■ニィナはファランドールへ向かう ◎ニィナ、リルハ
ナワールのコックピットにニィナはリルハを乗せてレギルヨルドを出撃した。
「話せてよかったね」
「リルハには感謝してますから」
「うんうん。しっかりするように。それと――」
リルハはニィナの両頬をつねる。
「痛い。痛いから」
「いつまで敬語? もう敬語禁止だから」
リルハはふくれっ面だった。
「気にしてたの?」
「他人行儀なんていまさらって感じ。ファランドールでもそうするつもりだった?」
「言われなかったら、してたかも」
ニィナはそっぽを向く。
「ほら、やっぱり」
「だから白状したでしょ。これから敬語しない宣言」
「ならばよし」
リルハはニィナの頭を撫でてくる。
「どうして撫でるの?」
「いいじゃん」
何がいいのかニィナにはわからなかったが、リルハと話をしているとだいたいこんな感じだった。
「ファランドールには他国の王女もいるらしいよ。実は出会うのはじめてなんだ」
「楽しみだったりする?」
リルハはうーんと考えこむ。
「どうだろ? 仲良くなれる保証もないし」
だからといっていきなりケンカをはじめるわけでもないだろう。
「私はティユイ皇女を含めてみんなの護衛につくわけね」
「ニィナだったら安心だ。私は頼りにしてる」
「ありがと。頑張るわ」
「ティユイ皇女は恋敵って認識?」
「私なりに気持ちの整理はつけてるつもり。キリが選んだのは彼女だし」
「エラいねぇ」
リルハはニィナの頭を再び撫でる。
「リルハこそ、よかったの?」
「昔から二番目だったから。慣れたっていうのも変だけど、あんまりに気にならないかな」
「……遠巻きに批難されてる?」
「自覚あるんだ」
「……私のせいなの?」
ニィナはブスッとした表情へ変わる。
「人の思いはままならないからね」
「いつも深そうなこと言うよね、リルハは」
「そう?」
「そうだよ」
そのくせ本当に何も考えていないのだ。これでまわりを困らせることがあったりする。本人に自覚はないが。
「ファランドールより誘導光弾の着弾を確認。ファランドールへナワールより。私はレギルヨルド隊人機部隊ナワールのパイロット、クラバナ・ニィナです。当機はリルハ王女を同伴しています。貴艦への着艦を願います」
ニィナの口調が急に変わる。誘導光弾とは攻撃のためではなく、相手に着艦許可を与えるための光弾である。
光弾は着艦するまで機体と艦を一本の光の糸となって繋ぐ。
着艦許可が下りても着艦する機体は所属を慣例として名乗る必要があった。国際軍規というものである。
「やっぱり楽しみになってきた」
リルハはニィナと顔を見合わせるのであった。
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