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■レイアの後悔 ◎レイア、シンク

 ブカクに到着したファランドールの乗組員たちには休暇が与えられていた。


 艦長のレイアも類に漏れることはない。彼女はブカクにある自宅にいた。

 カーテンの隙間からいまが夜であることがわかる。


「精密検査の結果は私たちが知るべきものだったのかしら?」

 それはティユイの件であった。それはシンクと先ほど共有したことである。

 レイアは俯きながらため息をついたあとにソファへと背中をもたれさせる。


「知っておくべき話とは思うけどな」

「自分を子供の産めない体にしてほしいと頼んだのはティユイからなのよ」

 健気というべきなのか、どう表現すべきかレイアは困っていた。


「だから、あれだけの痣をつけられたんだな」

「ガレイの折檻が冗談じゃなかったのよ。気が滅入るったらないわ」

 噂にはあったが実際のものであればこれほどおぞましいことはない。


「ソウジ家に権力が集中してしまったツケがこれというわけだな」

「結果がソウジ・ガレイなのよね。いくら権力を強化してもすべてを自分の思い通りにしようだなんてね」


「権力だけでは十分でないと判断したから権威まで手中に収めるか。ホモ・サピエンスの時代にそんなことが何度もあったって話よね」


「あの男の一族はホモ・サピエンスの残り香だったな。種として最後の抵抗ということなんだろうな」

「新人類は最後の挑戦を受けているというわけね」


 種はやがて統合されるのか、あるいは滅ぼされるのか。

「俺は複雑な気分だけどな」


「ま、一時は両陣営に分かれた戦ったこともある身としてはね」

 レイアは肩をすくめる。


「マシロ王女がキリに出自を伝えてんだろう。ティユイの犠牲には報いるべきじゃないか?」

 決断を迫るような表情でシンクはレイアに顔を向ける。


「私は……」

「いまさら立派に母親をやれなんて誰も言わないさ」


 その一言にレイアはムッとした表情を見せる。

「でも、自分がどうやって生きてきたのか。父親の話くらいは聞かせてやるべきだ。それがこれから生きる指標の助けくらいにはなるはずだ」


「結局、面と向かって話しあえって言ってるわよ」

「人間って生き物がどうなろうが、そういうところは変わらないんだろうさ」


 できるかぎりのサポートはするからとシンクはレイアをなだめる。こういうところは長い付き合いということでシンクの役目であった。

 それにこれこそがシンクに求められている仕事でもあった。


「できることをやればいい」

 シンクは君ならできると言っている。


「そうやっておだてるんだから」

 調子に乗せられるほうはたまったものではないのだとレイアは言いたくなる。


「せっかくなら、もっとおだてなさいな」

 シンクに近づくと部屋の灯りが薄暗くなっていく。


 二人はそれから何も話さなくなった。


お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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