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■二〇二五年九月二八日 ◎物部由衣、式条桐
半袖で過ごすにはすっかり肌寒くなった。
「物部さん、乗り心地はどう?」
自転車で二人乗り。少女は後ろのキャリアに乗って、少年の背中にしがみついている。
「お尻が痛いです」
少女は不満を惜しまず伝えた。返答に少年は「ははっ」と笑う。
「そりゃそうか」
中学生の二人が行ける範囲はそんなに広くないし、門限の夕刻は間もなくだ。
秋になって日が暮れるのも早くなって二人で過ごす貴重な時間は少なくなってきている。
今日は少し遠回りをしてもらうよう少年に頼もうか。
少年の背中から伝わる温もりをもっと感じたくて、少女はまわした両腕に力をこめた。
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