■VSエリオス ◎ルディ、キハラ、エリオス
ジルファリアは渦の中に入ったとき旋風を一つと、もう片方の旋風のツルギを失っていた。
そこに敵機の襲撃である。いまはベルティワイザーと分断されて、一機で対応する羽目になっていた。
『私は新生四天王が一人、グラード・エリオス。乗機はゼルベルド。以後、お見知りおきを』
大仰な自己紹介だった。
『それにしても悲惨だねぇ。そんな装備で私と戦うことになるなんて。だからって手加減はしないよ』
ゼルベルドは血が滴るような艶やかで真っ赤なボディを光らせている。その機体がスラスターを全開にして一気に距離を詰めてくる。
『この機体は相手をバラバラに切り刻むことをコンセプトにしている。どういうことかわかるかい?』
「説明は結構だ」
ルディは距離を詰められないようジルファリアの砲撃で応戦をする。
『つれないな。仲良くしようじゃないか』
ゼルベルドの腰部からアンカーが射出されてジルファリアを捕まえようとする。それをジルファリアは六鱗を張って軌道を逸らす。
『そのバリアは物理的なものにも効果があるんだね。だけど、……足は止まった』
感心したような面白がるような口調。
それと同時にゼルベルドに距離を詰められるも、ジルファリアは散弾で弾幕を張りながら、ステップで後ろに退がる。
散弾をくぐり抜けてきたゼルベルドが振った刃が空を切る。
『やるねぇ。そうでなくては切り刻み甲斐がない』
ゼルベルドの武装をざっと調べただけで、剣が二本とスネの部分から刃を繰りだせるようだ。
「全身、刃だらけだな……」
ジルファリアの得意な間合いと被るだけに厄介だった。
『私は君たちからすればテロリストだ。殺されても文句は言えない……だけど、それは君も同じだろ? 殺されていいなら、殺しても文句はないよねぇ』
粘着性のいやらしい笑い声が聞こえる。
「やれるものならやってみろ」
『勇ましいというよりは、そこまで実直だと考えものだよ』
呆れ口調が返ってくる。大きなお世話だとルディは言い返したくなるのを何とか抑えた。
――しかし、どうする? この武装では対抗手段がない。
『助けにきてやったぜ』
少し前に聞いた声で通信が入る。名前はすぐにでてきた。
「ヤマシロ・キハラか」
ジルファリアとゼルベルドの間を白虎型のロボットが割って入ってくる。
『邪魔するぜ』
ゼルベルドの足元を尻尾から発射される光弾で撃つと砂煙が巻きあがる。
『やれやれ。無粋だねぇ』
エリオスは割りこまれても腹を立てている様子はない。
『ルディだったな。届け物だぜ』
白虎のくわえている得物をジルファリアの傍まで駆けより渡す。
「霞が完成したのか」
形状は軍配のような形をしていた。
『調整は完全じゃないが、実戦には問題ないとよ』
花を持たせてやるから存分にやれとキハラが発破をかける。
「わかった。使わせてもらう」
ジルファリアが軍配の持ち手である右上を横に振ると安全装置が解除される。それから先端部分は流体となってみるみるうちに刃と変わっていく。
流体金属を形状記憶させて刃に固定化させるという技術であった。
『剣一本で私と張り合おうと?』
エリオスはおどけた様子だ。
「どうかは試してみるんだな」
対してルディは挑発すると同時に両機は互いに向かい合ったまま走りはじめる。
まさに互いが交錯する瞬間、互いが剣を振り抜く。
凍れるように鋭い空気が瞬時に張り詰めると同時、ずるりとゼルベルドの右腕が落ちる。
『……やるねぇ』
『まだやるか? 今度は俺も加わらせてもらうけどな』
キハラがエリオスに問う。
『引き際は心得ているつもりさ。右腕のことは借りにしておこう』
エリオスがそう言うとゼルベルドは巨大なブースターを広げて上空へ飛び去っていく。
『追撃するか?』
「……いや、セイカたちとの合流を優先しよう」
エリオスという男に油断ならないものを感じたルディの判断であった。
『了解だ。それじゃあ各機に合流地点のマーカーを送るぜ』
「頼む」
こうして戦いは一旦の幕を閉じる。しかしルディは四天王について考えていた。
一つはアースカでの戦いで倒した。ここを襲ってきたのは二機。では、残りの一機はと……。
お読みいただきありがとうございます。
引き続きよろしくお願いします。
感想、評価、お気に入り登録も今後の励みになりますので、ぜひお願いします。




