■二〇二五年一月三一日 ◎物部由衣、新田美希奈
首にマフラーを巻くようになって、ずいぶんと経つ。
今日で一月も終わり。
冬の寒さがより厳しくなるのを感じて身が縮こまるような思いだった。
「由衣ちゃん、おはよ」
同じ制服を着ているにも関わらずに少しだけ大人びた髪長の少女が優しく声をかけてくる。
「美希奈ちゃん、おはようございます」
敬語であるが、親しげな様子で挨拶を返す。美希奈もそれに対して気にした様子はない。これが由衣という少女の普段通りということなのだろう。
「聞いたよ、高校決めたって」
「はい。御所近くにある府立高校です。そこなら徒歩で行けますから」
「式条君もそこに行くって聞いたよぅ」
美希奈はからかうような笑みを浮かべる。由衣は顔が熱くなるのを感じていた。
「そんな不純な動機じゃありませんから」
「そういうことにしておこうかな」
「もう」と言って由衣は頬を膨らませる。
「実は私も受けるつもりなんだ。受かったら、また同じ学校だね」
由衣は少し言葉に詰まったあと、すぐ笑顔になる。由衣にとっていいサプライズだったのだろう。
「はい。よろしくお願いします」
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