 




 そんなお姉ちゃんを見送って、ソファに座っていると、お姉ちゃんが料理を作り終わったみたいで、テーブルに運んでくれた。

 

「いただきます」


 だから、私はテーブルに移動して、そう言った。

 

「美葉、明日、休みでしょ? たまには一緒にデートでもしない?」


 すると、お姉ちゃんがいきなりそう言ってきた。


「で、出かけるのはいい、けど、で、デートじゃないでしょ」

「ふふっ、好きな人同士で出かけるのは、立派なデートよ」


 お姉ちゃんは当たり前のことのように、そう言ってきた。


「お、お姉ちゃんはともかく、わ、私は別に、す、好きとじゃないから! だ、だから、デートなんかじゃないから!」

「まぁ、美葉が素直じゃないのはもう分かったけど、少なくとも私は美葉のことが好きなんだから、デートよ」


 お姉ちゃんにそう言われて思った。お姉ちゃんがデートだと思おうと、私はデートじゃなくて、ただの姉妹のお出かけだと思ってるんだから、別にいいか、と。

 

「……素直だし」


 ただ、そこだけはそう言っておいた。

 そう言っておかないと、私がツンデレみたいな感じで、お姉ちゃんのことを好きじゃないって言ってるって思われちゃうから。

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