早くお姉ちゃんみたいに
「お、お姉ちゃん! お米が炊ける音したよ!」
お米が炊ける音がした瞬間、私はそう言って、お姉ちゃんに離してもらった。
離してもらったのを確認すると、私は直ぐにソファから立ち上がって、キッチンに向かった。
「お、お姉ちゃん、早く作ろ!」
私に着いて来てくれていたお姉ちゃんの方を向いて、そう言った。
「美葉、卵と解凍してあるお肉、玉ねぎにケチャップ、塩、胡椒を出しておいて」
するとお姉ちゃんは、笑を零しながらフライパンを取り出して、そう言ってきた。
「わ、分かった!」
忘れないように、お姉ちゃんに言われて直ぐに冷蔵庫から言われたものを取り出した。
「これでいい?」
「ええ、ありがとね。……それじゃあ、作っていきましょうか」
「うん!」
お姉ちゃんの言葉に頷いて、私はオムライスの作り方を教えてもらった。
「出来、た……?」
お姉ちゃんに手取り足取り教えて貰いながら、一応作れはしたんだけど……お姉ちゃんが作ったオムライスと比べると、かなり見た目が違う。……もちろん悪い意味で。
「美葉、初めてなんだし、見た目は仕方ないわよ」
「……うん」
それは分かってるんだけど……お姉ちゃんが初めてオムライスを作ってくれた時、綺麗に作ってくれた記憶があるからこそ、落ち込んじゃう。
「美葉、早く食べるわよ」
そう言って、お姉ちゃんは私が作ったオムライスを持って行った。
「え、お、お姉ちゃん、それ、私の……」
「私に食べさせてくれる約束でしょ?」
「そ、そうだけど……それは上手く作れたやつとかの話……でしょ」
そう言って、お姉ちゃんに私が作ったオムライスを返してもらおうとするけど、お姉ちゃんは返してくれない。
「一緒に作ったんだから、味はほとんど変わらないわよ」
「そ、そうかもしれないけど……見た目が悪いし……」
「私には美葉が作ってくれたものってだけで十分なのよ。だから、冷める前に早く食べちゃうわよ」
「……う、うん」
お姉ちゃんの作った見た目のいいオムライスを持って、私はお姉ちゃんの後を着いて言った。
「頂きます」
「い、いただきます」
お姉ちゃんが手を合わせながらそう言ったのに続けて、私もそう言ったはいいけど、罪悪感がすごい。
「美葉、ちゃんと美味しいわよ。……美葉は私の作ったオムライス、食べてくれないの?」
私がなかなか食べ出さないからか、お姉ちゃんがそう言ってくれた。……そんなこと言われたら、食べないわけにはいかない。
「美味しいよ。お姉ちゃん」
一口食べて、私は直ぐにそう言った。
いつも通り、美味しかったから。
私は早くお姉ちゃんみたいに上手く作れるようになりたいな、と思いながら、お姉ちゃんが作ってくれたオムライスを食べ進めた。




