■敵機、襲来 ◎キリ、マシロ、キハラ、アズミ
「敵襲だって?」
キリたちはスヴァンヒルトから警告がくるとマシロを連れて外に出る。
「傘のほうから侵入を試みているようだ。奇襲としてはいい手だ」
「実際にやったヤツが言うと説得力が違うよな」
キハラがアズミを見ながらしみじみと言う。
「敵機の落着地点は二カ所。こっちに一機ともう一カ所はルディのいるところだ」
「こっちも二手に分かれたほうがいいな――というよりこれが敵の策かもしれんな」
「だがよ。こっちが後手にまわった場合は相手の策に乗るしかないぜ」
「そうだが、問題はこちらのチーム分けだな」
「うちの一機が俺を相手に指名してきている」
相手はヒズルという男が乗るマグからであった。
「ふざけた野郎だぜ。いっそ三人でいっせいに絞めるか?」
キハラは右拳で左手の平を叩く。
「待ってくれ。ルディの機体が武装のほとんどを失っている。この状況で襲撃を受けるのはまずい」
「救援は必要か。ならば、どうする?」
「ヒズルの誘いに乗ろう。キハラには俺が預かっているルディの武器を届ける役を願いたい」
アズミの相談に対して、キリは提案をした。それにキハラとアズミは互いに顔を見合わせる。
「そいつは構わねえが、ヒズルって野郎はなかなかの相手なんだろう?」
「だったら、僕がキリの助けになるよ。これで二人だ」
マシロがキリの右腕を掴む。するとキハラの眉がピクリと少し動いた。
「アテにしてもよいのですか、王女よ」
「キリなら大丈夫さ。僕たちを信じてほしい」
そう言い切られればアズミもキハラも言うことはなかった。それから二人はすぐにルディたちの救援準備に取りかかろうとする。
「もし、キハラさん」
キハラはマシロに呼び止められる。
「その姿でキハラさんなんていうのはやめてくれ。俺のことはキハラでいい」
「僕は君のお姉さんじゃないんだよ」
「そうだとしてもだよ。声まで一緒なんだから適わねえよ」
困ったような恥ずかしいような、キハラはそんな顔だ。
「いまの君は戦場へ行く男の顔じゃない。僕のことを姉だと思って言ってごらん。言いたいことがあるんだろう?」
いまなら他の二人は聞いていないとマシロは周辺を見渡して言う。
それにキハラは「……わかったよ」と渋々答える。
「あのときの俺は子供だった。出航前にした悪戯で俺は姉上を泣かせちまって帰ってきたら謝りたかった。けど……」
姉は帰ってこなかった。潜水艦の事故とはよほどのことがなければ生き残れない。
「俺は拗ねて見送りすら行かなかった。もう会えないなんて考えもしなかったから……」
「そっか。よく言えたね」
マシロはキハラの頬を撫でる。
「仲直りしようキハラ」
マシロは優しく微笑む。
「そんな顔で言われちゃあ、嫌とは言えねえな」
「君のそういうところ、お姉さんが手を焼いたんじゃない?」
マシロの笑顔がスン……と消える。
「最後にそれは勘弁してくれ」
キハラは顔を引きつらせた。
それからキハラはキリから渡されたジルファリアの新兵器を預かると、アズミとともにルディたちの救援に向かうのであった。
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