■ホノエとカリン ◎ホノエ、カリン
ホノエはティユイの護衛の役についていたが、ティユイの傍にいるのはニィナに任せて、ホノエの方はバックアップに徹していた。
とはいえ、何が起こるというわけでもない。実質は軍港近くのカフェでのんびりとしているだけであった。
「ホノエさん、お隣よろしいですか」
「これはカリン王女。もちろんです」
ホノエの対面の席がちょうど空いており、そこにカリンは座る。白いワンピース姿は彼女によく似合っていた。
「王女がファランドールに乗っていると聞いたときは驚いたものです」
「私は父から指示を受けただけですよ」
それ以上のことは知らないとカリンは言う。それに対してホノエは「そうだろうな」と納得をする。
「私としてはこうしてホノエさんと合流できたのは素直に嬉しいです」
「そうは言っていただけるのでしたら」
ホノエはにっこりと笑みを返す。
「リョウカさんが五カ国会議に来るそうですよ」
その声にホノエの手がピタリと止まる。
「そうですか」
リョウカとはホノエの妹の名前であった。
「リョウカさん、ホノエさんが結婚して子供ができたとき一人だけ落ちこんでましたから」
「これが私なりのけじめなのですよ」
理解してほしいというのは傲慢でしかないだろう。いつか面と向かって話す必要があることは承知しているが、ホノエにはいまのところ踏みこんでいくまでには至っていない。
「お互い、不幸な出会いだったのでしょう」
リョウカとは母方が違う兄妹であった。思春期のまっさかりに二人は何も知らされないまま出会ってしまった。
そしてお互いに起こるであろう悲劇を回避するためにホノエが起こした行動は結果的にリョウカを傷つけてしまった。
その後、ホノエは彼女を避けるように懇意にしていた女性と結婚して子供が一人できた。しかし、一方でリョウカは未だ独身を貫いていた。
「リョウカにいい縁談があればお願いします」
「私に頼むんですか?」
大人びた感じだが、カリンはまだ一二歳である。たしかにこんなことを言ってしまうなんてとホノエは自嘲気味になる。
「リョウカさんは五カ国会議へ来るそうですよ。主催者側として」
ホノエの眉がぴくりと動く。
「久しぶりに話してみるのはいかがですか?」
おそらくカリンはこれを言いに来たのだろうと、ホノエはようやく気がつくのだ。
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