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■紅のフラグメント ◎ホノエ

 ホノエの待機場所はブカク軍港と市街地の境に位置する平野である。周辺に人が近づかないように警報が発せられているおかげでツルギの使用許可は下りている。


 ただ平野ということもあり、市街地への被害も予想される光弾銃の使用許可は出なかった。


「空でドッキングして人型になったか」

 武装は剣、――弓矢のようだ。しかし矢が装備に見当たらない。矢はひょっとしたらエネルギー体を用いるのかもしれない。


(あか)(どり)がコードネームでいいかな」

 真っ赤な機体色に鳥のような両翼。


 その赤鳥と名付けられた機体は剣で斬りかかってくる。その最中に関節の部分が光を放つのを観測する。


 機体が動くことで余剰エネルギーが発生しているようだ。そのたびに弓の一部が光る。おそらくエネルギーを溜めているのだ。


「やれやれ、あちらは身軽そうで羨ましいかぎりだ」


 ホルティザードの兵装は槍斧――銘は(かわ)(せみ)


 砲撃許可が下りないのだから砲撃武器など持ってもいない。つまり戦略は至ってシンプルだ。


 敵をこちらの懐へ誘いこんで一撃で屠る。あるいは地上へ降りてきた隙をついて一撃で屠る。


 そのどちらかだ。

 ホルティザードは盾――時鳥(ホトトギス)を構える。


 赤鳥は直下で大地に降り立ち、直角に軌道を変えてホルティザードのほうへ飛びかかってくる。


 軽快な軌道移動ができるのは見て取れるし何より速い。

 刃渡りはそれほど長くはない。機体の身長から考えても扱いやすい長さであろう。


「整備長には叱られるだろうな……」

 ホノエは赤鳥の一撃の威力を測ったうえでの判断であった。ただしこれをやればティユイ皇女の援護は見込めまい。


 だが、赤鳥を確実に仕留めることこそが援護になることを確信していた。

「ならばやるしかあるまい」


 ホルティザードは盾を投げ捨てて、川蝉を両手持ちに切り替えて大きく上へ振りかぶる。これで胴のあたりがガラ空きになる。


 赤鳥はガラ空きの胴にめがけて刃が腹を突き破ろうとする。だが、機体を食い破るには至らない。

「……質量増大」


 装甲を少し突き破らせた瞬間に気体密度をあげると同時に機体内を巡るエーテルの流動体を噴出させてカチカチに固まらせる。


 剣をホルティザードの体から抜けなくなった赤鳥は必至に抜こうとするもびくともしない。


「悪いがな。捕らえさせてもらった」

 頭上から振りおろされる槍斧の質量に任せて叩き斬る。刃は白銀に光っておらず黒いままである。


 単純な圧壊によって敵機は粉砕されるのであった。


お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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